446号
2013年3月26日

主な記事のインデックス

 育児休暇も認めない、東京都の異常な実態
 潟[ンショーと団体交渉
 歴史の逆戻り許さない思い強く
 映画『約束−名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯−』を観て
 連載  わいるどふらわー 44



  
育児休暇も認めない、東京都の異常な実態

雇用継続は当り前!常識外れの当局を厳しく追求

 昨年十二月、驚くべき事態が起こりました。福祉保健局が所管する都立荏原看護専門学校に就労する、看護学校運営業務専門員が、今年四月出産予定であることを知っていながら「次年度の雇用更新はしない」と管理職から告知されました。組合は直ちに局に対し団交申入れをしました。交渉において、労基法十九条一項に定められた、産前産後休業中とその後三十日間について、使用者はいかなる理由であれ、労働者を解雇することを厳しく禁じていることを指摘、明確な違法行為にあたるとして即刻撤回させました。

子育てするには仕事を辞めなければならないのか!?

 東京都は非正規雇用労働者の育児休暇の制度化については未だに拒否し続けています。更には公共一般との団交にも一切応じていないため、労働委員会と裁判で三度も断罪されています。育児のために休むと、無断欠勤扱いとされ、一日に付き三日欠勤のペナルティを課すという血の通っていない仕打ちです。他の自治体では次々と育休が実施されている中で、都の非正規は産休明けの雇用について不安をかかえ続けています。
 今後この問題は、現在行われている都の団交拒否を巡る闘争と合わせて、東京都(総務局)が団交に応じるよう徹底して追及をし、必ず制度実現をめざす決意です。      【伊藤】




 青年ユニオン

 潟[ンショーと団体交渉

七年ぶりに団体交渉へ

 三月二十二日に牛丼チェーンのすき家を経営する株式会社ゼンショーと団体交渉をしました。昨年十二月に和解をしてから実に七年ぶりの団交となりました。
 団交拒否の理由は、「首都圏青年ユニオンは労組じゃない」「バイトは従業員じゃない」などの特異な主張をしてきていましたが、昨年十二月に会社が全面的に謝罪し、今回の団交となりました。

労働条件改善は、世界から飢餓と貧困をなくす第一歩
 今回の要求事項は、「すき家の深夜一人勤務の実態」「すき家に強盗が入った時にアルバイトへの心身ケアをどうするのか」「仙台泉店の時給と福岡組合員の時給アップ」などたくさん。久しぶりの団交でしたが、荒れることもなく進行しました。
 協議の終わりに、持ち株会社の執行役員が「団交が開けなくて労使共々、長い間もどかしい思いをした」と感想を述べたことに対して、「フェアトレードなどで『世界から飢餓と貧困をなくす』という社是を掲げていながら、国内では労働者の声を聞かないようではおかしい。」と、フェアプレーを忘れないよう釘を刺して、団交を終えました。        【山田】

 
 多喜二の集い「青年トーク」に出演して    青年ユニオン 神部 紅


 歴史の逆戻り許さない思い強く

 〇八年頃、格差と貧困が社会にひろがり閉塞感が蔓延するなか、小林多喜二の文学がちょっとしたブームになりました。しかしその後も貧困に喘ぐ人々は拡大・固定・再生産されつづけ、いまでも状況はよくなっていません。
 労働組合が大きくなることが社会の必然的な要請であるように、「自分たちのことが書いてある」という共感と、多喜二が読まれる客観的条件はひろがっています。しかし貧しき労働者にとって「お金」のかかる「芸術・文学」などの文化的要素は敬遠されるというねじれが生じています。
 集いは、私が出演した青年トーク、俳優の米倉斉加年さんや、三重大教授の尾西康充さんの講演と、多喜二の意思を受け継ぎ、私たちが新しい時代へどのように挑んでいくのか。短絡的な消費行動を煽る日々の刺激に抗いながら、私たちがどのようにして具体的かつ直接的に一つひとつのねじれを正していくのかなど、示唆に富む内容でした。
 多喜二は、戦争と軍国化に突き進む時代に体ごと立ち向かっていった活動家であり、戦前の暗黒時代に生きた人々の、苦難や戦いを命がけで文字に起こすという作家でもありました。あの暗黒時代を思い起こさせる、きな臭さが社会に蔓延し始めている今だからこそ、あらためて歴史を逆戻りさせてはならないという思いと決意を高め、多喜二をはじめ、社会進歩の促進のために命を賭してたたかってきた先輩たちの生き方に思いを馳せ、自分の生き方を見つめなおすことができた集いでした。      
 

 
 
