=====   自治体にはたらくパートの権利手帳   =====
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[第4章]労働条件の向上をめざして 
 
§1 賃金における均等の待遇を
      (1)均等待遇の原則
      (2)単価の大幅引き上げ、昇給制度の確立をめざそう
            ●昇給制度の確立
            ●春闘、人勧闘争といっしょになって、抜本改善を
            ●賃金の固定給、月給制について
       (3)通勤手当支給はいまや常識
            ●制度として支給を認めざるを得なくなった当局
            ●賃金部分と切り離して支給させましょう
            ●時給の見直しを
            ●支給額上限の格差をなくそう
       (4)一時金
            ●一時金の獲得実績
            ●ボーナスも出さへん市がどこにあるねん?
                  【チェックポイント】 ◇手当支給は法律で禁じられている?◇
       (5)退職金
                ■退職金の獲得実績
             ●退職金支給はときの流れ
             ●常勤の実態に近いものには退職手当を支給する(自治省)
             ●中小企業退職金共済事業団(中退金)
        (6)諸手当の支給実施は時代の流れ
             ●実態がまちがっているのでなく、制度がまにあっていない
  
  §2 時間短縮と労働条件
  §3 福利厚生
  §4 病欠、忌引等の保障
  §5 教育・研修制度 
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§1 賃金における均等の待遇を

公務のパートは、「いまやなくてはならない存在なのに いまどきあってはならない扱い」とよく言われますね。公務のパートのおかれている実態をよくあらわした言葉です。
 労働基準法は「同一労働、同一賃金」の原則をうたっています(第4条)。世界の大勢も、正規とパートの差別撤廃を基準として確立しています。公務パートには、正規職員と同一の労働に従事しているのであれば、勤務時間に比例した、同一の賃金が支給されるべきです。その他の手当や福利厚生部分では比例でなくできるだけ同一の扱いをすべきです。

(1)均等待遇の原則

「パート労働法」では、パートの賃金ボーナス退職金については、その就業実態、正職員との均衡等を考慮して定めるように努めることとなっています。
 また1994年ILO総会で採択された「パートタイム労働に関する条約(175号条約)」と、各国への「勧告(182号)」は、公共部門・民間部門を問わず、「正規職員と同一の労働に従事しているのであれば、勤務時間に比例した、同一の賃金が支給されるべきである」ことの原則を国際的に確立しました。これは「すべてのパートタイム労働者に適用される」ものとされ、もちろん期間の定めのある臨時的雇用、季節的アルバイトも含めて、各国が次のような基準を達成するよう求めています。なお、日本政府は公務パートへの適用除外を盛り込むよう主張しましたが容れられませんでした。(いつもの手口が、世界には通用しなかった、ということですね)
 しかしこの条約は日本において国会で批准をすることで国内法として効力を持つものであり、日本政府は世界の流れに逆らって未だに実施しようとしていません。けれどもこれは世界の基準としてすでに確立されたものです。日本の財界(経営者)や行政当局が無視しようとするほど、国内や世界中の批判の前に矛盾をいっそうさらけることになるでしょう。

 臨時職員の賃金決定基準について、かつて人事院給与局長は、公務員共闘代表との交渉の席で、「一般職員との均衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給する建て前からいって、一般職の25分の1(週休2日制の現在に換算すると20分の1)として算出した額を日額とする」と回答しました。
また自治省も次のような行政実例を示しています。
「臨時的任用の職員は、給与、勤務時間、その他の条件について、別個の条例で定めない限り、他の職員と同様にすべきである」(昭31、3、8自丁公発33号石川県総務部長宛公務員課長回答)
 しかしなんといっても全国の関連労働者のねばり強いたたかいによって、賃金・労働条件の改善は、国・自治体当局や、さまざまな法律・制度の規制をはねかえして、ひとつひとつ突破をはかってきたことが今日の前進を築いてきたのです。
 ここでは、こうした全国の運動の成果に学び、制度や理論を身につけて、わたしたちの要求に確信をもってこれからの運動に活かしていきましょう。
 自治体関連労働者の賃金を大幅改善をさせることは、関連労働者の地位向上のみならず、安上がりの「行革」路線や人減らし自治体リストラにストップをかける重要な課題として、いまや全ての自治体労働者がともに闘う運動となっています。
 みんなでガンバレば、きっと大きな成果に結び付くことでしょう。

