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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第十四話・ナヒル?ネールカス?』

無事にペットを手に入れることができたわたしは、ペットに「フルウ」と言う名前をつけ、可愛がってあげよう、と思ったのだけど・・・・

フルウ

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実力を見てみよう、と、話せる島に戻り、同じウルフと戦わせてみたら、ものの数秒で返り討ちにあってしまった。覚えたての魔法「リザレクション」を初めて使うのがペットだとは予想だにしなかった。とほほ。ペットの試験にも出た。行動不能になったペットは「三分以内なら復活させられる」と。急いでリザレクションだ。

ペットのウルフは、普段はネックレスに形を変えておくことができる。召喚して初めてその姿を現すのだ。結局、呼び出してもさほど役に立ってくれるわけでもなく、呼び出しているとエサ代がかかる、ということで今はアクセサリーとして首にぶらさげておくしかない。さりとて、アクセサリー・・・魔法の防護・・・としての効果があるわけでもない。とほほほほ。

そのウルフのフルウのエサを買い出しに、グルーディン港の村へ出掛けた。そう、クレリックとなった今でも、わたしはまだ話せる島のクモの丘でのんびりと過ごしていたのだ。いい加減、本土デビューを果たしたいところではあるのだけれど、装備を新調する余裕がなく、仕方が無いので島でせっせと稼いでいるところだ。

アミノ式やLest、それにトロピカーナさんたちはすでに拠点を本土へと移しているらしく、島では滅多に見かけなくなっていた。

島に残っているのは・・・と言うか住み着いているのはわたしとみづほさんぐらいだ。

話を戻そう。

グルーディン港の村へとペットのエサを買い出しに訪れたわたし。用を済ませて帰ろう、と思ったら見知った顔に出会った。

「Narurunさん」

誰かと思ったらarameさんだった。

「何してるん?」

「ペットのエサを買い出しに来て、今から島に戻るところ」

「そかそか、それはそうと、アミノさんは?」

アミノさんは?

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いつも一緒にいると思われていたらしい。島で何度かアミノ式と一緒のところをarameさんたちに見られてたせいだろう。ここのところ会ってはいないのだけど・・・と言おうとしたら・・・・

「呼んだ?」

目の前にアミノ式が現れた。

思わずずっこけそうになるのをこらえ、いつものように軽くあいさつ。

「すごいタイミングで現れるね・・・」

「いやー、たまたま。通りがかっただけやけど」

「何やってんの?」

「ペットでも貰おかな思て。そっちは?」

「わたしは島に戻るところだけど・・・」と、そういえばarameさんのことを聞いてなかったな、とarameさんの方を見てみる。

「ん? ウチも島行こうかなと」

「用事?」

「まーね。神殿で一つ、受けてた依頼を片付けようかと思って」

ぴーん、と来た。神殿の大神官様から「遺跡にいる悪魔を退治してほしい」って依頼。わたしも受けてたっけ。でも一人で遺跡の奥まで行くのは大変だし、その悪魔はすごく強いってウワサだったし。いずれまた、と思っている内にすっかり忘れていた。arameさんも同じだったのだろう。

「あー、それ、オレもまだやってへんかった」

アミノ式も同じだったらしい。

「わたしも・・・」

と言いかけて、もう一つ、思い出した。神殿でエルフの女性から頼まれていたことがあったっけ。「行方不明の恋人のことを調べてほしい」と。すっかり忘れてた。

「ねーねー、それじゃ、三人で一緒に行かない? 一人じゃ大変かもしれないし」

「いいね」

「ええよ」

二人とも賛同してくれた。しかし、その前に。

「じゃ、ちょっと待ってて。すぐ戻るから」

わたしは広場へと駆け出した。たしか広場の脇に剣士の組合があったはずだ。わたし達メイジ・・クレリックが神殿に帰属するように、アミノ式たち剣士や戦士が帰属する集団があるのだ。神殿でわたしが魔法を習うように、アミノ式は剣士組合で技を覚えたりするらしい。転職の試験などもそこで受けるのだとか。

