南海奇皇ネオランガ(第一部・放映終了)

 正直言ってほとんどダークホース的な番組だった。ギャグとシリアスのバランスを手探りしているようで、未だ作品のカラーというものがはっきりしないが、もしかしたら最後まではっきりしないのかもしれない。それでもこの作品の描く、描こうとするものは一つの挑戦なのか、妙に気になって仕方がないのも事実である。

そして「夕姫ちゃん、ええ感じやな」と毎週OPで思うのもまた事実(笑)  とりあえず第一部完ということですが、一応の決着は...ついたんでしょうか? ついたのは海潮達の内面的な葛藤であり、現実的な世界では問題が山積みのままです。まぁその辺は第2部で片をつけてくれるんだと思いますが(^^; でも一見奇異な題材を使いながらも基本的に人間を描くドラマとしては個人的にOKだったんじゃないかと思っています。


8月3日(月)「えぐりとられた躯」

 相変わらずシリアスとギャグの混成部隊といった感じの今回。でも時折語っている言葉はありふれていて、だけどありふれているだけに心にざらつくというか生理的な感触を伴っているように感じた。商店一家の話の時と同じ感じかな? ランガがなくても存在する人々、その生活、その人生。結局ランガがあっても回り道するぐらいで何が変わったということもない。「ランガで何ができる」で三人三様の行動&考えを示した三姉妹が、次第に明らかになっていく『神々』に対して「ランガは何故存在する」でまた違ったそれぞれの道を歩くのだろうか? 

 それにしても今回は何だか方言が徹底してましたね(いや、徹底してたかどうかはっきりせんというのがホンマやけど(^^;) 特に苫米地のおじさん、おばさんなんか聞き取れないフレーズもあるくらいやったし。もし某せつなさ炸裂なゲームが企画通りに方言やったら大変やったかも(でも、字幕あるから大丈夫か(^^;)

 話としては「家」「しきたり」という自分にとっての「価値のないモノ」を壊そうとする夕姫、それは単なるエゴイズムではなく縛られた人を解放するという意思の現れだったんやけど、これまで存在し続けてきたモノには(たとえメリットよりデメリットが勝っていたとしても)その意味があるんやちゅうお話でした。文字にすると何やら説教臭くなるんやけど、今回はさらっと流しています。その一方で、何やら怪し気な面々(そりゃ面つけとるからってツッコミはなし(^^; あ、つけてないのもおったか?)がランガを弄ぶかのように状況を意のままに動かしている背景を知ってか知らずか、ランガ一行は『死した神』に出会い、その形あるモノとしての終焉に立ち会う。この辺がこれからの伏線でしょうね。

 しかし相変わらず『破壊の女王様』ゆっぴ〜は健在ですね。生身でもでっかい岩持ち上げて走るし、いざとなれば「ランガァ〜!!」・・・問答無用の先手必勝型ですねぇ(^^; でもあのシーンではその場の勢いで「ぶっこわしちゃえ! ネオランガ・ビィーーームッ!!」ぐらい言って欲しかったなぁ〜という気持ちがあったことを正直に告白します(笑) だって最初の気弾らしきものならまだしも、二次攻撃はそのまんま「ネオランガ・ビィーーームッ!!」なんですから真面目に撃ってしまうと違和感バリバリでした。

さて、次回は「スイカで水着?」・・・おぉっ!! ええんかNHK?小学生だぞ(爆


8月10日(月)「水着でスイカ?」

 おぉっ!! おへそまで切れ込む大胆なカット!! 以上、感想終わりヾ(^o^;ぉぃぉぃ でも、ほんまにそれだけ(-_-;

 しかし仮にも神様をボート代わりに使うかぁ〜>ゆっぴ〜&魅波 ま、ゆっぴ〜には日常茶飯事かも(笑) その一方で海潮はお約束の砂浜埋め(装飾付き(^^;) そして健全な少年は立って立てず(激爆) いや本当にええんかいな?>NHK これで料金の元は取ったな(^o^;

 今回は前回の尻拭い&フォロー的お話でした。やっぱりポイントは怪しい小学校教師兼ゆっぴ〜下僕の行動でしょうな。前々から暗躍(^^;していましたが、これまでの行動とは違って島原姉妹(とついでに村長の家)を守るために動いてました。ま、こういう奴は反省したり罪滅ぼしのために善行を積む奴ではないやろうから、単に気紛れだったんでしょう。

