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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第六話・ダンジョンパーティ』

アデン本土の観光をし、単独で海を往復したわたし。ちょっとした「冒険」はあたしに勇気と希望を与えてくれた。島での活動にも身が入る。そんなわたしは、普段気にも止めない「遺跡パーティーメンバー募集」の叫びにふと興味を覚え、エルフの遺跡前へと足を運んでみることにした。

話せる島。ここはわたしたちヒューマンの生まれた場所。いずれはアデン大陸に渡ることになるのだろうけど、今しばらくはこの小さな生まれ故郷の島がわたしの活動の拠点だ。

地図でみると、アデン大陸の南西。海に浮かぶ小さな孤島。だけども、わたしが実感するこの島はまだまだ大きい。行ったことの無い場所もあるし、まだ対峙することのできない怪物・・・そう、巨大なお化け蜘蛛!・・・なんかもいる。アデン大陸へと旅立つ前にまだこの島でやらねばならないことは沢山あるはずだ。

その足掛かりとして、エルフの遺跡に入ること。これは大きな目標だった。いずれは・・・とばかりも言っていられないこともある。無論、一人きりで行くのは無謀だ、と身を持って経験した訳であるから、パーティを組んで行くのが正解だろう。

かと言って、メンバーを集めるというのも大変なことだ。わたしの場合、まだ知り合いはアミノ式、みづほさん、Lestぐらい。みんな時間がばらばらで、お互い顔を会わすこともほとんどない。いろいろ教えてくれたウィザードのお兄さんはレベルが違いすぎるし、そう言えばここのところ姿を見ない。本土に行ったきりになっているのだろう。

「遺跡メンバー募集!メイジさんファイターさん!一緒に遺跡に行きませんか!?」

戦勝記念の塔の北側でゴーレムと戦っていたわたしの耳に飛び込んで来たその叫び。どうなるか見当もつかないけど、「いっちょ、行ってみるか〜」と、エルフの遺跡へと向かうことにしたのだった。

エルフの遺跡前。そこにはすでに数人のひとたちが集まっていた。

遺跡前

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数段の階段の上に入り口があるのだけれど、その上に仁王立ちしたメイジの女性。さきほどの募集を叫んでいたひとだ。おそらくここに集まったひとたちのリーダー、まとめ役なのだろう。マジックパワーを着ているところを見ると、それなりの年齢。確実にわたしよりは「お姉さん」に違いない。

アミノ式やみづほさん達とパーティを組んでやることはあるけど、見知らぬ人達と同行したことはない。どんな風に切り出したものか・・・今日に限って、アミノ式もいない。一人じゃちょっと心細いかな・・・・

「Narurunさん!」

考えていたら、突然、わたしの名が呼ばれた。

「は、はい!?」

突然だったので、声が裏返っちゃったよ。

「一緒に行きますか!?」

「はい!」

勢いのいいお姉さんにつられて、わたしも元気よく返事をしてしまった。結果オーライ。もともと参加させてもらうつもりだったし、ちょうどいいや。

「よろしく〜〜」

「よろ〜〜」

「よろしくね〜」

パーティに加わったわたしに他のメンバーから一斉に声をかけられる。な、なんか緊張します。ドキドキです。

「よろしくおねがいします」

「でさぁ」

「はじめてなので・・・」と自己紹介とか、一応しようかと思っていたら、トロピカーナさんはじめ他のメンバーさんたちはそれまでの続きらしい会話を始めた。彼ら彼女らにとっては、慣れた事なのだろう。和やかで穏やかな時間を過ごしているようだ。

一方、わたしは、と言うと・・・

「あ、あの、わたし、遺跡ってちゃんと入るとはじめてで・・・以前に一人で入ってえらい目にあって・・・」

「こんな大人数のパーティもはじめてで・・」

「あ、えと、16歳のメイジです」

彼らの会話に交ざり切れず、決して場違いではないのだけど、ちょっと間の抜けた自己紹介をしていた。だって、緊張してるんだもん。

しゃべることが無くなって、みんなを見渡す余裕が少しできた。あ!例の「業務課」さんもいる。3号さんだ。1号、2号さんはいないみたい。剣士さんは他に、「おいーーっす」さんたち、3名。他にメイジさんが二人。

「もうひとり来ます。その人が到着したら、出発しますね」

リーダーのトロピカーナさんがそう宣言した。

「おぃーーーっす!」

「はーい」

「うぃ」

「おー」

メンバーがそれに呼応する。

うわー、ほんとになんだかドキドキ。遺跡そのものへの恐怖心もあるし、他の人達とうまく呼吸を合わせられるのだろうかと言う不安も少し。そんな風にそわそわしていると、最後の一人が到着した。

