Feuillet d'album / 音楽帳の一頁

Leaves of Souvenir in January……1月の日記

1月の音楽帳は薄雲色
冷たい空気の中を静かに舞い降りる
雪は傷付いてしまった心の欠片

深い悲しみを癒すために
孤独の中で奏で続ける
慰めの譚詩曲

...............

Cloudy color, the Leaves in January
Snow is falling down in cold air
like the PARTS of hurt heart

Continuing to be playing in solitude,
for healing deep grief...,
Consolatory Ballade


2006年1月17日 (火)

現在大学は実技試験期間の真っ最中であります。学生が最もナーバスになる期間でもあります。(^_^;

学科やレポートなどと違い、演奏というのはいわゆる「一発勝負」です。つまりどんなに準備を整えていてもほんの少しのアクシデントで台無しになってしまう事もあり、逆に、清水の舞台から飛び降りてみたら奇跡的に着地が「10.00」だった(笑)……なんて事も有り得るわけです。

もちろん、積み重ねた練習量に比例して上手く弾ける確率は高くなるでしょう。でも、人間が緊張する動物である限り、突発的な事故が起こる可能性をゼロにすることは出来ません。これは、「本番」というモノがあるスポーツや舞台芸術など全てに言えるでしょう。

それゆえに、みんな悩むわけですが。そうですねぇ、例えば「これだけ練習すれば確実に弾ける」という明らかなラインがあれば、みんなどんな辛い思いをしてもそれに挑戦すると思います。それこそ不眠不休であっても。

ある程度真剣な気持ちを持っている者なら、きっとそう考えると思います。そのくらいの根性は持っているものです。

まあ、残念なことにそんなものは存在せず、100%は理論値でしかあり得ません。だからちょっとしたことに縁起をかついだり、ジンクスのようなものを信じたりして安心したいのです。確信が欲しいのです。

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さて、ここにも一人、演奏に悩む学生がいます。私の門下生です。

彼女は、自分がある程度安心して弾けるレベルよりも、難易度の高い曲を卒業試験用に選びました。その曲が好きで、どうしても挑戦してみたかったのです。

卒業試験は、普段の試験のように教室ではなく、大学の中の「ミレニアムホール」という演奏会場で行われます。学外にも公開されるので、例えば御両親などが聞きに来られることもあったりします。ホールでの演奏ですから、衣装もそれなりのものを着用します。女子学生はそのドレス選びも楽しみの一つだっだりするようですね

そういう意味では、試験ではありますが、一つの「晴れ舞台」でもあるわけで、そこで自分の憧れの曲を弾きたい……と思うのも無理からぬことでしょう。

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彼女は非常に真面目に練習をしてくれます。その甲斐あって、難曲をかなりの程度まで練習し、仕上げてきました。しかし、曲を覚え、全体を一つのまとまりとして弾き通す…という所で躓いています。

彼女の演奏する曲は約6分。6分の間、集中を持続するというのはなかなか大変なことです。演奏には色々な要素が求められます。まずは音を正確に弾いていくこと、そして両手の他に足でペダルを踏みます。ペダルは音を響かせる機構なのでその加減を聞き取り調節しなければなりません。その上で、曲の流れを切らずに、うまく起伏をつけて盛り上げていかなければいけないのです。

楽器の演奏の経験のない方にその仕事量を想像していただくために、少々乱暴な例えになりますが、6分間の間、台詞の多い一人芝居をし続ける…という状況を想定してもらえば、その大変さが多少なりイメージして頂けるかなと思います。


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2006年1月14日 (土)

以前には演奏会案内のページに載せており、現在はRECENT STATUSにも書いてありますが、この日は非常に多忙な一日でありました。というのも、2つの演奏会が重なっていたからです。それぞれの演奏会の「リハーサル」と「本番」を聞くわけですから、かなり慌しいスケジュールだったということは想像して頂けるのではないかと思います(^_^;

特に今回は「室内楽(ピアノ五重奏)」と「ピアノ協奏曲」というジャンルです。当日のホールのピアノがどういう状態か、ホールの中でどのように響くか、といった基本的な問題と共に、「他の楽器とのバランス」が大変に大きな問題です。特に室内楽はそこが演奏に於いての最も重要な核心の一つですから、リハーサルでも「バランスの事前チェック」はある意味本番以上に神経を使う問題です。

