長谷川裕倫(Hasegawa Hirotomo) 作品目録(Discography)

kito-mizukumi rouber / THE BEST OF AERO DANCE MUSIC

label:SAMURAI ROCKET RECORDS ¥2,500(税抜)

release: CD (2017/10/11)

member:*記載無し

Papekyowance Pyorotomy (Guitar&Vox)
Tecondo ookuninushino Makoto (Guitar&Vox)
Papa Big Papa (Drums&Vox)
Mar mar sumol Ma rmar (Sax&Vox)

notice:

LP、カセット、7インチ等、CDフォーマット以外の過去音源より厳選した、kito初となる24曲のBESTアルバム。穴だらけのアナログ盤にCDを装着する特殊装丁。ジャケットは黒と茶の2種あり。

song name:

1. midori mushi san connichiwa
2. Born to Canada
3. Pussy Tonight
4. kippu star
5. Dacccho Presley
6. botsu
7. Cock Ring
8. Hotel tepodon
9. Geete Train
10. Sacks Thanks
11. Jackson4
12. Money tonic
13. Cow kuu Cow
14. Tezoukuuri Tengock
15. Yokohama
16. anta no kai
17. Itta Low
18. own goal
19. Cocho Choco
20. Totem pole
21. ashita ni nareba
22. Dancing sold Night
23. na guri bo toke
24. Fra pore hero

 曲はすべて既発な為、内容の解説(そもそもしてないが・・・)は省くとして、アイテム自体は名曲てんこもりのkito初心者に最適な内容。装丁は今回もカオスで、特殊装丁である穴だらけLPの品番は「TILIQUA-005」・・、や、矢部さん、じゃなくて、やべぇーっ!これってヒロトモさんが穴を開けたんでしょうか?こんなステキなブツですが、難点としては出自が全く謎の「サムライ・ロケット・レコード」から出ていることと、ライブの物販とごく一部のショップしか見かけない事ですが・・・。「ベストなんだから、もっと、もっとたくさん、刷りましょうよう~!」

kito-mizukumi rouber / At Caberet Le Chat Noir

label: PaPa (PAREC-806) ¥1,000(税抜)

release: Cassette (2017/09/28)

member:

Papekyowance Pyorotomy (Guitar&Vox)
Tecondo ookuninushino Makoto (Guitar&Vox)
Papa Big Papa (Drums&Vox)
Mar mar sumol Ma rmar (Sax&Vox)

notice:

kito2作目となるライブアルバム。

song name:

*記載無し
 A1. Yellow Class
 A2. Cock Ring
 A3. Na guri Bo toke
 B1. Geete Train
 B2. Dacccho Presley
 B3. Funsoku kaiten gomu udon

 カセットのスリープデータによると、1937年のキャバレー「シャ・ノワール」の録音。ああ、エリック・サティの居た時代だね・・って、騙されるかいな!もちろん、そのような内容ではなく、"Mar mar sumol Ma rmar"(スモールママ)参加後のライブをまとめたもの。個人的には、狂気のサックスが鳴り続ける中、哀愁のこぶしを回すテコンドーの「Cock Ring」が好き(自分の指輪の方が若干高価)。三島の言葉を借りるなら「これこそ演歌だよ!」。ゲストは牛と羊。

V.A.[長谷川静男] / Tokyo Flashback P.S.F. ~Psychedelic Speed Freaks~

label:SUPER FUJI DISCS (FJSP271/272) ¥2,800(税抜)

release: CD (2017/05/24)

member:

Hasegawa Hirotomo (Hichiriki)
Uchida Shizuo (Bass)

song name:

disc 2_6. Low Blues

 2017年2月末に亡くなった、P.S.F.レーベル主催者生悦住英夫氏追悼のオムニバス・アルバム。全アーティスト未発表音源が収録されており、長谷川静男は2016年録音の「Low Blues」1曲を収録。長谷川静男は生悦住氏が発掘し、積極的に世界に向け紹介したと言って良いと思う。収録曲は追悼に相応しい静かなレクイエム。「たましひのたとへば秋のほたるかな」蛇笏。

kito-mizukumi rouber / Savaita Calvi ni KMR

label:セルビアNo Basement Is Deep Enough (NBIDE #41) $10.00

release: Cassette (2016/10/01)

member:

Papekyowance Pyorotomy (Guitar&Vox)
Tecondo ookuninushino Makoto (Guitar&Vox)
Papa Big Papa (Drums&Vox)
Mar mar sumol Ma rmar (Sax&Vox)

notice:

kito5th。スモールママ参加後初の録音。限定89部。

song name:

A1. Dacccho Presley
A2. Cock Ring
A3. Itta Low
A4. Cow kuu Cow
A5. Pussy Tonight
B1. Geete Train
B2. Sacks Thanks
B3. Tezoukuuri Tengock
B4. Cocho Choco
B5. Jyobusu to gay2 no hanna Monogatauri

 キト5thは、セルビアのレーベルNo Basement Is Deep Enoughから、血まみれカルビ肉のようなハンドメイドパッケージにてリリース。極めたと思われた変態度をさらに更新し、前人未到の境地をさらに開かんと欲す一作。難解と思いきや意外にポップなのも特色。「Dacccho Presley」の疾走感に始まり、チョコパイのCMに使ってほしい「Cocho Choco」(つい口ずさんでる自分が怖いな)、ヒョロトミーの「本物」な語りが炸裂する「Pussy Tonight」等、大ヒットナンバーが並ぶ。もちろんポッピーなだけじゃなく、いったん「前衛」モードに振り切れば、疲弊した日本のIT業界を告発する(妄想か)「Jyobusu to gay2 no hanna Monogatauri」の登場だ!これに至っては、もう何が問題の問題作なのかが、分からないほど。これ等に比べたらスモールママのデビュー作「Sacks Thanks」は一息つけるほどだが、彼の将来を考えると・・。染まるとヤバいですよ!

V.A.[長谷川静男] / 情趣演歌

label:仏An'arcives (An'11) £16.00

release: 10", 33 1/3rpm (2016/07/10)

member:

Hirotomo Hasegawa (Hichiriki)
Shizuo Uchida (Bass)

notice:

限定250枚。

song name:

B. 恍惚のブルース

 フランスのレーベルAn'archivesによる、日本人作家を軸とした演歌カバー企画の第4弾として 「青木智幸&望月治孝」とのスプリット形式でリリースされた。長谷川静男はB面1曲のみ、青江三奈のデビューシングル「恍惚のブルース」(1966)を収録。ボーカルレス。録音は2016.1.16。体に馴染む静かな音に、寄り添う時間を堪能できる。

V.A.[kito-mizukumi rouber] / RED/GREEN RG:01

label: PaPa (PAREC-804) ¥1,200(税抜)

release: Cassette (2015/06/06)

member:

Papekyowance Pyorotomy (Guitar,Vox)
Tecondo ookuninushino Makoto (Guitar,Vox)
Papa Big Papa (Drums,Vox)

notice:

限定100本。

song name:

A5. Jackson 4
A6. Na guri Bo toke

 タイトルと同名のイベント開催を記念したコンピレーション・カセット。怒っちゃいますよサイド(A面)、謝っちゃいますよサイド(B面)に分かれ、全5バンド(一部ライブテイク)を収録。  kito-mizukumi rouberは3名時代最後の録音で、2世帯参加型ソウル・バンドを目指す「Jackson 4」、バリバリの大ヒットナンバー「Na guri Bo toke」の2曲収録。

Vampillia / the divine move

label: Virgin Babylon (DAKVBR-19) ¥2,376(税抜)

release: CD (2014/04/09)

member: 長谷川裕倫 (lyric)

notice:

Vampilliaの企画アルバムにゲスト参加。

song name:

4. Tasogare (feat. Hirotomo Hasegawa)

 大阪ブルータルオーケストラ「Vampillia」のゲストに何故ヒロトモさんが!?おそらく対バン等の人脈や縁があったと思われますが、あぶらだこ復活を待ちわびるファンにとっては電撃的かつ嬉しいニュースと云えましょう!このアルバムでは「tasogare」という曲の作詞と、冒頭のポエトリーリーディングで参加されているようです。静かな、飽くまで静かな語り口はヒロトモさんの新境地を感じさせますが、単なる哀愁で終わらず、後半怒涛の展開が待っています。数多のカリスマは偽文化人になっていったけど、黄昏に佇む我らの長谷川裕倫はパンク界の赤尾敏すよ、やっぱり。

長谷川静男(hasegawa-shizuo) / 120728

label:Haang Niap (HNCS-002) ¥1,000(税抜)

release: Cassette (2013/10/23)

member:

Hasegawa Hirotomo and Uchida Shizuo (all instrument)

notice:

Rare Air Bootlegsシリーズ第2弾。

song name:

Untitled(Same track is recorded on both sides.)