 しかし貴子さんってば男を手に入れたからって急に余裕ですなぁ〜 ゆっぴ〜が思いっ切り反発しても軽くかわしちゃうんですから。でも彼女の言葉は前回のラストシーン、橋の上での魅波さんが語ったことの裏返しみたいなもんでしょうな。どうしようもない現実、その中にも自分自身にとって救ってくれる何かがあるはずだ・・・でもそれを信じることは良きことかどうかはその人自身が決めること。まだゆっぴ〜には早いみたいです(^_^;

 次回、「夏休みの終わりに」


8月31日(月)「二人の始まり」

 今回はシリアス傾向の一話でした。『大人の事情』ってのが大っ嫌いな夕姫ちゃんと『大人の事情』の中で育ってきたトロ子ちゃん(^^; 二人が偶然出会ったことで何が変わり、何が変わらなかったのか。前に「ランガがなくても存在する人々、その生活、その人生。結局ランガがあっても回り道するぐらいで何が変わったということもない」と書いたけど人々は、というか大人達はもっと逞しく狡猾でした。

 ストレートに(というより最短距離で(^^;)物事に対峙する夕姫ちゃんは、何事も穏便に済ませようとしてきたであろうとも子の態度に常日頃からいら立ちを感じてはいたが、クラスメートのように嘲るのではなく、ただ単に感情をぶつけていた。逆にとも子にとってはそんな夕姫がある意味で憧れであり、夢であったので、あのハンカチがあたかも二人のであるかのように大事にし、恐く今まで口答え一つしなかったであろう父親にしがみついてまで抵抗したんでしょう。そしてランガに起こった事を伝えようと学園中を奔走し、放送室に乱入、しまいには理事長代理に体あたりをくらわせる。このことで夕姫はとも子の想いを察し、とも子は自分の想いを出さなければ何も変わらない、変える為には一歩を踏み出さないといけない『時』があることに(やってから(^^;)気づく。ラストは素直じゃない態度で手を差し出す夕姫と、嬉しさのあまり涙でくしゃくしゃになりながらも頷くとも子。一人と一人ではない『二人』は今始まった、というところでしょうか(^^;

 しかしトロ子ちゃん、いぢめたくなる可愛さですなヾ(^o^;ぉぃぉぃ 何というか脳髄をくすぐるような声(^^;といい、あどけないショートカットといい。でも彼女もこれで『ゆっぴぃ〜女王様の配下』になってしまいましたね、本人は幸せそうだからいいけど(^_^; あ、こんな子に限って一皮むけるとゆっぴぃ〜とタメ張れるような子=親友になったりするんですね。その意味でも『二人の始まり』だったのかな?


9月7日(月)「法が在る世界」

 いつの間にか女王様教祖様になっているやないか(^^;<ゆっぴ〜 それにしても夕姫ちゃんといい魅波さんといい強かというか臨機応変というか・・・ともかく海潮はそんな二人と周囲に対して戸惑いを感じとるみたいですが、結局流されてしまいます。でも『救世主』とまで呼ばれてしまう現実は果たして自分が求めていたもんなのか、『王』としての力を持つということ、その力を使うということが果たして『みんなのため』なのか、海潮はマスターの言葉をきっかけに悩み始めていた自分に気づき、考えはじめますが、答えを出すよりも先に現実に直面してしまいます。

 新薬に関する贈賄疑惑の病院長を『懲らしめる』ランガと海潮。内偵を進めていた警察に対して「おそい」からと直接行動に出た結果ですが、このことの重大さを海潮は気づいとらんかったようです。正しいこと、人のため、それらに基づいて行動することは『正義』なのか、正しいことが一つでなかった時の『正義』とは誰が判断するのか、そしてそれらを決めるのが『神』であるならば『神』が間違った時はどうするのか。恐らくは閉鎖されてしまうであろう病院の泣いている看護婦に気づいたとき、海潮は自分が正しいと思ってしたことが何を生み出したか、行動した結果に対する責任が如何に重いかを初めて知ったんやないかと思います。

 そんな『純粋にランガの存在意義に悩む人々』とは別に、自らの目的の為に行動する人々、虚神会を巡る人々も露わになってきました。虚神会そのものだけでなく、虚神会(の権力)を欲しながらも目的を果たせなかった者、虚神会の中にいながら未だ真意を見せない者、いろいろですね。意外なところではエース部隊の女の子たちが結構絡んできそうなので楽しみです(^^;


