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『話せる島記・外伝』

『第一章・それぞれの道』

『第一話・あたし』

目覚めた。

目覚めたと言うよりは、意識が突然芽生えたと言うべきだろうか。いずれにせよ、この瞬間、あたしの最初の運命は開かれた。

そこは、薄暗く、狭い空間だった。ここは・・・アインホバント魔法学校。メイジが生を受け、学び、そして巣立つ場所。

誕生

Lineage (R) II and Lineage (R) II the Chaotic Chronicle are registered trademarks of NCsoft Corporation. 2004 (c) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Chronicle in Japan. All Rights Reserved.

あたしは、生まれながらにしていろいろな知識を身につけていた。辺りを見渡すこと、歩くこと、それだけでなく、この世界の様々な知識。もちろん、全てを知り尽くしている訳ではない。知らない事もまだまだ沢山あるだろう。しかし、お姉ちゃんが、初めてこの世界に立った時よりは、はるかに膨大な量の情報を得ていると言えよう。

お姉ちゃんの名前は「Narurun」。

あたしの名前は「なるるん」。

あたしはお姉ちゃんの住むこの世界に生まれた。

姉妹と言うのはちょっと不正解。どちらかと言うと同一人物かもしれない。姿形は違えども、その魂は一つなのだ。だからこそ、お姉ちゃんの記憶をあたしが受け継いでいる。お姉ちゃんの体験したことはすなわちあたしが体験したことでもある。逆もまたしかり。

ただ、あたしは直接お姉ちゃんに会ったことはない。同じ魂を共有しているのだから、同時にこの世界に存在することはできないのだ。お姉ちゃんの眠っている時、あたしが活動できる。あたしが眠っている時、お姉ちゃんが活動できる。もちろん、二人とも眠っていることもあるが、二人ともが活動することはかなわないのだ。

ともあれ。

あたしはお姉ちゃんと同じく、メイジとして生まれた。お姉ちゃんの辿った軌跡を追体験するような生き方。もちろん、違う点も多い。お姉ちゃんが恐る恐る足を踏み入れた場所も、あたしは堂々と歩きまわる事ができた。お姉ちゃんの記憶と経験を活かし、今の自分の力量に応じた場所へ行くことができるからだ。

だから、クモのいる滝にはまだ行けない。いいや、クモの目を盗んでこそこそ、っとたどり着くことは出来た。あたしも、お姉ちゃんも、この滝が大好きだ。

それに、どんな装備を買えばいいか、そういった段取りもお姉ちゃんの失敗を繰り返さないように。

あたしは、魔法学校で「アデプトのワンド」を手にし、るんるん気分で村に戻ろうと、魔法学校と村の間にある丘越えようとしていた。すると丘のふもとから声が聞こえてきた。

「・・ってね、なんにもしてないのに襲ってくるのよ」

「へえ、それは怖いなぁ」

「怖いってもんじゃないよ〜〜」

この世界になじむにつれ、辺りの「声」も聞く余裕が生まれていた。お姉ちゃんなら気付かないか、気付いても反応できなかったけど、あたしにはその余裕があった。

それに、その会話の主はなんとなく、アミノ式とお姉ちゃんの幼い頃を思い出させた。話している中身にも思い当たりがある。微笑ましさ、ほろ苦さ、そして少し恥ずかしい思い出。あたしは立ち止まって二人の話に耳を傾けた。

「何てやつ?」

「んっとねーー、えーーっと、オークの隊長とかぁ、ウエアーウルフ」

「それで、どうなったの?」

「もちろん! ばたんきゅうう〜〜、ですぅ」

アクティブを引っ掻けたらしいメイジの少女は「高子」、その話しをまじめに聞いているのは剣士の男性「戦・紳士」。話の内容、それに装備品から見て今のあたしと同じぐらいの年・・11歳前後だろう。

「ウエアーウルフじゃなくて、ウェアウルフね。って、ウェアウルフはアクティブじゃないよ」

「ほえ??」

あ。

つい、突っ込んでしまった・・・。思わず、会話に参加・・いや、乱入してしまった。

「やや、あなたはっ!」

メイジの少女の方があたしに気付いた。

「えーと、うーーんと・・・」

少女は頭を抱えて考え込んでいる。少年の方はきょとん、としている。少女は少しの間考えると、何かを閃いたように表情を輝かせた。

「知らない人ですね!」

「まー、その通り。はじめまして」

「どもっ!どもっ!はじめまして! 高子でっすぅ!」

元気、元気、元気がローブ着て立っているみたいだ。一方、こっちの少年は・・・

「・・・」

何が何やら、と言った気配である。

「こっちは戦・紳士!」

変わって高子が彼を紹介する。この世界では名前は感知できるんですぐわかるんだけど。

「アクティブって・・・近寄ると向こうから攻撃してくる敵ね。多分、そいつらはまだ強敵だから。基本的に近寄らない方がいいよ。もう少し強くなるまではね。パーティ組めば行けるかもしれないけど」

