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『話せる島記・外伝』

『第一章・それぞれの道』

『第三話・グルーディン』

お姉ちゃん同様、クレリックに転職した。お姉ちゃんの経験から試験の段取りはだいたい判っていたので楽勝だった。ある種のズルかもしれないけど、まあ、許してもらうとして。

あの試験はやはり本当のトラブルなどではなく、仕組まれたものだってことが解った。段取りから係わった人達の台詞まで、何から何までお姉ちゃんの時と全く一緒だったのだ。それにしてはゾンビにネックレスを持たせてあったのがちょっと謎なんだけど、きっと試験の進行具合を監視してて、誰かが直前に手配したんだろう。全ては神殿が用意したもの。村の人達もきっと協会の関係者で、それぞれが役割を演じているのだろう。

さておき。無事にお姉ちゃんと同じクレリックにはなったが、違う点があった。それは装備だ。転職してすぐに革の鎧・・・軽装備を買った。

そもそも、メイジであるあたしたちが着る物と言えばローブしかなかった。剣士さんたちの着る重厚な金属製の鎧や、一回り軽い革の鎧を着ることはできなかったのだ。いや、着ることはできた。しかし、ローブには魔法が織り込まれていて、メイジにとっては不可欠な装備であり、鎧にはその魔法はかかっていない。ローブは、メイジの生命線である精神にはたらきかけ、そのマナを増加させてくれる。また、同様に頭脳へも影響し、魔法の呪文を詠む速度が格段に変化するのだ。従って、鎧を着ることはできても、その状態で戦いに参加することなど自殺行為に等しい。確かに、物理的な防御に関しては鎧の方が圧倒的に上なのだが、それを無視しても余りある恩恵がローブにはあった。

クレリックになってその状況が少しだけ変わった。

お姉ちゃんは気にも止めていなくて、転職してからもずっとローブを着ていたけれど、実はクレリックになると革の鎧を扱う事ができるようになるのだ。金属性の重い鎧はさすがに扱い切れないが、革の軽い鎧であれば、自分自身の精神力でもって着こなすことができるようになるからだ。転職してから能力リストをしみじみと眺めていたら、そういうのがあったのだ。

それに、セスタスを拾ってからのあたしの戦い方は、攻撃魔法で相手の体力を大幅に削った後、近接格闘でトドメを刺す形になっている。短時間とは言え、直接戦闘になるため、こちらの体力もそれなりに奪われてしまう。すぐに回復魔法を使えるのはいいけれど、結果的にマナの消費は多くなってしまい、魔法だけで戦う時とさほど変わらなくなる。それでも多少は節約できるし、何より今はこのスタイルがとても気に入っている。

そこで革の鎧・・・軽装備ですよ。

アデナの問題もあってあまり性能のいいものは買えなかった。ボーンブレスト。それが今のあたしの装備だ。安価な物とは言え、物理的な防御力はローブを大きく上回る。これで受けるダメージを減らせればマナの使用もぐっと減るだろう。それに、デザインも気に入った。店頭で値段と性能を見比べて検討したのだけど、最後の決め手はデザインだった。

色は茶色と灰色のツートーンのデザイン。鎧と言うよりはごわごわのブラウスとスカートってところか? ところどころに薄いけど金属の板も取り付けられていて見るからに頑丈そうだ。ハタから見れば野暮ったい、と思われるかもしれないが、あたしはこういう落ち着いた色、結構好きなのだ。

ボーンブレスト

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ああ、そうそう。一人で戦う時は確かにそういうスタイルだけど、他の人達と一緒にパーティを組む場合はやはりローブの方が都合がいい。なので、マジックパワーローブもちゃっかりとカバンに入れてある。ローブを売りさばいてしまえばもう少しいい鎧を買う事もできたのだが、まあいいだろう。

話せる島でブレーダー・・・クモの中で最も強敵・・・を相手にその装備を試してみた。ウィンドストライク一発。そして拳で数発。

いける。

わずかではあるが、効果はあるようだ。2〜3匹戦うと体力を1/3ほど奪われるので、そこで回復魔法を使う。以前だと1〜2匹だったので、微妙ながら効率よくなってるってことか。回復魔法代わりにヴァンパイアリックタッチを併用すればずいぶんとマナが節約できる。

マナが尽きるまでの時間が長くなったので必然的に連続して戦っていられる時間も長くなった。

「はぁはぁ」

その分、疲れる。

ちょっと村に戻ってくつろぐか。この時期ならみづほも島に戻って来ているころだろう。

島の北東部にいたあたしは道なりに戦勝記念の塔の方面へと歩いていった。その道の右側は少し高くなった土地があり、その向こうはすり鉢状にまた低くなった森がある。ここらあたりは15〜6歳ぐらいの若いメイジや剣士たちの絶好の活動場所になっている。