画『約束−名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯−』を観て 中野支部 組合員

 昭和36年、三重県名張の小さな村の懇親会で、毒入りワインを飲んだ女性5人が死亡し、奥西 勝さんが犯人として逮捕された。彼は一度犯行を自供するが、その後は一貫して警察に自白を強要されたと主張。1審で無罪となるものの2審では死刑判決。最高裁で死刑が確定する。
 息子の無実を信じ、帰りを待ち続ける年老いた母、引き裂かれた家族の思いが切なく胸に迫る。事件から51年、再審請求と棄却が七度も繰り返され、その間にも同じ拘置所の囚人たちの処刑が続く。狭い独房の中、看守の足音に怯える日々に今も彼は生きる。
証拠は奥西自白のみ。国民救援会や弁護士ら支援者は次々科学的証拠を裁判所に突きつけていく。
 あの時呑まれた白ワインは自白通りの農薬を入れたなら赤く染まった。自白通りに歯でワインの王冠を開けたところ、証拠品の爪のような形にはならなかった。裁判官は覆っていく自白をそれでも正しいとして客観的証拠を退け続ける。「死刑とわかっていて嘘の自白をする者はいない」から自白は信用できるというのだ。そこには裁判所というピラミッドに閉じ込められた裁判官たちのおぞましいまでの保身がある。また、現実を見ようとしない権力者の妄想がうずまいている。
 まるで獄中死を待つような裁判所に対し、生き抜いて無実を訴え続ける仲代達矢の迫真の演技も光る。医療刑務所で86歳の奥西さんの痩せ細った手には今なお手錠がかけられているという。
 これは司法の歪みを痛切に告発した映画である。



連載 わいるどふらわー44 〜花よ咲け 貧困と誇りの谷間に〜
作 小林 雅之 挿絵 中嶋 祥子 題字 岩下 和江


私のオルグノートから(その9)

運動の用語 




  「組合用語って解りにくい」 よく出る言葉である。非公然、非組(組合員ニ非ズ)、未組織(組合ノナイコト)、オルグ、インフォーマルなど日常生活には用いられない▼短縮語も多用される。ミンタク=民間委託、ドッポウ=独立行政法人、シテカン=指定管理者。まるで業界スラングのように意味不明だ▼それにしても労働運動の用語は時代とともに変化することを執拗に拒んできたようにさえ思える。「職場に砦を」といったスローガンも滅多に耳にしなくなった。砦とは外敵の攻撃から守る要塞。これは軍事用語である。「防衛上、気を付けよう」まさしく軍事用語だ。集会場に行けば、やれ要員・動員だの、隊列、戦闘、前衛などと、まるで戦場にいるかの様な用語が飛び交う▼そもそも動員・招集は兵役の用語。戦前・戦中の弾圧の中で労働者は戦い、こうした用語が自然に使われたであろう。その伝統が今にあるわけだが軍事用語を無神経に使うのはそろそろ改めなくては、とは思う▼無神経といえば、ずっと気になってきた事がある。「主催者発表」の他方で、いつも腹立ちを覚える「警察発表」があり、毎度そのギャップがすこぶる気に入らないのだ。反原発の最初の大集会が主催者発表一五万人、警察発表はなんと一万七千人。呆れるほどの食い違いに国民は疑心暗鬼に追い込まれる。現地にいれば警察が嘘をついていることは明白なのだが▼ならば主催者はどうかと言えば、人数を時々水増しに発表したりする。その無神経さがどうも戴けない。そこから大きな弱点が生じているからだ。警察はそこへつけ込むかのように、輪をかけて無闇に少ない数字を発表する。公務員にはあるまじきデマ操作を国民に向けて公然とやる。マスコミも公器の責任として自ら確かめることもせずデマに便乗する▼こんな社会的理不尽に対して、警察やマスコミに抗議した、名誉毀損で訴えた、警察発表は公務員法違反として追及した、という当たり前の話が聞かれない▼この妙ちくりんな関係はもう断ち切ろうではないか。まずは我々から見栄を捨て、恥や失敗の事実を隠さず、大成功なら大いに誇り、いつも真実だけを公表すれば良いだけのことである。大集会でカウントするのが難しいなら、野鳥の会や権威ある計量のエキスパートに頼んで、真実の証拠として公表することだ。その上で公安警察のデマと誤導の不法行為をその都度厳しく追及すればよい。改めないなら行政訴訟で決着をつけてやればいい▼それゆえ主催者発表は事実が厳粛に発せられねばならない。我々の堂々と真実を掲げる姿勢こそが、公安警察の不正を暴き、マスコミの姿勢を正していく道だろう。そう思う訳だが諸兄姉はいかがだろうか▼さて話を組合用具に向けてみよう。直すべきものを直すことには私も賛成だ。だからといって、腕章や組合旗は今どき古臭いとか、シュプレッヒコールはやめた方がいいといった風潮にはあまり同意できない。市民一般的感覚に溶け込むのがいいと迎合できるほどに私はもはや若くないし。消費税や反原発運動がいつ退潮するかと根気よく覗っている権力側の魂胆を思えば、「組織」された「部隊」の「動員力」と伝統的示威行為という、オーソドックスな継続力が発揮されるのはむしろこれからだと思うからだ▼用語や用具は単に古いから意味がないということにはならない。誰もが無関心になるまで活用されずにいると、自ずとその意味を失っていく。むしろ新しい中へ伝統が活きるかどうかが、いつの時代にも求められてきた訳である。