シリンクス音楽フォーラム 23
JR草津線手原駅から徒歩で6〜7分。工場が並ぶ中、自動車販売・整備を行っている淡海自動車工業株式会社の2階がブラームスホールです。滋賀県内でも近年公立、民間で数多くのホールが整備されてきましたが、その中でブラームスホールがもっとも活動的な音楽ホールであることは衆目の一致するところでしょう。
事業所の2階を改造したホールであり、広さや天井高は制約されますが、むしろそれを逆手にとってインティメートなサロン風小ホールとなっています。座席は可動席で最大 150席、聴衆の数に応じて少なくすることができます。ピアノはスタインウェイCタイプ(セミコンサートタイプ)、ヤマハC7-B、カワイGS-70の3台、録音やビデオの設備も備えています。コンサート会場としてリーズナブルな価格で利用することもできます。
ところで、私たちの身近なところで優れた音楽を楽しむ機会が少ないというのがクラシック音楽ファンの昔からの大きな不満でした。多くの市町村で立派なホールが整備されてきているにもかかわらず、この状況はそう変わっていません。外来の演奏家による名演奏はあっても、地元から優れた演奏家が出てこない。この原因はいろいろあるでしょうが、プロデューサー(仕掛け人)がいないことが大きな原因の一つでしょう。
ブラームスホールのプロデューサー萩野美智子さんの活躍はこうした状況に風穴をあけつつあると言えます。地元の演奏家やN響のメンバーの出演する演奏会のシリーズなどのほか、お父さん合唱団「ブラボーコール」の活動、友の会(賛助会員
年1000円、ゴールド会員 年10000円)、企画会社ブラームスプランニングの発足、設立10周年(1997年)を期したブラームスホール賞の設定、など多彩に事業展開が図られ、地元に密着した音楽ホールとして声価を高めています。
また、萩野さんは声楽家であり“にほんのうた”を中心とした演奏活動にも目覚しいものがあります。そして、このホールは夫君の経営する淡海自動車工業のメセナ活動でもあります。