フェニックスホールでの彼女のリハーサルは12時から、余裕の時間を見積もって11時に出発すれば十分でしょう。というわけでそれまではゆっくり朝食など摂って…………

いられないのが、悲しい教育職の性なのであります。10時から、すぐソコに迫った大学の実技試験のための補講をせっせと頑張っていた私であります。10時からレッスン…だなんて、大学に朝一から出勤している時と殆ど変わらないじゃないですか。(T_T)/^

まあ、いつもより30分くらいはゆっくり寝られたから良かった……という事にしておこう。こんな忙しい毎日を過ごしていると、そうしたちょっとしたことに幸せを見つける術が絶対に必要です。いわゆる「良かった探し」ってヤツですね。そうして自分を慰めてあげないと、次々迫ってくる現実に押し潰されてしまいかねません。っていうか…………

段々書いていてになって来ました(泣)。○| ̄|_ 大学の先生って一体……<ちびまる子ちゃん風に(笑)

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……根暗な話はこのくらいにして(苦笑)。11時少し前に、私と師匠は出発しました。というのも、この日は雨が降っていて自転車が使えなかったからです(笑)。結局二人とも朝食が食べられませんでした

大阪駅に着き電車を降りたのは11時30分。リハーサル開始にはまだ少し時間があります……ということで、

立ち食いソバ屋に入る二人(笑)。 まあ、軽くでも食べておかないとね。食事は健康の基本ですからこーゆーのを「大義名分」と言います(笑)

大きな駅にあるフードショップなのでご存じの方も多いと思いますが、我々が入ったのは○AG△RI-Y△という店です。伏せ字が伏せ字になっていない気もしますが、まあ気にしないw。

だいたい伏せ字にするって事はあまりいいことを書かないって事ですから(苦笑)。で、この店の何が気に入らないかというと……

ぬるいのです。うどんなんかは、やっぱりダシが熱々でないと美味しくありませんよね。そのダシも味としては今一な気がするんですが(汗)。

ちなみに私が頼んだのは「温玉カツ丼」…………立ち食いソバ屋でそ〜ゆ〜モノを頼むこと自体が間違っている気もしますが(笑)。

っていうか、「カツ」はそれなりに美味しかったと思うのです。結構マトモな肉だったと思います。タレというかダシの味が今一なのは、専門店ではないのですからまあ許容範囲としましょう。問題なのは……

熱くないんです。何だか冷めてるんです。薬味としてネギの刻んだものが乗っているのですが、御飯などが熱くないため、それらがしんなりとせず、生のまま青っぽい味になってしまいます。せっかくの素材を活かせていない、これは大きな問題ではないでしょうか。

師匠の頼んだ「かやく御飯セット(うどん)」も同じ問題を抱えていました。思わず、
「女将(おかみ)を呼べぃ!!」
と海原雄山よろしく叫びたくなるような(笑)
美味しんぼかよ

これには何か深遠なる意図があったりするのでしょうか。あれですか、ビジネスメンが急いで食べるのに熱すぎると時間がかかってロスが増えるからとか、そういうアレなんですか。

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などと埒の無い話をしながらフェニックスホールに着いたのは12時の10分前でした。で、私は音楽系の日記ページで何でこんなに熱く立ち食いソバ屋の評論(爆笑)をやってるんでしょうか<やっと素に戻ったらしい(禿藁。

この日記のどこが音楽系なんだよ……というもっとも過ぎる指摘はあえて聞かない方向で(笑)。

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で、本題の(笑)リハーサルが始まります。音量のバランスやテンポの安定感等、響きの質や表情もしっかりチェック。ピアノの蓋も全開か半開かを試してから決定します。前述のように、室内楽ではこの辺はとてもデリケートな部分ですので。

聞いていて全体的に、12日に聞いた時よりも生き生きとした演奏に仕上がっているようです。なかなかいい感じです。後は思い切ってやるだけってトコですね。

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細々としたコメントをし、激励の言葉を掛けてフェニックスホールを後にします。実はこの後、私にとっての本日のメイン・イベントが待っています。それは一体ッ!?

