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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第一話・生誕』

目覚めた。

目覚めたと言うよりは、意識が突然芽生えたと言うべきだろうか。いずれにせよ、この瞬間、わたしの運命は開かれた。

そこは、薄暗く、狭い空間だった。石造りの平坦な部屋だった。汚らしくはなかった。どちらかと言えば、神聖な気配さえ感じられた。でも今のわたしにとって、そんなことよりももっと大事な事があった。

この世界に生を受け、文字通り『第一歩』を踏み出さねばならないのだ。

誕生

Lineage (R) II and Lineage (R) II the Chaotic Chronicle are registered trademarks of NCsoft Corporation. 2004 (c) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Chronicle in Japan. All Rights Reserved.

生まれたばかりのわたしは、体を動かすという、ごく当たり前の事さえままならない状態だったのだ。頭の中ではどう動くのかイメージできるし、それ以外のことも知識として持っている。なぜをれらを知っているのかは謎だけど、とにかく生まれながらに持っているものと、持っていないものがあるらしい。

体を動かす、辺りを見渡す、そんな当たり前でごく簡単なことができないのだ。

その時、声が聞こえて来た。誰なのか、どこからなのか。まったくわからない。きょろきょろと辺りを見渡す・・・ことさえもまだ出来ないのだけれど、声は、はっきりと聞こえて来た。声と同時に、目の前の床に忽然と真っ白な円形の文様が現れた。わたしの体は、無意識の内にその文様に向けて走りだした。

意外なほど簡単に、わたしの体は動いた。ちょっとぎこちないところもあるけど、まあ、それなりにうまく動けたんじゃないだろうか。

カンコーン

どこかでチャイムが鳴った。もしかしたら、わたしへの祝福の鐘なのだろうか?

すぐにまた声が聞こえて来た。そしてわたしは辺りを見渡すことを覚えた。見たい方向を意識すれば、自然とそっちの景色が見えて来る。ぐるぐると視線をうごかしてみていると、またカンコーンと鐘が聞こえた。その後も声と鐘が交互に続いて、わたしは瞬時に振り返る術や、視線を遠く近く移し替える方法なども覚えた。

声はさらにわたしを呼び続ける。頭の中にぼんやりとした場所のイメージが沸いて来て、そこへ行って人に会えと。黄色い光がわたしの行く先にぼんやりと浮かび上がる。そちらの方角に進んで行くと人が立っているのが見えた。

四人・・・いや、五人か。わたしは手近な人物に話しかけた。すると彼は言う。

魔法学校にて

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「この混沌とした世界で生き延びるためには、戦わなければならない。しかし、君はまだ未熟だ。そこでまず、君に簡単な試練を与えよう。その試練を乗り越えたら、ちょっとしたプレゼントをあげよう」

彼が言うには、この近くにいるネフィテルと言う名の野犬を倒し、その証しとしてキバを取って来なさい、と。

そして、わたしがちゃんと戦えるように、と、いくつかのアドバイスをくれた。

「手荷物の中をみてごらん」

その時、はじめて自分が荷物を持っている事に気付いた。中を開けてみると「武器と防具」が入っていた。これに着替えろ、ってことか。

わたしは言われた通りにその服を着、武器を手に持ってみた。

「君はメイジ・・・つまり魔法使いだ。ここは魔法学校。その昔・・・」

講釈はともかく、わたしは魔法が使えるらしい。生まれながらにしてそういった能力が備わっている「メイジ」と呼ばれる職業なのだそうだ。彼の指示に従って、魔法学校を出てすぐ近くの海岸に散在するネフィテルを見つけた。キツネの一種だろうか?ふさふさした尻尾が特徴的だ。

わたしは、魔法・・・ウィンドウストライクを、いつでも使えるように「記憶」の一番上に置いた。そしてそのウィンドウストライクを、ネフィテルに向けて詠唱した。

ウインドストライク

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そして、魔法を放つ!

