=====   自治体にはたらくパートの権利手帳   =====

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[第2章]雇用契約の基礎知識

§1 鳩代さんの契約書

§2 雇い入れ通知書(労働契約書)とは?

§3 労働契約にふくまれるもの

  『あなたの契約チェック』

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§労働契約にふくまれるもの

 労働契約とひと口で言っても、雇い入れのときに結ぶ雇用契約書以外にも、つぎのようなたくさんの決まりごとがあるはずです。勤めだしてだんだんその存在を知るようになるのも全て労働契約なのです。早く知るように心掛けることが大切です。

 @雇い入れ通知書、募集記事
  A就業規則
  B臨時・非常勤などの要綱、運用規程
  C条例
  D法律
  E労働組合と使用者との労働協約
  F職場の慣行
  G口頭の約束
  H使用者が契約につける条件について、法律が禁じていること
 

  @雇い入れ通知書、募集記事
使用者は契約にあたっては、賃金、労働時間、労働条件について明示しなければなりません。雇い入れ通知書は大切な労働契約の基本となるものです。必要なことがらについて明記させることが大切です。また、新聞や自治体の広報誌に載せられていた募集記事の内容も契約条件となります。社保完備、ボーナス年2回などと書いていたのに実施されない、というのは契約違反です。
また自分の本来の資格業務から外れて、違う仕事に次々まわされた、といった問題が起きないよう、はじめにきちんと範囲を明記させておくことも大切です。

 A就業規則
 賃金・手当、労働時間、休日、服務・賞罰、安全衛生、任用、退職、など労働条件の総体にわたって定めたものが就業規則です。特別職の非常勤(ほとんどの非常勤職員がこれに該当するでしょう)や、第3セクターの職場や水道・清掃・交通などの職場では、使用者は必ず就業規則を作成し、労働者が常に見ることが出来るように掲示やできれば配付して周知させなければなりません。パートタイマー(非常勤)と正規の労働条件に違いがある場合には、正規用とは別にパートタイマーに適用される就業規則を作成する必要があります。
就業規則は、作成・変更のたびに労基署に届ける義務があります。「パートタイマー労働法」では、パートに適用される就業規則を作成・変更するときは、パートタイマーの意見を聴くように努めるものとしています。
 実は自治体で行っているところはあまりないようです。
特別職非常勤に関する規程集として就業規則を揃えて職場に掲示・配付し、労基署に届けよ、変更は事前に相談せよ、といった要求を、せっかく労働組合を作ったのならば、積極的につきつけるべきでしょう。これからは当局側の一方的な「規程いじり」はみとめませんよ、という姿勢で、規程整備の民主的な手続を確立していくことが、パートの権利を守らせ、職場のトラブルを防ぐ確実な方法なのです。

 B臨時・非常勤などの要綱、運用規程
労働基準法は臨時・非常勤に適用されますが、臨時職員(一般職)などについては、労働基準についての監督機関を自治体の人事委員会が代わって行うことができるとされています。そうしたこともあって、就業規則といった形式をとらずに、臨時・非常勤の雇用形態や職種ごとに要綱・規程として労働条件・雇用条件などを各自治体が定め、自ら管理しています。しかし法的には就業規則と同じ性格のものですから、全体をパート規程集などにしてまとめ、つねに労働者に掲示や配付をさせるようにすべきです。パート労働者本人が求めればいつでも示さなければならないことはいうまでもありません。
 「パートタイマー労働法」にあるように、公務パートに適用される規程・規則を作成・変更するときは、パートタイマーの意見を聴くように努めなければなりません。やはり最良の方法は、パート自身が労働組合として、改訂や改善について団体交渉で対等に決めるようにすることでしょう。交渉を拒否して一方的に改訂することは今後はできないのですから。

 C条例
臨時・非常勤の賃金労働条件に関わることがらを条例によって定めなければならない場合、そこの議会で設置・改訂を行います。たとえば臨時・非常勤の賃金・手当・報酬額の設置・改正や、臨時・非常勤の災害補償条例の設置、などです。

 D法律
 労働基準法、社会保険や労働保険などの法律、労働安全衛生法、パート労働や男女均等などに関する法律、労働組合法などの組合に関する法律などは、たとえ個別の契約書に書かれていなくても、これら法律の定める権利や制度は契約の前提に含まれていることになります。つまり法律は上記の規程や条例よりも全てに優先するものです。
したがって使用者が決めたことが労基法の最低基準に下回っていたり、保険制度の規定に反するような規程は無効となるものです。