師匠宅からフェニックスホールまで、車で出掛けること!

何ということでしょう。つい二日前に、近所に出掛けるだけであれだけジタバタとした私が、諸般の理由で大阪市内まで車を運転することになってしまったのです!!

12日の日記を読んだ方は、「これはマジでヤバイ」と思っているに違いありません。そうでしょう、私だってそう思ってますから。

大阪市内へ逝く行くには、新御堂筋という道路を通ります。これは初心者にとっては非常に難易度の高い道路で、みんなスピードは出るわ、車線変更しまくりだわ、もたついているとクラクションが容赦なく飛んでくるわ、まあ、本当に「慣れ」が必要な、かなり大変な道なのです。

おまけに、色々な所へ繋がっている便利な道路である反面、出入り口が次々と現れ、慣れていないと大混乱に陥ること必至です。

昨日からパソコンの地図で何度もシミュレーションをして、頭の中では理解をしたつもりなのですが……。パソコンの計測では距離約18キロメートル。一昨日のドライブ(笑)の約2.5倍です。

更に、今回は後部座席に人を乗せています。人の命を預かっているのです。そして悪条件が重なることに、今日はひどい雨です。視界が悪い、ブレーキは聞きにくい、制動距離は長くなる自動車教習の教科書じゃないんだから(笑)と、いいコトなど一つもありません。

まるでソロリサイタルの直前さながらの緊張感!!○| ̄|_(笑)

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膨大な不安を心に秘めつつ、車は出発します。「よういどん」です。

まあ、今回はとなりで師匠がナビをしてくれるので、道を考えるということに関してはまだ何とかなるでしょう。前を見て、安全運転に徹して行けば、きっとうまく行くさ……と自分を励ましつつアクセルを踏みます。

幸いしたのは、かなり強烈な雨だったせいか、他車のスピードも比較的抑え目だったということです。経験者が言うには、新御堂筋は制限速度「プラス20キロが当たり前」だそうで。確かに乗せてもらっているとそんな感じですが。

それでもギリギリ横を擦り抜けて行くバイクはいるしこの雨の中、スゲェよ、「車線変更しての追い越し禁止」区域内で平気で車線変更する車はいるし黄色い線で表示されている車線では車線変更してはいけないのです「大阪ってのは恐ぇトコロだべ」なぜ訛る(笑)と思わず呟きたくなってしまうコト多数

そして、大阪市内は一方通行が非常に多くプロ(爆笑)でも苦労すると言われます。当然私達も例外でなく、曲がる道を一本間違えて冷や汗を流したのは言うまでもありません(苦笑)。

それでも何とかたどり着きました! もよりのタイムズ駐車場の名前ですに車を収めることに成功。「ごおるいん」です。

駐車完了してもしばらく放心していたような気がします。まさしく演奏会後の解放感に似てますね。これで今日一日の仕事は終わったような気分です終わってない終わってない(笑)

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結局開演には間に合わなかったのですが、彼女の出番は最後なのでその辺は無問題。さて、ホールの中に入って見れば、何やら満席で座る所が無いとのこと。休憩中に追加の椅子を用意してくれるようです。

それにしても、集客力があるというのは羨ましいものです。分けて欲しい〜〜(苦笑)

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プログラム最後の彼女のシューマンの演奏は、非常に生き生きとした明るさがあって楽しめました。アンサンブルというのはお互いにテンションを高め合って演奏を盛り上げていくものですが、その辺、なかなか息が合っていたのではないかと思います。

まあ、知り合いの演奏というのは、いやでも手に汗握ってしまうものですが(笑)。でもまあ、聞いているうちに、良い方向へ向いているのか危ないのか……位は感じられてくるものです。その意味では安心できたので。

落ち着いて聞ける……というのが、やはり人前での演奏で第一に求められるものですから。それがあって、初めてその他の魅力が活きてきます。

室内楽初体験ということでかなり色々と悩んでいた彼女でしたが、十分な結果を出したと言えると思います。おめでとう〜〜。そして、お疲れさま〜〜(^_^)/~

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ここで、他のメンバーと合流し、次なる目的地、いずみホールへ向かいます。ここからの車の運転は小笠原さん。彼女はベテランドライバーですから。ここはもう大船に乗ったつもりでドンと任せておけば大丈b

