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逆ラピュタの可能性

■逆ラピュタとは?

ラピュタ』とは、「ミニレイアウトうんちく」で紹介したミニ円形レイアウトのことです(命名:ghost大先生)。これに逆転の発想を咬ましたのが『ラピュタ』です。

鉄道模型は、物理的制約からその外側から眺めることを前提に製作されます。線路周りやループの内側を作り込み、ループの外側には観賞者の視線を遮る大きな建物などは置かないのが一般的です。しかし、バーチャルの場合、外側から眺めないといけないという制約は何もありませんので、ループの内側から外側を眺めるレイアウトを作ってみました。ループの内側には何もなく、外側を作り込んでいます。

‥‥‥と、拙作「逆ラピュタ!」が生まれたのですが、同時期に偶然、Tatsuoさんが全く同じ発想のレイアウトを発表されておられました。そこで、ここでは、あくまで「ミニレイアウト」であることにこだわってみることにしました。

■逆ラピュタの実際

凡例:オレンジ=眺めるべき列車が走るメイン路線、=カメラ列車、水色:ストラクチャ、黄色:鑑賞者の視線

左が通常の円形レイアウトで、オレンジのメイン路線の内側にストラクチャを並べます。これをレイアウトの外側から眺める訳ですが、それを表す為に赤色のカメラ列車を配置してあります。つまり、カメラ列車の左車窓から内側のレールを走る列車と、その背景のストラクチャを眺める格好になります。

これに対し、逆ラピュタでは、メイン路線の内側にカメラ列車を配し、ストラクチャは外側に並べます。図でいうと、カメラ列車の右車窓から、メイン路線と背景ストラクチャを眺めることになります。メイン路線・ストラクチャ・カメラ列車(鑑賞者)の位置関係が全く逆転している訳です。

では、逆ラピュタの反対側の車窓(左)からは何が見えるでしょうか?そう、自分が走るレール越しに180度反対側の風景が見えます。しかも、メイン路線が手前でストラクチャが背景になるという自然な構図になります。さて、ここで、これがミニレイアウトであることを思い出してください。ミニであるが故に、この反対側の風景もちゃんと見えるのです。3DソフトであるVRMでは、遠くにある物体は表示されないという特徴がありますが、ミニだとその表示範囲に納まるのです。つまり、カメラ列車の右と左の車窓から、別々の風景:しかも遠景と近景が見られるという1つ粒で2度美味しいレイアウトなのです。(注:遠景の場合、カメラ列車のレールが邪魔になりますが、これは地面に埋めてしまえば問題ありません。)

■運転台から

列車運転派の方は、主に「運転台カメラ」での風景を楽しまれることだと思います。上図の黄色の範囲は、この運転台カメラから何が見えるかを表しています。ところが、通常のレイアウトでは、上図に示した通り何も見えないのです。これは、ミニレイアウトに於いてカーブが急な場合、特に顕著です。しかし、逆ラピュタでは、運転台カメラからもちゃんとストラクチャ風景が見えるのです。同様に、カメラ列車の運転台からも自然な風景を見ることが出来ます。この場合、メイン路線を走る列車のお尻を追い掛けるような構図になります。なんと逆ラピュタは、左車窓・右車窓・運転台の3度も美味しいレイアウトだったのです。

このように、逆ラピュタは運転派にとっても合理的なレイアウトだと言えます。最近の鉄道模型では運転席にカメラを仕込むことが実用化されつつあるようです。となると、実際の鉄道模型でも、ループの外側を主に作り込むというレイアウトが生まれてくるかも知れません。いや、どうなるかは分かりませんが・・・。

■逆ラピュタの可能性

ミニレイアウトの場合、どうしても『世界の果て』であるレイアウトの端っこの部分、空と地面の境界が目立ってしまいます。逆ラピュタの場合、レイアウトの四辺にストラクチャを並べて、これを隠してしまいますので、『世界の果て』を気にする必要がありません。(実は、逆ラピュタ発想の真の狙いはこれだったりします。)拙作『逆ラピュタ!』では四辺にビルを並べていますが、ここに山を作るのも1つの手です。つまり、レイアウトの四方を山にして中央は平地であるという擂り鉢状というか『天空の盆地』なるレイアウトです。もちろん、レイアウトの中心から外側を眺めるスタイルになります。

逆ラピュタは単純な逆転の発想なんですが、こうしてみると様々な可能性を持っているように思えます。いや、思い付いた本人もどういうスタイルがベストなのかよく分かっていなかったりします。カメラ視線を自由に設定できるVRMならではのレイアウト構成があるかも知れません。皆さんもいろいろ試してみてください。

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