デモステネスは、非常な吃音であって、ある訴訟に負けた事から、憤慨して独り弁舌を練り、大雄弁家になったという事である。これと吃音恐怖と比べて見ると、あまりに無智で・憐れなものというよりほ かにしかたがない。

吃音恐怖は、自分がさほど吃るのではなくて、ただ、吃りはしない きかと予則恐怖して、そのために吃るようにもなるのです。この場合「自分は吃るもの」と覚悟する事ができるようになれば、治るのである。
吃音を治そうとするのではない。自由に吃った方がよい。吃る方が、かえって愛敬があってよいという。

私のところで治るのは、吃音恐怖の人である。本物の吃音は他の方法によらなければならない。吃音恐怖の人は、ほかの方法で治療するとますます悪くなる。