山菜の紹介と代表調理法



 山菜の種類毎に主な特徴と調理方法及び保存方法を紹介します。季節は早春、中春、晩春の区分で示します。田舎風の基本的なものですので皆さんの経験と判断でお楽しみ下さい。共通する主な特徴を示します。

  1. 生の山菜は時間が過ぎれば過ぎるほど鮮度が落ちます。早めにお召し上がり下さい。
  2. 生の山菜は濡れ新聞に包んでビニール袋(密封)に入れ冷蔵庫の野菜室に保管下さい。7〜10日間位は保持出来ます。
  3. 送った分の山菜は全て食べられます。料理の形態に合わせて適当な大きさに切って下さい。
  4. おひたしで食べる場合は、堅めに茹でることで山菜特有(多少アクがある)の味を楽しめます。
  5. 送った山菜は山のゴミが付いていますが、毒ではありません。洗ったときに取り除いて下さい。
  6. おひたしにする場合は、種類の違った山菜を一緒に茹でると香りと味が失われますので少量でも単独で茹でて下さい。


アケビの芽

特徴
 山形では春1番の自然からの贈り物です。秋にはアケビの実をつける"ツル"類の 新芽を摘んだ物です。関東等の平地にも同様に見受けられますが、堅くて食べられませんでした。小さい物なので収穫には非効率的です。芽が大きくなると堅くなので採る時期が問題です。(早春)

調理法
 春1番の香りとほろ苦さが特徴です。おひたしをお勧めします。堅めに茹でて下さい。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


タラの芽

特徴
 山形では樹木に芽吹く春1番の自然からの贈り物です。バラの刺が痛いが、高山の 大きい物を採取した時には驚きます。比較的平地にも見受けられます。嗜好家が増えているようです。大きいので食べやすい大きさに切って下さい。香りと味が濃いです。(早春)

調理法
 春1番の香りとほろ苦さが特徴です。天ぷらが一般的です。又、細かく切って味噌汁の具が最高です。香りが何とも言えません。試して下さい。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


コゴミ

特徴
 残雪が溶け始めた地域に群生します。比較的大量に採取出来ます。高山のものは太 く大きい(繊維質)のが特徴です。平地のものは細いですが、食べやすいです。捨てる部分はありません。(早春)

調理法
 天ぷらが特にお勧めです。片面だけ粉をつけて下さい。ひだが開いて見事な形になります。又、おひたしも望ましいです。茹でた物を"ゴマあえ"も一興です。

保存方法
 茹でて乾燥させる方法を取っている方もいますが、食べる時の味が今一つです。そのまま冷蔵庫保管と堅めに茹でて水で冷やして水を含んだ状態で冷凍出来ます。


油コゴミ

特徴
 別称"一本コゴミ"とも呼ばれます。残雪が溶け始めた地域に1本づつしか生えま せん。見かけはコゴミと似ていますが、茶色で小振りです。気候によって採れない年もあります。捨てる部分はありません。(早春)

調理法
 おひたしが望ましいです。特に濃い味でコゴミとは違います。茹でた物を"ゴマあえ"が絶品です。天ぷらもお奨め致します。。

保存方法
 茹でて乾燥させる方法を取っている方もいますが、食べる時の味が今一つです。そ のまま冷蔵庫保管と堅めに茹でて水で冷やし水を含んだ状態で冷凍出来ます。葉っ ぱも含めて全て食べられます。


フクベラ

特徴
 山の谷周辺に白い可憐な花をつけ密生して生える。数は採れるが、量が貯まらない。 地元ではあまり食べないが、知っている人のみ食べている。これと言った味、香りがない。(早春)

調理法
 地元では茹でてから"辛子和え"で戴く。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


カタクリ

特徴
 日当たりの良い乾燥した丘一面にカタクリの花畑(薄紫)に出会った時は子供達が 大はしゃぎです。群生しているので、踏みつけて歩いています。戦後は食べた様ですが、味も淡泊で特徴が無いために食べません。昔はカタクリ粉にしたようです。所望であれば量は沢山採れます。(早春)

調理法
 水に戻して和え物にして下さい。

保存方法
 採取後、即茹でて乾燥させます。乾燥したものを送ります。


フキノトウ

特徴
 地元ではあまり食べませんが、香りと苦みに特徴があります。山の奥の柔らかくて 大きいのが採れます。独特の香りがすごく強いです。(早春)

調理法
 天ぷらが代表です。他に調理方法があったら教えて下さい。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


ボウナ

特徴
 ゼンマイが生える土壌(湿地部)に1本づつしか生えません。びっくりするくらい の太く大きいものに出会ったときはドキッとします。ワクワクします。全ての部分が食べられます。(早春)

調理法
 おひたしが望ましいです。そのまま素材を楽しむことが何とも言えない香りが特徴 です。口の中での2度目の余韻を楽しみ下さい。病みつきになります。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


アザミ

特徴
 春一番、雪解け小川の辺に生えるもの、晩春の成長したアザミの太い茎を食べる方法とがあります。香りと独特の味が特徴です。(早春、晩春)