「曲がるところ間違えた〜〜〜っ!(≧∇≦)

……………………

サルが木から落ちましたヽ(。▽、゜)ノ

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何しろスケジュールがタイトですから間に合うかどうか不安だったのですが(笑)、取り敢えず何とかなったようです。さすがベテランこの流れだと皮肉に聞こえてしまいますな(苦笑)

まだリハーサルまでに時間があったので、飯澤さんの楽屋を訪ねてみました。……飯澤さんというと何だかとても他人行儀な感じがしてしまうので、いつもの愛称で書くことにしましょう。彼女は名前が「美香」なので、「みかりん」と呼ばれています。この愛称には彼女の母の深い想いが込められているのですが、そのエピソードはコマーシャルの後で後日にこの日記で語られるかもしれません(笑)。

舞台衣装に着替えた彼女は、さながらフランス人形といった風情で、愛らしくとてもよく似合ってました。なんでも、いつも舞台衣装はおばあちゃんが作ってくださるそうです。今回はローズピンクの華やかながらスッキリとしたデザイン。人気急上昇間違いなし!といった感じです(笑)。

舞台に立つのが好きで、「緊張するより楽しい」と言える彼女は、演奏家には不可欠な「スター性」を既に持ち合わせているのかも知れません。これからの成長が楽しみです。

これは後日談ですが、翌日彼女は延々と眠り続け、起きたのは15時を廻っていたそうです。楽しい、と言ってもそれなりに体の中では舞台に向けての凄まじい緊張感が生まれているわけですね。こういう「良い」緊張状態を作れるかが、本番の成否の一つの鍵になるんです。

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そしてみかりんのリハーサル。まあ楽しんで弾いている彼女には、もう言うことなどありません。自分のステージを堪能できることを祈るだけです。

本番の舞台も大成功と言ってよい出来でした。いずみホールという大舞台で、落ち着いて堂々と振る舞った彼女はまさにピアニストと言える存在でした。何はともあれ、おめでと〜〜〜(^_^)/~

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彼女の舞台も無事終わり、私は今日一日の仕事が全て終わったことを満足感と充実感と共にかみしめていた。

二人の演奏も、そして私の運転も(笑)、全ては上手く行った。慌ただしい一日も、これでハッピーエンドというわけだ。

心地よい眠気に襲われて、私は瞼を閉じた。遠くではまだオーケストラの響きが聞こえているような気がする。

見ろよマイケル、こいつの幸せそうな表情を。満ち足りた人間ってのはこんな安らいだ表情をするもんなんだな。

「でたな。まあ、そいつに関しては異論はないがな」

全くだ。これは……

やり遂げた男の顔だぜ……

「………………」

お客さん、演奏中に居眠りするのは止めてください(爆笑)


2006年1月13日 (金)

金曜日の朝、大学が始まる第1時限、私は短大で「ピアノ基礎講座」という授業を担当しています。与えられたテーマについて、学生が色々と調べて発表し、それについて私が突っ込みを入れる補足説明をしたり、関連する曲のCDを聞いたりと。まあ、ピアノを弾くだけじゃなく、色々と関連する事柄についても知識を得て、自らの演奏の糧となるように……という教育理念に基づき、実施されている授業です。どうでもいいんですが、こういう事って文章にするととても大袈裟に聞こえてしまいますね(笑)

まあ、そんな感じなので、当然私の方も色々と調べたり準備をしなければなりません。学生に質問されてこちらが「分かりません」ではお話になりませんしね。もともと調べ物をしたり資料を纏めたりというチマチマとした作業(笑)は嫌いなほうではないので、手間は掛かりますが私にとってはそれと同じくらい勉強にもなる授業でした。

で、今日はその授業の最終回で、授業内試験を行ったのでした。

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実は私、人前で話をするのが余り得意ではありません。……と言うと、大抵(特に大学の学生には)非常に意外そうな顔をされます。おしゃべり…とは言わなくても、喋る事に緊張するなんて有り得ないと思われているようです。そう思われていること自体が私には有り得ないことなんですが(苦笑)

まあ、でかいツラして堂々とした風情で、ピアノを弾いている、舞台上の私を見る人は、どうもそんな風に感じているようなのです。それだって、本当は、かなりドキドキものなんですけどね(^_^;

……っていうことはアレですか、私には人を騙す詐欺師の素質があるってことですか。そうかぁ、これは新たな発見だなぁ…………って、

全然嬉しくねぇよ!(ノ゚Д゚)ノ ┫:・’.::・┻┻:・’.

