=====   自治体にはたらくパートの権利手帳   =====

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 [第1章]働きがいのある仕事と、安心して働ける待遇を

  §1 公務パートの情報を交換し合おう
  §2 パートがひとりでも加入できる労働組合の大きな力
  §3 公務パートのQアンドA
       雇用・契約問題パートの権利・制度保障賃金・労働条件労働組合

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§3 公務パートのQアンドA

 全国の多くの公務パートのみなさんと、きっと共通の心配ごとや知りたいことについて、代表例を載せました。
 こ
こでの答えは結論だけにとどめて、くわしい解説はこの手帳の各項目に載せてあります。回答の下に詳しく解説してある本文の索引ページを記してあります。

【雇用・契約問題】

《質問1》 来年は雇わないといわれました。理由をきくと、臨時としての雇用契約期限だから、と言うだけです。

《こたえ1》 契約期限とは臨時雇用は最長でも1年のことを     指しているのでしょう。厳密に臨時任用ならあなたの様な5年勤続はありえなかったはずです。あなたを臨時的任用として扱ってこなかったのに、いまさら臨時任用を根拠として打ち切ることは許されません。この場合たてまえ上の期限より、あなたを継続勤務させてきた雇用実態と使用者責任の方がより重い意味をもちます。これは単なる『契約期限による雇用止め』ではなく、合理的な理由がない「解雇通告」と同じであるので、きっぱりと継続雇用を求めましょう。 【5章 雇用問題 122ページ】
《質問2》 半年ごとに他人名義で契約させられていますが、     いつ打ち切られるか不安です。

《こたえ2》 打ち切られる心配ばかりしていても、不正常な状態は結局いつかは解消しなければなりません。労災や社会保険、年休、所得税などの問題を考えれば、早めに根本的な打開を考えるべきです。大事なことは、負い目が労働者にあると考えないことです。
使い勝ってよく脱法を続けてきたのは当局なのです。雇用を切ってくることを絶対に許さず、正規化や、何年でも継続可能な非常勤職に移行させて適法的に雇用継続をはからせることなど、いまのうちから労使交渉において充分検討してもらうようにしましょう。    【5章 雇用問題 131ページ】

《質問3》 民間委託するから、辞めてもらうと言われました。仕事が無くなるので仕方がないのでしょうか。

《こたえ3》 正規職員と同じ職場で継続勤務をしていながら、委託で仕事がなくなるから、正規には雇用保障し、パートにはしないというのは、『解雇の法理』からも許されないことです。パートの雇用問題もとりあげて、正規職員といっしょに委託反対のたたかいをすすめましょう。実際にパートのたたかいで委託を撤回させたり、委託されることになっても、正規と同様に他の職場で引き続き雇用を継続させたり、委託先での雇用保障をさせている実例はいくつもあります。  【5章 雇用問題実例125ページ】

《質問4》 登録ヘルパーは労働契約ではない、委託契約だか     ら従業員としての保障はないと言われ、とても心配です。本当に保障は何もないのでしょうか?

《こたえ4》 登録という名称はどうであれ、ヘルパーの実態     は請負ではなく賃金労働者であることは明らかです。自治体の職員と同様に働き、責任も同じように負わされて、永年勤めているのですから、職員と同じ待遇を求めるのは極めて当然のことです。仕事量の保障や、契約の更新、業務中に起きる様々なトラブルなどにきちんとした定めをもうけるなど、労働契約と差異のないような確実な契約関係を求めることからまずはじめることが必要でしょう。そのためにも労働組合に入って、ヘルパーみんなで取り組むことが大切です。そして、本来自治体が責任持って雇うように求めることが大切です。組合をつくって全員市の非常勤職員とさせた堺市の闘いは有名です。
【3章委託契約43ページ 労災保障64ページ】

《質問5》 補助業務ですが、仕事の範囲が定められていなくて、悩んでいます。

《こたえ5》 雇用契約には、賃金や雇用期間だけでなく、仕事の内容についても定めなければなりません。
公務パートといえども、定められた業務に対して、必要な職種についての必要人数の任用を行うわけですから、始めからなんでもやる職種というのはありえません。(職場仲間で仕事を協力しあうということとは別な問題です)。
 辞令には、調理、警備、保母、用務、事務、学童指導員、などなど職種の明示は当然あるでしょうが、もっと具体的な業務内容や業務責任範囲を明示させた『雇い入れ通知書』を用意させるのが、一番よいでしょう。【2章 雇用契約 21ページ】
 

【パートの権利、制度保障】

《質問6》 社会保険に加入できるはずと、友人にいわれたのですが、どうすればよいのでしょうか?雇用保険にもはいれるのですか?

