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長谷川静男@難波ベアーズライブレポ hashimoto [2013/09/23,10:58:49] No.3172
行く川の流れは絶えずして、難波ベアーズとは、なんやねん。(関西人なのに今回初めて行って、15分くらい入口探しました。山本精一さんがモギリされてるのかな?と思いましたが、されてませんでした。)hashimotoも4年振りくらいのライブレポです。

1組めが終わって、ステージ上で黙々とセッティングされているお二人を見た感想は、「ヒロトモさん痩せてんな〜、足なっげー!」「新たに帽子が加わったな」「篳篥吹かないんだ!4弦のギターかよ?」「内田さんってノイズの鬼という感じだな」とか、糞真面目な顔して下世話なことばかり考えていました。まあ私も、しばらく観ないと感性が磨滅してしまってこんなもんです(笑)。ステージの雰囲気はトップページをご覧ください。

以前見た時は、音量で圧倒する要素がもっとあったと思うのですが、今回はそういう事もなく、終始、音の有機的な繋がりだけで聴かせるという感じでした。簡単に言ってしまいましたが、ノイズ系で普通そんな事は至難の業だと思います。十年ひと昔、名曲「アディオス」さえ、ライブだと聴く緊張感が続かない、中弛みするというのがあって、私もノイズお気に入りに入れる癖して、ノイズなんて本当は嫌い。長谷川静男の近作も、正直あんまり聴いていませんでした。(でも、こういうのは分かる時には分かる、という感じなんで、分からなくても、死ぬ前に「し、しまった〜!」と、パニくって、大声あげるのもオツかなと思います。)

楽器はうといので、お二人とも4弦のギターを弓で弾いたり、指で弾いたりしているの位しか分かりませんでしたが、約40分間、凄いテンションの高さを維持し続け、手で演奏される音をメインにして、全く飽きさせない素晴らしい演奏でした。弦の巻きを調節しながら、音の高低を変え、徐々に厚みを加えてゆき、幽玄界の全体像を描く内田さん。そこへ、長谷川さんが音楽にならない音、たとえばギターのブリッジの箇所を弓で擦ったり(関西人は突っ込み入れたくて仕方ないとこでしょう。)、ヘッドのねじ巻き(ペグ)の所を擦ったり(そこは音、出ないですから!と思ったけど、これが出るんですね。)、ここは所謂、長谷川さんの茶目っ気が覗いていて、「らしさ」は全く失われていませんでした。客もみな、食い入るように聞き込んで、会場全体がもう静男空間。これまで5回くらい観た中では、今回が間違いなくベスト・アクトでした。私もノイズとは何か?という事をしばらく考えさせられました。

ノイズといえば、非常階段とかなら音圧が重要で、メロディがないそれは確かに「ノイズ」なのですが、出される音自体は「ロック」の文脈というか。演奏スタイルは完全にロックで、普通に弾いてますから。でも、長谷川静男の場合、文字通り、普通捨てられる、屑のような音さえも拾ってるんですね。ブリッジの音、ペグの音、それも平等に、考え抜かれたタイミングで出してくる。では、そんな音を拾うのに、いったい何の意味があるのか。

自分は演奏を聴きながら、これは音の「五百羅漢」じゃないかと、妄想をしていました。神奈川の川越とかにあるらしいのですが、石仏の大群みたいなものが、その場所にあり、いずれも技量は稚拙で、しかも表情はいわゆる下品な笑い、空虚な悟り、悲喜こもごもな顔が幾つも幾つも彫られているという。誰が何のために造ったのかは分からない。が、その量はどう考えても、何か意味を感じた者が切実な使命感を持って造ったものであるという事。

世界は聖人ばかりが居るわけじゃない、高潔な理想や技量だけで構築されているわけじゃない、莫迦もいれば、莫迦な理想もあり、満たされない生もあり、悪感情も満ち、自分の中にさえ、それがある。しかし、高潔とか莫迦とか、誰が決めるのか。役に立つ者が高潔で、立たない者は莫迦で存在理由も無いのか。むしろ世界のほとんどは莫迦が占めていて、また本当に意味を持つのはダークマター(暗黒物質)みたいな莫迦の存在なのではないか。。ノイズを拾い、莫迦を拾う長谷川静男は、まるで菩薩のようだ。生まれてきて、すみません。。。否!

悪口言って、すみません。


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