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……逆ギレしても仕方ないんですが(笑)、まあ、そんなわけで、こういう「講義」をする授業というのは私にとってはかなり緊張感を伴うものなのです。

何年か前にも同じ授業をやったのですが、そのときの私はまさしく「初体験」状態で、教壇の前に立ってたくさんの学生の顔を前にして、「何を言うんだっけ!?」と、本気でうろたえてしまったことを、それこそ昨日の事のように思い出します。ある意味、トラウマです(苦笑)。

たいていの学生は、在学中に教員免許取得のために教育実習というものに行きます。そこで、授業のプランの立て方や実地に学生の前に立った時の経験が出来るわけですね。

学生時代はコンクールを受けたり演奏会をしたりと、「弾く」事ばっかり頑張っていたので、私は教職関係の授業をとっていません。少々真面目な話になってしまいますが、こういう将来に関わる選択というのは一種の賭けのようなものです。

一応真面目に授業に出ていれば「教員免許」という資格を手に入れることが出来ます。その代わり、授業をとる時間を練習に充てるとすれば、その分の演奏技術の鍛錬ができ向上が期待できるでしょう。本気で演奏家を目指す、コンクールの入賞などを目指すことを考えると、その練習時間の差は無視出来ないものになります。実質的な訓練のほかに、「出来るだけのことをやった」という心理的な安心感にもつながります。反面、コンクールで入賞できる確率は決して高くはありません。数多くの参加者のうち、多くても数人でしょう。

どちらを取るか、これはもうその人の考え方、大げさな言い方をすれば生き方に関わってくる問題で、どちらが正解ということは出来ないでしょうね。或いは、両方を取るために別の犠牲を払うというのも選択肢の一つでしょう。友達に代返を頼みまくるとか(禿藁)、練習時間を捻出するために睡眠時間を犠牲にするとか。それは私です(苦笑)

結局、全てをウマくやる方法なんて無いし、そういう意味では甘い世界ではありません。普通のことをやっていたのでは、普通のことしか出来ないのが現実ですから。

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話が脱線し続けてます(苦笑)。という感じで、毎回緊張感の中で続けてきた授業なので、その最終回ということでちょっと色々思い出したりして感慨に耽ってしまったと、そういう話です。

不思議なことに、発表に際してはみんなそれなりに調べてきてくれたり、私語も殆ど無かったし、何よりこちらの話を聞いてくれているという感覚があったのが、私にとっては大変嬉しかったのです。

授業とはいえ、やはり双方向のコミュニケーションですから、一方的という雰囲気は私は好きではありません。そういう意味で、私の言おうとしている事を出来る限り理解しようという姿勢を感じられて、とてもやりやすかったし、決して流暢とはいえない私の話を落ち着いて聞いてくれたことに、喜びと感謝を感じています。

一生懸命に答案を書いている学生たちの姿を見て、そんなことを感じました。私も更に努力しようと思った次第で……。

何となくほのぼのとした試験時間でした。私にとってはね。学生たちにとっては大変な課題だったでしょうけど(笑)。


2006年1月12日 (木)

あけおめ〜ことよろ〜無理して若者ぶってみました(笑)。っていうか、今ごろ明けましておめでとうでもないだろオマエw。

まあ、いつもこんな感じの日記で済みません。「いつも無理せず安全運転」をモットーに今年こそは、マイペースで書いていく所存です。気が向いたときにはお付き合いのほどを。m(_ _)m

そういえば車の教習所でも習いましたが、安全運転を意識しすぎてスピードが出せずに回りの流れに乗れない車は社会の迷惑になってしまうそうですよ。…………ちょっとは反省してきちんと更新しよう(爆)。