《こたえ6》 正規職員の4分の3に近い勤務時間で、年収が130万円以上あれば加入できます。使用者が怠っている場合でも、本人が社会保険事務所長に申請できます。使用関係の発生した日にさかのぼって効力は発生するので、将来の年金生活のこともあり、もっと以前にさかのぼって加入したいと考えるならば、さかのぼらせるよう請求しましょう。
その場合の保険料の払い方などは、社保制度の項目に詳述してあります。
 雇用保険は、社保に加入資格のある人ならば一般被保険者になれます。事業所のある職安に行って相談すれば、2年はさかのぼって取得確認ができます。      【3章 社保 46ページ】

《質問7》 最近になって社保に強制加入だといわれました。6ヵ月の臨職で年収が100万円にもいかないのに、月1万4千円も引かれることになります。夫の被扶養者のままでよいのに、どうすればいいでしょうか?

《こたえ7》 社会保険は、たとえ正規の4分の3の勤務時間であっても、あなたのように短期雇用のため年収が130万円未満の場合、年金も健保も配偶者の被扶養者として扱うことを法や政令で定めています。あなたの場合はこれまで通り、夫の加入する被保険者の被扶養者ですから、強制的な徴収は許されません。 夫の会社で、あなたを被扶養者として手続しているのに、あなたの使用者が勝手にあなたからも強制徴収すれば、これは明らかに誤った二重の強制加入となります。誤った強制徴収はきっぱりと拒否することが大切です。
 最近、会計検査院が各自治体に、不安定雇用の低収入者=被扶養者扱いのパートまでも対象に含めて強制徴収をさせようと強引に指導しています。これは重大な誤導ともいえるもので、組合に相談して、みんなでとりくみましょう。
   【3章 社保 被扶養者48ページ】
 

《質問8》 仕事中に怪我しました。
当分働けそうにもありません。
今後の治療費や欠勤による収
入ダウンが心配です。補償は
あるでしょうか?  雇用が切
られないか心配です。
                 挿絵2
《こたえ8》 パートにも、治療費も休
業補償もでます。雇用契約期間
や勤務条件には関係なく補償対
象となります。手続は職場の上
司によく聞いてすすめてくださ
い。事故当時の現認者が必要だ
ったりするので早く手続をする
ことです。
 心配な雇用問題ですが、労働
災害によって、いっさいの不利益な扱いをしてならないので、休業を理由として雇用を打ち切ったり、いままで行っていた契約更新をしないということは、禁じられています。安心して治療に専念して、元気で職場に復帰してください。
    【3章 労災保障 57ページ】
 

《質問9》 朝2時間パートで週5日出ています。「2ヵ月契約のアルバイトには年休はない」といつも言われ、この5年間ずっともらったことがありません。
《こたえ9》 使用者はあなたに15日分の年休を今年は与えなければなりません。しかもずっと請求をしてきたのに支給しなかったことも重大な違法行為です。使用者は直ちにさかのぼって支給しなければなりません。
年休は、雇用契約期間が短くても、実際の勤務が継続的であればその勤続の長さに応じて支給しなければなりません。また1日あたりの勤務時間が短時間であっても、出勤日数が年休付与日数の算出対象となります。  【3章 年休付与 67ページ】

《質問10》 「園児が今日は少ないから休んでほしい」と、
     よく突然いわれます。そのたびに収入が減らされ、     困ります。なんらかの保障はないものでしょうか?

《こたえ10》 労働契約では、どの日を勤務しない日なのか特段の定めをしないで、その時々に事業所の都合で休業をさせることは「使用者の責めに帰すべき事由」として、6割以上の賃金の支払義務を負うことになっています。しかしこれは最低でもこれだけは支払うことを定めたのであって、契約からいっても全額支払うべきです。【3章 休業補償 76ページ】
 

《質問11》 現在妊娠して働いています。これからも今の仕事をぜひ続けたいのですが、パート雇用では無理なのでしょうか?

《こたえ11》 パートも産前産後休暇は申請すればとれます。
ただし、有給の定めがない場合は無給となりますが、労基法(65条)で定めた産前6週間、産後8週間は使用者は認めなければなりません。問題の雇用ですが、これも産休を理由にいっさいの不利益な扱いを禁じています。産休中に雇用を打ち切ったり、これまでは契約更新していたのに産休をとった人は更新させないといったことは許されません。
  【3章 産休 79ページ】
 
 
 

    挿絵3
 
 
 
 
 
 
 

《質問12》 いつもすぐには帰れません。せめて残業代はもら     えないのでしょうか?