「パーティ!パーティってどうやってするんですか!?」

目を輝かせて高子が乗って来た。言うだけ言ってお暇しようと思ったんだけど、そうもいかなかったようだ。

「えーっと、呪文があるのよ。相手を決めて、お誘いするの。うまく伝わって、相手がオッケーすれば心が繋がった状態になるよ」

「ほえほえー、そんな呪文があるのですね!」

そう、これは魔法、ではなく、誰しもが持っている呪文。この世界に降り立った時にもらったカバンの中にある呪文書に書いてある。「相手」がいないと使えないけれど。あたし・・・じゃなくてお姉ちゃんが初めてアミノ式さんとパーティを組んだ時は、そんな呪文書を片手に、やってみようか、って感じだったっけ。

「これかな・・・ていっ!」

戦・紳士の方を向いて、高子が何やら唱えた。

「ぬお」

すぐに戦・紳士が反応した。

「これにオッケーすればいいんですね?」

「そうそう」

「うわーー」

そのやりとりの細かい部分はあたしには見えない。でもどういう状態になっているのかはだいたい想像がつく。

「へーー、こういう風になるんだーー!」

感心しきりの高子。状況を分析、把握しようと頭を回転させていそうな戦・紳士。いいコンビになりそうだな。ふとそんなふうに思った。

「なら、剣士とメイジだし、多少強敵でも倒せるかもね。紳士くんが最初に攻撃をしかけて、高子も後ろから魔法攻撃」

「ふむふむ」

「で、紳士の体力が減ったら高子が回復魔法ね」

「はい!先生!!」

「何ですか?高子くん」

「回復魔法って、セルフヒールですか?!」

「ヒールは?」

「ありませーーん」

・・・・・

「まあ、ケガしたら休憩ね」

「はーーい。よーし、それじゃ、紳士!いこー!!」

ぐいぐい、っと高子に引っ張られ、引きずられて行く戦・紳士くん。

「がんばってねー」

「はーーい、ありがとうございます〜〜〜」

ぶんぶん、と盛大に手を振り返す高子ちゃん。まわりの人がなにごとか、と見て行く。は、恥ずかしい・・・・。でも、いいな。可愛いって言うか、憎めないコだ。

ふふ。

感化されたのか。ちょっと元気を分けてもらったような。さて、この勢いであたしも頑張って稼ぐか。

そんな調子で、お姉ちゃん同様、話せる島ですくすくと育ったあたし。時折、ひょっこりと現れるみづほさんやjimerさんたちと遊んだり、見知らぬ人達と遺跡へ行ったり・・・そうそう、高子&戦・紳士のカップルとも、何度となく出会い、おしゃべりや冒険・・・・と言ってもあたしが一方的に島を案内するパターンが多かったけど・・・・を楽しんだ。

猫と高子とクモ!

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魂をお姉ちゃんと交換している間、お姉ちゃんもいろいろと経験を重ねたようだ。その話はまた別の機会に譲るとして、あたしにとって大きな転機が訪れた。

それは、19歳も半ば、北海岸のクモの丘で一人黙黙とクモたちと戦っていた時。

ボトっ。

ポーカーを倒したら、なにやら聞き馴れない落下音。普段、糸やら骨なんかを落と音は聞き慣れているけど、何やら異なる様相。アングウィシュネックレスの「チャリーン」って音ともまた違う。もっと重厚な音。何だろう?、と拾ってみてびっくり仰天、たまげた。

セスタス。

今持っているシーダーとほとんど変わらない魔法力。それ以上の攻撃力。これって・・・

「らっき〜〜〜!」

早速、装備してみる。両手にそれぞれ持つので盾も外さないといけないけど、持った感じ、手にしっくり馴染む。半月状に伸びた刃は小型ながら鋭い光りを放っている。剣ともまた違う。これまで使っていたワンドや杖などとは全く異なる力。なにやら、自分自身まで力がみなぎってきたような錯覚にさえとらわれてしまう。

そばにいたジャイアントスパイダーにウィンドストライクを撃込んでみた。体力の半分以上を削ることができた。もう一発・・・・を撃つ前にふと思った。この力なら殴り倒せるのでは?