(2)単価の大幅引き上げ、昇給制度の確立をめざそう

   ●昇給制度の確立

 多くの自治体では、臨時・非常勤・パート職員の賃金は、月給払いの形になってはいても実質は時間単価による時間給制または日給制となっています。パートだから安くてよいということにはなりません。同じ職種ではたらく常勤公務員の月額の20分の1を最低の日額、その8時間割分を最低の時間単価とするなど、根拠と目標を持って要求していきましょう。

  自治労連の瀬戸市給食配膳パートの賃金の決め方は
  時間単価×1日4時間×年間195日=瀬戸市の6等級11号×0、3
  =国公2級5号相当)  と算定し、時給を818円(92年当時)  に定めています。
 

 各自治体によってこうした格付けの仕方はさまざまです。
大切なことは、労使合意で制度をきちんと確立しておくことでしょう。そうすれば、改善をさせていく確実な根拠やすじみちが敷かれることになります。
 たとえば、人事院勧告による給与改定が公務員に行われる際にも、臨職・非常勤職員の単価引き上げ要求をしなければなりませんが、上記のように、賃金の基本を公務員の昇給制度の一部にでも格付けておくことで、ベースアップや定期昇給獲得も容易となります。

   ●春闘、人勧闘争といっしょになって、抜本改善を

 もちろん昇給制度への格付け
があれば、パートの賃金のし
くみは「こと足りる」という
意味ではありません。この格
付け自体にも、パート相場が    挿絵19
働いて低く格付けされてしま
うからです。そもそもがパ
ートの「単価」は、「善くも
悪くも」世間水準と深く結び
付いていることは、わたした
ちの実感ではないでしょうか。
 今日の公務パートの低賃金構造を根本的に打破するためには、みずからの大幅賃上げの闘いと、全国いっせいに闘われる春闘や、人事院勧告と闘う公務員のなかまといっしょになって、大きな運動につくりあげていくことが重要であることはいうまでもありませんね。

   ●賃金の固定給、月給制について

 長期に継続雇用されているものについては、固定給(月額制)を実施させることが望ましいといえます。
月給制によって、
 ▼勤務日数の変動からくる不安定収入の解消
 ▼定期昇給、人勧による給与改定(ベースアップ)をさせや   すくなる
 ▼時間短縮による月収低下をさせず、単価を引き上げさせる   ことができる
 ▼互助会などへの加入、福利厚生の正規に準じた措置をさせ   やすくする
 

(3)通勤手当支給はいまや常識

   ●制度として支給を認めざるを得なくなった当局

 通勤費は地方自治法で非常勤に対しては支給できないと、永年当局は主張してきました。(昭和33年8月19日付で人事院は「非常勤に支給される通勤手当相当の給与に対する所得税は非課税扱いとする」通知を出していたぐらいなのですが)。
全国各地の運動の実績によって、いまではかなりの自治体で臨職・非常勤への通勤手当は常識となっています。そうした反映もあって、自治省は96年3月13日付で各自治体に非常勤職員の通勤費を実費弁償として支給してもよい、との通知をしました。
 労働時間の多少にかかわらず全て支給対象とするものです。いまだ実施していないところでは至急実施を求めるとりくみをすすめましょう。

   ●賃金部分と切り離して支給させましょう

 実費弁償とは、基本報酬や諸手当とは別に切り離されたもので、必要上かかった費用を弁償するというものです。したがって自治省は今後通勤費は通常の賃金とは別に支払うものとしたわけです。ところで通勤費は非課税(現在は5万円を限度額)扱いなので、賃金(報酬)部分と切り離す必要があります。
毎月の給料支払明細書においても明記させましょう。通勤費が年間何万円にも及ぶ人は、払わなくてよい多額の税金をとられてしまいます。注意しましょう。(これまで不当に課税されてきた人に対し、本来なら使用者は還付請求ができるようにさかのぼり措置をすべきでしょう)

 
   ●時給の見直しを

 これまで通勤手当は支給できないことを理由に、臨時・非常勤の時給のなかに名目的に組み込んで賃金として支払ってきたところがあります。そうしたところでは従来の時給から通勤費を差し引くようなことは絶対にさせないことです。むしろ費用弁償だというのですから、従来の賃金とは別に実費を支給するように、見直しを要求していきましょう。
(なお、自治省はあくまで非常勤職員への通勤費は正規公務員とちがって、手当ではない、費用弁償だ、として一時金など他の手当実現へ波及することにけんめいです。しかし通勤費が手当制度の新設ではなく、実費弁償であるのなら、永年支払請求をしてきた労働者に対して、さかのぼって弁償をするのがスジというものではないでしょうか?)