例のエルフさんの恋人はたしか、剣士だと言っていた。剣士の組合に行けば、その人のことも解るのでは、と思ったからだ。

中には屈強な男・・・だけではなく、スマートだが凛々しいエルフもいた。わたしはその中で女性のエルフに声をかけた。

「あの・・・ちょっといいですか?」

「何でしょう?」

話せる島にいた女性から聞いたその人の名前・・・わたしにしてはよく覚えていたものだと自分でちょっと感心した・・・を告げた。

「ああ、彼ならば・・・」

ビンゴ。ずばり情報を聞き出せたのはよかったんだけど、その話はとても悲しいものだった。ヒューマンである彼はとうの昔に亡くなっていたのだ。島にいたエルフさんはつい昨日のことのように話をしていたが・・・・・エルフとヒューマンの「寿命」の違い、なのだろう。彼女自身もその事実を知らない筈はないのだけど・・・・・エルフさんから彼の遺品である日記を預かりその場を後にする。

急いで二人のところへ戻りながら、さてどう話そうかと考えてみた。でも、隠してもしょうがない。素直に話すべきだろう。

「おまたせー」

「どこ行ってたん?」

「ちょっと野暮用。もう終わったから。さー、行きましょうかー」

おー、と走りだす三人。まず目指すは港。桟橋にはちょうど話せる島行きの定期船が停泊していた。

「間もなく、話せる島行きの定期船が出港致します。ご乗船の方はお急ぎ下さい」

港からも案内が流れた。

「ちょっとまって」

船の前で立ち止まり、ウインドウォークとキスオブエヴァの魔法を全員にかける。

「おお、これは!」

「おっけー、行こうか」

わたしたちはその船に飛び乗り、そして、甲板を駆け抜けて海へ飛び込んだ。船上に座っていたダークエルフの剣士さんが目を丸くしているのがちらりと見えた。おそらく彼は海を歩いて渡る事ができるのを知らないのだろう。

ぶくぶく。

海底を歩くことしばらく。海底のさらに下へと落ちた。海の底に開いた空間を抜けて、別世界に来たと言った感じだ。もしかしたらこの広い空間のどこかにお城でもあるのかもしれない。一度、隅から隅まで調べて回ってみたい気もするな。

「遺跡の悪魔って」

三人並んで走っているとarameさんがつぶやいた。

「やっぱりナヒル?」

「せやなぁ、ナヒルやなぁ」

「うんうん」

遺跡に住む最強の悪魔、と言えばやはりナヒルだ。転職をする前、しばしば遺跡に入っていたが、ナヒルは別格。転職前のパーティには手ごわい相手だ。ナヒルのいる最深部には他にもスケルトンたちがいるせいもあって、近付くことすら困難なのだ。よほどメンバーの揃ったパーティでなければ。

arameさんもアミノ式も、そしてわたしも、そんなナヒルの事などすっかり忘れていたと言う訳だ。それが各々、転職を済ませてふ、と思い出したといった所だろう。

「遺跡かぁ・・・久しぶりやなぁ」

「そう?」

わたしはまだ、ついこの間までウロウロしていたような気がする。

「着いた」

島側の岸壁に到着。みんな固まって帰還スクロールを詠む。

話せる島は、いつも通りだった。広場には露店を開く人、行き交う人々。話し声、叫び声。村の近くでは若い冒険者たちがケルティルを奪いあっている。見知った顔も何人か。軽く挨拶をしつつも素通りして、北西の門へ。arameさん、アミノ式、3人集まったところで出発。

エルフの遺跡へ。

ゲートキーパーさんに頼んで中へと入る。入ったところでわたしは「補助魔法かけるね」と宣言したのだけれど、アミノ式はとっとと階段を降りて先へと進んで行く。とりあえず自分とarameさんに魔法をかけてすぐ後を追う。

