美少女戦士セーラームーンR
シリーズ監督 佐藤順一 キャラクターデザイン 只野和子
前シリーズの好評を受けて、急遽放送延長になったのがこのシリーズ。このシリーズは第59話までのエイル&アン編と第60話からのブラックムーン編(別名ちびうさ編)の2つに分かれる。
<エイル&アン編>
前半のエイル&アン編は、TVシリーズが原作コミックに追いついてしまったために、急遽挿入したTVオリジナルストーリーである。このシリーズでの敵は宇宙人エイルとアン(上図左)。魔界樹とともにやってきた彼らは、生物の生命エナジーを求めて、カーディアンと呼ばれる魔物を操る。またこのシリーズでのオタスケヒーローはタキシード仮面ではなくて、月影のナイト(上図右)というアラビア風のコスチュームをまとったオリジナルキャラ。ちなみに彼も薔薇を投げるのは同じだが、赤ではなく白の薔薇である。
エイル&アン編の特徴は、TVオリジナルシリーズであるために、原作コミックに引っ張られずにストーリーが伸び伸びと展開していること。原作コミックの重たい雰囲気に毒されなかった分、かなりギャグ色の強い楽しいシリーズになっている。敵キャラのエイルとアンもどちらかと言うと憎めないキャラクターであり、うさぎに好意を持って迫ってくるエイルや、地場衛に好意をみせるアンなどが話を盛り上げる。この二人の愛情模様が実はこのシリーズの核になっている。またセーラー戦士達それぞれのエピソードに1話ずつさくなど、かなり彼女たちの描写にも力を入れていたのも特徴的であり、全般的にキャラクターの魅力を掘り下げていったのがこのシリーズである。
<ブラックムーン編>
第60話からがブラックムーン編(別名ちびうさ編)になる。このシリーズでは未来からうさぎの娘であるちびうさがやってくるところからストーリーが始まる。そしてセーラー戦士達は未来と現在とでブラックムーンの陰謀に立ち向かうことになる。この過程で未来にネオクィーンセレニティになっているうさぎや、キングエンディミオンになっている衛などが描かれる。このシリーズの前半の敵キャラはあやかしの四姉妹(上図左)であるが、後半にはプリンスデマンド(上図右)率いるブラックムーン一族の幹部クラスが攻撃をかけてくる。とことん嫌なやつだったルベウスや、六本木系イケイケねーちゃんにしか見えなかったエスメロードなど、個性的な連中が揃っていた。
このシリーズでは、全体的に衛とうさぎの愛情、うさぎとちびうさの愛情といったものが中心に描かれている。ただ作品としては、幾原氏やその他の一線級スタッフが劇場版作成のため抜けてしまったために、全体的にストーリーのテンションが低下したことは否めない。また終盤でストーリーが原作コミックに引っ張られたために、重い単調な展開になりがちだったのも事実であり、このあたりがRが作品として今一つ高い評価を受けていないことにつながっている。