「遅れてすみません」

「おっけーおっけー。それじゃー、れっつごー」

うおー。雄叫びとともに、ゲートキーパーに殺到するメンバーたち。あわわ。わたしも行かなくちゃ。ゲートキーパーさんにお願いして遺跡内部へと移動する。暗くなる視界の中で、一人で入った時の悪夢が蘇る。がくがくぶるぶる。

遺跡突入

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出遅れたわたしを、トロピカーナさんが待っていてくれた。他の人達は少し先へ進み、すでにスケルトンを相手にしている。

「補助魔法、かけれる?」

走りだしながらトロピカーナさんが聞いてくる。

「マイトとシールドだけならあります」

「おっけー、マイトをみんなにかけて」

「はい」

戦っている剣士さんたちに追いついて後ろから補助魔法をかけてゆく。かけていると、剣士さんと戦っていたスケルトンが急にわたしの方に向かって突進してきた。あうっ。痛たたた。でもすぐに剣士さん達が倒してくれた。ほっ。怖い怖い。残りの補助魔法をかけ終えて、皆の後について進撃する。

通路の要所要所に怪物達が待ち受けており、それをやっつけながら少しづつ進む。通路の突き当たりが小さな丸い部屋になっていた。そこには、スケルトン、ゴーレム、それにラットマンと言った初めて見る怪物もいた。ばさばさと空中を飛ぶ巨大なコウモリもいる。そこへ突撃する剣士さんたち。もちろん、混戦になる。わたしもWSを使って攻撃に加わる。トロピカーナさんはみづほさんと同じウィザードらしく、火炎の魔法を放っている。なんとも、すごい威力。あっと言う間に敵の体力を奪う。比べてわたしのWSの貧弱なこと・・・

皆の体力が減ってゆくので、わたしはヒールを使う方に回る。それでも皆の体力は少ししか回復できない。自分の未熟さを痛感・・・・している暇もなく、一行はどんどんと進んで行く。まってー。

丸い角部屋を右に折れ、少し進むと、横の通路からオークの一団が飛び出してきた。もちろん、すかさず応戦し、難なく倒してしまう。メンバー個々の力もさることながら、大勢で戦うと言うことがこれほどまでの「力」になるとは。二人ぐらいでやっているときにも思ったけれど、人が集まることでその力は倍増ではなく、相乗的に高まり、飛躍的な力となるのだろう。

そのままの勢いで、オーク・・・レヌトンオークが出て来た通路へと入り、その先にある大きな部屋へと入って行った。皆の後ろから付いて行くのがせいいっぱいのわたしは、ひと足遅れて部屋の中に入り、驚愕した。

うじゃうじゃ、と言うのがピッタリだ。骸骨、ラットマンは言うに及ばず。巨大なクモが数匹。弓を携えた骸骨もいる。不気味な幽霊は大きな鎌を両腕に振りかざしている。それが、何匹も何匹も!

遺跡モンスター

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取り囲まれて、皆個別に戦闘しているけど、絶対数でこちらの方が不利。みるみる、剣士さんたちの体力が削られて行く。わたしは、とっさに覚え立ての魔法を唱えた。そう、グループヒールだ。

初めて使う魔法。パーティーのメンバー全員の体力を同時に回復させる、と教わったけど・・・参った。呪文がすごく長い。早くしないと!。あせるわたし。やっと詠唱を終え、発動する魔法。目映ゆい輝きが皆を包む柱となってそびえる。一気に皆の体力を・・・ほんの少しだけ回復できた。一番体力の減っている人に、もうひとつの魔法を唱える。バトルヒール。こちらは、逆に詠唱抜きでほぼ即座に魔法を発動することができた。緊急時の魔法だ。グループヒールやヒールなどと違って、連続的に使うこともできる。

どうにかピンチを切り抜けた・・・・と思ったのもつかの間。何匹か残った怪物たちが一斉にわたしめがけて襲って来たのだ!