調理法
 春一番のアザミは、全て全部食べられます。鍋もしくはみそ汁の具としてジャガイモ、身欠きニシン(鯖の水煮缶)で食べて下さい。おいしい!!
 茎の方は、塩漬け保存したものを塩出しして、身欠きニシンなど入れて油炒めにして下さい。

保存方法
 春一番の物は水旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しま せん。
 茎の物は採取後、通常塩漬けします。


ゼンマイ

特徴
 湿地帯の急勾配の岩盤に生える採取するのに大変な環境です。綿帽子を被った太い 大きいものが群生したものに当たった時の感動は夢見るくらいです。決まった場所に 毎年採れますが、親子でも教えない物です。値段も含めて王様とも言えます。祝い事とか保存食として大事に扱います。(早春)

調理法
 乾燥したものを水で戻し、鍋の具として又は煮付けものに合います。奥ゆかしい味 が特徴です。大量に食べる物ではありません。

保存方法
 採取後、即茹でて乾燥させて保存します。送る場合は乾燥した物になります。


山ウド

特徴
 険しい岩山の土の少ない部分に力強く生きる柔らかい緑深い色の物です。但し、採 取量が特定出来ません。(中春)

調理法
 栽培物とは色と味が全然違います。お汁の具とかゴマ和えが最高です。癖のある独 特の風味と香りを楽しみ下さい。好きな方は色々応用編が期待されます。葉は天ぷらが最高です。

保存方法
 堅めに茹でて水で冷やして水を含んだ状態で冷凍出来ます。


アイコ

特徴
 岩山の少々の土に生える物です。厳しい環境の中で太い物を見つけた時の感動はす ごい物です。トゲがあるので採取するときには素手では出来ません。しかし、採取後1時間もするとそのトゲが触っても痛くなりなります。不思議なものです。量的にはあまり期待出来ません。(中春)

調理法
 送る時には鮮度を保つ為に葉っぱも付けて送りますが、調理する時には葉っぱの部 分だけ取って下さい。おひたしが望ましいです。そのまま素材を楽しむことが何とも言えない香りとちょっと甘い味で、歯触りとショクカンがたまりません。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


山ワラビ

特徴
 通常皆様が戴いているワラビは中国産もしくは低地での筋多い物ですが、高山の木 を伐採した後に出来る"山ワラビ"は太く、大きく、柔らかくて食べても繊維質が口に残りません。(中春)

調理法
 灰等でアク取りをしてみそ汁の具、又はおひたしにして戴いて下さい。歯触りと何 とも言えない味が特徴です。

保存方法
 茹でて乾燥させて保存する方法と塩漬けにしておく方法があります。旬のまま即食 することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


フキ 

特徴
 一般的にはキャラブキが食されています。細く食べやすくお馴染みです。又、秋田 及び北海道の大きなフキも有名ですが、種類が違います。直径1p位の物です。高山の湿地帯に生えます。繊維質が少なく、独特の香りと歯触りです。(中春)

調理法
 身欠きニシンと一緒に煮付けた物が美味しいです。出汁も含めて工夫されるとお好 みに仕上がります。

保存方法
  塩漬けか水炊き瓶詰めが主流です。


シオデ

特徴
 山菜料理店では幻の王様扱いです。一見、アスパラガスの小振りなものに見えます。 群生しないことと、雑草が生い茂る季節に生える為になかなか出会えません。群生しないので採取量が期待できません。採取者の特権で自分らだけ戴くことが多いです。
 独特の香りとほろ苦さを含んだ貴重品です。(中春)

調理法
 おひたしです。鍋に1本だけでも茹でて食べます。

保存方法
 高級店では保存方法があるようですが、即食べてしまいます。


ウルイ

特徴
 鑑賞ギンボに似ている。葉っぱを捨てて、茎だけ食べます。口の中の食感がたまり ません。(晩春)

調理法
 あぶらげ及び蒲鉾を入れ油炒めが最適です。甘めにして下さい。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


クワの葉

特徴
 厳密には山菜ではありませんが、昔、蚕を飼っていた時代の山桑の新芽です。天然 の樹木になっているので畑の物ではなく山菜に類似します。(中春)

調理法
 片面だけ粉をまぶした天ぷらが最適です。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


ミズ

特徴
 名前のごとく水辺に生えます。季節としはやや遅い春です。比較的量が採れます。(晩春)

調理法
 油炒め煮が合います。私共は鯨(イルカ?)の脂身とジャガイモを入れます。これが一番です。

保存方法
 旬のまま即食することが望ましいです(冷蔵庫)。冷凍には適しません。


笹タケノコ

特徴
 孟宗ダケとは違います。標高1000mの秘境に生えます。繊維質の上品な歯触り が特徴です。肉とか出汁の味がタケノコに移り煮付けに最適です。旬の生のままが美味しいですが、皮を付けて送る(鮮度が落ちるので)ので食べるまで手数がかかります。(晩春)

調理法
 生で送った場合は、きれいにに表皮を取って下さい。先端の細い部分は全部食べら れますが、先端から5番目以降の節の部分だけ切り取って捨てて下さい。水炊きの瓶詰めの場合は全て食べられます。みそ汁の具とか煮付けに合います。

保存方法
 生の場合は2日位で処理しないと鮮度が極端に落ちます。即料理して下さい。瓶詰めは通常缶詰と同様です。