「ヨーッ!」

圧縮された空気が塊となり、白く輝きながら飛翔し、ネフィテルを撃つ。

「ギャンッ」

跳びはねるようにのけ反り、倒れ、ピクリとも動かなくなるネフィテル。わたしは恐る恐る近付いてソレを確認してみる。どうやら一撃で仕留めることができたようだ。ふっとその死体が消滅する。この混沌とした世界では、死したる物は無へと帰すらしい。

いや、無ではない。彼の消えた後に、なにか黄金に輝くものが残されていた。なんだろう?と手にとってみるとまた何度目かのチャイムと声が聞こえた。

「おめでとう。怪物たちは倒れた際にその所持品を落とす事がある」

なるほど。それを拾うことができるのか。

それはアデナと言って、この世界の共通通貨だ。このアデナを溜めて、武器や防具を整え、より強力な怪物と対峙して行く必要があるのだ、とも声は言った。

わたしは次の獲物を求め、歩きながら、魔法を放ちながら、そんな声の説明を少しづつ聞き、この世界の有様を知って行く。そして数匹のネフィテルを撃ち取ったところで、突然わたしは眩い光りに包まれた。祝福の鐘と声が聞こえる。

「おめでとう。経験を積み重ねることで、君はより強靭になって行くだろう。はじめの第一歩を踏み出した君はまだまだ未熟ではある。これからさらに経験を重ねることで、より高次を目指すのだ」

ふーん・・・なんだか実感は沸かない。けど、なんか強くなったのだろうか?改めてネフィテルを倒して見るけれど、どう変わったのか、あまりよく違いが分からない。まあいい。目的のキバを手にいれることはできたので、さっきの先生のところにもどろう。

もと来た道・・・と言ってもさほど遠くないので、すぐにたどり着けた。

「はい、言われたキバ、取って来ました」

そう言って差し出す。

「御苦労。この学校で君に教えられることは全て教え終わった。しかし、君はまだ見習いであることに変わりはない。この学校のすぐ裏にある村へ行き、そこに居る案内人キャンスロットに会いたまえ」

ふむ・・・そのキャンスロットとか言う人物の居場所がまた頭の中に黄色い点として浮かび上がる。方角や距離がぼんやりとイメージされる。そこを目指せばいいのか・・・

「ああ、そうそう」先生が言う。「ご褒美にこの世界の地図をあげよう。きっと役に立つはずだ」

「どうもありがとうございます」

わたしは、先生に「お礼」を言って、魔法学校を後にする。

魔法学校

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真っすぐに黄色い点・・・案内人キャンスロットさんのところに向かおうとしたけれども、川や小高い丘があって真っすぐには行けないらしい。仕方がないので一度海岸近くに迂回をして光りの方向を目指す。

すると、塀が見えた。その中から立ちのぼる煙なども見える。それにあれは教会だろうか?高い建物などの影が見えて来た。

話せる島の村

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海岸では何人かの人がネフィテル・・・じゃない、あれはケルティル?・・・と戦っているのも見える。村に近付くにつれて人々の気配や話し声が聞こえて来た。村の門の両脇には門番がいたけど、すんなりと通してもらえた。その門をくぐり、村の中へと足を踏み入れる。

中に入ると、雑多な声が聞こえて来た。今のわたしにはそれを聞いて理解したり判断したりすることは困難だ。目から、耳から、流入する情報量に圧倒されて目が回ってしまっている。わたしはとりあえずまわりの一切を無視し、キャンスロットさんを探す。光を頼りに歩いて行くと、村の中央に居た。