「なんで!?」

逃げ惑うわたし。あんなのに取り囲まれたらひとたまりも無い。部屋の中を走り回って攻撃を避けようとする。後ろから追いかけてくる怪物。その後ろから怪物を追う他のメンバー。パニックになるわたし。

「動き回らないで! じっとして!」

トロピカーナさんから指示が飛ぶ。それって、やっぱり、わたしのこと??でも、止まったら、やられる! でも、部屋は広いとはいえ、あちこちに柱などの障害物があり、思うように走り回ることができず、わたしは結果的に立ち止まることになってしまった。

ぼかぼかっ。

いたたたた。

そんなわたしに別のメイジさんがヒールをかけてくれる。そして、わたしに取り付いた怪物を剣士さんやトロピカーナさんが全力で攻撃をしてくれている。わたしも自分自身にバトルヒールを使った。

どうにか切り抜けた!

はぁはぁ・・・

「一時退却! 通路に戻って!」

そそくさ、と通路に避難する。その最中にも怪物が襲って来るけど、数が少なかったので、どうにか切り抜けて通路に脱出することができた。

遺跡休憩

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「Narurunさん」

通路にしゃがみこむと、トロピカーナさんが切り出した。

「まず、戦闘中のヒール、特にグループヒールには注意してください。怪物たちに狙われることになります」

「はい・・・」

でも、どうして?

「それから、狙われても、逃げ回らないこと。他の怪物たちを呼び込むことになるので、状況が不利になります」

「・・・はい」

わたしが逃げ惑った結果、まわりにいた別の怪物を呼び込んでしまったらしい。皆、全力で戦い、全力で回復魔法を使ってしまったため、体力もマナも尽き果てる寸前だった。何も知らないとはいえ、わたしの咄嗟の行動で、皆を危機に陥れるところだったのだ。皆のお陰で事なきを得たけど・・・・反省しなくてはならないだろう。もっと落ち着いて、全体の状況を把握し、的確な行動を取らねばならない。もし、怪物に狙われたとしても、皆を信じて耐える必要もあるのだろう。

「でも、なぜ回復魔法を使っただけで、怪物たちに狙われるんでしょうか?」

わたしは、思い切って疑問に思ったことを聞いてみた。別にトロピカーナさんに、という訳ではなかったけど、隣に座っていた剣士さんの一人が答えてくれた。

「ヘイトだな」

「ヘイト?」また難解な言葉。

「ヘイト。敵対心だよ」

ああ、それならなんとなく解る・・・ような気がする。剣士さんは続けて説明してくれた。

「怪物達が狙うのは、敵対心(ヘイト)が最も高い相手になる。攻撃している人に回復魔法を使った場合・・・」

なるほど、「こいつ、何すんねん」と言う感じで、戦闘の邪魔になるわたしの方を先に倒した方が有利と判断する、ということなのか。もし怪物の方に仲間を回復させるやつがいたとしたら、わたしたちもそちらから先に倒した方がいい、と判断するかもしれない。ようはそういうことらしい。それで、わたしが回復魔法を使い過ぎると、わたしに対する「敵対心」が強くなって、狙われると言うわけか。グループヒールはとくに全体の回復なので、怪物達に気付かれやすいとも言えそうだ。確かに、魔法の発動自体がド派手だし・・・。なるほど、納得、なるるん。

「では、再開といきますか!」

皆が回復したころを見計らって、トロピカーナさんは立ち上がりながら「補助魔法。Narurunさんはマイトを」と指示。わたしも立ち上がり、マイトを皆にかけてゆく。もう一人のメイジさんがシールドをかけてくれているようだ。

「いざっ!」

遺跡バトル

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補助魔法をかけ終わると、トロピカーナさんは進撃の指示を飛ばしながら、自ら先頭に立って部屋へと再突入する。剣士さんたちに続いてわたしたちメイジも突入だ。攻撃と回復。両方を適宜に。でも、なかなか難しい・・・・。

攻撃するにしても、わたしが攻撃魔法を詠唱している間に剣士さんがトドメをさしてしまったりして、死体にWSを撃つことになる。回復もタイミングが難しい。特にグループヒールのタイミングはちょっと間違うとさっきみたいになっちゃうので、なかなか使えない。実際、何度か殴られそうになってしまった。ヒールも詠唱が遅いのでおっつかなくなるし。かといってバトルヒールばかり使っているとすぐにマナがなくなってしまう。バトルヒールは便利なのはいいのだけども、一度に消費するマナが非常に多く必要で、すごく疲れるのだ。

ひとりや二人でやっていたときとはまるで違う!