 ブートレグ・ライブ・カセット・シリーズ第2弾。タイトルから、2012年07月28日四谷 喫茶茶会記でのライブ音源か。静かで長い序盤から、音の間隔を効果的に生かしつつ、後半に来てやおらドラマチックに展開する意外性に満ちた素晴らしい内容。パフォーマンスに目を奪われがちなLIVEを補う意味で、長谷川静男の本質を知れるタッタ1000円の安い入口と言えましょう。奏でたり、こすったり、舐めたり、音を業柱として人がまぐあう刹那の記録でもありんす。カセットテープはヤダ?まあ、50年経ったらワカメになるかもしれませんが、劣化の無いメディアって、時間軸が無くてつまんないんじゃないすか。。

kito-mizukumi rouber / Yume No Kippuuri No KMR

label: Chocolate Monk + PaPa (choc.265) ¥1,200(税抜)

release: Cassette (2013/10/23)

member:*記載無し

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar/Vox)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar/Vox)
PAPA BIG PAPA (Drums/Vox)

notice:

kito4th。限定100部。

song name:

A1. Hotel tepodon
A2. kippu star
A3. ashita ni nareba
A4. yamate fujin
A5. Pon Pon
A6. Three 969
B1. pin no kura
B2. CIA
B3. Money tonic
B4. Blue anall

 CDはレコード店ごと、雑誌は書店ごと無くなっていく昨今、ビッグ・データを検索すれば、いつの間にやら日本ガレージ・ロックバンドの最前線を突っ走っていたkito。待望の新作はやっぱりカセットだ!のびたテープ上等、限定100部上等、サブに徹するPYOROTOMY上等。脳みそウォッシュレットな曲名がズラリと並び、朴訥にハジけるTECONDOの怨歌がこのバンドの命運を地味に握る。1曲1曲が短くなったが、全てひっくるめて1つの作品だと思えば、それも夢の最長片道切符。用も無いのに無人駅にわざわざ降りる奴もいるが…、秘境って、そんなもんじゃないだろう。さあ、あんた、どこまで乗る?

長谷川静男(hasegawa-shizuo) / 110724

label:Haang Niap (HNCS-001) ¥800(税込)

release: Cassette (2012/12/?)

member:

Hasegawa Hirotomo and Uchida Shizuo (all instrument)

notice:

Rare Air Bootlegsシリーズ第1弾。50コピー?

song name:

Untitled(Same track is recorded on both sides.)

 Haang Niap Records "Rare air bootlegs 01"、噂では、内田氏が仕事から帰宅した後、毎夜1本ずつコピーして制作された代物らしい。音源は、タイトルから推測するに、2011年07月24日小岩BUSHBASHでのライブから取られたようだ。なお、A・B面両サイドとも同じテイクとの事。出る音すべて「業」に彩られている、長谷川静男らしい一作。バラエティに富む音響は、演奏する身体と密接な関係にあり、それ自身が命を持つようだ。これまで聴いた中では、スタジオよりもライブの録音の方が、やっぱり音が生きている。あとは、深夜コピーの鬼気。

kito-mizukumi rouber / concert at the royal albert hall

label:rockatansky records (rr-9) ¥800(税込)

release: Cassette (2012/03/04)

member:*記載無し

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar&Vo)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar&Vo)
PAPA BIG PAPA (Drums&Vo)

notice:

kito、初のライブアルバム。

song name:

*記載無し
 A1. Yellow Class
 A2. Out Corps
 A3. Dancing sold Night
 B1. Wow o fumuyo
 B2. Born to Canada
 B3. Yes man no cry
 B4. Funsoku kaiten gomu udon

 息詰まるような曲調のあぶらと、フリーキーに見えるkito。でも共通するのは底に流れるスト石沈む。って親父な洒落言ってんじゃねえ!kito評判の「エスカレートしている」ライブを味わえるカセットの登場。音源は、想像するにフライヤーとジャケットが共通する2011/11/5の那須ピラミッド温泉ライブ?おっと、アルバートホールでしたね。こういうのは論評云々より、楽しく聴けばいいと思う。ラストのゴムうどんが嬉しい。あと、あえて注文つけるなら、ライブは映像込みで出してほしかった。(8ミリテープで出されたら怖いが。観れないし。)

V.A.[kito-mizukumi rouber] / TRIBUTE TO 宮沢正一&ザ・ラビッツ 死んでこの世にやって来た

label: いぬん堂 (WC-068) ¥2,500(税込)

release: CD (2011/12/24)

member:

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar&Vo)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar&Vo)
PAPA BIG PAPA (Drums&Vo)

song name:

13. バーチャンのバージンでいってみよー

 当サイトの年譜によると、あぶらだこが宮沢正一&ザ・ラビッツと対バンした確実な情報は1983年6月17日の横浜ジーンジニー。そこでどのような縁があったのかは知るよしも無いが、28年後、こんな形の”再会”が実現するなんて。1983年以降、ラビッツは沈黙し、あぶらだこはスタートを切る、まるでバトンを渡したかのようだ。曲が、老婆つながりで「バーチャンのバージンでいってみよー」というのが素晴らしい。お経のように流れる、これが婆ちゃんパンクだ!魂のリレーは続く。

kito-mizukumi rouber / midori mushi san connichiwa

label: 米Siltbreeze (SB-134) $6.00

release: 7" (2010/09/08)

member:

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar/Vox)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar/Vox)
PAPA BIG PAPA (Drums/Vox)

notice:

アナログのみ、268枚限定シングル。

song name:

A1. midori mushi san connichiwa
A2. anta no kai
B1. nin pi nin blues
B2. botsu
B3. michael korasho

 この5曲入シングルの大半はTECONDO(大國正人)がメイン・ヴォーカルを取っている。彼の野太いヴォーカルはPAPEKYOWANCE(長谷川裕倫)の甲高いヴォーカルと好対照を成しているのだけど、本作で掛け合いの面白さは見られない。独白のような「私、要領いいけど…」で始まる「anta no kai」、「襤褸を着てても心は錦」の「nin pi nin blues」の2曲はkito流怨歌といった雰囲気だが、酔っ払いの絡みみたいなものを繰り返して聴くのはつらい。「midori mushi san connichiwa」「botsu」はよく分からなくて掴み所がないまま終わってしまう。ジャンクの枠からはみ出してゆく面白さは感じるし、TECONDO一人立ち(今回たまたまかもしれないが)の心意気も伝わる。だけど枚数も含め、まだまだプライヴェート。ラストの「こげよマイケル」で何かホッとする。最後プツッと切れちゃうけど…、でも、そう言えば死んだねえ、MJ。

長谷川静男 / Lift [離俯土]

label: 米Utech (URCD029/書響音綴2) £9.99

release: CD (2010/01/23)

member:

Hasegawa Hirotomo and Uchida Shizuo (all instruments)

notice:

長谷川静男4thCD。500枚限定。

song name:

1. Lift

 音の「ドラマ」を観る感じがするものの、やはり今回も入りこめなかった。謎を与えられたような気もするけれど、謎だらけの世界で、この謎を解きたいという気にさせないのは、あまりに現代音楽「らしい」作品であり、長谷川静男ならではの個性が感じられない為だと思う。雨だれの音、よじけるような音の波、沈黙、破るような獣の声(かどうかはわからない)…、そしてキー・ワードはただ一言「Lift」。作者にとって、何か、そこに深遠な体験が隠されているのかもしれない。だが、自分にとっては、その40数分間は、あまりに唐突で、取りとめない、日々の泡みたいなものだ。それは「長谷川静男」でのみ与えられる感覚でなく、たぶん他のものでも代替できるだろう。「諸君は私に関係がなく、私は諸君に関係がない。私と諸君との間には言葉すら不要なのだ。」、長谷川静男を聴いて残るのは常にそういう感覚であり、強いて言えばそこが魅力か。adios。

kito-mizukumi rouber / Otonaki touge de hagureta KMR

label: ベルギーUltra Eczema (UE72) £17.99

release: LP (2010/01/23)

member:

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar,Vox,Dance)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar,Vox,Dance)
PAPA BIG PAPA (Drums,Vox,Dance)

notice:

kitoの2ndLP。アナログのみ、300枚限定。

song name:

A1. Free Mountain
A2. Born to Canada
A3. Konpoo Boogie
A4. Yes man no cry
A5. Bocksattu
A6. Dancing sold Night
A7. Yokohama
B1. BooDoo child
B2. Totem pole
B3. snow chip
B4. Kawari mon
B5. own goal
B6. Fra pore hero

 3rdまでの3作では、この2ndが突出して良いと思う。ジャケットも賛否はあると思うが、これまで猫猫商会製作という一定の「色」で占められていたので、違った存在感がある。曲の傾向はTECONDO(大國正人)とPAPEKYOWANCE(長谷川裕倫)の掛け合いの妙が面白く、例えば「Fra pore hero」でPAPEKYOWANCEが歌う「♪フラポレ、ヘロ~」にTECONDOの「かっぽれ、かっぽれぃ!」が絡む辺り、行き着くとこまで行ったな感がある。四十路越えに効く、本物のブルース!アルバム全体を通して、メンバーのキレ具合もいい。ただ、全面支持に回れないのは、内輪受けの笑いが多いこと。「Born to Canada」でTECONDOがカナダ生まれとか、誰も知らないって。あと、これも好悪の問題だけど、TECONDOとBIG PAPA(内田静男)がPAPEKYOWANCEに操られているようで、痛い。「Yes man no cry」とかいう曲もあるし。だから曲想はバラエティに富んでいても、全体的感触はモノトーン。

V.A.[長谷川静男] / Tokyo Flashback 7

label: P.S.F. (PSFD-189) ¥2,400(税込)

release: CD (2009/09/15)

member:

長谷川 裕倫 (篳篥&Voice,etc)
内田 静男 (Bass&Voice,etc)

song name:

6. Gray Ray

 2009年5月31日、高円寺ショウボートで行われた「Tokyo Flash Back」公開レコーディング・ライブを収録。長谷川裕倫の野太い篳篥の音が印象的な導入部を過ぎた後、とても静かなドローン、鐘のような音が途切れ途切れに続き、靄に包まれ、消えてゆくように幕を閉じる。この間、15分強。狙いは、東洋の禅的風味というべきものか?よく出来ていると思うが、長谷川裕倫がもともとカオティックな人物だけに、このような曲で彼の本領が発揮されているとは言い難い。あの「滅菌ピッチ」の鬼気迫る音は、処女作だからこそ可能だったのか?和風志向で行くならば形而上でなく、もっともっと形而下の…、ナラヤマブシコウって言うか、津山五百人殺しみたいな、無茶苦茶な「和風」ってもんがあるでしょう!?「そんなん、あんた、やったらいいやん!」。ほんまですね。すんません。

kito-mizukumi rouber / UKK kara TApe o hiku KMR

label: PaPa (PAREC-802) ¥2,200(税込)

release: CD (2009/07/25)

member:

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar/Vox)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar/Vox)
PAPA BIG PAPA (Drums/Vox)

notice:

kitoの3rdCD。先行発売されたカセット「UK kara TApe o hiku KMR」より1曲少なく("Hi Ho Silver")、3曲追加された("Aka Savi Ichidai","MUra hazure no Shy Band","Nagisa no aitsu")。

song name:

1. Wow o fumuyo
2. Aka Sabi Ichidai
3. England O kudasai
4. MUra hazure no Shy Band
5. Nennen BOnjour
6. Nagisa no aitsu
7. natsu no owari ni
8. Genkotsu do-shi

 5分以上の長い曲が多いためか、アルバム全体として冗長さを感じる。ひとつひとつの曲の冒頭は面白いが、音だけで言えばその面白さを持続できていない。ライブであれば、パフォーマンスが加わるので感想は異なるかもしれないが、しかし、kitoは漫才で言うなら「ボケ」ばかりで「ツッコミ」がいないから、60分間暴走する「西川のりお」みたいな存在だろうか?「パッ!天下御免の向こう傷、パッ!拙者早乙女、パッ!主水介!!」「カッコー…。カッコー…。カモーン!ワーウを踏むよ、ワーウ!」。それだけのボケなら、のりおの方が勝つ。ラストの名曲「Genkotsu do-shi」なら、のりおの横っ面を張れるだろう。「おれの父ちゃん、父ちゃんゆずりで、お前の父ちゃん、とおせんぼ」が訳分かんないけど、聴いた俺もなんか、父ちゃんの柿の木思い出しちゃったよ。ちっ。

V.A.[長谷川静男] / 愛について

label: EAR (EAR 009) ¥2,500(税込)

release: CD (2009/06/09)

member: *楽器記載無し

長谷川 裕倫
内田 静男

song name:

8. 波のまにまに果てた島国から

 EAR(イヤー)は渋谷区円山町にあるバー。ライナーに「11年前からearでDJしている羊子のユニット」とあるので、その繋がりからコンピへの誘いがあったのだろうか。表ジャケでは登録しない長谷川静男の両名も、裏ジャケではセッションに溶け込んでいるように見える。彼らの音楽も、渋谷という町で人と交錯しつつ存在しているのかと思うと地縁の役割の面白さを感じる。また、背面の寄せ書きには「邪悪な物がない 長谷川」「すべての人の音がぜんぶ滲んでたらいいですね 内田静男」とあったりして、楽しい。収録された「波のまにまに果てた島国から」は2007年7月、MySpaceにアップされているものと同テイクと思われ、リアルタイムなものではない。私的には、長谷川静男の中で最も好きな曲であり、CD化は嬉しい。この曲を聴きながら、伊邪那岐命と伊邪那美命とがしたようなセックスをぜひ、してみたい。

kito-mizukumi rouber / uk kara tape o hiku kmr

label: 英Attic-Cassettes (no number) $30

release: Cassette (2009/01/25)

member:

papekyowance pyorotomy (guitar/vox daance)
tecondo ookuninushino makoto (guitar/vox)
papa big papa (drum/vox daance)

notice:

kitoの3rdカセット。2ndの発売時期が遅れ、3rdが先になった。

song name:

A1. wow o fumuyo
A2. england o kudasai
A3. hi ho silver
A4. nennen bonjour
A5. natsu no owari ni
A6. genkotsu do-shi

 最近(2015年くらい)ようやく入手しました。CDと比べて、「hi ho silver」の1曲が入っていないだけで、あとはCDの方に入っています。「hi ho silver」は、聞いてあまり印象に残らなかったので、これ目当てで探さなくてもいいかも。ただ、キトのカセットテープリリース攻撃は、思えばここあたりから始まってたんですね。ジャケットの女性が謎。誰か知ってます?