9月21日(月)「虚ろな王」

 とうとうラブレが犠牲になっちゃいました(;_;) 既に死したる虚神の要として、まるで部品のように埋め込まれちゃいました。思うに、劇場版ナデシコのユリカと同じように未知のテクノロジーと人間とのインターフェイスとして使われちゃっているでしょう(T_T) ラブレの純粋な願いを叶えるようにみせかけて自らの意志の操り人形と化してしまうなんて...目的のためには手段を選ばない野郎の狡猾さがストレートすぎるぐらい出ています。

 その一方でランガは町の人々の意志を受けて、ビッグエースとの決着をつけます。しかし海潮は王には王の立場として避けられない決断があるということ、そして王の決断は決して王だけの問題ではないということを自衛隊と住民との衝突で思い知ったんでしょう・・・彼女はランガに叫びます、「逃げて」と。王になるということは従う者たちの命に責任を持つ=命をやりとりしなければならない決断を下す唯一の立場であるということ、だからこそ王にはが与えられるんだということを海潮は理解したんだと思います。でも彼女の叫びは純粋にその場から逃げ出したい気持ちの表れだったんじゃないかと思います。理解することと納得することは別ですから。

 しかしそんな彼女たちに容赦なく包囲網は縮まっていきます。周到なマスメディアのコントロールにより今やランガ一行は『敵』と呼ばれる立場になっていました。何も変化がないはずなのにいつの間にか自分たちが昨日までとは全く異なった立場に立たされているという現実はとても辛いものでしょう。特に『みんなのため』と思って行動してきた海潮にとっては。そしてやりきれない思いの姉妹たちの前にラブレを取り込んだ虚神が現れます。海潮はラブレを助けるようランガに命じますが、ランガは狂ったかのように虚神を攻撃、いやラブレを殺そうとします。ラブレの存在が神への冒涜とランガの目には映ったんでしょう。自らの存在に対する『負の存在』への根元的な怒りと悲しみが行動を支配したが為にあのような結果になったんじゃないでしょうか。ただランガの想いはどうあれ、虚神会一派はこの機に乗じて虚神の存在を明らかにして、か弱き少女にかまわず攻撃を仕掛ける『悪』のランガに対抗する『正義の力』『心の拠り所』としての虚神を人々に認めさせようとする目論見をほぼ成功させました。まぁ実に見事というか何というか、全てのものは自分たちのためにあるという考えで練られたシナリオは薄ら寒くさえあります。

 そのシナリオ通りに葬り去られるかと思われたランガですが、トゥーリたちにより何処かへと去っていき、残された島原姉妹一行は拘束されましたが、エース・レディース(勝手に名前つけんなって(^^;>をれ)の活躍により脱出に成功し、バロー島へと向かうこととなりました。王が真に王たる場所にて最後の決着がつくんでしょうか?


9月28日(月)「白き汐」

 最初に一言言わせて下さい・・・第一部完ってなんじゃい、そりゃあ!! いや、てっきり今日できっぱりすっきり決着がつくもんと思ってたもんで(^_^; とりあえず無事バロー島に着いた一行、辺りを警戒するエース・レディースに島の平和さを説く姉妹でしたが、本当の王としての扱われ方までは予想外だったようです(^^; 特に海潮あたりはついさっきまでの現実とのギャップ、置き去りにしてきた世界との違い、そして純粋にとして過ごすことに居心地の悪さを感じているようでした。真の王としての、そして海潮自身の「義務」と「意義」を考え始めたんじゃないでしょうか?そんな中で、ゆっぴ〜は色仕掛け(^^;を駆使するかと思えば、思い掛けず魅波は海の中で再会する羽目になっています(個人的にゆっぴ〜は本気と見たヾ(^o^;ぉぃぉぃ)

 しかし所詮バロー島も地球上に位置する島でしかありませんので、懲りない人たちが押し寄せてきます。彼等には彼等の言い分があるのですが、だからといってそれを素直に受け入れる義務は誰にもありません。力こそ正義と信じる彼等には、王の願いに応えて姿を現したランガの姿は果たして『正義』だったのでしょうか? 避けられぬ運命を悟ったというよりも、自らの願いを叶えるため、ランガの想いを叶えるため島原姉妹一行は再び日本へと旅立ちます。彼女達それぞれが王として。

 最後の海潮のモノローグを耳にした時、何故か小説の「風の万里 黎明の空/小野不由美」のラスト近くの景王の初勅の言葉を思い出していました。特に似通った部分があるというわけでもないんですが、『王』とは何か?を考えさせられた意味では共通点があったのかもしれません。『王』とは同じ人を積み上げた上にあるものではない、『地位』でも『仕事』でもないんだということが。

 願わくば、無事に第2部が始まりますことを...


[Home] [Back]