先を行くアミノ式は怪物たちに襲われているはずなのですぐ追いつける、と思いきや、二つ目の角でようやく追いついた。しかし、また走りだすアミノ式。その通路の先は・・・

ナヒル

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「待て〜〜」

その部屋にたどり着いた時にはすでにアミノ式はナヒルに殴り掛かろうとしているところだった。わたしとarameさんは一瞬、顔を見合わせてからすぐにそれぞれ得意な魔法を唱えた。わたしは補助魔法を、arameさんは炎の魔法を。

アミノ式がナヒルだけでなく、回りにいた骸骨たちからもいっせいに攻撃を受ける。わたしは補助魔法に続いて回復魔法を唱えた。

しかし、予想以上にアミノ式はタフだった。いや、タフに成長したのか。しばらく会っていない間にまあ・・・arameさんの炎の魔法もあって、ナヒルも骸骨も、あっと言う間に殲滅されていた。

「・・・あっけなかったね」

「うむ」

拍子抜け。

わたし一人だったらとてもじゃないけどこうは行かないだろうけど、アミノ式もarameさんも、強い。

「で。石板、出た?」

ナヒルが消滅した場所を探してみても何も落ちてはいなかった。

「無いね。確か、石板持ってるはずだよね?」先生は確かそう言ってたはずだ。

そうこうしていると、骸骨たちがまたどこからともなく現れる。しばらく3人で骸骨と戦っていると・・・・

「出た」

ナヒルもまた、復活してきた。行動不能にし、消滅したかに見えても、実際はいずこかの空間へと去り、そこで体力を回復してまたこの世界に現れるのだろう。

有無を言わさずに切りかかるアミノ式。またんかい、こら。・・・・おっほん。これは失礼。

「ちょっと、アミノ」

ナヒルをこてんぱんにやっつけたアミノに向かって言う。

「もしかして、パーティ組んでたらだめなんじゃ?」

「その可能性もあるか」

「せやなぁ。パーティ解散して、一人づつやってみるか」

「一人でナヒル・・・倒せるかな?」

arameさんは少し不安なようだ。

「とりあえず、ナヒルが現れたら解散しよう。アミノ、最初に行って。わたしがヒールするから。arameさんは回りの骸骨をお願い」

「んむ」「了解」

ナヒルが再来するまで、骸骨と戦う。わたしはときどき回復魔法、切れた補助魔法をかけ直し。出番が少ないので、ウィンドストライクを放ってみたりするけど、あまり役に立ってはいなさそうだ。ディスラプトアンデットもarameさんの火炎魔法ほどの豪快な威力はない。

「来た」

骸骨を一掃すると、予定の行動に移った。アミノ式だけパーティから外れる。体力とかわからなくなるけど、さっきまでの戦いで体力の減り具合はなんとなくわかるから、適度なタイミングで回復魔法を唱えればいいだろう。

「おっけー、アミノ。ごー」

「うっしゃ〜!」

周囲に現れる骸骨はarameさんが片付ける。しかしarameさん一人では対処しきれない部分もあるので、わたしも骸骨退治の方へまわりつつ、アミノ式とarameさんに回復魔法もかける。

「・・・」

倒すのは倒せたのだけれど・・・・

「石板、持ってへんぞ、こいつ・・・」

「どういうこと?」

「次、うちが試してみる」

arameさんが挑戦することになった。一度パーティを組み直して骸骨退治をしながらナヒル再来を待つ。そして、再挑戦。

「骸骨よろ」

arameさんがパーティから離脱し、ナヒルに火炎魔法をたたき込む。アミノ式は骸骨がarameさんの方へ行かないように引き付ける。わたしは二人を回復しつつアミノを援護。さすがにarameさんの火力。最初本人は不安そうだったけど、なんのその。あっさりと倒してしまった。

「・・・・だめっぽいな」

「・・・・」

一度通路に退却して休憩をしながら膝を突き合わせ、顔を見合わせて相談する。わたしが挑戦する番ではあったが、やっても無意味なようだったし、何より、一人で倒せるかどうかも疑問だったからだ。