そう、今年の私の中での目標は、「ホームページの管理をもうちょっとマトモにやる」なのです。ピアノに関してとか音楽のこととか、そっちを考えればもちろんもっと崇高にして高邁な(爆笑)目標もあったりするのですが、とりあえず、出来ることからコツコツと…と思ってます。

私にしては珍しく、演奏会案内のページの更新とか、ちょっと頑張ってるしぃ。<語尾を上げる調子で
そうそう、君はやれば出来る子なんだよ、頑張りなさい。…って、「子」って年じゃないだろ、さすがに(禿藁)。今年37歳を迎えるダメ管理人

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さて今日は、14日に行われるアルス・ノーヴァメンバーの村上祥子さんの室内楽のリハーサルが、彼女の自宅でありました。で、のこのこと出掛けていったわけです。そう、車で

先ほども「教習所」とか書きましたが、実は私、昨年の3月に車の免許を取得しました。大体そういうことってのはネタの宝庫であるわけで、日記に書けなかったのは痛恨の極みなのですが、まあさすがに一年近く前のことなので割愛ということで。

ただ、教習所という所は入学してから9ヶ月以内に卒業検定に合格しないと、それまでに受けた授業が全て帳消しというか、早い話が除籍されてしまうらしいです。私が教習を始めたのが7月始めだったので、3月終わりに卒業というのはかなりギリギリのリミットだったわけです。

まあ、仕事やら体調やら色々な理由で、そういった「タイムオーバー」の人は、年に数人はどうしてもいるらしいと聞きました。でもそれまでの苦労を考えるとそれは余りにも勿体無いので……、無事卒業出来て良かったなぁと心から思います。

もっとも、3月始めに「もう(時間的に)後がありません。ちょっと無理してでも通ってください」と事務の人に言われたときには、いやだって大学の仕事は忙しいし、新春にはアルス・ノーヴァの演奏会もあったし、その後ドイツへ行って協奏曲の演奏会もあったりしてとっても目が回るくらい忙しくて練習しなきゃいけなくて車どころじゃなくて、それでも時間を見つけては一生懸命通ってたんだけど…………と心の中では色々と愚痴をブチまけたい気分ではあったのですが、「済みませ〜ん」と言うしかなくて非常に恥ずかしい思いをしましたが(笑)。

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……何だか話が全然進みません(笑)。そうそう、車で出掛けていったのですが、実は私は自分の車は持っていないのです。「自家用車」を持ってしまうともう絶対に運動不足になりそうな気がして……だって本当に便利ですから、車って。

というわけで、何かあるときには、いつもは師匠の車を借りていました。殆どの場合、隣に師匠が座って、安全確認とかそういうことを手伝ってくれるわけです。もちろん自分でもちゃんと気をつけるのですが、安全弁というか、もう一つの視点で見ていてもらえるというのは安心感があるものです。

ちなみに同時に教習を始めたのですが、師匠は私よりも一ヶ月早く免許を取得しました。車の運転でも師匠なのです(笑)。

ところが、今日は師匠は家の都合で、一緒に出掛けることができません。ということは、はじめてのおつかい初めて自分ひとりでそれなりの距離を運転しなければいけないという事です。

いや〜初体験か。恥ずかし〜(*ノノ)……って年考えろよ(核爆)。

ちなみに彼女の家までは、パソコンの地図で計測したところによると約7.5キロ。いつも車で通っている彼女が言うには「全然難しくないし道は分かり易いから〜」ということなのですが、それなりに交通量の多い道を通ることになり、「合流」とか「車線変更」とか、初心者には難しいとされていることをやらねばならないのです。大丈夫かな……

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車の運転もピアノの演奏もよく似ていると思います、というのは練習しないと下手になるって事です(笑)。久し振りに運転すると、まずアクセルとブレーキの効き具合を思い出さなければなりません。ゆっくり踏み込んで加減を調節して……という感じで。

…………たぶん、普通に運転をなさっている方は、読んでいて「コイツ危ない」と思っているに違いない、と思います(苦笑)。自分でも思いますから。でもまあ、スタートすれば勘も戻ってくるというものです。スタートする前に、サイドミラーを開くのをもう少しで忘れそうになりましたが(爆)。