歩きながらふと視線を上げると、人影が見えた。

「高子ちゃん」

呼びかけると、すごい勢いでこちらを振り返り、あたしを認めると「なるちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」と大声を上げながら飛びかかって・・・もとい、駆け寄ってきた。一瞬、襲われるかと思ったぞ。ふぅ。

「コンチワ!ですです!」

相変わらず、元気一杯である。

「なるるんさん、こんにちは」

対症的に、と言うか、こちらも相変わらず名前の通りに紳士な戦・紳士君である。

「やーやー、やってるねー」

「ウンウン。聞いて聞いて! ヒール覚えたよ!」

そう言っていきなりあたしに回復魔法をかけてくる。いや、体力は満タンなんだけど・・・まあ、気持ちはわかる。覚えたての魔法はついつい使ってみたくなるよね。

「おー、やったね。これでパーティでもだいぶ楽になるでしょ」

「バリバリですー」

何がどうバリバリなのかは謎だけど、高子らしくていいか。

「なるちゃんは?」

「うむ。あたしも・・・バリバリだ」

「バリバリ〜〜〜〜〜」

いろんな意味で癒される・・・・・杏樹たちもそうだけど、偶然に知り合った人達が皆、そんな人達ばかりでよかった。

「なるちゃん、なたね〜〜〜」

「二人とも、がんばって。またね」

なたね、とは高子語で「またね」のことらしい。

なたね

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しばらくにこやかに、和やかに談笑し、二人は狩りに戻って行った。あたしはすっかり癒されていたけれど、やはり一度村に戻ろう。荷物が増えてきたので拾ったアクセサリや素材などを売っておこう、と。

歩きだし、海岸の方へ出ようと道を渡った時、それはいきなり起こった。突然、右側から強い衝撃を受けた。

「痛っ!?」

オーク隊長かウェアウルフチーフでもいたか?と、咄嗟に飛びのき、衝撃の来た方をみると、ダークエルフが一人、走り去ろうとしていた。後ろ姿のその名前は・・・・・血のように真っ赤だった。

PK。

噂には聞いていたが、あれがPK。ピープル・キラー。怪物を退治するあたしたち冒険者とは異なり、あたしたちのような冒険者に襲いかかる・・・やはり彼らもまた冒険者なのか? 決してお友達にはなりたくない人種だ。

実際に目にするのも初めてならば襲われたのももちろん初めてだ。一体、何のために?

あまりにも突然すぎて起きたことを頭の中で整理するのにしばらく時間がかかってしまったが、ようやく、はっとして自分を見やると、体力を半分以上奪われていた。咄嗟に緊急回復魔法を唱え、回復させる。もう一撃食らっていたら・・・・おそらく行動不能になっていただろう。改めて恐怖が襲って来る。身体の震えが止まらない。あたしにとどめを刺さなかった意図は計り知れないが、不幸中の幸いか、無事だった。

「うわっ・・・やられた!」

「PK出ました!!戦勝記念塔付近です」

叫び声とともに悲鳴もあちらこちらから聞こえて来る。無事では済まされなかった人も多いようだ。突然の招かれざる客のため、付近は騒然となった。あたしは成すすべも無い。しいかしどうやらそのPKとやらはどこかへ行ったらしい。不幸中の幸いか無事だったあたしは、とにかく村へと急いだ。

高子たちは大丈夫だったろうか?

村へとたどり着き、ほっとして、やっとそのことに思い至る。

なんともはや、情けない限りだけれど、今のあたしにはまだ、これが精一杯なのだ。非力で貧弱な存在。

震える身体を抱き締めるように、あたしは眠りについた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢を見た。

毎度おなじみ、雪の国である。

川の上にかかった石橋を渡ると、正面にこじんまりとした門があった。門をくぐると、右手が下り、左手が登りの坂道があり、その坂沿いの左右に建物がぽつりぽつりと並んでいた。小さな村のようだ。正面、建物の裏手には高い山がそびえている。

あたしは左側へと向かい、坂道を駆け登って行く。途中、右、左とゆるいカーブを曲がると少し広い場所に出た。その広場の左手・・・川側にある建物の一つへと入って行った。

立派ではない小屋の中には立派ではない商人がいた。背格好はまるで子供のようだが、視線の高さからして自分とさして変わらない。と、言うことは? 商人はドワーフだった。村の中で見かけた人達もやはりほとんどがドワーフだった。つまり、ここはドワーフの国、ドワーフの村なのだろう。

何やら話しかけ、やりとりのあと、ビン入りの飲み物らしきものを大量に買い込でカバンに詰め込むと、小屋から出てすぐ目の前の広場に立っている・・・なんじゃありゃ?

人間ではない。エルフやダークエルフでもない。ドワーフとも違う。近付くにつれなんとなくはっきりと見えてきた。あれは・・・人形?? しかもただの人形ではない。動いている!?