「なんか違わなくない?」

「うちも、なんとなく、そんな気が、する」

「せやなぁ」

「でも、遺跡の悪魔って言ったらやっぱりナヒルだよねぇ」

「図書室の奥になんか居なかったっけ?」

「・・・ドレバヌ?」

確かに、ナヒルによく似た赤い色の魔族が居るけど・・・

「あれはいっぱいいるけど・・・違うような気がする」

「いや、そうじゃなくて、もう一匹、ほら、何って言ったっけ?」

「そない言うたら、なんかおったな。何やったっけ?」

「・・・・・」

「・・・・・」

三人とも頭を抱えてしまう。あたしも。記憶の中からその名前を手繰り寄せようとするけど、出てこない。ココまで出かかってるんだけどな・・・・

「ネールカス!」

三人、声がそろった。

「あれかーー」

「なるるん」

「おっしゃ、行ってみるかっ」

と言うことで、さくっと立ち上がり、通路を戻る。怪物たちをなぎ倒し、図書館も通り抜け、その奥の部屋に入る。部屋には先客がおり、今まさにそのネールカスが倒されるところだった。

「ネールカスですか?」

先客さんがあたしたちに気付いて話しかけてくれた。

「そうなんです」

「私達、今終わったんで、後、どうぞ」

「ありがとうございます」

と言う訳で、ネールカスが復活して来るのを待つ。こちらの部屋はドレバヌが居るので、待っている間はそれを片付ける必要がある。ナヒルの部屋の骸骨同様、少々手ごわい。しかし、アミノとarameさんのお陰で取り立てて危険と言う訳ではなかった。

しばらくすると突然、部屋の真ん中に魔法陣が開き、そこからネールカスが現れた。

「出よったな」

「行く?」

「もち」

やる気満々のアミノ式である。

「いけー」

ナヒルの時同様、パーティから離れ、アミノはネールカスに挑んで行った。アミノがネールカスに集中している間、arameさんとあたしだけでドレバヌを相手にしなければならないが、アミノが抜けるとさすがに対処が追いつかなくなる。そのアミノの方にもドレバヌは攻撃をしかけるので、あたしはarameさんのカバーとアミノへの回復魔法で目がまわりそうだ。

それでもどうにか、アミノはネールカスを倒す事ができた。三人とも無事だ。

「出た!」

ネールカスが沈んだ跡、小さな石板のかけらが残されていた。アミノがそれを拾い上げる。

「やったね」

「よしよし」

喜びもつかの間、ドレバヌ達が次々と沸いて現れるので、暇がない。ぼんよりと待ってるよりはいいか。アミノなんか嬉々として戦っているもんな。arameさんがネールカスとの対戦を前にマナを充填するため、座って休憩をしているため、あたしとアミノでドレバヌを片付ける。

そしてまた魔法陣。

arameさんは無言で立ち上がるとパーティから抜け、その場で炎の魔法を唱え始めた。

アミノの場合、部屋の中央に留まってネールカスと対峙していたため、周囲のドレバヌから狙われることも少なかったのだけど、arameさんの場合、魔法を撃ってから次に再度魔法を唱えるまで時間がかかるため、部屋の中を右へ左へと回避しながらになる。広い場所ならば後ろへ後ろへと移動して行けば有利なのだけど、なんせ狭い部屋である。ドレバヌが次々と襲いかかるため、わたしとアミノ式でそれを引きはがして回らなければならない。

それでも、さすがはarameさんだ。範囲魔法も織り混ぜながら周囲のドレバヌもなぎ倒しつつ、ネールカスを倒すことに成功した。もちろん、石板のかけらも無事に入手。

「よし、と」

「あとはNarurunだな」

はーい。と言いたいところなんですが。

わたしは二人とは決定的に異なる。果たして無事に倒すことなんてできるんだろうか? 不安がよぎる。よぎりまくりだ。よぎりのわたしだ。

ドキドキしながらドレバヌ退治をしつつネールカスの再登場を待つ。時間が経つにつれ、ドキドキ度が高くなる。

ううう。

考えれば考えるほど、どうすればいいのか判らなくなるし、今、自分が何をやっているのかさえ判らなくなる。そうこうしている内に・・・・

「うぎゃっ」

真横に魔方陣が現れ、ネールカスの姿が浮かび上がって来た。間近で見るとまたこれが凶悪だわ。

顔の左右まで大きく裂けた口には鋭い牙が何本も並んでいる。目は漆黒の闇で吸い込まれてしまいそう。巨大な身体は血の色そのもので、背中から生えた翼は黒く、闇の底へと連れ去られてしまいそう。手足の爪も鋭く、一瞬で切り裂かれてしまいそうだ。

