水中ストロボが必要なわけ・・・





水中写真でストロボが必要なわけ。

[問題]

水中写真で、「ストロボ」が必要なのは、なぜ?

[答え]

暗いから、露出不足で、写真が写らないから・・・

確かに、上記答えも「正解」のひとつですが、水中写真の場合、もっと大切な意味があります。

まず、左の写真を見てください。
上の写真と、下の写真。両方とも「沖縄・ケラマ諸島」
のニシバマにある、水深20mの「アザハタの根」で撮った、
ここの根主、アザハタです。

アザハタって本当は、下の写真のように「赤」いんですが、
上の写真では紫というか、黒っぽい色になっちゃっています。

どちらかというと、ダイバーの目から見たアザハタは、
上の写真に近い色に見えます。

もう、答えがわかったでしょう。
水中では赤い色が失われ、青〜黒い色に支配されてしまうのです。
これは、水が赤い色を吸収してしまうためで、水深にして3mも深くなれば、赤い色が失われてしまいます。
そして、残った青い色の光も、水深が深くなるにつれドンドン吸収されて、最後には真っ暗になってしまいます。

そのため、被写体の本当の色を写すために、たとえ明るい南の島の昼間の海でも、ストロボが必需品なのです。

実は、上の写真は、ちゃんとストロボが発光していたにもかかわらず、アザハタが黒くなってしまっています。
これは、アザハタがまだ遠いのに、シャッターを切ってしまったからです。

空気中なら、それほど急激に光が減少することはありませんが、水中での光の吸収は大きく、
すぐにこうなってしまいます。
使っているストロボのガイドナンバー(発光量)は、比較的大きなモノですが、
それでも光がまともに届くのは、せいぜい「1m」が限界です。
つまり、きれいな写真を撮るためには、被写体との距離を1m以内にすることがポイントです。
私は、「60cm」を目安にしています。


ストロボのセッティングが、成功の「鍵」?

「水中写真の成功のキーは、全てストロボにある。」

・・・といっても過言ではありません。

一般に、陸上でストロボを用いる場合、レンズの方向とストロボの光線の方向は、
ほぼ平行になるよう、セッティングします。
しかし、水中写真の場合、レンズと平行にセッティングすることは希です。

それは、なぜでしょうか?

海水中には、たとえきれいな南の海であっても、小さなゴミ、生物がたくさん含まれています。
そんな中で、写真を撮るために、ストロボを発光させると、被写体である魚とともに、
ゴミまできれいに写ってしまいます。

これは、ストロボから発せられた光が、被写体で反射するだけでなく、
小さなゴミにまで反射してしまうためです。

しかし、ストロボを斜め上から当てるとどうでしょう?

ストロボから発せられた光は、物体に当たると反射し、
反射した光がレンズから入って、フィルムを感光させます。

物体が十分に大きい場合、反射光はいろいろな方向に反射するため、
斜め上から来たストロボの光の反射光の一部が、レンズの方向へ向かいます。
一方、物体が小さい場合、反射光は光の来た方向にしか反射しないため、
レンズの方向に向かう光がほとんどないため、写真にゴミが写らなくなるそうです。

ここで難しくなるのが、「ストロボの角度」です。
レンズと平行であれば、被写体の距離に関係なく、
まっすぐ前に発光すればいいわけですが、
平行でない場合、ストロボの角度を調整することによって、
ストロボ、被写体、カメラのレンズの関係を
左図のようにする必要があります。
つまり、被写体との距離によって、
いちいちストロボの角度を調整する必要があるわけです。





ストロボの角度を間違えると・・・
左のような写真になってしまいます。

どんなすばらしいシャッターチャンスでも、
ストロボの角度を間違えてしまっては、
良い写真にはならないのです。

それでは、どうすればよいのでしょうか?





方法1:ターゲットライトを使う。
ストロボからの光が、確実に被写体に当てるためには、
ストロボからの光がどこに当たるかを前もって知ればよいのです。
そのためのライトが、ターゲットライト。
もちろん、ストロボに内蔵されていれば、それを使えばよいのですが、
ストロボに、小さな懐中電灯をテープで固定するだけでも、OKです。

明るい昼間では、ターゲットライトの光が見にくいですが、夜なら、バッチリです。
ターゲットライトを使い込んで、被写体の距離とストロボの角度の関係が
わかるようになったら・・・


方法2:ストロボの角度と、距離の関係をチェックしておく。
ストロボの付け根に、目盛りをつけておき、
被写体の距離を目測して角度を合わせる・・・それだけのことです。

しかし、水中では被写体との距離感が狂ってしまいます。
そんなときは、経験的に被写体のすぐ後ろに光が当たるように、
ストロボを調整すればOKです。

ただし! ターゲットライトを使っているときは、
ターゲットライトが被写体に当たるように角度調整します。

ストロボを被写体の後ろに当たるようにするのは、
ターゲットライトを使わないときだけで、
水と空気の屈折率の違いで、
被写体が近くに見えてしまうことに対する対策なのですから。


まだまだ続く・・・


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1996.3.3 新規作成  Copyright(C)Aki.SAEGUSA 1997.1.15 一部変更