まだまだわたしも未熟者と言うことなのだと痛感してしまう。

だからと言って凹んでいるヒマはない。戦いは続く。

特にトロピカーナさんは戦いを楽しんでいるように見えた。普通、怪物に先制攻撃をしかけるのは剣士さんの役目だと思うのだけど、おかまいなしにトロピカーナさんは先制攻撃・・・火炎の魔法を立て続けに放っている。多少なぐられてもなんのその。そんなトロピカーナさんに回復魔法をかけようとすると、彼女は怪物から体力を吸い取る魔法を使う。年齢の違いがあるとはいえ、同じメイジでありながらこの差は!

わたしのほうはと言うと攻撃で魔力を使うと、回復に使うマナが足りなくなる。もう一人のメイジさんを真似て攻撃は「打撃」に切り替え、剣士さんにまざってポカポカ殴ってみる。効いてるのか、効いていなのか、かなり怪しくはあるのだけど。じっとしているのもなんだか気が引けるので、少しでも役に立てればと、がんばって殴る。

そうこうしていると、補助魔法の効果が切れた。剣士さんたちは戦いつつ、わたしともう一人のメイジさんとで補助魔法をかけ直してゆく。また敵対心をあおることになったのか、何度か狙われつつも、どうにかかけ終えることができ、戦闘にもどる。

やがてまた補助魔法が切れ、みんなも体力、マナを使い切ってへとへとになったころ、トロピカーナさんが「休憩しましょう」と退却を指示してくれた。ほっ。わたしもすでに回復魔法分のマナすら残ってなかった。

部屋の入り口と反対側の通路に座り、落ち着いて中を見渡してみる。どうもこの部屋は「図書室」らしい。部屋の外周には本棚がずらりと並び、本が所狭しと並べられている。もっとも、どれもかなり古いもののようで、実際に手にとってみることはできそうにない。それに、古代の文字を読めるかどうかも疑問。かろうじて見える背表紙に書かれた言葉はちんぷんかんぷんだ。おそらく、古代エルフ語かなにかなのだろう。そう、ここはエルフの遺跡。古代にエルフがヒューマンに魔法を伝授した学校。

先のヒューマンとエルフの戦いのあと、放棄されたこの学校は、長い年月の中で朽ち果て、怪物たちが住み着いてしまったらしい。あの鎌を持つ幽霊や骸骨たちは、当時の人々の亡霊なのだろうか?

部屋の奥にはさらに別の部屋へとつながる階段が目についた。ちらりと見えたけど、その下では他の人たちがこことは全く事なる怪物・・・さらに凶悪そうな真っ赤な悪魔!・・・と戦っていた。

この図書室の中央は少し広くはなっているものの、何かの球体や松明などの明り、それに本を読むための台座らしきものなどが設置されていて、暴れまわるには少々手狭な感じがする。実際、戦っていてもそれらがじゃまになって動きずらいこともしばしばだ。そこに怪物たちがうじゃうじゃと沸き出るのだから、ことさら危険。今はパーティーのメンバーと一緒だから、こうやってこの場に居ることができるけど、一人でなんて、絶対に来られない。ここへ辿り着くことだってできるかどうかも怪しい。

改めて人が集まることのすごさと言うものを感じずにはいられない。

もうひとつ。人が集まっていれば、こうやって休憩している時もおしゃべりをして盛り上がることもできる。

「そういえば、業務課さんって、1号とか2号とかいるの?」

業務課3号さんに向かって、だれかが聞いた。

「ん?いるよ」

「やっぱりいるのかー」

「わたし、見たことありますよ。1号さんと3号さんが並んで走ってるとこ」

わたしもその会話に参加してみた。

「あ、オレも見たことあるぜ」

「うわ。悪いことできないなー。誰かに見られてるかもしれないんだね」

「うんうん」

「てゆーか、単にその名前が目立つだけでわ?」

わはは、と皆が笑う。楽しいひととき。そんな、戦闘とは関係のないお互いの身の上の話や、持っている武器の話。昨日、こんなことがあってさー、とか。まさに世間話。戦っている時は無我夢中、みたいなところもあるけど、こうやって腰を据えて皆で寄り添ってお話をする。初めて会った人ばかりなので、ある意味、緊張もするんだけど。この穏やかな時間が、わたしは、なんとなく気に入っていた。戦うのではなく、ずっとこうやっておしゃべりをしていてもいいな・・・・

