=====   自治体にはたらくパートの権利手帳   =====
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[第3章]これだけある公務パートの権利と制度保障
§1  公務パートに権利や制度保障はない?
§2  パートも均等待遇に扱われるのが世界の流れ
§3  公務パートにも労働基準法が適用
§4  一番素敵で強力な権利 それはパートが団結すること、たたかうこと
           労働三権      ●不当労働行為の禁止       ●委託契約でも労働組合に入れる

§5  さまざまにある制度の適用
     @社会保険(厚生年金、政管健康保険)のあらまし
     A雇用保険のあらまし
     B労働災害補償のあらまし
     C年次有給休暇
     D勤務についての決まり
     E生理休暇は請求権です
     F産前産後休暇や妊産婦の権利
     G育児時間
     H育児・介護休業
     I労働安全衛生
     Jパートの税金問題
     K最低賃金法の適用
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§5  さまざまにある制度の適用

B労働災害補償のあらまし
       ●公務パートの労災補償は、職種・勤務条件で加入制度がことなります
 §労働者災害補償保険法(労災保険法)
 §地方公務員災害補償法(地公災法)による条例
 §労災はかならず補償されます
      ●すべての労働者に適用されます
      ●手続は
§使用者責任の上乗せ補償をさせましよう
      【チェックポイント】  ◇不服の申立て◇
§登録ヘルパーさんの災害補償は?
      【チェックポイント】  ◇請求権の時効と遡及(さかのぼっての)手続◇

「園児の投げたオモチャで
 怪我。通院加療中」
 
「永年、患者の移動作業で腰
痛が悪化して働けなくなった」
                  挿絵10
「自転車通勤途中に車にぶつ
 けられ、当分入院」

さあ、こんなときにパートだから何も保障されないなんて思いこんでいては大変。生活がかかっているのですから。パートもアルバイトも通常の労働者(公務員)と同じようにしっかり補償制度があることを知っておいてください。働けてこそ労働者です。
 よく使用者は、ノーワーク・ノーペイ(働かない限り払わない)とおどします。ここは「働けたはず=かせげたはず」の補償制度です。パートにも等しく権利がおよびます。
 労災保険は本人負担はもともとありません。かりに当局が加入を怠っていたとしても、本来が強制適用ですから本人には必ず補償されます。
 

●公務パートの労災補償は、職種・勤務条件で加入制度がことなります

 民間企業の労働者は「労働者災害補償保険法」(労災保険法)の適用を受けます。地方公務員は「地方公務員災害補償法」(地公災法)の適用となります。
公務のパートタイマーは、水道、清掃、給食など労働基準法適用事業所(労基法第8条1〜10、13〜15号)とされているような場合は、民間労働者と同じ「労災保険法」が適用されます。自治体によってこの号区分は異なることがあり、労災補償の制度適用が自治体によってまちまちの実態です。事前によく調べておく必要があるでしょう。
 常勤同様の再任用職員が「地方公務員共済組合」に加入することがありますが、労災保障も公務員と同じ「地公災法」適用とするときもあります。しかし一般的な臨時・非常勤職員は常勤職員と区分されているので、上記「労災保険法」適用でない場合は、「地公災法にもとづいて定められる災害補償条例」(各自治体の条例で定める制度)の適用を受けます。

「災害補償条例」では、正規公務員の「地公災法」や「労災保険法」と均衡を失したものであってはならないとしています。しかし現実には、単にパート労働だからということで、なんの合理的理由もなく、補償に差別的差異を作っています。
 「労災保険法」では休業補償は60%、地公災法は80%となっています(ただし「労災保険法」
では特別支給金が20%加算されま
す)が、正規職員の場合、地公災法
を上回って100%の休業補償をす
る場合があります。         挿絵11
また「労災保険法」では休業3日ま
では待機期間とされ、4日目からの
補償ですが、「地公災法」では休業
初日から補償されます。労災補償に
までこうした差別をつくることは無
くしていくべきです。公務パートも
本来ならすべて「地公災法」適用に
させ、補償も労働時間比例による相
対的な扱いでなく絶対的均等待遇を
実現させる必要があります。
 