思ったより交通量が少なかったこともあって、運転そのものは特に問題なくやれたと思います。それよりも根本的な問題がありました、……というのも、

道に迷いました⊂⌒~⊃。Д。)⊃

これは盲点でした。どんなに技術云々言っても道を間違えては話になりません。彼女から聞いていた道では、大きい道路から横道に入るところを見失ってしまっていたというわけです。

まあ、これが本当に全く知らないところなら途方に暮れるしかないのですが、幸いにして、昔自分の通っていた小学校のすぐ近くだったので、記憶を頼りにうろうろうろうろ……としばらく彷徨した後、何とか辿り着くことが出来たのでした。

いや、それにしても、一人でバックして方向変換するって、緊張しますねぇ(笑)

結局予定の時間より5分ほど遅れてしまったのですが、まだリハーサルは始まっていませんでした。結果的にですが、間に合ってよかったよかった。何でもチャレンジしてやってみるものですよね!(≧∇≦)<こういう無責任的発言をするやつが一番危ないと思います。

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さてさて、ここからはちょっとまじめな話。彼女のリハーサルを聞きながら感じたことを一言二言。

好むと好まざるにかかわらず、我々ピアノの人というのは、一人で演奏することが多いです。アンサンブルをある程度日常的にやっている人というのは非常に数少ないのではないかと思います。

合わせもの……というと、ピアノ協奏曲、ピアノを含む室内楽、そして声楽などを含めたいわゆる「伴奏」……と、とても大雑把ですが分類してみるとこんな感じになるでしょう。そして、それぞれ「ピアノ」が占める存在の大きさというのは変ってくるものでして、ピアニストはそれをうまくバランスとって調節しなければなりません。

協奏曲というのは、「指揮者とピアニストの一騎打ち」というような側面があります。もちろん「協奏」して音楽を作るのですが、相手…つまりオーケストラの代表者として指揮者という存在があり、その相手との対話がメインになります。つまり、たくさんの楽器を統括してくれる人がいて、基本的にはその人と感覚を合わせればいいのです。そしてテンポをキープしてくれる頼れる存在でもあるわけです。

対して、室内楽には指揮者は存在しません。いくつかの楽器は完全に対等な存在です。「多人数の対話」……これが室内楽の一番大きな特徴であり、聞き手にとっての面白さです。そしてそれは演奏者にとっても楽しみであり、ただ時と場合によって最も悩ましい問題にもなってしまいます。

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例えば彼女の演奏する作品は「ピアノ五重奏」ですが、ということは、ピアノ一人対弦楽器四人、という構図に、どうしても陥りがちです。今回のように楽器の人たちが外国人であればなおさらです。言葉の壁は大きく、どうしてもそこにコミュニケーションの限界が生じるからです。出来る限り外国語に堪能であるべきでしょうが、母国語で喋り意思の疎通が出来るレベルと、外国語で伝えようと努力するというレベルには、どうしても差が出来て当然だと思います。

そして、意見の違いが生じたとき、一般的には多数決となることが多いわけですが、ここに数の差という条件がつくとピアニストの立場は非常に弱くなりやすいのです。そして更に問題なのは、芸術的な感性という領域では意見を支持する「量」とその「質」とは比例しないことのほうが多いのです。

結局のところ、お互いに歩み寄ろうという意識を忘れないことが最も大切なのですが。そして自分の意見を確固として主張出来る意志の強さを持つことも、同じく大事ですね。そしてその意思を支えるものは、日頃から自分が積み重ね培ってきた音楽の感性、それを裏付ける知識や理論、そして何よりその作品に対するイメージの強さと思い入れの深さでしょう。

作品の魅力を最大限に引き出し、聴衆に感動を与えようとする。それが音楽家としての一番大きな使命だと、私は考えています。

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…………とまあ、色々なことを感じて、考えてみたわけです。人の演奏を聞くというのはそういう意味で刺激になることが多いですね。貴重な経験になったのではないかと思います。

でも、長い人生を考えたとき、今日の出来事の中で最も実際的な経験になったのは、

道に迷ったときに、車で何度もバックや方向変換を実地で練習出来た事ではないかと思います(爆笑)



音楽研究グループ アルス・ノーヴァ
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