魔法を使うのをやめてあたしはジャイアントスパイダーに殴りかかった。

以前ならほとんどの体力を奪ったあと、ひと殴りぐらいならば直接攻撃をすることもあったけど、殴り合いで勝てるなんて思いもしなかった。でも、今は・・・

多少こちらの体力も削られたものの、問題のない範囲で殴り倒すことができた。そしてもう一匹。同じ要領でウィンドストライク、殴り。三匹目を倒したあたりで自分の体力を回復させる。マナの減り具合もいい感じだ。魔法だけで戦っているときよりもずっと効率がよさそう。しばらくこれでやってみるか。

セスタス

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などと考えながら、エルフの遺跡にでも行ってみようかと森へ差しかかった時、目の前をある一団が走っているのが見えた。リーダーらしき剣士の男性は「パーティ員募集」の看板を掲げていた。

後ろを走っているのは剣士の女性が・・・一、二・・・三人か。それにメイジの男性が一人。みんなヒューマンだ。この構成だと、メイジが足りないかな? 駆寄って、あたしも参加させてもらうことにした。

「お邪魔してもいいですか〜〜?」

「いいですよ」

「よろしくお願いします」

森を抜けるのに、オーク隊長やウェアウルフチーフなんかが襲いかかってくるけど、ものともせずに進む。どうやら齢もあたしと同じぐらいらしい。リーダーの男性だけが着ている鎧からして転職を済ませているみたいだ。女の子剣士三人組は・・・・装備もほとんど同じで見分けがつかない・・・。

髪を後ろで細く縛ったシャープな感じのコは杏樹。

二つの短いおさげのほんわかした感じコはサリュー。

ショートボブの元気っコはエル・ロンド。

「あたしマイトかけるね。あなたはシールドを御願い」

遺跡の中に入ったところで、もう一人のメイジさんにそう告げて補助魔法をかけてゆく。

「私、遺跡って初めてなんです」

エル・ロンドが言う。

「わたしもです」

サリューだ。

「このメンバーなら問題ないよ」

杏樹は経験済みらしい。

「おっけー。補助魔法完了」

もう一人のメイジさんが魔法をかけ終えたのを見届けてあたしが宣言すると、リーダーを先頭に、皆、走りだした。

どうやら目的地は入ってすぐ、通路の左側にある小部屋だったらしい。そこになだれ込んで行ったので着いていった。

人員構成、年齢、要素としては問題ない。回復もそんなにいらなさそうなので、あたしも殴りで参加。殴っているとサリューがきいてきた。

「それ、なんて武器です?」

「これ? セスタスだよ」

「ふむふむ・・・メイジさんにしては珍しいですね」

「まーね。拾いものだし」

「「「「えーーー!」」」」

サリューだけでなく、いっせいに声が上がる。

「・・・・武器落とす怪物もいるんだ・・・」

エル・ロンドがつぶやく。

「いるねぇ・・・」

杏樹は経験者らしい。

「武器出せ〜〜〜!!」

叫びながら剣をふるうエル・ロンド。

「出せ〜〜」

続くサリュー。

リーダー、メイジさんも含め、和気あいあいと狩りは続いた。危なげはないけれど、さすがに長く続けているとマナも減ってくるので時折休憩をはさむ。休憩時間にも身の上話しや、怪物のこと、本土のこと、いろいろとおしゃべり。

こういう時って、男の子より女の子の方がやっぱりお喋り好きなのかな。みんながみんな、って訳でもないけど。あたしはどっちかって言うとお喋り大好きなヒューマンなので、ついつい、声も大きくなる。それにお姉ちゃんの経験もあるので、いろいろと質問に答えたりとか・・・・いつの間にかリーダーを差し置いてあたしがその場を仕切る形になっていた。

・・・・・ま、まあいいか。

やがて、そろそろ終了、と遺跡から出て解散・・・・

「ちょっと待って」

「はい?」

「清算は?」

・・・・考えてなかった、との面々。一応、拾い物に偏りがあると不公平だから、と、お姉ちゃんがトロピから教わった清算の仕方を説明。了解を得て、皆のアイテムを一度集約。あたしが預かって村に戻り、露店やお店で売さばいて現金化。

「そういえば、あの時は、この後、皆で本土に走って渡ったっけなぁ・・・」

そのことも説明に加えて話すと、皆「行きたい!」「走って行けるの?!」と、すごい乗り気のようだ。こうして歴史は繰り返されて行くと言うか、受け継がれて行くと言うかのか・・・な?

