443号
2013年2月12日

主な記事のインデックス

 やってみよう『職務評価』熱気に溢れたワークショップ

 公共一般 2013年旗開き
 公共一般に期待するB
 自治体キャラバン二〇一三の成果
 連載  わいるどふらわー 42


 
やってみよう『職務評価』熱気に溢れたワークショップ

 「私たちの仕事にふさわしい賃金を考えよう」―― 公共一般本部と保育・介護・図書館・児童館学童の四つの職種ユニオンの共催で一月二十日に取り組んだ「やってみよう『職務評価』」企画には約三十名の専門職組合員が集まりました。企画は、全員参加型のワークショップ形式。講師には、ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス(PECO)の屋嘉比ふみ子さんを招きました。屋嘉比さん自身、京ガス男女賃金差別裁判をたたかい、この「職務評価」の記録を裁判で示し、勝利和解を勝ち取った人です。


仕事を四つの要素から分析・評価点を

 企画は、PECOが作成したDVDと屋嘉比さんの話を聞いた後、「保育」「図書館司書」「介護士」「消費生活相談員」の四つのグループに分かれて、実際に職務評価をやってみました。職務評価は、仕事のそれぞれの内容を、「知識・技能」「負担」「責任」「労働環境」の4つの要素(ファクター)に分けて、それを数値化していきます。グループでは、「食事といっても、誤飲とかあるから、責任は重いよね。もっと点数は高くていいんじゃない」(介護)などと相談しながら、点数をつけていきます。一時間かけて自分たちの職務を点数化すると、「思っていたより高い点数が出たね」「自分の仕事を客観的に説明することができた」などの感想がこもごもに語られました。
 「正規とほとんど同じ職務評価が出たのに実際の給与は三分の一。どうして?」―― 私たち非正規労働者が絶えず口にしてきた言葉です。「でも今日からは確信をこめて話せるようになれた」と参加者は目を輝かせます。どうすれば、均等待遇を勝ち取ることができるのか。仕事にふさわしい賃金をどうやって勝ち取っていくのか「その道すじが見えた気持ちです」とも話します。賃金闘争の新しいたたかい方。ここに職種・職能ユニオンの目標と役割があります。今回の取り組みは、賃金政策づくりの画期的な一歩となる取り組みになりました。          【島津】

 「職務評価」って?

 「職務評価」とは、いわゆる「成果主義」や「人事考課制度」とは違い、「同一(価値)労働同一賃金」をすすめるうえで、北米や欧州では広く用いられている実践手段です。客観的に仕事の内容を分析・評価します。例えば、正規の保育士の点数と非正規の保育士の点数を比較することで、実際の給与の格差が合理的かどうかを客観的に判断しようとする方法です。


 
 公共一般 2013年旗開き

 二〇一三年度の旗開きは学生兄弟の津軽三味線です。太ざおの豪快な響きでスタート。七十人の参加者に向けて挨拶に立った中嶋祥子委員長は、代々木公園に十七万人が集まった脱原発集会の航空写真を示して、「人と人とがつながり合う力強さ」を語り、連帯強化の年にしようと激励しました。
 公共一般旗開きの特長である職場のパフォーマンスは、武蔵野支部によるハワイアン、コールラパスや南部合唱団による「うたごえ」、公共一般書記局による寸劇「江戸川動物園パワハラの巻」など、文化の香りと笑いが会場にあふれました。
 各支部と争議の年始めの決意では、図書館ユニオンの仲間(写真一番下)から台東で五年有期を撤廃させたことが報告されると、拍手や「すごいぞ」の喚声があがりました。板橋が「一番(最初)に一時金を勝ち取りたいと思います!」と支部書記長が決意を表明すると、中野ピジョン争議は「子どもたちのためにも必ず勝利したい」と後に続きました。
 盛大な料理も含め、公共一般の旗開きは「手作り」がモットー。参加いただいた各方面の方からは、「こんなに楽しくて一体感が感じられる旗開きはない」とお褒めの言葉もいただきました。 【島津】

 元気もらった。くじけずに闘います!
 さっそく青年ユニオン組合員からメール

 初めての参加だったんですが、まず驚いたのは料理が種類も多く、しかもボリュームもあるんです。お刺身(大きな寒ぶり2本)はすぐなくなりました。ここに参加している組合員の多くはいろんな争議や会社との交渉を抱えていながらも明るく前を向いてるんだな、と元気をもらい、参加してよかったなと思いました。僕も会社復職後いろんな嫌がらせを受けてますが、挫けずに闘います!!


 公共一般に期待するB

 明日への希望を見て取って  日本民主文学会常任委員 田島 一 さん

 公共一般の皆さんとのお付き合いは、「文章教室」から始まりました。そこで私は、自治体職場・委託先など、複雑な雇用形態のもとで働く方々の実態を知り、自身の不明を恥じました。そして同時に、たがいを思いやり結びつきを強めていこうとする、皆さんの熱い心に触れてとてもうれしかったのです。
 人は一人では生きられませんが、生育過程や環境の異なる人たちが手を携えていくのは、容易なことではありません。けれども、そうした困難を乗り越える鍵となるのは、「言葉」です。思いがあっても、相手に伝えなければ理解し合えません。「胸の奥に届く言葉」をそれぞれが持つことにより、しなやかで強固な連帯が生れてくるのではないでしょうか。
 文章は「言葉」でつくられます。それは歌の場合もあてはまるのでしょう。人の心に灯を点し、文化を愛する皆さんの組合の素晴らしさに、私は、明日への希望を見て取っています。
        

