五條ユースフォーラムに寄せて


五條市教育長  戸田 勝堅


 アメリカのジョン・F・ケネディ大統領がもっとも尊敬した日本人は上杉鷹山だといわれています。また近代日本の夜明けを見つめた吉田松陰は、獄中からの書簡に「自由」の先覚者として「那波列翁(ナポレオン)」の名を挙げています。
 洋の東西、時代の今昔を問わず、人物の評価は思想やイデオロギー、価値観の是非は別として、見るべき人が見るときには正鵠を得たものがあります。
 ユースの皆さんが魅力あるまちづくりの要諦として、魅力ある人づくりを置かれたのは、まさに、”正視眼”という意味で画竜点睛であり、変化、変化の連続の中でも、常に普遍的に存在し続ける”人間”というものが、新たな時代のキーを握るものであることを教示してくれています。
 紙面をお借りしてではありますが、改めて申し上げたい。
 ユースフォーラム第4期の皆さん、一年間、本当にご苦労様でした。ありがとうございました。
 皆さんが発見された素敵なまちの人物は、誰でもが知っている人だけではなく、毎朝、近隣の清掃作業を黙々と続けるご婦人、障害を抱えながらも懸命に生きる青年、蛍が飛び交うまちづくりに汗を流す人たちなど、様々なジャンルの人物が入っていることをお聞きしております。素晴らしいことだと思います。
 新時代建設の本当の立役者は、いつも、そうした無名の庶民の結集であります。その意味では、ケネディが上杉鷹山の名を挙げたのも日本人として嬉しいことですが、ユースの皆さんが、単なる歴史上の人物にとどまらず、身近に”人”を発掘されようとしたご努力は、本当に尊いことだと思います。
 新たな世紀の開幕も間近に迫っています。いわば未知との遭遇です。そして、その舞台の主人公は皆さん方”青年”であります。
 共に語り、共に汗を流したユースの仲間とともに、大いなる可能性にチャレンジしてください。
 出会いの連続であるこの人生。皆さんのご活躍を祈念してやみません。


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