V.A.[kito-mizukumi rouber] / 続々々々・オールいぬん堂大進撃

label: いぬん堂 [非売品]

release: DVD-R (2008/12/03)

member:

不明

notice:

いぬん堂の2008年販売フェアの特典DVD-R。

song name:

1. YELLOW CLASS

 貴重なkitoの初期ライブを収録(2008年8月30日、神楽坂エクスプロージョン「いぬ屋敷 Vol.45 晩夏の間」のライブ)。この頃はまだキャラクターが定まっていないのか、出で立ち・音ともスッピンな印象。「暑いからこっちに来なさいよ!」のキメ台詞もなく、この怪バンドも純情な時代があったんだなー・・(違う、と思います。)。

長谷川静男 / I know a chord buried into the ground and a tongue on a cloud [土の中に埋まる和音と雲の上の舌を知る]

label: Haang Niap (HAANG-001) ¥2,500(税込)

release: CD (2008/06/12)

member:

長谷川裕倫 (hichiriki,Indonesia-viola,ukulele,theremin,harmonica,voice,loop)
内田静男 (bass,one string,sil snyan,f-dung chen,klong yao,khaen,hyousi-gi,loop)

notice:

長谷川静男3rdCD。

song name:

1. Direct Tube Rider 直管ライダー
2. Breath Tarp ブレスタープ
3. Hallucination Encounter 幻覚対戦
4. Possible To Grip a Signal Fire 掴める烽
5. a Longing For Iron Ball 砲丸慕情
6. Grid Yogurts グリッドヨーグルツ
7. Shizuo Kagura 静男神楽

 Haang Niapは自身のレーベル。1年くらいの間、出る出ると言われ続けていたので、録音時期は2006年末から2007年初めごろか?ほとんどの曲がライブで演奏されており、"This recording is the result on an unedited improvised performance."という但し書きは偽りでない。非インプロであること、すべて現場で出される音で構築すること、さらに1st、2ndで固定化しつつあったイメージを覆す多面的な曲調は、あたかもチベット仏僧が描く砂曼荼羅のようであるか。個人的に不満な点を述べておけば、中途半端にコミカルであること。砂絵でなく、山下清の貼り絵のように、私はもっと馬鹿に、道を真っ直ぐ行く白痴になってほしかった。本物の馬鹿こそ「土の中に埋まる和音と雲の上の舌を知る」筈である。馬鹿になりきれないナイーブさ、それがラスト「静男神楽」の音を小さくしたところに出てしまったように思う。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:舟盤]

label: P-VINE (PCD-18532) ¥2,835(税込)

release: CD (2008/06/06)

member:

長谷川 裕倫 (ヴォーカル・篳篥・テルミン・ウクレレ・ポン)
小町 裕 (ベース)
伊藤 健一 (ドラムス・コーラス・ホイッスル・ピアノ・シンギングボウル・ハモニカ)
大國 正人(ギター・ウクレレ)

notice:

あぶらだこ7thCD。

song name:

1. 倅の勘違い
2. 忿溜艦
3. 禁泳
4. 餅搗きジルバ
5. 凍える炭
6. グレーグビズマズ
7. 七草牧場
8. 全方眼ブルー
9. 猫の角
10. 入港

 当時のインタビューで、ヒロトモは物語形式のコンセプトでこれを作ったと述べている。「『倅の勘違い』から始まって、『忿溜艦』に乗って航海に出ると。それで海で亡くなって、魂だけが戻ってきているっていう内容なんですよね。」、その物語は、しかし、現実のヒロトモの日常が随所に覗く。塵労の中、心は方眼の海を彷徨い、航海のロマンを求めているのかもしれない。だから、航海に「倅」や「餅つき」や「猫」が出てきても不思議では無い。すべてヒロトモの心の中の現象なのだから。実に私小説的であり、全くポピュラーには成り得ない作風なのだが、恐るべきは「猫の角」である。これは、あぶらだこのベスト1と言ってよい偉大なポップ・チューンである。PVを観た方は分かるであろう、メンバー全員が適当に演りまくっているだけしか見えないのに、あの整合感。これぞ「あぶらロック」。これだけの力量がありながら、なぜ、このスタイルを全編貫かないのか…。

あぶらだこ / ADK

label: P-VINE (PCD-93130) ¥2,415(税込)

release: CD (2008/06/06)

member:

HIROTOMO (Vo)
MARU (Dr)
HIROSHI (B)
IZUMI (G)

notice:

サブタイトル<<ADK Years 1983 - 1985>>。
入手困難になっていたADK時代のコンピレーションを新規リマスター。
Tracks 15 - 22 (1983.9.13 新宿JAM)
Track 23 (1983.11.3 新宿JAM)
Track 24 (1984.9.22 目黒鹿鳴館)
Track 25 (1985.1.18 新宿ツバキハウス)
Track 26 (1985.2.15 新宿LOFT)
Track 27 (1984.4.14 渋谷屋根裏)

song name:

1. ランニングハイ
2. 忍耐
3. エルサレムの屈辱
4. 絶句
5. 無
6. 原爆
7. 米ニスト
8. クリスタル・ナハト
9. WHITE WOLF
10. LOGOS
11. 煉瓦造りの丘
12. 童愚
13. 鏡の風景
14. OUT OF THE BODY
15. 絶句
16. 米ニスト
17. エルサレムの屈辱
18. クリスタル・ナハト
19. ランニングハイ
20. 忍耐
21. 無
22. 原爆
23. FUN
24. スイミングハイ
25. スカ
26. カッカッカッ
27. タムド

 「なんかパンクっていう"ノリ"がね、オリジナリティがあるようでなしって感じ」、といった発言にも見られるように、この時代の音源についてヒロトモの思い入れは無いようだ。これだけ個性的なパンク・ロックを生んだ、当の本人の温度の低さは意外のようで、しかし、やはり既存の枠を嘲笑い、逸脱していく彼だったからこそ、これだけの独自性を生み出せたのだろう。しかし、このスタイルが終焉したのは決してヒロトモ1人が原因であるまい。もし、マルが抜けなかったら?おそらく相当な軋轢があっただろうし、どちらにせよ長く続かなかったろう。しかし、決して「仲良し」になれない4名が、この路線を開拓しつつ、貪欲にスターダムにのし上がっていく様を見てみたかった気がする。このバンドに欠けていたのは、サクセスへの色気だけだった。「タムド(今回の収録に当り、曲名を付けられた。ダムドとADK主催者TAMのもじり)」他、未発表だった4曲(Tracks 24 - 27)を解放。

kito-mizukumi rouber / boseki ni tatazumu KMR

label: PaPa (PAREC-801) ¥2,100(税込)

release: CD (2008/02/02)

member:

PAPEKYOWANCE PYOROTOMY (Guitar/Vox)
TECONDO OOKUNINUSHINO MAKOTO (Guitar/Vox)
PAPA BIG PAPA (Drum/Vox)

notice:

kitoの1stCD。

song name:

1. yELLOw cLASs
2. kAYo bi
3. kAMi No kUZUKAGo
4. dOKKARADEMo uTTEKOi
5. siNCHakUMu
6. oUt cORPs
7. tUKiGa aKARUKUTe mODORENAi
8. C
9. fUNSOKU KAiTEn gOMu uDOn