なんて言って話しかけたらいいのか? 迷っていると、向こうから話しかけて来てくれた。

「ようこそ、幼い冒険者よ、君はこの世界で生きながらえる術を学んで行かねばならない・・・」

そうしてキャンスロットさんは、装備のこと、武器のこと、経験のこと、その他の道具のこと。モンスター達のことなどなど、わたしが進むべき道を指し示してくれた。

なにはともあれ、一通りの説明を聞いたわたしはその場を離れ、村を散策してみることにした。中央の広場の真ん中には小さな塔が立っていて、その四方に広い通路が伸び、村の外へと導く。通路の左右にはいくつかの建物がある。南側には最初に見た神殿らしき大きな建物があった。そういえば地図をもらったっけ。ごそごそと取り出して広げてみる。

「・・・」

わたしは地図をカバンに仕舞った。どうやらこの地図は世界地図らしい。村の案内図ではなかった。仕方が無いので、自分の足で確かめるしかないか。

改めて見てみると、広場には・・・いや、広場だけでなく、村中にたくさんの人が居る。広場では行き交う人々、座りこむ人。人? あれは人だろうか? 大きな耳と、真っ白な肌・・・薄青い肌や緑色の肌の・・・様々な様相の人々。着ているものも皆まちまちで、それぞれの手には多様な武器が握られている。大振りの剣、弓、斧、小刀・・・。

話せる島の村

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いけない、また目が回りそうだ。

まだわたしにはそれら全てを理解するだけの知識や経験がほとんど無い。解っているのは、そんな彼らのように武器や装備を整え、先程倒したネフィテルなどよりもさらにずっと強い敵と対峙して行かねばならないと言うことだ。この世界に踏み出す冒険者として生まれたわたしは・・・まず装備を整えてから出発することにしよう。先程拾ったアデナで装備を買うとするか。

生まれた時に持っていたのは「見習いのチューニク」「見習いのホース」上着とスカートだ。それに「見習いのワンド」と言う短い杖が武器だ。靴や手袋、それに帽子が無い。それらを買い求めることにしよう。

わたしは村の散策を続けた。お店はどこだろう?とあちこちで村の人に声をかけてみた。そういえば、キャンスロットさんが、困っているひとや、悩んでいるひとが居たら話を聞いてあげなさい、って言ってたっけ?

広場にいた人に話かけ、店の場所を聞こうと思ったら、逆に悩み事を相談された。好きな人が居るのだけれど、告白する勇気がない、相手が自分のことをどう思っているのか知りたいって、そういうこと、見ず知らずのわたしに聞いてこいって? いいのかなぁ? まぁ、頼まれちゃったら仕方が無いわよね・・・って、その人がどこに居るのか探すのも一苦労なんだけど。

やっと見つけて話を伝え、もう一度広場に戻る。

「OKみたいよ」

だらしのない彼は、朗報をもって来てあげたのに、まだ勇気が出ないって。神殿に居る神父さんに勇気の出る薬を作ってもらってるから、もらって来てくれって。んーーーーまぁ、しょうがない。乗り掛かった船ってやつ?

神殿の場所は・・・建物が大きくて目立つこともあって、すぐわかった。ちょうどいいかな?ここを起点に村の構造を覚えて行こう。

神殿で神父さんに彼のことを伝えると、薬をもらえた。薬と言うのはちょっと間違いかもしれない。裏の井戸から汲んで来た『ただの水』らしい。なるほど。『勇気を出すための薬』、そう思い込んで飲めば、勝手に勇気も沸いてくる、と。そのことは彼には内緒に、と。わたしを信用してそのことを話してくれるんだろうか。悪い人だったらそれこそ水の泡だと思うんだけど・・・

そこは、それ。まぁ、神父さんに言われた通り、何も言わずに『薬』を渡す。彼は喜んでそれを受け取った。それを飲んで、彼女に告白をするんだろう。うまく行くことを祈ってるよ。

