拘置所へのインターベンション・プログラム



 
薬物依存症者の多くはこれまで治療を受けることなく、刑務所などの矯正施設を出たり入ったりすることを繰り返してきました。薬物依存症からの回復に必要な医療・施設・自助グループなどの情報に接する機会ももてず、周囲からは、ただ「強い意志の力」で薬物を断つことを求められてきたのです。

 私たちフリーダムは、薬物依存症者がもっとも多く集まり、回復の情報を必要としている場所として拘置所を選びました。拘置所で苦しんでいる薬物依存症者に適切な情報と「回復への希望」を届ける、それがこのプログラムの第一の役割です。

 同時に子どもや夫・妻など愛する人が薬物の問題で突然逮捕され、途方にくれている家族も支えとなるサービスや情報を必要としています。家族のための面接相談・家族プログラム・セルフヘルプグループなどが用意されています。

 

薬物依存症の本人と家族に情報を伝えるメッセンジャーは弁護士です。刑事被告人となった薬物依存症本人には、私選もしくは国選で弁護士が必ずつきます。弁護士は弁護活動のために本人に接見し、家族には連絡をとります。この折に本人や家族に薬物依存についての適切な情報を提供する役割を弁護士が果たせば、これまで多くの薬物依存症者が陥っていた刑務所と薬物使用の果てしない繰り返しに終止符をうつきっかけができるのではないでしょうか。

拘置所にいる薬物依存症者が回復のプログラムに関心を持ち、ダルクやフリーダムに手紙を寄せたとき、拘置所へ面会に出向いたり、書籍を差し入れたりします。家族はフリーダムに連絡をとることで面接相談や電話での相談、各種サービスの情報提供を受けることができます。

 2001年末より、このプログラムの趣旨に共鳴していただいた青年法律家協会大阪支部の有志のみなさんのご尽力を得て準備を進めてきました。さらに大阪弁護士会刑事弁護委員会からもパンフレットの編集に協力をいただき、弁護士向け・本人向け・家族向けの三種のパンフレットを完成させることができました。20025月より関西一円の弁護士にこれらのパンフレットを配布し、協力をお願いしています。このプログラムにより、一人でも多くの薬物依存症者・家族に回復と希望のメッセージが届くことを願って止みません。なお、この事業の実施にあたりファイザー製薬より助成金をいただいています。



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