 メンバーの正体はPAPEKYOWANCE=長谷川裕倫、TECONDO=大國正人、BIG PAPA=内田静男。つまり、長谷川静男の2人プラス大國正人。音はサイケデリック・ガレージと形容されているようだが、ギターの洪水にへっぽこ風ドラムは初期ボアダムズに通じるコワレ具合。ジャケットは白黒、録音はモノラル、バッジはひとつ目、でもギターは2本だよってなめとんのかい!意味不明のコンセプトに貫かれているところが、小泉毅っぽくて怖い。1stCDについては内容は若干おとなしめで、ボーカルも弱い。歌詞を重視していないのかもしれないけれど、何を歌っているのか分からなければ結局、面白さがほとんど無くなってしまう。あるいは歌詞をはっきり聴かせないことで早く飽きられるのを防止している?「tUKiGa aKARUKUTe mODORENAi」のスッカスカ感、「fUNSOKU KAiTEn gOMu uDOn」のエビスヨシカズ的中年内宇宙の旅、が出色。

長谷川静男 / Song of umbilical cord [臍の緒の唄]

label: ベルギーTILIQUA (TILIQUA-005LP)  £14.99

release: LP (2006/12/23)

member:

Hirotomo Hasegawa (hichiriki/voice/loop)
Shizuo Uchida (bass/one string/loop)

notice:

長谷川静男2ndLP。アナログのみ、400枚限定。

song name:

A. sterilization pitch
B. adios

 1stCDの名曲「滅菌ピッチ」「アディオス」を再録音した本作。1stはライブ録音でのリリースだったが、バンド側は元々スタジオ録音でリリースしたかったようで、今回においてそれを実現した形だ。長谷川静男の曲はすべてがインプロという訳でなく、決めの部分が割りと多いとされているが、そのバンド・コンセプトは演奏を何度も繰り返すことによって曲が磨かれていく、その点を重視したのでないかと思われる。滅菌ピッチの、ちょっと奇抜にすら感じる間合いも、繰り返し再演されることにより、血肉化し、それこそ遺伝子レベルまで記憶されていくかのようだ。現代音楽、現代美術が無くしたものは、究極まで磨かれた職人仕事だと思うが、21世紀の日本にも、こんな音楽があったという事はやっぱり、立ち位置に関係なく、やれることはやれるって事なんだろうな。限定400枚、100人乗っても大丈夫!

長谷川静男 / gene packs

label: P.S.F. (PSFD-163) ¥2,415(税込)

release: CD (2005/09/29)

member:

長谷川 裕倫 hirotomo hasegawa (篳篥(hichiriki)/vocals/loop)
内田 静男 shizuo uchida (bass/一弦(one string)/loop)

notice:

長谷川静男1stCD。

song name:

1. 滅菌ピッチ sterilization pitch
2. 腐慰 rot and comfort
3. アディオス adios

 あぶらだこの長谷川裕倫と、触媒夜の内田静男が結成した、現代音楽ユニットの1stCD。ヒロトモのソロ活動は数年前から予兆のようなものがあったとはいえ、結成が1月、初ライブが4月、そしてこのCDのリリースが9月(内容6月のライブ録音)という立ち上がりの早さと、本作の高い完成度は何なんだ!という気がしたものだ。とても他に仕事と家庭を持ってる(もちろんヒロトモは「あぶらだこ」の活動を並行している)とは思えない。内容的には、東洋的な楽器を使っているので枯淡の境地を予想しがちだが、正反対の、人間のドロドロしたカルマのようなものを感じさせる。『あぶらだこ洸記』の「音楽ならば、あぶらだこのようにあるべきだと思う。(中略)はじめに背負い込んだものがあって、返す刀で人間はからいが更にそれを滅茶苦茶にする因果クソミソな構造といっていい。」という一節は、そのまま20年を経過した後のこのユニットにも息づいているし、むしろ、よりぴったり言い当てたものになっているのだろう。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:穴盤]

label: P-VINE (PCD-5860) ¥2,940(税込)

release: CD (2004/06/04)

member:

長谷川 裕倫 (ヴォーカル、篳篥、テルミン)
小町 裕 (ベース、口琴、ピアノ)
伊藤 健一 (ドラムス、パーカッション、トライアングル、カズー、ハーモニカ、ホイッスル、コーラス)
大國 正人 (ギター)

notice:

あぶらだこ6thCD。

song name:

1. 都塵気孔
2. 夏風邪へ魚群
3. 磁場
4. 鰐園
5. ファストダンスは僕に
6. 映発トンネル
7. 湿原へ砂浜
8. 素懐手
9. 自転車の窓から
10. トリプルレインボー

 あぶらだこ最大の問題作であり、これだけ劇的な変化は後にも先にも無かった。変拍子でこそあれ、ビートが効いて血の沸き立つサウンドは影を潜めた。ボーカルも「歌う」傾向が強まる。曲調の好悪で作品を云々すべきでないのは承知だが、それでも、サイケデリック・バンドになりきれていない未熟さを感じる。ライブで鍛えられた曲「ファストダンスは僕に」「都塵気孔」などはまだ自然に聴こえるが、「湿原へ砂浜」や「トリプルレインボー」は曲の展開をただ辿っているだけに聴こえ、ぎこちなく冗長。また「自転車の窓から」も前作の「夕映」もそうなのだが、ヒロトモはバラードがしっくり来ない。評価の良かった「夏風邪へ魚群」もライブと比較すれば精彩を欠く。「鰐園」「素懐手」はクリーン・トーンで存在感が薄れたギターを篳篥がカバーしているが、さらにヒロトモのワンマン色が強まり自家中毒を起こしている。この盤のテーマ曲と言える「映発トンネル」だけが、良い。

V.A.[あぶらだこ] / URAN #05

label: BMT ¥1,890(税込)

release: DVDマガジン (2003/12/25)

member: *記載無し

長谷川 裕倫 (ヴォーカル、篳篥)
小町 裕 (ベース)
伊藤 健一 (ドラムス)
大國 正人 (ギター)

song name:

6. あぶらだこ
 ひかり号
 生きた午後

 2003年11月3日、下北沢シェルターのライブから2曲収録。どちらも旧曲ながら、初めてヒロトモの篳篥がじっくり堪能できる貴重なDVD作品。「ひかり号」ではほぼ全編、「生きた午後」では間奏で、豪雨で氾濫した濁流を滝登りする鯉のように篳篥が浮揚かつ逆進している。フル・ボリュームで聴いていると、酔うほどのカオス!青盤などで堪能できたアクの強いギターが戻ってきたようだ。22世紀に向かって、芸術文化は洗練されてゆくばかりなのか?凶暴な、気ちがいじみた犯罪は無くなるのか?誰も愚行などしなくなるのか…答えはノーーーだ!篳篥はその誤解によって、死んでしまっていた楽器なのだった。DVDで音楽が聴ける時代になっても鬼は居なくならない。いつか訪れる、天誅を待て!視覚的にもヒロトモの篳篥は良きアクセントになっており、この後、ライブの定番となる。

V.A.[あぶらだこ] / 変拍子DE踊ろう!

label: Magaibutsu (MGDV-02) ¥3,150(税込) 

release: DVD (2002/12/25)

member: *楽器記載無し

長谷川 裕倫 (ヴォーカル)
小町 裕 (ベース)
伊藤 健一 (ドラムス)
大國 正人 (ギター)

song name:

あぶらだこ
 これが私の登山口
 肴核
 新世界
 律動

 2002年7月に表参道FABにて行われた、同名イベントの模様を収録した作品。単独作ではないものの、あぶらだこ初 DVDとなる。待ち望んだファンに嬉しい、クリスマスの発売。「これが私の登山口」は大槻ケンヂのソロ・プロジェクトに提供された曲だが、思い入れがあったようで、この時期、度々ライブで演奏されていた。あぶらだこ純正バージョンは、このDVDでしか聴けない。また「肴核」「新世界」「律動」は月盤からの曲(「肴核」はケーブルTVでもよく放送され、映像化が異常に多い気がする。ヒロトモのお気に入りか?逆に「ど宴会錦」とか「やまびこ」は観なかった)。さて、映像作品として、カメラワークが若干単調なのは残念だが、観どころは、やはりDVDということで…、な、何だか、いつも以上に動かないヒロトモさんっ!この逆説的な姿勢が、メロメロになるほど大好きだ。変拍子で…痺れる!