§労働者災害補償保険法(労災保険法)

 仕事が原因で病気になったり、ケガをすれば、労働者はとたんに生活に困ります。労働基準法はそうした場合に、事業者に療養費の負担と(労基法75条)、働けない間賃金がもらえないときは、その休業補償として平均賃金の60%以上を支払うこと(労基法76条)を定めています。そこで使用者が保険料をかけ、国が補償する労災保険制度によって、こうした場合の補償を行います。現行の法定補償は不十分なため、事業者が上乗せ補償をすることも一般的になっています。
また労災保険は、仕事上の災害だけでなく、通勤途中でけがしたり死亡した場合(通勤災害)にも適用されます。
このほか障害が残ったり、死亡した場合には障害補償給付金や遺族補償一時金(年金)、葬祭料などが支給されます。
 

§地方公務員災害補償法(地公災法)による条例

 いっぽう地方公務員には「地方公務員災害補償法」(地公災法)という制度があります。そして自治体の「常勤でない」臨時職員・非常勤職員に対しては、この「地公災法」にもとづく「公務災害補償等に関する条例」などの設置を義務付けて、これによる労災補償を行うこととなっています。
 いずれにせよ地方公共団体(事務組合方式などもふくめ)等が直接責任を負うことだけは確かです。どこにも加入していなかった、すぐには予算がない、だから補償できないということはありえません。(それぞれの自治体における公務災害関連条例や、臨職・非常勤要綱などでどのように扱われているか、ふだんから確かめておくことが大切です。労働者に求められれば使用者は明示する義務があります。)
 なお、関連法人・外郭団体の職員は民間労働者ですから、常勤もパートもすべて「労災保険」の適用となります。

§労災はかならず補償されます

「パートにはそんな補償はない」とか、「手続が大変だから」と暗に届出をさせない例があります。労働組合や詳しい人に相談をして、泣き寝入りのないようにしましょう。

 労災補償は、労働時間や勤続期間が短いからといって適用されないことはありません。アルバイト生で初日に怪我した場合でも補償しなければならないのが労災保障です。
 またこれが原因による休業に対して解雇することは禁止されています。公務災害による休業はたんなる欠勤ではないので、出勤率がたりなくて年休が出ない、契約更新しないといった不利益扱いも許されません。
 たいしたケガに至らず、短期間休めば治るといった場合、上司が「手続するほどのことではない」といいながら、賃金はしっかりカットされた、という例もあります。そういうときは有休扱いにさせるなどカットしないぐらいの考慮をするのが当然のはずです。それすら認めないようでしたら、めんどうなどと言わせず、規程どうりの補償手続をさせましょう。

●すべての労働者に適用されます

 労災保険料は労働者が負担をしなくてよいので加入していないと思っている人もいますが、使用され賃金を支払われている者であれば強制加入であって、雇用期間や身分に関係なくすべてのパートも給付対象者となります。万が一、事業者が加入を怠っていたとしても、最寄りの労働基準監督署に本人が訴えれば、給付されるようになります。

●手続は

労働基準監督署にある労災保険請求書に、災害の原因と発生状況を書いて、医者と使用者の証明をもらい、労基署に出します。
使用者が証明してくれなかったりしても、労基署が職権で調査して、労災に当れば保険給付をしてくれます。時間がたつと証明がしにくいので早く手続をすることが大切です。
 公務災害補償には、大きく分けて業務上のケガや病気に対する補償と、通勤途上の災害補償があります。いずれも認定請求は任命権者(使用者)を通して手続します。
 

§使用者責任の上乗せ補償をさせましよう

 パートの労災補償が低いということは、正規と同じ職場で同じ労災にあっても、救済内容にまで身分的な差別が持込まれる事を意味します。労災に差別的扱いはさせないよう条件のチェックをしましょう。たとえば、法定外として、使用者側負担による補償額の上乗せをさせるなど、正規職員との格差をなくさせましょう。

【チェックポイント】◇◇◇不服の申立て◇◇◇

 災害や疾病の認定にあたっては、それが公務に起因するかどうかが大きな問題になります。したがって、発生したばあいには、所属長など(事実に立ち会った同僚でもよい)の署名による『現認・確認証明』をとって
おくことが大切です。
 万が一、認定されないような
場合、不服申立制度もあります。
組合に相談しましょう。また、    挿絵12
療養費や休業補償費の全額補償
を労使協定で決めることもでき
ます。運動でよりよい改善をす
すめましょう。

§登録ヘルパーさんの災害補償は?