 E労働組合と使用者との労働協約
労働組合が自分たちの賃金労働条件、雇用保障などについて法律や規定以上の改善を要求し、確認された内容について協定することができます。これは上記の就業規則・要綱・規程などよりも優先的な効力を有するものです。したがって労働協約による改訂内容は、常に諸規程に反映させて、労働者に周知徹底させなければなりません。
労使間でとり交わした『協定書』『確認書』『覚書』『同意書』なども法律的効力は同じであり、労働協約として有効です。ここで大切なことは、この協約内容を下回って、就業規則や要綱を改悪することは許されないということです。(かってに労基署に届けても無効とされます)。当局が一方的に規程改悪をくわだてることができないのですから、労働協約は大きな威力をもっています。それには労働組合に入ってこそ、不安定な公務パートの労働条件の仕組みを、より確かに築いていくことが可能になるといえます。

 F職場の慣行
自治体の定めた規程にはなくても、職場の永い慣行で運営されてきた中には、意外に重要な労働条件が多くあるものです。
限られた人手と勤務時間のやりくりの中では、職場仲間のチームワークがうまくいかなければなりたちません。互いに融通しあって生活や健康問題をカバーしあっています。特別休暇の付与や逆に夏期の勤務日数の確保のこと、休憩時間のやりくりなど、規則にこそうたわれていないけれど、とても重要なことが職場にはたくさんあります。
 リストラをすすめる当局は、まずこうしたよい慣行・慣例を壊そうとしてきます。規程に書かれていないことは何してもよいことにはなりません。はじめに保障されていたはずの職場の労働条件環境が一方的に変更されていく、これははなしが違うということです。以前からあった職場労働条件の良い慣行も労働契約の一つです。守らせるようみんなでとりくみましょう。

 G口頭の約束
  口頭も立派に契約のうちです。文書にさせておくのがよいに決まっていますが、口頭の場合もあるでしょう。
口約束は契約にあたらないのでは、と引き下がってはいけません。雇い入れの際、「何年でも働いてもらっていいよ」「○年後には正規にする」と言われ、そこで働くことを決めました。いまになって「1年契約が区切りだから来年は更新しない」と言われたらどうしますか? 約束をあてに働いてきたのですから、「契約違反は認められない」と、ここはがんばることです。

H使用者が契約につける条件についても、法律は次のようなことを禁じています。

1、勤める期間を、3年とか5年というように1年を超える永い期間に決めることはできません。(労基法14条)
永い期間を決めると特別のことがない限り労働者はやめることができなくなり、悪い労働条件であっても無理に働らかなければならなくなる危険性があり、労働者を保護するために定められました。勤める期間を決めなければ、労働者は2週間前に申し出ることによっていつでも労働契約を解約することができます(民法627条)。
 最近多くの自治体で、1年毎の契約を何回まで更新する、という名目で、事実上何年契約といったやりかたが拡大されていることは重大な問題です。明らかにしてはならない契約行為ですから、継続的な実態の雇用については期限付契約を許さないように、正規やパート全体でたたかいましょう。

 2、労働組合に入らない、政治活動はしない、などを採用条件や解約条件にすることは禁じられています。
『服務規程』などでこうした規制事項を過度にうたう例もあるので注意しましょう。思想信条の自由は憲法で保障されたものであり、いかなる規則や労働契約といえどもこのような条件をつけることは許されません。いくら使用者が職場内においては職場規律だけに従えといっても、労働者が憲法に保障された人権や思想信条の自由までをしばり、昼休みや時間外にもいろいろな活動を行うことを規制する権限まで有しているわけではありません。『職場に憲法も法律もある』のです。
 よく採用の際に、労働組合には入らないようにと、こっそり口頭でいいふくめる管理職もいます。これらは憲法で保障されている団結権や思想信条の自由(第28条)を侵す行為であり、かたく禁じられています(労組法7条1号)

3、仕事によって損害を発生させたときにいくら払うこと、仕事を途中でやめたときに違反金をいくら払うこと、などあらかじめ、その金額を決めてはならない(労基法16条)とされています。(自治体にはチケットや商品を扱う職場もあります。労働者への一方的な賠償責任や処分攻撃などのないように、就業規則や要綱にある『懲罰規程』は事前によくチェックしておく必要があります。)

4、その他、労働災害や妊娠・産休などを理由にした解雇条件をうたうことは禁止されています。
 

        挿絵6
 
 
 
 
 
 
 

以上のように、労働者が働く上でさまざまな権利や義務がさだめられたものは、どれも「労働契約」に含まれるものです。
 さあ、あなたが公務パートと働いていくために、『労働契約』にはどんなことが含まれているのか、おわかりになったと思います。
これからも契約更新の際には、こうした心得をもってのぞみましょう。

 
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