あぶらだこ / 翌日

label: 自主¥1,000(税抜)

release: CD-R (2002/09/08)

member:

長谷川 裕倫 (vocal)
小町 裕 (bass)
伊藤 健一 (drum)
大國 正人 (guitar)

notice:

<再>2004/01/24 DIWPHALANX(PX-115) ¥1,260(税込) ※CD・紙ジャケ化。

song name:

1. 翌日

 2002年9月8日、ライブ会場の物販で突如発売された、あぶらだこ初の公式マキシシングル。同年5月12日下北沢シェルターにて、ただ1曲、23分41秒に渡って演奏された「翌日」の全てが収められている。本編の聴きどころは、あぶらだこ3年目となる大國のギターである。殺意があふれた熱演と言えるが、心を打つものが無いのはあと一歩という感じ。昔のファンはどうしても、イズミの影を見てしまうからかもしれない。この「翌日」は2004年に再発されているが、その頃のインタビューで、歌詞の「青い太陽」は太陽から見た地球のことを指している、とヒロトモは明かしている。太陽が地上だったとは…。それならば、まさしく身体は大炎上の地獄変。「翌日」の「翌日」は…。「翌日」の「翌日」の「翌日」は…。永劫回帰がウィなんて、地球人だから言えるんだよ!現世も、来世も、さ来世も、地獄の釜に焼かれるばかり。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:月盤]

label: MIDI (MDCL 1397) ¥2,835(税抜)

release: CD (2000/10/25)

member:

長谷川 裕倫 (ヴォーカル)
小町 裕 (ベース、口琴、ピアノ)
伊藤 健一 (ドラムス、パーカッション、カズー、コーラス)
大國 正人 (ギター)

notice:

あぶらだこ5thCD。

song name:

1. ど宴会錦
2. やまびこ
3. 湯ヶ島吟行
4. 肴核
5. 索漠な信号
6. 新世界
7. 夕映
8. 律動
9. 冬枯れ花火
10. 過去過去去来

 あぶらだこ5年振りの新作。この世をば、我が世とぞ思う望月の…と歌った藤原道長は得意絶頂の気分でこの歌を詠んだのではなく、これから先の没落を悟り、自分を戯画にしてギャグっぽく詠んだんじゃないかと思う。かと言って、あぶらだこが未来を悲観的に捉えているかというとそうではなく、悲観を悲観ロマンとして気づいたとたん、それは今度、大いなる楽観に転ずるのではないか。下降も上昇も単なる律動だと思えば、それじゃツキって単なる偶然なのか?となるのだが、ツキはハプニングであり、前の世界観が壊される契機であり、これは当人がそれをさぐってないと、永遠に呼び込めないものなのだ。だから、ツキがある・なしはツキを起こせる人、起こせない人と言い換えた方が良いかもしれない。月盤に話を戻せば、これら一曲一曲は、ヒロトモが体験した出会いハプニング集、起こしたツキ(奇蹟)の数々だったと言えるだろう。これらの「望月の歌」を聴いて、あなたもツキを呼び込んでください。200兆円貯めずに、なぁにが人間か!!!

V.A.[あぶらだこ] / 極東最前線

label: 坂本商店 (坂商・十六) ¥2,400(税抜)

release: CD (2000/07/16)

member:

長谷川 裕倫 (Vocal)
小町 裕 (Bass Chorus)
伊藤 健一 (Drums Chorus あいのて)
大國 正人 (Guitars Chorus)

song name:

3. 横隔膜節

 イースタン・ユース主催による、イベント参加バンドによるコンピ。これがG.交代後の初録音作となる。収録曲「横隔膜節」は"UNDERGROUND SEARCHLIE"にて発表済みだが、こちらは純度100%のピュア・バージョン。新生あぶらだこにて、ヒロトモはこれまで以上に声を多彩に変化させ、時により深く情感をこめて歌う。叫び声がここぞというタイミングで配置されているのは戦略的ですらある。歌謡曲のような歌いこみとは全く別の、歌唱へのアプローチ。黙読しただけでは理解し難いあぶらだこの歌詞宇宙が、ヒロトモの声を通せば「これでいいのだ!」と思えるから不思議だ。サウンド面については、かなり複雑に展開する曲にもかかわらず、ベース&ドラムのリズムセクションの強靱さのせいか、むしろ躍動感に溢れている。「フリーダムにこんがらがった」とは?これだけこんがらがってもなおフリーダム、伊藤さんがシメに言い放つ合いの手は、あるいはミレニアムあぶらだこの真骨頂を見事に言い当ててたりして。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:OK盤]

label: OK (OK-0007) ¥2,500(税抜)

release: CD (1999/12/25)

member:

ヒロトモ (Vo)
イズミ (G)
ヒロシ (B)
マル (Dr)

notice:

入手困難になっていたADK作品のコンピレーション。
Track 15 (1984.1.19 新宿JAM)
Track 16, 17 (1984.4.14 渋谷屋根裏)
Track 18 (1984.3.4 渋谷屋根裏)

song name:

1. ランニングハイ
2. 忍耐
3. エルサレムの屈辱
4. 絶句
5. 無
6. 原爆
7. 米ニスト
8. クリスタル・ナハト
9. WHITE WOLF
10. LOGOS
11. 煉瓦造りの丘
12. 童愚
13. 鏡の風景
14. OUT OF THE BODY
15. FUN (Live)
16. エルサレムの屈辱 (Live)
17. WHITE WOLF (Live)
18. 忍耐 (Live)

 ADKよりリリースされて以来、長らく廃盤だった初期の2作品(後述)に、1983年の『GREAT PUNK HITS』参加曲、未発表ライブテイクを加えたコンピレーションアルバム。ハードコアパンクの色が強かったオリジナルメンバーの音源がすべて網羅されている。特にADKの2作品は発売後すぐに完売となり、その後レーベルの閉鎖(主催者が多額の借金を抱え、マスターテープも失われてしまった)や、ヒロトモが再発に熱心で無いこともあり、再発は絶望視され、両作品とも中古市場で数万円のプレミアが付き、果てはパイレート盤が出回る事態となっていた。OKレコードによる再発は15年間封印されていた名盤を解放した快挙であると言え、ライナーに寄せられた関係者の文章からも、その興奮が伝わってくるかのようだ。貴重な未発表曲については「FUN」のクールさと、客も「ニン・ニン!」と復唱してしまう「忍耐」が目を引く。やっぱりこの時期、勢いがある。

UNDERGROUND SEARCHLIE / アオヌマシズマ

label: Universal-Victor (MVCH-19003) ¥1,980(税抜)

release: CD (1998/05/21)

member:

大槻 ケンヂ (Vocal)
あぶらだこ are
長谷川 裕倫 (Guitars)
小町 裕 (Bass)
伊藤 健一 (Drums Chorus)

song name:

2. これが私の登山口

 "UNDERGROUND SEARCHLIE"のリリース作第2弾。うろ覚えだが、この時期のインタビューで明かされたところによれば、大槻がヒロトモに依頼した曲はストレートなロックだったらしい。ヒロトモが快諾し「ああ、ピストルズみたいなやつですね?」、大槻「そうです、そうです」と、話はトントン拍子に進んだ筈なのだが、結果は…えーい、もう、勝手にしやがれ!「これが私の登山口」は曲タイトルが示す通りパフィーの「これが私の生きる道」が意識された、あぶらだこ解釈による一大ポップス。「塩山!大月!」というかけ声で、進め進め進め大槻!大槻ケンヂへの心尽くし、まことに心温まるものがある。ラスト近く、「伊藤健一です」と伊藤さんが名乗るコーラスも最高!(ちなみにその後は、"レット・イット・BとCとDとEとFとGとラ~ブ!"と歌ってるとの事。)人生も山も色々あるけど、どんと来い、うりゃあ!