   ●支給額上限の格差をなくそう

 パートを近在から採用するケースが多いなかで、遠距離通勤を余儀なくされている人への支給額が、実費よりずっと低く削られていることがよくあります。実費弁償であるというならば、不合理な上限をなくし、文字通り実費全額を出すのが道理というものです。少なくとも正規職員の通勤手当規程に準じるようこの際是正させましょう。
 

(4)一時金

   ●一時金の獲得実績

 期末勤勉手当の臨職・非常勤には制度適用されていないなかで、名目は「○○報酬」「特別報償金」などいろいろですが、たたかいによって実質的には一時金制度を各地で実現しています。
 
 ★岡山市嘱託非常勤  報償金(一時金)
    3月=0、5ヶ月 6月=1、9ヶ月 12月=2、5ヶ月
 ★岩手県大槌町ホームヘルパー
   組合結成して1、5ヵ月を3、0ヵ月に
 ★正規職員並み(寝屋川市)
 ★給食パートに夏季46日分(八尾市)
 ★長期アルバイトに年2、5ヶ月(守口市)

   ●ボーナスも出さへん市がどこにあるねん?

 大阪自治労連の臨時・非常勤労働者は、いまでは一時金を年間4ヵ月以上獲得している市が数多くあって全国一の獲得水準をほこっています。大阪衛都連などの永年の共闘運動の実績が積み上げた成果です。そんな大阪でも10数年前には「ボーナス出す市がどこにあるねん?」と、各当局とも取り合おうともしませんでした。でもやがて逆転して「ボーナスも出さへん市がどこにあるねん?」と、組合が詰めよるまでになり、いまの水準を築きました。

   【チェックポイント】 ◇手当支給は法律で禁じられている?◇

「手当支給は法律で禁じられている」という宣伝は誤まっています。当局はよく地方自治法203条をタテにとって、非常勤には「報酬」しか認めておらず、一時金・退職金を含む諸手当の支払は禁じられているなどと宣伝しています。しかし「報酬」とは賃金以外のことを別にさしたものでなく、民法や労基法では「賃金」と同じ意味にあたるものです。(労基法11条では、賃金の定義について「名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めています)。また、一時金・退職金の法的性質は賃金の後払いと解されます。非常勤も労基法上の労働者ですから、自治法203条にいう「報酬」も労基法上の「賃金」であり、203条は、そもそも諸手当・一時金・退職金もすべて「報酬」の一形態として支払われるべきことを予定した法律だといえます。現に、同法205条3項5号では、「非常勤の給与の調整に関する事項について条例でさだめるべき」とまで明確にうたっているにもかかわらず、もし203条が非常勤の給与を禁じたものと考えるなら、同じ法律の中で矛盾することになり、この点でも当局側の宣伝の誤まちを証明しています。むしろ203条は議会の議員、委員会の委員といった例示で規定されているように、常用に近い非常勤に対して予定したものではないといえます。常用的な非常勤についてはちゃんと204条に「正規職員と同様に給料及び手当がしはらわれるべき]ことが定められています。非常勤が常勤に近い仕事をしていれば残業をする事はありえます。いくら建て前はさせないといっても、させてしまった残業代は法律によって払わねばなりません。非常勤に時間外手当を支払うのは自治法で禁じられているという理屈は、労基法違反ですから通用しません。とうぜん残業手当を支給する根拠となる法は存在しているはずです。当局のいう「支給する根拠となる規定がない」のでなくて、もともと普通にあると考える何の法律によっていまや非常勤に手当は出せないという悪宣伝は、きっぱりとはねかえしていきましょう。
 臨時職員は正規職員と同時間数勤務であれば、同法204条の適用となり、当然に諸手当が支払われるべきです。実際に自治省もそのように行政通達しています。

