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一 括 講 読

投稿時間:18/05/17(Thu) 22:42
投稿者名:森田博士著書より
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タイトル:精神拮抗作用と臨機応変の会得
対人恐怖は、強迫観念のために、われとわが心から「思想の矛盾」により自縄自縛しているものであるから、ひとたびその縄を絶ち切れば「大疑ありて、大悟あり」というふうに、その悩みの大きかったほど、ますますよく完全に治るのである。

怖くて逃げたいと、近づいて幸せを得たいという二つの心が、はっきりと相対立している時に、我々の行動は、微妙になり、臨機応変になり、もっとも適切になり、いわゆる不即不離の状態となるのである。恋人に近づきたい、逃げ隠れたい。逃げれば胸がわくわくし、近づけば心臓が高鳴る。この逃げたい。近づきたいという二つの相対立した心を、私は精神の拮抗作朋もしくは調節作用と名付けてある。この心が強くて、大きいほど、精神の働きが盛んである。

順序立てておいても、実際にそのことに当たって見ると、先方の出方によってこちらの予定はすっかり崩れてしまうことが多い。このような場合、ただ当たって砕けるという態度で事件のまっただ中に突入すれば、そこにおのずから臨機応変の処置がとれるものである。それは武道でいえば捨て身の態度であり、背水の陣である。ことさらに自分で勇気をつけたり、自信をもとうとあせったりする必要はない。そのときに臨んで、はじめて勇気と自信が湧いて出るのである。ほんとうの勇気というものは、理論的な工夫によって得られるものでもなければ、外からくっつけられるものでもない。それは、山に海に、社会人事に、あるいは白刃の下に、事実に当たって修養されたものでなければならない。

投稿時間:18/06/03(Sun) 21:35
投稿者名:Happi M
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タイトル:Re: 精神拮抗作用と臨機応変の会得
宇宙の現象には引力と斥力・動と反動とが、常に相対抗し・調節が保たれているように、精神現象も、常にある意向が起これば、必ずこれに対抗する反対観念が起こって、我々の意志・行動が調節されている。この拮抗作用が調節を失えば、精神異常になる。

強いて恐怖を抑圧しようとか。打ち勝つとか・気を紛らすとかいう考えを一切やめさせて、ただ日常生活の欲望に向かって、心を開放して行くように指導しさえすればよいのである。

ノンキで暇な時は、ただボンャリするだけで、決して何もできるものではない。忙しくなくちゃ本当の働きはできない・・。平和な生活者は、降りかかってくるものがないから、自発的に仕事がなければ、自然にボンャリする事になる。あれもこれもと、やりたい事ばかりで、常に何かと忙殺されている。自発的に多忙になるのが良い。

「したい」と「できない」との間の迷いであって・・迷ってはならぬ、なんでも解決しなければならぬと考えるのが、第一の誤解の元である。僕の教え方は、迷うのは免れない、迷うのが我々の本当の心で、我々は迷いながらにする。

当って砕けるというふうに、まずその事に当りさえすればよいのである。・・ふだんの実行と経験とによって、自分の思想の誤りを直すこともできる。しかし体験をもとにするのでなければ、たんなる思想によって思想を改善しようとするのは、非常に難しい事である。

投稿時間:18/05/17(Thu) 22:44
投稿者名:HappiN
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タイトル:Re: 精神拮抗作用と臨機応変の会得
上の「精神の拮抗作用」及び「臨機応変」との心の態度が無いから、人に接して自由に心が働かないから、下手な対人しか出来ないのです。
人と接して上手くやる方法は何も持たず、丸腰、素手で相手の前に立つと、博士の言う通り、見事に上手(臨機応変)に、その場を処理している自分が出現する。これ本当!
理論では解らないが精神拮抗作用は嘘では無い(経験者語る)

投稿時間:18/05/17(Thu) 22:46
投稿者名:HappiM
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タイトル:対人恐怖について
神経質症状の場合、苦痛をなくしよう、のがれようとする間は十年たっても二十年たってもけっして治りませんが、苦痛はどうすることもできない、仕方がないと知り分け、往生したとき、その日から治るのであります。すなわち、逃げようとするか、踏みとどまるかが治ると治らないとの境であります。

自分で治そうとするほど、ますます悪くなるものである。この患者も、単にその「逃げ腰」という事のために、ついには全く人と交際ができず、返事さえも、できないようになる事がある。

対人恐怖という強迫観念者は、人にたいして気おくれがし、思うように交際ができない自分の性格をつくり変えようとして無理な努力をし、ますます対人恐怖をつよめることになる。不可能なことを実現しようとして、もがいているのである。

対人恐怖症は内向的態度の人に起こりやすいものである。内向的な人は、進んで自分の能力を発揮することよりも、いつも自己防衛の方に心を使っている。細心、要慎深いこと、真面目なことなどは長所ではあるが、自己中心的に自分の心身のことばかりに注意を向けているので、普通誰にもありふれたことを、自分ばかり特別な病的なこと、あるいは自己保存上非常に不利なことのように感じて、神経質症状を起こしやすいのである。

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