UNDERGROUND SEARCHLIE / スケキヨ

label: Universal-Victor (MVCH-19002) ¥1,980(税抜)

release: CD (1998/04/22)

member:

大槻 ケンヂ (Vocal)
あぶらだこ are
長谷川 裕倫 (Guitars)
小町 裕 (Bass)
伊藤 健一 (Drums Chorus)

song name:

5. 横隔膜節

 大槻ケンヂ(筋肉少女帯)のソロプロジェクト"UNDERGROUND SEARCHLIE"のリリース作第1弾。あぶらだこは楽曲および演奏を提供している。また、プロジェクト参加直前にオリジナルメンバーのイズミが脱退。このため、本作と第2弾の「アオヌマシズマ」では、急遽ヒロトモがギターを担当している。それまでほとんど聴く機会が無かったが、独特の癖がある良いギターだ。全体としては、比較するのは酷かもしれないが、やはり、大槻のヴォーカルだと、曲にマッチせず、歌詞にも言霊がこもらない。曲の複雑さに戸惑っているかのようだ。声量は十分の大槻なのだが、時空を越えた異種格闘技戦みたいなものだから、仕方無いかもしれない。曲間の「おうかくまくぶし、ぶくまくかうおう…」の台詞は、吃音矯正のための発声レッスンが取り入れられている。吃りにとって横隔膜には、人生の夢、お金、立身、であい、別離、諸々すべてが、詰まっているのある。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:釣り盤]

label: KING-Seven Seas (KICS 521) ¥3,000(税込)

release: CD (1996/01/24)

member:

長谷川 裕倫 (ヴォーカル、アコースティック・ギター(15))
和泉 明夫 (ギター)
小町 裕 (ベース、ピアノ(6)、電動ドリル(6))
伊藤 健一 (ドラムス、パーカッション、合いの手(4,7,9,13))

notice:

あぶらだこ4thCD。
<再>2004/11 KING(NKCD-3924)¥3,059(税込) ※ディスクユニオン限定復刻。

song name:

1. 夜霧の停車場
2. 邁進
3. 天狗の畦道
4. オー・マイ・ゴッド
5. 錯走
6. グリーンパーク
7. 蕎麦桜
8. 蒼痍
9. タッピングペースト
10. 提言
11. ±0.5
12. 啓蟄
13. 春望
14. オークランド・イン・ヘブン
15. 分陰

 前作「亀盤」から、実に7年ぶりに発表された釣り盤。長い活動休止期間を越えて出された本作は、あぶらだこの現役性を証明する、大きな意味を持つ一枚となった。前作の延長線上に位置づけられる作風だが、他のメンバーの嗜好とヒロトモの嗜好の乖離が広がったせいか、良く言えばバラエティーに富み、悪く言えば作品の統一感が失われる結果となった。が、しかし、何といっても7年間のブランクなので、洗いざらい全て収めたくなるのは責められないだろう。いつもより多めな15曲を通しで聴いていると、活動休止期間の各メンバーの思いのたけが見え隠れするような、そんな印象も残る。サウンドは厚みを増しているが、今厳しい目で見れば「邁進」「蕎麦桜」はあるいはマンネリズムの始まりだったかもしれない。むしろ「春望」のストレートさ、冬の氷を突き崩すような一撃が新しく、あたかも春芽のように胎動しているかのようだ。

V.A.[あぶらだこ] / DEVIL FROM EAST-A DECADE OF YOSHIDA TATSUYA

label: Bloody Butterfly (ZIKS BB-014) ¥2,625(税込)

release: CD (1994/01/01)

member: *記載無し

長谷川 裕倫 (ヴォーカル)
小町 裕 (ベース)
和泉 明夫 (ギター)
吉田 達也 (ドラムス)

song name:

4. buy

 RUINSでお馴染み、名ドラマー吉田達也の1984年から1993年までの十年間の活動をまとめた記念コンピレーション。あぶらだこの収録曲「BUY」は1985年に吉田がヘルパーで参加した時のもので、ライブからの未発表テイク。1分強の短いテイクだが、他を圧倒して笑いとばす迫力があり、素晴らしい。「BUY」の歌詞は謎めいているが、「あれは結局、生まれたら、与えていかなければいけないでしょう。生きてる側からみれば父と母でしょう、男と女がいなければ誕生しなかったんだから。ただそういったことですよね。」と、ヒロトモは当時解説している。「別に深い意味とかはあんまりないから…。」とも言うが、家族の中でも貰う・与える、売る・買うという経済的な活動が存在してしまうという本質を突いて、愛だの連帯だのといった価値観を解体する様はまさにパンク。なお、このCDリリースが、亀盤以降活動停止だったバンドの、再開へのきっかけになっていたようだ。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:亀盤]

label: 徳間ジャパン (32WXD-114) ¥3,008(税込)

release: CD (1989/04/10)

member:

小町 裕 (Bass)
伊藤 健一 (Drums,Kake-goe)
和泉 明夫 (Guitar)
長谷川 裕倫 (Vocal,Piano)

notice:

あぶらだこ3rdCD。
LPでも発売。(28WXL-3006) ¥2,637(税込)
<再>1996/01 徳間・WAX(TKCA-70829)¥2,000(税込)
<再>2007/06 SS(SS-909)¥2,940(税込) ※デジタルリマスター・紙ジャケ化。

song name:

1. 解
2. 陥没
3. 渺茫の星園
4. 五百段階右折
5. 秘境にて
6. ひかり号
7. 徒歩記
8. 落札
9. 焦げた雲

 あぶらだこ諸作中、究極の名盤だと言える。木・青・亀のいずれもファンには人気が高いと思うが、私はこの亀盤が無ければ、ここまであぶらだこに傾倒しなかった。(もちろん、ファンサイトを作るほど傾倒したバンドはあぶらだこ以外に無い。)全編を覆うのは、独身時代末期のヒロトモを包む現実社会と、パラレルで歩を合わすカオティックな内宇宙の秘境感。ステージからも「パンク」のギミックを全く排してしまい、スッピンの斜視で、それでも三千世界を背負って立つようなヒロトモの雄姿は最高にかっこいいロッカーだった。地を脈動するベース、屹立するドラム、そして美しいソロを奏でるギター、まるでこのように鳴く生物が地球上に存在するかのようにナチュラルだ。大作「焦げた雲」のエンディングなどは、まるで大自然の絶えまない渓流の流れに耳を傾けているような気分になる。なお、ジャケットの亀は、当時ヒロトモが飼っていた琉球石亀である。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:青盤]

label: Music Visions (ABURA-1) ¥2,500

release: 12", 45rpm (1986/12/01)

member:

小町 裕 (ベース)
伊藤 健一 (ドラムス)
和泉 明夫 (ギター)
長谷川 裕倫 (ヴォーカル)

notice:

あぶらだこ2ndLP。
<再>1989/07 徳間・WAX(25WXD-107)¥2,534(税込) ※CD化。
<再>1996/01 徳間・WAX(TKCA-70828)¥2,000(税込)
<再>2007/06 SS(SS-908)¥2,940(税込) ※デジタルリマスター・紙ジャケ化。

song name:

A1. 北極
A2. 29
A3. ガロア
A4. 祝言
A5. 硬貨と水
A6. 陰徳
B1. 南極
B2. 泉わき血がおどる
B3. Slope
B4. 四部屋
B5. 奇智
B6. アンテナは絶対