わたしはこの場から逃げ出したくなった。

「Narurun、いけー」

「ごーごー!」

アミノとarameさんが無情にも煽ってくれる。いかなきゃ駄目ですか? 二人の方を見たいんだけど、目はネールカスに釘付け。目をそらしたらなんか一方的にやられそうで怖い。

どうやら、こちらから手を出さない限り、向こうからは仕掛けてこないらしい。このまま逃げ出してしまいたいところではあるが、二人の手前、それも恥ずかしい。

手に汗。

にぎにぎ。

・・・・・

悩んでいてもしょうがない。当たって砕けろ。わたしはウィンドストライクを唱えた。もちろん、反撃されるので、一度後退・・・したいのだけれど、後ろはすぐ壁なので、壁伝いに横へ。しかし、その先にはドレバヌも居る。当然のごとくドレバヌからの攻撃も受けることになる。

arameさんとアミノ式がドレバヌたちの相手をしてくれるのだけど、こぼれたのがわたしに向かってくる。それでなくてもネールカスに追い付かれて傷を負い、体力が見る見る減って行く。

自分自身に緊急回復魔法を唱えるのが先か、ネールカスにウィンドストライクを放つのが先か。迷ってる暇はない。回復そしてすぐにウィンドストライク。しかし、ドレバヌに攻撃される分、回復が追い付かない。

あと、もう少しなのに!

しかし、わたしの体力もあと少し。態勢を立て直すため、一度後退。回復を優先して、緊急回復魔法を連続で唱えよう・・・と思ったが、足がもつれてその場に倒れ込んでしまった。後ろから迫るネールカスの影。

「Narurun!」

アミノ式の声と同時に、背中から衝撃を感じた。やられた、そう思った。ネールカスがわたしに覆いかぶさってきたらしい。ああ。

しかし。覚悟を決めてじっとしていると、ふ、と背中にかかる重圧が軽くなった。恐る恐る顔をあげてみると、ネールカスの姿はそこにはなく、剣を構え、肩で息をするアミノ式の姿があった。

「大丈夫か?」

剣を降ろし、空いた手をわたしに差し伸べる。わたしはその手を取り、立ち上がった。どうやら無事のようだ。

「すまん、見てられへんかった」

アミノ式はバツが悪そうに頭を掻きながらそう言った。そうか。ネールカスを倒してくれたんだ。もちろん、わたしが倒した訳ではないので、石板のカケラは落ちなかった。

「ってゆーかさ」

arameさんが言葉をつなぐ。

「Narurun、パーティ、外れてない・・・・」

あ・・・・・・

舞い上がってて、パーティから離脱するの忘れてた。最初から失敗してたってことか。だから、アミノ式がわたしの体力の減り具合を見て、やばいと思ったから助け舟を出してくれたってことか。

なるるん。

いや、そうじゃなくて。

とほほ。もう一度やらなきゃだめ?