そんな、楽しい時間はあっという間に過ぎる。皆の体力とマナが回復したところで、戦闘再開。図書室へと再々突入。戦いが始まれば始まったで、集中する。まだ皆について行くのがやっと、という感は否めず。しかし緊張感の中にもわくわくしている自分にふと気が付く。剣士さんに交ざって攻撃をしていると、つい、回復魔法を使うのを忘れてしまうこともあった。いけないいけない。もっと集中しなくちゃ。神経を研ぎ澄まし、全体を把握し・・・・・頭ではわかっていても、身体がまだついてこない。しかし、他のメンバーのフォローもあって、どうにか自分の役割をこなせているか、と言った具合だ。

それでもまだまだ、「修行が足りない」かな。

遺跡バトル

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それから、休憩と戦闘を幾度か繰り返したあと、さすがに疲れてきてしまったので、退却したいと思っていたら、皆も同じような状態だったらしく、誰かが「そろそろ」と言い出したのをきっかけに「ぼくも」「わたしも」と、結局そこで終了することになった。トロピカーナさんだけは、なんだか物足りないような風で、誰か残らない?と聞いていた。

戻るのも一苦労なのだけれども、そこは人数で押し切り、なんとか勢いで入り口までたどり着いた。そして、遺跡の内部側にいるゲートキーパーさんにお願いして、遺跡から出る。

薄暗い遺跡内部から外に出ると、陽の光りが眩しく感じられた。じめっとした空気がまとわりついていたような気も払われ、少しすがすがしい気さえする。

「また誘ってくださいね」

「またよろしく〜」

「それじゃ、またね」

「おぃーーーっす!」

「残る人いますか〜」

「おれ、まだまだいけるぜー!」

誰彼無く、そんな言葉をかけあう。数人は残り、新たなパーティを編成するつもりらしい。わたしも、お礼とお別れを言って、一度村に戻ることにした。てくてく、と道なりに、戦勝記念の塔を過ぎ、村へ向かう。

島は活気にあふれている。ふと足を止め、落ち着いてあたりを見れば、いろんな年のいろんな職業の人がたくさん、皆、それぞれに何かをしている。

ほとんどがわたしと同じヒューマン。もちろん、この島で生まれたひとたちだ。職業はわたしのようなメイジかアミノ式のような剣士。男の子もいれば、女の子もいる。さきほどのパーティもそんなヒューマンばかりだったけれど、島にはエルフ、ダークエルフ、それにドワーフと言った種族の人達もいるし、みづほさんやトロピカーナさんのように成人して転職したひともたくさんいるのだろう。

走る人。座る人。戦う人。追われる人・・・・は助けてあげよう。追いかけて、間に合えば回復魔法。でも、時々間違えて、追いかけている怪物の方に回復魔法をかけてしまうこともある。あっちゃー・・・・

そしてまた数日。これまでと同じように、一人で、あるいはアミノ式と狩りに行ったり、みづほさんとぼんやりとおしゃべりをして遊んだり、変わらない日々を過ごしていた。

「そうそう、この間、エルフの遺跡にいってきたよ」

狩りの合間。体力とマナの回復中に、アミノ式に報告。

「一人で?」

「まさか。募集してたのよ。6人ぐらいだったかな?」

「そうか。ええなぁ。俺も行ってみたいなぁ」

アミノ式はまだ遺跡には行ったことが無いらしい。

「そうね。今度一緒に行きましょうか」

「せやな。今日はもう疲れたし、このくらいにしとこか」

「うん」

「また今度な」

へーへへーい、と陽気な笑顔を振りまいて、アミノ式退場。

わたしもそろそろ帰ろうかな・・・・そう思った時だった。

「やー。元気かい?」

交感魔法で語りかける声があった。彼、ダークエルフのハックスだ。

「まぁ、それなりに」

「そろそろ、本土にこれるぐらいになった?」

「あー、一度行ったんだけどさ。まだちょっと無理みたいだった」

「そうか、まだしばらくかかりそうだね」

「うん・・・」

返事をしながら、考えていた。あの時はまだまだ無理だと感じていたけれど、少しは成長した今なら、行って帰ってくるだけなら、大丈夫かな?と思い初めていた。道なりに歩いて行きさえすれば、道さえ外れなければ、さしたる問題はないのではないか?

「じゃあ、また」

「うん、またね」

思いついたら、やってみたくなるのはわたしの良いところだろうか?悪いところだろうか?

いきなり行って驚かせてやろう。これもわたしの悪いクセかもしれないけど。そう思いつくと、居ても立ってもいられなくなったわたしは、行動を起こし初めていた。

そう、アデン本土へ、再び。今度はダークエルフの村を目指して。

少し長い旅になりそうな予感がする。

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