 ジャケットも、レコードもただ青かった。曲は極度に贅肉をそぎ落とされ、神経と、むき出しの骨のようになっていた。歌詞は理解を拒み共感を許さない。音塊はまるで身体の中に住んでいる怪物を呼び覚まそうとするかのように、速く、不規則で、力強かった。しかし、そのなりゆきすら、天はいつでも無関心であり続ける。怪物は己れの自由がきかない肉体で、走ることを目指すだけだ。「北極」から「アンテナは絶対」までの12曲、25 分21秒の中に圧搾された異形の音楽は、当初キャプテン・レコード主導で製作が進められていたが、「予約が集まらなければ発売しない」というレーベル側の事情とバンド側の意向がぶつかり、お蔵になりかけた経緯がある。このような音楽がそう簡単に受け入れられないように、世の中は良く出来ている。イズミの暴れまわるギターが嘲笑うように美しい。

あぶらだこ / あぶらだこ [通称:木盤]

label: 徳間ジャパン (28JAL-3021) ¥2,800

release: LP (1985/08/25)

member:

HIROTOMO (Vocal,Piano)
HIROSHI (Bass)
IZUMI (Guitar)
YOSHIDA (Drums, Percussion)

notice:

あぶらだこ1stLP。
Casseteでも発売。(28J-2021) ¥2,800
<再>1988/12 徳間・WAX(32WXD-108) ¥3,008(税込) ※CD化。
<再>1996/01 徳間・WAX(TKCA-70827) ¥2,000(税込)
<再>2007/06 SS(SS-907) ¥2,940(税込) ※デジタルリマスター・紙ジャケ化。

song name:

A1. FARCE
A2. S 60
A3. ROW HIDE
A4. 象の背
A5. 生きた午後
B1. ダーウィンの卵
B2. ティラノの非苦知
B3. BUY
B4. PARANOIA
B5. 翌日

 あぶらだこ、1985年に徳間ジャパンよりメジャーデビュー。それまで全くストリートの枠内で語られることが多かったあぶらだこだが、本作でその実力を遺憾なく発揮し、世間の認識を大きく塗り替えてしまった。マル在籍時にこれらの楽曲は少しずつライブで発表されていたが、完成したアルバムはハードコアの匂いがまったくしない、過去と断絶した内容となっていた。道化とカリスマ、表裏一体の「FARCE」、塵労の馬追い「ローハイド」、小学生の頃に書いた詩だという「象の背」、急き立てられる疎外感とヨーロッパ最大の発明・進化論を巧みに結合させた「ダーウィンの卵」、金で家族を減価償却する「BUY」、43になったらビッグエコーで歌おう「パラノイア」、あぶらだこの代表曲となった「翌日」等、名曲が目白押し。トータリティに優れていることもあり、雑誌の「日本のロック名盤」的な企画にしばしば顔を出す。ジャケットの「木」は井の頭公園産。

あぶらだこ / あぶらだこ [ADK 12″ミニアルバム]

label: ADK (ADK-17A) ¥1,700

release: 12", 45rpm (1984/09/10)

member:

HIROTOMO (VOCAL)
IZUMI (GUITAR)
MARU (DRUMS)
HIROSHI (BASS)

notice:

1000枚プレス。インディーズには珍しい帯付き。

song name:

A1. WHITE WOLF
A2. LOGOS
A3. 煉瓦造りの丘
B1. 童愚
B2. 鏡の風景
B3. OUT OF THE BODY

 ジャケットは『愚神礼讃』エラスムスの割られた肖像。こうした含蓄あるセンスは他のバンドに無かったし、あったとしてもそれは贋物という気がした。名曲「ホワイトウルフ」でこのレコードは始まる。狼に育てられたアマラとカマラは、死ぬまでついに言葉を獲得できなかったという。(今ではこの「狼っ子」伝説は学界でほぼ否定されているが、かつてそういう「物語」があったと思えばよい。)すべての言葉を押しつぶすように歌うヴォーカリスト、正しく彼も一匹の餓狼だ。当時の状況において、あぶらだこは既にパンクシーンの中では突出した存在であり、このレコードについても即日完売という、まさに怖いもの無しの様相を呈していた。だが、この後、バンドは翌年のマル脱退とともにその音楽性を周囲の期待とはうらはらの方向へと大きく旋回していくことになる。「LOGOS」「OUT OF THE BODY」、実存を問いかける歌詞に、心打たれる。

V.A.[あぶらだこ] / GREAT PUNK HITS

label: 徳間ジャパン (25JAL-2) ¥2,500

release: LP (1983/12/16)

member:

ヒロトモ (Vo)
イズミ (G)
ヒロシ (B)
ユブン・マルイ (Dr)

notice:

バンド名表記は「アブラダコ」。
<再>1985/06 徳間(32JC-124) ¥3,200 ※CD化。
<再>1989/12 徳間・WAX(22WXD-130) ¥2,200(税込)
<再>1993/12 徳間・WAX(TKCA-70220) ¥2,039(税込)

song name:

A5. 米ニスト
A6. クリスタル・ナハト

 1983年末、盛り上がりをみせていたハードコアパンクの有望株を一同に集めたメジャー産オムニバス。当時からストリートバンドの発掘に熱心だった徳間ジャパンの功績で、あぶらだこの初期音源がここに収められている。2曲合わせて3分足らずというタイムで全バンド中最も短いが、衝撃度では一番大きかったのではないか。6バンド中最速でメジャーデビューした点はその証だろう。日本語歌詞でリスナーに伝わりやすいという理由もあっただろうが、その野性的なパワー、一度観たら忘れられない外観(パイナップルヘアに蝶ネクタイ)、心地よいほど甲高い怪鳥ヴォイス、とにかくオリジナリティに溢れている。日本型パンク・ロックのひとつの完成形だろう。そう、この時点で全く「完成されていた」のだ。なお、後のインタビューによると、この時に「原爆」も録音されており、何らかの事情でカットされてしまったようだ。

あぶらだこ / あぶらだこ [ADK 7″ソノシート]

label: ADK (ADK-05S) ¥300

release: 7"ソノシート (1983/07/31)

member:

ヒロトモ (VOCAL)
イズミ (GUITAR)
マルイ (DRUM)
ヒロシ (BASS)

notice:

あぶらだこのデビュー作。1000枚プレス。

song name:

A1. ラニングハイ
A2. 忍耐
A3. エルサレムの屈辱
B1. 絶句
B2. 無
B3. 原爆

 あぶらだこのデビュー作は、自主制作レーベル「ADK」からリリースされた7インチのソノシートである。インディーレーベルが珍しかった頃の録音のせいか、音質は歪み、そのため歌詞も聞き取りにくいが、そういった悪条件をも捻じ伏せ、今なお愛聴される最高のハードコア・パンクがこの一枚に封じ込められている。「あいつも色々失敗があったから、ソノシートを『ランニングハイ』で始まって『原爆』に終る、ああいう形にしたかったんじゃないかなあ。」と後にイズミは回想しているが、この時期の野心的な態度が絶妙なブレンドとなってこの一枚に結実したのだろう。「忍耐」など、この時期から独特のギャグセンスが見られるのは生来のものだろうが、やはり「エルサレムの屈辱」や「原爆」の、滾る加速サウンドのなか繰り出されるヒロトモの檄が最も衝撃的だ。「原爆」終了後に聴かれるイズミとの掛け合いは前身「変態クラブ」時代の曲とも言われるが、詳細は不明。

変態クラブ / 変態クラブ

label: (不明)

release: Cassette (?)

member:

(不明)

notice:

あぶらだこの前身バンド「変態クラブ」のカセット。

song name:

(不明)

 未入手。あぶらだこの前身バンドであり、ヒロトモがギターを担当していた「変態クラブ」の音源。当時公式リリースされたものかは不明。
OILmen Copyright(C)2011 antibuddhism.com All Right Reserved.