(5)退職金

■退職金の獲得実績

  ★岡山市嘱託非常勤の場合(
    退職報償金=月額報酬×(勤続年数×0、7)
   ただし最高限度15ヵ月
 
  ★名古屋市国保推進員の場合(89年度)
    勤続1年〜40年(支給月数 0、67〜34、29月分)
 
  ★瀬戸市嘱託職員(国保年金推進員、警備員、給食配膳員
   交通指導員)の場合(92年度)
    勤続1年〜35年(支給月数 0、5〜27、7月分)
  ★長期アルバイトにも退職慰労金(松原市、東大阪市)
                      
 大阪府高石市の積み立て制度
  一人2口(10/1000円)の掛金 ●●●????

   ●退職金支給はときの流れ
 多くの自治体当局は、「退職手当」は継続勤務でない臨職・非常勤には支払われるべきでないと主張しています。しかし任用の形式はともかく、実質的に長期にわたって雇用関係が継続している場合には当然支払われるべきものです。事実がものをいうわけでしょう。全国各地で、名目は「退職慰労金」「退職報償金」などいろいろ表現されていますが、実質的に退職金制度を実現しています。法的な性格としては、一時金も退職金も賃金の後払いと解されています。
いまや正規に近い勤務実態の公務パート労働者が増えているなかで、退職金支給はさらに全国に拡大されていくでしょう。
積極的に実現を求めていきましょう。

   ●常勤の実態に近いものには退職手当を支給する(自治省)

 「実態が常勤と近い方は、退職手当等につきましては常勤職員と同じ扱いをする。具体的には、常勤の勤務時間以上勤務した日が月18日以上ある月が6ヵ月以上を超える(当初12ヵ月という答弁を訂正した点に注目を)方には退職手当を支給する」(日本共産党吉川春子議員の質問による自治省公務員部長の回答/平成8・5・22第136国会参議院地方分権特別委員会、)
 

   ●中小企業退職金共済事業団(中退金)
 臨職・非常勤に退職手当制度が実現困難なしないパートの制度利用も有効です。(奈良県I市、北海道?市)
 これは毎月一定額(●●●円〜 ●●●円)を使用者側の負担で掛け、退職時に本人に支払われる制度です。
 例 5年(月額積立て●円なら●?円)
  20年(月額積立て?円なら?円)
 勤務時間や日数に応じて掛金の方法を労使で自由に決められるし、雇用の一時的中断に対しても中退金は継続させる等の弾力的運用も考えられます。
 また、商工会議所などの「特定退職金共済制度」を利用している自治体もあります。
 退職手当制度から除外されている不安定雇用の公務パートにとって、制度確立をめざしつつも、少しでも要求前進させていくために、こうした既存の制度活用も大いに研究をして、実現させていきましょう。
 

(6)諸手当の支給実施は時代の流れ

★その他にも、扶養手当(家族手当)、住宅手当、夜間・土日勤務などへの 特別勤務手当の加算なども実現しています。大阪府のいくつかの市では、扶養手当を人勧に準拠して支給させ、住宅手当も独自に支給制度をかちとっています。また多くの自治体で、夜間勤務者や土日勤務に対して、特別手当や時給割増し加算を支給させるなど、勤務条件に対する処遇の改善をきめ細かく勝ち取っています。

   ●実態がまちがっているのでなく、制度がまにあっていない
 いまでは多くの自治体で、臨職・非常勤にさまざまな手当支給が実現するようになっています。中には条例や制度として明確にされていない場合も多くあります。それは、いまやなくてはならない公務パートの存在がいかに重い意味をもっているか、の証しでもあります。制度上の規制があるなかで、ねばり強いパートのたたかいがこうした実態を築いてきました。
 自治労連が自治省交渉の際にも、自治省がどんなに公式発言として「手当は認められない」と言おうとも、全国の実施状況について「すべて違法状況として否定するのか」と追及しますと、「各地方の団体の判断によって行っていること」と、言わざるを得なくなっています。
 制度の壁を打ち破る全国のたたかいの経験をもっともっと広げて、やがて産別の大きな運動によって本格的な法制度の確立へと大きく前進させる「展望の時代」をめざしましょう。

          挿絵20
 
 

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