《こたえ12》 仕事場の状況によって、時間がきたからと機械的になにもかも放り出して帰るわけにもいかない、ということはままあります。しかしお話のように、慢性的になっているのは困りものです。人員体制をきちんとさせるのが先決ですが、使用者にただ働きをあてにされるのでは問題外です。
 労基法では、たとえ数分でも支払う義務があると定めています。超過勤務については毎日タイムカードや記帳を行い、月締めにまとめた時間分を支払らわせるようにしましょう。
           【3章 割増賃金 73ページ】

《質問13》 欠勤してまで年収を調整し、非課税限度ぎりぎりで働いています。本来なら老後の事を考えて厚生年金にも入りたいのですが、このことで夫婦でいつも悩んでいます。

《こたえ13》 試算によれば、これまでの世帯収入全体が減らないようにするには、パートである妻の収入を103万円からいっきに150万円ぐらいにしなければなりません。税制を見直して『非課税限度額』を上げることも当面は重要なことですが、時間単価の引き上げ、一時金の実現、勤務時間や日数増など契約内容の引き上げなど、みんなの運動で積極的にとりくむことこそ根本的解決の道です。
      【3章 パートの税金 91ページ】
 

【賃金・労働条件】

《質問14》 一時金や退職金を要求してもいまだに実現しません。当局の言うように非常勤には法律で禁じられているというのは本当でしょうか?

《こたえ14》 法律で禁じられているというのは誤った宣伝で      す。当局が言う禁止条項(地方自治法203条)は、こんにちの常勤的で継続勤務的な非常勤を対象に含めておらず、これにしがみついた主張には合理性がありません。正規に近い労働時間を、しかも永年継続勤務の実態にある者に、一時金や退職金を支給すべきとした自治省の行政通達や解釈はこれまでもいくつかあります。
 実際には、一時金や退職金を支給させている自治体は年々増え続けている(関連資料参照)にもかかわらず、依然としてきちんとした制度・規定がないことは大きな矛盾です。公務パートの処遇を抜本的に改善する点で、このことは今後の大きな運動目標です。   【4章 一時金 105ページ】
 

《質問15》 今度から通勤費が出せるようになったと聞きましたが、いつからそうなるのですか?

《こたえ15》 自治省は96年3月に各自治体に対して「非常勤職員の通勤費を実費弁償として支給してもよい」との通達をしました。勤務時間の多少にかかわらず全ての非常勤を支給対象とします。自治省は条例で定めて行うよう指示していますが、この種の諸手当・各種報酬については、各自治体の自主的な判断で行っているのが実態的となっているようです。臨職もふくめて、いまだ実施していないところでは至急実施を求めましょう。その際に、賃金部分と切り離して通勤費を非課税扱いにするよう注意してください。これまで賃金に繰り入れてきたところでは、実費弁償としての通勤費は分離して、あらためて賃金の見直しをはかることです。
実費弁償ですから、パートへの差別的な支給限度についても改めさせましょう。
     【4章 通勤費 102ページ】

【労働組合】

《質問16》 組合に入っ     挿絵4
ても継続雇用の見通しが
ないのなら意味がないの
ではないか、と考えてし
まいます。

《こたえ16》 そんなこ
とはありません。むしろ
不安定な雇用だからこそ
労働組合に入っている方
が安心なのです。
 自治労連の関連労働者
の組合は、もともと不安
定雇用の仲間が大勢集っ
てたたかっている組合で
す。いざというときに泣
き寝入りしないよう、み
んなが支えてくれます。
 S市では、非常勤への打ち切りが出されたとき、たたかった組合員は雇用がつながりました。すると未加入だった労働者も、これからは労働組合に入っているのが一番安全だと、たくさん入ってくれたそうです。  【6章 組合 135ページ】
 

《質問17》 組合に入ると上司ににらまれて、仕事のうえでやりにくくなるのでは? つぎの契約も心配です。

《こたえ17》 労働者が団結し、団体行動する権利は憲法28条で保障されたものであり、使用者が労働組合員であることや、活動したことを理由に、いかなる不利益扱いもしてはなりません(労組法第7条1号)。これを不当労働行為といいます。
 ここで使用者とはあなたの身近な職制も含まれます。
そうはいっても、露骨にではなく陰湿にやられたらどうしょう?という心配もあるでしょう。労働組合は仲間の結束で行動し、労使が対等に話し合う権利を法律的に持っています。
わかりやすく言えば、これまでは「個人的」に上司と顔を突き合わせながら苦労していた事も、これからは労働組合(大勢のパート労働者たちのこと)と使用者(上司のもっと上の人達)との間で、話し合い、解決しようということに、だんだんシフトされていくと考えてください。堂々と組合員としてがんばるあなたと、あなたの上司とは、かえっていままでになかった円滑な関係で、はなしや相談ごとができるようになると思いますよ。しっかり組合に結集して、堂々と活動するあなたに、しかえしに仕事をうち切ろうなどというみえすいたことは、むしろできなくなるはずです。【3章 団結権37ページ以降 】

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