残念ながら今回はキス・オブ・エヴァの魔法は誰も持っていない。あの時は後から合流したzwolfさんがかけてくれたっけ。

「・・ってことで、体力回復剤は持っておいてね。あたしたちのヒールで間に合えばいいけど、足りなかったら自分で対処して。あ、それと帰還スクロールが必要だからね」

「はーーい」

「買ってこなくちゃ・・・」

一度解散して準備を済ませ、戦勝記念の塔で再集合したあたしたちは全員でアデン本土を目指すことにした。

北東のクモの丘に突入、そして突端へとたどり着く。

「ここから飛び降りるの??」

サリューとエル・ロンド、それにメイジ君が目を回している。リーダーと杏樹は心得ているらしい。と、言うか、もうすでに飛び込んでいる。

「うわ、杏ちゃん、行ったよ」

「すご・・・大丈夫なのね?」

まだちょっと不安そうな三人。あたしは最後に行くことにしよう。

「ほら、行った行った。置いてかれちゃうぞ」

下を見ると先に行った三人はすでに海底を進んでいる。あ・・・クモも一緒だ。一匹追いかけて行ったらしい。まあ、あの三人なら平気だろう。あ、杏樹が振り向いて殴ってる。

それを見たエルとメイジさんががあわてて飛び込んだ。多分、杏樹に加戦するつもりだったのだろう。ここが崖っぷち、だってことは瞬間忘れたらしい。

「ひぃぇぇえええええ〜〜〜〜」

悲鳴がこだまする。

海底に落ちて、一瞬、上下左右の感覚がなくなったのか、エルはあたふたと岸壁にぶつかっている。

「反対、反対」

あたしが指摘すると、くるり反転して杏樹の方へ向かった。杏樹の方もクモを倒し終えて先行するリーダーの後を追う。

結局、サリューを引っ張るように飛び込んだあたしは最後尾から着いて行く形になった。先行するリーダー、杏樹たちはかなり前を走っていて見えない。体力を確認しながら進むけど、そろそろ息が切れて体力が減ってくるころだ。しかし、まだ減らない。あれ?、と思っているとあたし自信の息が切れた。メイジさんも少しづつ体力が減り始めている。それなのに、もっと先に海へ入ったリーダーも杏樹も、あたしと同時に飛び込んだサリューも平気みたい。

どうやら、剣士さんたちは肺活量が多く、あたしたちメイジより長く息を止めていられるらしい。

それでも、「海の底の底」にたどり着くところまでは息が続かなかったようだ。飛び込んだ順に体力が減り始める。あたしは自分へのヒールで精一杯だし、そもそも追いつけない。回復剤を使ったり、ギリギリまで耐えたりしながらも、全員無事にたどり着くことができた。

「へ〜〜、こんな風になってるんだ〜〜〜」

初めてこの海底の空間を見たコたちははしゃいでいる。あたしも初めて来た時はそうだったよなー。

そして、だだっ広い空間を皆で並んで走る。

順調に進んでいたのだが、グルーディン港の村までまだ半分、と言った所で「異変」が起きた。

すべての時間が静止し、身動きひとつできない状態。そして次の瞬間には暗黒の闇へと突き落とされる。

「またか・・・」

多分、皆も同じようにつぶやいているだろう。でも、今、聞こえるのは自分の声だけ。

この世界はまだ不安定で、不確定な要素を含んでいるのだ。世界自身がその根底から崩壊し、あたしたち住人全てが世界から放り出される。これまでも何度か・・・いや、何度となく経験はしていたのだけど、気分のいいものではない。

世界が自己修復を行い、あたしたち住人が再度その地に降り立てるようになるまで、しばらく眠りにつかねばならない。

まだか・・・まだか・・・・

ようやく目覚めることができたあたし。場所は最後に居たところ。海底空間。そして目の前には既にサリューとメイジさんが戻って居た。

「おかえり」

「ただいま。みんな戻った?」

「ううん。あたしたちだけ」

「そっか・・・」

と、話していると、杏樹、エルと続けて戻ってきた。

「おかえり〜」

「ただいま。ったく・・・どうにかしてほしいよなぁ」

「ホントだよねぇ」

「あとは・・・リーダーか?」

・・・・

何もない空間で5人はぼーっと待っていた。リーダーが戻って来るのを。しかし、しばらく待っても戻って来る気配がない。

「どうしよう・・・・」

「しょうがない、先に行くか・・・・」

パーティを組み直し・・・再度出発。

やがて対岸の岸にたどり着いた。

「壁ぎわまで寄って・・・そうそう、そこらへん。ここで帰還スクロールを使うよ」

「はーい」

「それじゃ、行くよ」

一斉に帰還スクロールを詠む。毎度ながら壮観。

帰還!