登録ヘルパーは雇用契約ではない、個人「委託」契約だとして、仕事による災害について無責任な対応をする自治体当局や社会福祉団体などもあり、契約関係がトラブルのさまざまな原因となることがあります。
仕事途中の交通事故、感染による罹病、介助や治療上のことで患者・家族とのトラブル、けじめのつかない労働時間、しかし公務としての責任は重大に負わされている、といった問題に直面します。けれど、たとえ雇用契約でないとか「委託」契約に明示されていないからといって、事業者として従事者の事故や業務上のトラブルに責任をとらないことは許されません。こうした際に対応する保障制度を自治体や社会福祉団体に求め、着実に実現しているところがあります。だまっていては納得のいかない処理に泣かされることになりかねません。やはり行政の公務責任を貫徹させるためにも、雇用関係を明確に結ぶことが第一です。またそれに近づけるためにも、一般の職員や公務パートとの格差をあらゆる面でなくさせるように運動していきましょう。『パートの権利』でも説明されているるように、「委託」契約の労働者もおなじ自治体の労働者です。自治労連に入って、ともにがんばりましょう。

【チェックポイント】
 ◇◇◇請求権の時効と遡及(さかのぼっての)手続◇◇◇

 加入資格や受給権利があったにもかかわらず措置されていなかったという場合、どれだけさかのぼって請求できるでしょうか?
 法律では、社会保険や雇用保険、未払い賃金、年休など、ほとんどの請求権について2年間(退職金は5年間)で時効にしてよいとしています。(それが使用者の「確信犯的」な脱法行為だとすれば、だいぶ甘過ぎる感がありますが)もちろんこれにこだわらず始めの時点から何年分でもきちんと責任を果たさせるべきです。なおこの時効は、労働者や組合が請求訴訟を起したり関係当局が請求を承認しているばあい、時効はその時点で中断とみなされます。なぜなら使用者が違法状態を解消せず時効の到来を待つということを防止する必要があるからです。
 使用者の責任ある姿勢をもとめ、パート仲間のこれからのことも考えて、たとえ小さなことであっても、パート労働者の権利向上にひとつひとつつながっていくという姿勢でとりくむことが大切でしょう。
 社会保険関係は、離職してから遡及復元するのはそれだけ難しくなります。なにごともできるだけ早く請求をすることが大切です。なお2年遡及させる場合に、通常は2年分の保険料を一度に払うことを求められます。そのあまりの多額さ(50〜100万円)ゆえにあきらめようかと思ってしまいます。
 ところが心配はいりません。もともと社保加入資格のある人はその収入状況からみて国民健保と国民年金を支払っていた人がほとんどだと思われます。2年さかのぼって社保に切りかえるという意味は、2年分の国保・国年の全額が本人に還付されることになります。(本人居住地の役所で還付請求をします) いっぽう、社保の過去2年分の一括払いについては、そもそもが使用者責任なのですから、全額負担させるか、本人分を立て替えさせて、分割延べ払いをさせる事を要求します。都立病院の非常勤は、運動でそうした成果をあげました。
 雇用保険は離職する事態になってからでも遅くはありません。労働者の救済については、社会保険にくらべてかなり原則的な救済措置をしてくれるようです。使用者とかけあってもらちが開かないとあきらめず、組合を通すなどして、まず事業所のある所轄の職業安定所に『確認申請』をしましょう。使用者側の対応がどうあれ、給付手続できるよう強くはたらきかけます。使用者にはできるだけ多く過去にさかのぼって加入するよう求めます。雇用保険給付表にもあるように、加入年数で給付が大きく違ってきます。
東京都・区立学校の非常勤講師は、都教育庁相手に2年遡及をさせ、800人の短時間被保険者適用を勝ち取りました。
 

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