Q104 企業年金を一時金で受け取ることはできますか。
     年金で受け取るのとどちらが有利ですか?

企業年金制度では、少なくとも定年退職者には年金受給資格を与えますが、加入者の意思によって一時金として受け取ることもできます。
年金で受け取る人には利息を付与して支払いますが、税金はかかります。
一方で、一時金受け取りした場合はほとんど税金はかかりませんが利子が付きません。
具体数値で比較するため、サラリーマンを引退し、他に給与所得がない夫婦の場合を見てみましょう。前提は次の通りです。
  ・年金種類・・・・10年確定(退職金相当額に利息をつけて10年分割払い)
  ・年金給付利率・・5.5%
  ・退職金額・・・・2000万円
  ・勤続年数・・・・38年(大卒後60歳まで勤務)
  ・厚生年金額・・・月18万円(本人分、基礎年金も含む、60歳支給開始)
この例で企業年金額を計算すると、月21.5万円となります。

年金受け取りの場合、税引き後受け取り額は、税率15%と考えて
64歳までは 474万円−(474万円−149.6万円−114万円)×15%=442.5万円
65歳からは 474万円−(474万円−192.1万円−114万円)×15%=448.8万円
となります。
従って10年間の総受取り額は4457万円(うち公的年金分2160万円)となります。今回の例では公的年金部分だけを取ってみると課税はされません。

一時金受け取りする場合は、今回の例では
 退職所得控除=70万円×(38年−20年)+800万円 = 2060万円
となるため、課税はありません。
ここで、退職金を一時金受け取りしタンス預金したとすると、公的年金と合算した受取り総額は、4160万円ということになります。
年金受け取りしたほうが300万円ほどおトクですね。
現状のゼロ金利では普通預金に預けても同じ事です。
もし、住宅ローンの返済などですぐにお金が必要ということでなければ、年金で受け取っておくのが賢い選択といえそうです。仮に予想外のことがあった場合でも、企業年金の未支払い原資を一時金として受け取ることもできます。