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そして暗転。

もはや見慣れたグルーディン港の村。あたし自身もすでに何度か訪れて居る。お姉ちゃんから服やアクセサリを貰うために。村の近くの崖の上で「受け渡し」をするのだ。直接会って手渡すことが不可能なため、同じ場所で品物を地面に置いて、交替することで受け渡しができる。もちろん、入れ替わる瞬間、別の誰かに持ち去られる危険もある。迅速に、手早く。そしてなにより、見つからない場所で。

それはさておき。迷子になったコもいたけど、全員が広場に集まる事ができた。海底で行方不明になったリーダーを除いて・・・・。それに、エル・ロンドが「眠い」と、ひと足早く眠りに着くことになったので、その場でお別れ。後に残された四人で「これからどうしよう」となった。

「神殿・・・・忘れられた神殿」

杏樹がぽつり、と言った。

「忘れられた神殿ってとこに行ってみたい」

あそこ、か・・・・。お姉ちゃんが一度だけ、行ったことがある。それはそれは・・・・・

「そこって、どんなとこ?」

サリューが聞いてくる。メイジ君も知らないらしく、互いに顔を見合わせて首を横に降る。あたしは、真相を話していいものかどうか、逡巡した。全員が杏樹を見た。

「私も見たことがない。だから、行ってみたい」

なるほど。納得。なるるん。

「んじゃ、行ってみようか?」

入り口を見るだけで終わりになるだろうけどね、とは言わなかった。おそらく、この四人で行ってどうこうできる場所ではない、それはお姉ちゃんの経験から分かっている。あたしはそれを知っている。だけど、それを伝えて行かないで済ませるのはどうだろう?

知識よりも経験。経験は何物にも代え難い知識となろう。

かつてのお姉ちゃんがそうであったように。そしてあたし自身がそうであるように。

それよりもなによりも、この人達と共に行動していることそのものが楽しいと思える。お姉ちゃんがアミノ式さんやarameさんたちと一緒に過ごしているのと同じように。

高子やみづほさんたちと島でのんびりと雑談をするのもひとつの楽しみ。それとはまた違ったドキドキする体験。あたし自身が楽しむのもあるけど、この人たちにもそのドキドキを体験してもらいたい。たとえそれが危険な冒険であったとしても。

「みんな、行く?」

「おーー」

崩れ落ちた南門を通り、街道へ出る。村からしばらくは少し曲がりくねっているが、先頭を走る杏樹は道などおかまいなしに一直線に走っている。もちろん、クマやらクモやらが待ち受けてはいるけれど、特に問題なく通り過ぎることができた。しばらくすると、ほぼまっすぐな道に出るので、そこからは道なりに進む。

「どんなところなんだろうねー」

「エルフの遺跡みたいなところかな?」

メイジ君とサリューが話している。あたしは苦笑するしかなかった。杏樹は黙々と走っている。

やがて左手の丘がこんもりと高くなってきたかと思うと、左への曲がり角が現れた。ここから忘れられた神殿へと入れるのだ。

「まて〜〜い」

ひと足早くその洞窟の入り口へとたどり着いた杏樹はその勢いのまま内部へと突入しそうだったので、待ったをかけた。その後ろにあたし、サリュー、メイジ君と続いて到着した。

「とりあえず補助魔法かけるね」

かけても意味ないけど。エルフの遺跡の時と同様に、メイジ君と分担して補助魔法をかけてゆく。人数が減ったので、すぐにかけ終わった。

「はい、おっけー。れっつごー」

言うが早いか、杏樹、サリューが洞窟の入り口から中へと侵入した。メイジ君も続く。あたしは、少し間を置いて後ろから着いていった。

「結構広いんだ・・・・ああっ!?」

剣を打ち合う音とサリューの悲鳴が重なった。メイジ君がヒールを唱えているのが見えた。

「なんだこいつ!!」

忘れられた神殿

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あたしが追いついた時、すでにサリューは力つき、杏樹の足元に倒れていた。その杏樹もまた、怪物・・・コボルトに倒される

ところだった。杏樹が倒れるとコボルトは矛先をメイジ君に向けた。メイジ君はウィンドストライクで応戦しようとするも・・・・

「まあ、こうなるわな」

メイジ君も倒れると、もちろん最後はあたしだ。一応、ウィンドストライクとかで応戦してはみるけど。あえなく全滅。

「強すぎ・・・中まで見れなかった」

「えーん」

「まぁ、まだ早すぎたってことだね」

「うう、いつか絶対リベンジしてやる」

その意気その意気。今日のところは・・・

「最寄の村ってどこだろうね?」

「さぁ? とりあえず、ここで寝てても仕方ない」

みんなで仲良く

「最寄の村へ」

こうして、なるるんの新しい冒険が始まった。

なるるん

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