うう。

しばらく、体力とマナを回復するためにわたしは部屋の隅で休息した。その間、二人がドレバヌを排除してくれる。わたしの回復魔法が無くとも、二人はさしたる問題も無いらしい。それでもやはりアミノ式の体力の減り具合が気になる。わたしは立ち上がってアミノ式に回復魔法を唱えた。

「ええよ、座っとき」

うう。

arameさんも体力が減っている。直接攻撃されることは少ないのだけれど、彼女は自分の体力を削ってマナに変える「ボディトゥマインド」の魔法を使っているのだ。マナを使って体力を回復するわたしの「ヒール」とはまるで逆の魔法。こっちも見ていてドキドキなのだけれど、本人にとってはそれが普通のようだ。

アミノもarameさんも、一人のときはそんな極限の状態で戦っているのだろうか。

わたしの場合、体力があまり減り過ぎた状態で戦っていると、次の一撃が致命傷になる可能性がある。だからあまり体力を減らさないように回復魔法やバンパイアリックタッチを使って体力を一定以上に保つようにしている。その分、マナの消費が激しくなり、休憩を余儀無くされるのだが・・・・

広い場所ならば、後退しつつ、攻撃を避け、体力を温存する手段もあるのだが、この狭い部屋、密集した敵の前ではかなり厳しい。

部屋の四辺を大きく使い、壁沿いに回るように逃げつつ攻撃するしかないか・・・ドレバヌは二人に任せたとして、だけど。一人じゃ多分絶対無理だろうなぁ。

と、頭の中でいろいろとシミュレーションしてみたりしていると、そろそろ時間。ネールカス再来の時。魔方陣の中から浮かび上がる悪魔。あわてることはない。ゆっくりと立ち上がったわたしは、まず補助魔法を唱え、「行きます」と言ってからパーティを外れ、ウィンドストライクの詠唱を開始した。

・・・・・

「はぁ、はぁ、はぁ」

「おめでと〜」

「ようやった」

二人の協力のおかげもあってどうにかこうにかネールカスを倒すことができた。最後なんか、ウィザードのarameさんにヒールしてもらっちゃったよ。

まあ。

ある意味、これがクレリックって職業なのね。

「ほな、村、帰ろか」

「だね」

その場ではまずいので、一度部屋と部屋との間の狭い通路に退避し、そこで帰還スクロールを詠む。

村に戻ると、三人そろって魔法学校へ行き、順番に校長先生に報告を済ませる。いくばくかの報酬を貰って学校を後にすると、三人一緒に居る理由が無くなった。というか、それぞれがそれぞれになんらかの用事を済ませるためにそこで別れた。

わたしはまたクモの丘に行ってペットを貰うためのクモ退治だ。

クモ退治

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あ。

クモの丘だと、ポーカーとジャイアントスパイダーか。ちょっと役不足。ブレーダーにしよう。島では最強の部類だけど、今のわたしにとってはブレーダーで丁度いい。つい以前の習慣でクモと言えば北東部のクモの丘と刷り込まれていたけど、今回は北西部、滝の近くへと行ってみよう。

「いるいる」

滝のほとり、そう、忘れもしない、10代のころ。ふらふらと滝の美しさに魅了され、景色を堪能した後、ここらでクモのお化けにやっつけられたっけか。あれはそう、ブレーダーだったのね。

まさかそのブレーダーをやすやすと倒せるほどになったとは。我ながら成長したものだ、と、早速狩りを始める。

数匹、倒したらぼとっと何かが落ちた。ブレーダーの死体のそばに落ちていたのはデボーションホースだった。ローブの下、スカートの方ね。らっきー、と思いつつ、カバンに入れ、またブレーダー退治に戻る。

そしてまたしばらくすると同じようにデボーションホースが落ちた。ふむ。結構普通に手に入るものなのね。その昔、デボーションローブを借りていたこともあるけど、今はマジックパワー。デボーションはもういらないし、スカートだけあっても仕方ないしね。後で売ればいいか。

などと思っていたらばまた、ぽろっと。

結局、この日は5枚入手。

クモの牙は50個なんだけど、ついつい、狩りに夢中になっていて集め終わったことにも気付かず、倍ぐらいの数を倒していた。

はぁはぁ。

今日はがんばったな。これぐらいにしておくか・・・・また港村へ行ってそれからギランまで往復。さすがにその元気は残っていなかった。続きは明日にするとするか。

村へもどり、拾ったものをまとめてお店で売りさばくと、村の片隅で休息を取ることにした。行き交う人々、飛び交う声の喧噪の中で・・・・・

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