そうこうしながら村をさまよっていると、ようやく武器やと防具を扱っている店にたどり着いた。

「こんにちは」

「らっしゃい。おや? 新顔だね」

恰幅のいい、大男。いかにも武器屋!と言った風体でわたしを迎えてくれた。

「あ、はい。わたしに合う武器とか、防具とかありますか?」

「ぉう、うちの品揃えは村一番だぜ。・・・ってここしか店はないんだけどよ。あんたは魔法使いだな。あんたに合うのはこっちの魔法使い用の品モンだなぁ」

並べて見せてくれる。ずらりと並んだ武器や防具。今着ているのとさほど変わらないひらひらの物から、もっとふかふかの物、しっかりとした作りのもの・・・武器も、長い杖や魔法の本などがある。なんだかわからないものも含めて、ほしかった手袋、靴、帽子もある。

それぞれには値札がついていた。わたしは、一番気に入った・・・高級そうな・・・服の値札を見て凍りついた。

「・・・」

「どうしたぃ?嬢ちゃん。今、いくら持ってるんだい?」

「・・・」

恥ずかしいのを必死で我慢して、ひとつ下の服を見てみる。その下・・・えっと、これも無理。これは? これはっ?

「すみません、これ、下さい・・・」

手持ちのアデナで買えそうなのは「キャップ」だけだった。そのまんま、帽子。値札にはこの帽子の性能・・・強度が書かれている。他のものと比べるとはるかに弱いけれど、何も無いよりはマシ・・・よね?

「ほい、毎度アリ」

ちゃりーん。アデナを支払い、帽子をもらって被ってみる。なんとなく強くなったような・・・気がすることにしておこう。

「それじゃ・・・」と、無一文同然のわたしは店を出ようとした。

「ああ、ちょっと待った。お嬢ちゃん、ちょっとオレの話を聞いてくれないか?」

?・・・・急ぐ旅でもない。店主の話に耳を傾けてみた。店主の話によると、大急ぎで「ウルフの皮」を集めてレザーメイルを作らなくてはならないらしい。無茶な注文を受けたらしい。

「って訳で、お嬢ちゃん、ウルフの皮を取って来てくれないか?そうだな、40枚ぐらい」

武器屋の頼み

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「わかりました、40枚ですね」

店を出、村を出て北へ進んでみる。目の前には灯台があった。まわりにはケルティルと言う名前のキツネがいる。ウルフはどこだろう?きょろきょろと辺りを見渡しながらも、ついつい、足は灯台に向かっていた。

話せる島の灯台

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灯台の下には一人の男が立っていた。やっぱり、話しかけてしまうわたし。男のひとは、話はじめた。娘に人形をプレゼントしたい、と。

この世界の人達は、見ず知らずの人間に何かを頼むのが好きなんだろうか? 話によると、そこらにいるケルティルからその毛を抜いて集め、それを糸に紡いでもらって、人形を作るのだという。糸を紡ぐ人、人形をつくってくれる人。どちらも村の中にいるという。

わたしは、灯台と村の間の浜辺でそこいらに居るケルティルを魔法で倒し、その毛を集めた。途中、また光りに包まれ、経験が上がったらしい。ケルティルの毛を持って村に戻り、糸を紡いでくれる村人を探し当て、糸にしてもらったら今度は人形を作ってくれる人だ。それは人ではなかった。倉庫に居たその人はわたしのようなヒューマンではなく、ドワーフと言う種族らしい。少し低い背丈、頑丈そうな体格。しかし、手先は器用らしく、人形はもとより、さまざまな物を作る能力があり、わたしたちヒューマンには真似の出来ない器用さを持っているらしい。

事情を説明して、人形をこさえてもらう。できあがった人形をもらうときに「しかし、あの人に娘なんていたっけ?」と言うのが気にはなったが・・・人形を受け取ってお礼を言い、灯台へと戻る。灯台で人形を渡すと、お礼に、とアデナをくれた。わたしがもらっていいのかな?作ってくれた人達に渡した方がいいのかな?・・・まぁ、もらえるものはもらっておこう。

わたしは、先の目的に戻ることにした。そう、ウルフだ。

北の浜辺

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