 
 自治体キャラバン二〇一三の成果
 杉並区が委託先へ適正労働環境の調査開始

 今年も東京春闘共闘会議による、自治体キャラバン(一月十六日〜二月十五日)が展開されました。一月二十五日の杉並区交渉は、委託先の労働条件問題について大きな前進回答がありました。
 杉並区は委託先の労働環境について「昨年に要綱を作成し、今年度数館の業務委託先、指定管理先へ出向き労働関係法令を遵守しているか、社労士も伴って調査を行った。会社だけではなく、労働者からも実態聞き取り調査を行った」ことが発表されました。

分会の奮闘が行政を動かした

 今回作成された「杉並区公共調達の指針」と「杉並区公契約等における適正な労働環境の整備に関する要綱」は、公共一般が杉並区と都労委で係争の時期(十二年一月〜三月)に作成されたものです。これまでも、杉並区では争議が〇九年に井草地域区民センターで二重委託、不当解雇事件、翌年セシオン杉並で、委託替え解雇事件など、立て続けに委託先で起こっていました。今回の指針、要綱作成は、委託先の法令遵守と処遇改善を求めてきた組合の追及が区を動かした結果です。

委託先労働者の安定雇用が大きな課題

 区は「公契約条例の話もあるが、区としてはまず要綱の拡充をしていきたい。調査する対象職場も次年度は増やしていきたい。」として、今後実態の把握を強化していく方針を示しました。組合にとって大きな課題は委託先の安定した雇用です。残念ながらどの自治体も「労働者と業者間の問題」として委託契約などに雇用問題はふれていません。公契約運動と併せて、委託替えによる雇用継承の合意を組合と自治体が結んでいくことを引き続き、実践の中で追求していきます。    【松崎】
 

 
 連載 わいるどふらわー42 〜花よ咲け 貧困と誇りの谷間に〜
作 小林 雅之 挿絵 中嶋 祥子 題字 岩下 和江


私のオルグノートから(その7)

交渉場の虚と実




 とかく世の中は、顔付きや身なりで人の評価がある程度なされてしまう。これは今も昔も変わらないようだ。血液型で性格を四つに区分されるのもそうだが単純に人を判断されてはたまったもんじゃない、と胡散臭さを覚える経験は誰にもあるはずだ。私などは、それでいて相手の風体や言葉づかいに惑わされ、それが後に大いに覆されるものだから、吾が身の未熟さを反省することしばしばである▼ところでオルグの仕事には駆け引きが避けられない。交渉という虚と実の入り混じる場である。無論、競りや相場とは違う。そこは労働者の生活防衛をかけた階級間の接点であり、団結力と運動が最後にものを言う場である。しかし知恵を闘わせる場であることも事実だ。向こうの出方を早く見抜こうと常に考え、心理状態や最後の落とし処はどこか、相手の胸、いや腹を探る。これは要求や争点に関わる情報とは違う、その先のいわば駆け引きの素材である▼交渉場はしかるべき身なりと言葉づかいで臨むのが鉄則であると思う理由は、駆け引きの判断材料としてそれが影響するからだ。見かけでこちらを判断してくる相手に説教しても始まらない。青年ユニオンなどは、こちらが若いというだけで舐めてかかられて苦労をする。そんな低劣な相手も少なくない場だから、面接試験ではないが、身なりぐらいで損をしても詰まらない。「そのTシャツとサンダルはヤバイなあ」「なにその破れジーパン。えっ、これがファッションだ?いや〜団交にはやめてよ」 組合員に損をさせてはならないと思うから口を酸っぱくして若いオルグに小言をいうのだが、そこで既に駆け引きがスタートしているのだ▼交渉は労働者の実態、実の世界が支配する場にしなければいけない、オルグは自らにそう言い聞かせて臨むべきである。小さな民間経営で起きたセクハラ事件の解決に奮闘した江東支部長の丹木さんは、息巻く社長を尻目に、社労士に静かに語りかけた。「あなたには娘さんがいますか。もしこんな目に遭ったら親としてどうなさいますか」 「ええ、到底許せないと思います」 彼には若い娘がいたのであろうか、丹木さんの言葉に強く心を揺さぶられた様子で、社労士は加害者である社長をその場で説得し始めた。社長には多額の損害賠償と謝罪をさせた▼大阪の自治体関連労組幹部だった川西玲子さんがこんな話をしてくれた。夫が不慮の死を遂げたある非常勤の妻は忌引き休暇も許されなかった。その無念さを胸に「非正規は愛する人を失った時も差別に甘んじろ言うんですか」涙を流しながらみんなが訴えた。頑迷な当局を突き動かした交渉は、遂に忌引き休暇を実現させた▼虚といえばこんな鼻白ける経験を皆さんもしたはずである。交渉場に突然人事部の部下が現れる。「課長、そろそろ出かける予定の時間ですが・・・」「おお、そうだったね。じゃ本日はこれで・・」 おいおい、まだ話は山と残ってるぜ。また臭い芝居を見せつけて・・・▼あるとき、お定まりの演技で慌ただしく出て行った当局だったが、そのあとがいけなかった。こちらが癪晴らしに呑み屋に寄ると、なんと彼らは既に呑っているではないか。ほほ〜ここは武士の情けと参るか。「いや〜交渉の後は一杯やるに限りますな。ささ、どうです」 相手はびっくり仰天、鳩に豆鉄砲。演技も忘れ、ぽかんと見上げたままの顔は気の毒なほどに固まっていたっけ。