あたしはその人形の前まで歩み寄った。間近で見ると、やっぱり人形だ。真ん丸な木の頭に取って付けたような・・・いや、じっさいに取り付けられて居るのだろう、目鼻。髪の毛は毛糸だろうか? 帽子や洋服は布のようだが、身体は明らかに木でできているみたいで、関節はボルトだ。

からくり人形?

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あたしはそのからくり人形に話しかけた!?

「グルーディン港の村までお願い」

からくり人形は、きゅきゅーっ、と返事のような音のまじった声を発すると、棒のような手をふるふる、と回した。すると・・・・

目の前が暗転した。

ああ、ゲートキーパーだったのか・・・・

あたしは納得しながら、文字どおり闇の中へと飛ばされた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

目が覚めると、そこはグルーディン港の村ではなく、話せる島の村だった。

あまりにも夢がリアルで、一瞬、グルーディン港の村に到着したかのような錯覚に捕らわれたが、ここは間違いなく話せる島の村だ。

夢のせい、と言う訳でもないが、なんとなく、グルーディン港の村へ行ってみたくなった。そうそう、ペットをもらう旅に出るのもいいな。それ以外でも、本土を冒険してみるのもいいかもしれない。

ふらり、と言った感じで、あたしは本土へと旅立つことにした。

行き帰りは慣れたものだ。もう、何度この道・・・・海の底を行き来したことか。これからもまた何度となく走ることになるのだろう。この道も、その先にあるグルーディン港の村も、もはや目新しさはない。むしろ馴染み深い場所になりつつある。

しかし。

一歩村を出れば。

まだまだあたしの知らない場所も多い。

すでに30歳に近いお姉ちゃんですら知らない場所もたくさんある。

少し村に滞在した後、お姉ちゃんの記憶を元にある場所を目指すことにした。グルーディン港の村からはさほど遠い場所ではない。

トゥレックオークの野営地・・・の、すぐ手前にある森だ。

トゥレックオークの野営地そのものは、あたしはおろか、お姉ちゃんでさえ一人で訪れることはできない。アミノ式や業務課さん、arameさんたちと6〜7人で行ってどうにか戦えるってところだ。その野営地へと向かう道すがら、あたしでも一人でなんとかできそうな場所があった。

グルーディン港の村から北へ延びた街道を進むと、トゥレックオーク野営地に向かう西への道とエルフ・ダークエルフの国へ繋がる北向きの道に別れる。その三差路の西側に林があった。林の奥には小屋があって、その小屋の周囲は少し開けた場所になっていた。

小屋には誰も住んではいなさそうだ。朽ち果てた廃屋、と言う訳ではないが、人は住めそうにない。なぜなら周囲にはヴクオークやスパイダーといった怪物たちがうようよいたからだ。

街道から林へと入り、怪物たちを倒しつつ、小屋へと近付いてみた。

ヴクオークのファイターにさえ注意すれば他の敵は無害のようだ。ただ、ヴクオークは連鎖反応を起こすので、個別に戦う必要がある。クモは放っておいてもよさそう。

戦い方は、島の時と同じ。ウィンドストライク1〜2発で相手の体力を半分程度削ってあとは殴り。こっちの体力が削られたらウィンドストライクの変わりにヴァンパイアックタッチでダメージを与えつつ回復だ。回復が追いつかなくなったらヒールも使う。それでもマナには余裕がある。補助魔法をかけ直してもまだ半分程度残っている。

ヴクオークファイター

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ぼとっ。

ヴクオークファイターが何か落とした。なんだろう?と拾ってみると、帰還スクロールだった。ラッキー。500アデナ程度とは言え、消耗品。タダで手に入るならめっけ物。うははー。っと思っていたら、また拾った。しばらくすると、また。ありゃ、あっと言う間に10個ほど拾った。

これはもしや・・・

あたしはしばらく、その場所に住み着くことにした。

延々と、一体、どれくらいそこで戦い続けただろう?

時折、友達が遊びに来てくれた。

arameさんはあたしなんかよりずっと年上のはずなんだけど、ここへきて油断したんだろうか? あたしに会う前に戦闘不能に陥ってしまった。聞けば、ウィザードは攻撃力こそすさまじいものの、防御力は皆無に等しいそうで、大量の敵に一斉に飛びかかられるとひとたまりもないらしい。たとえそれが格下の相手であっても。

あたしは逆に慎重にならざるを得ないため、油断する事なく動き回ることができた。arameさんを探し出してみると、林の真ん中だった。木々のせいで視界が悪く、木の影に隠れた敵が見えなかったのだろう。複数のヴクオークが連鎖反応したらしく、armaeさんのまわりをうろうろしていた。あたしはそいつらを片付けてからリザレクションの魔法でarameさんを起こしてあげる。

「いやーまいった、まいった」

照れくさそうにarameさんは頭を掻いた。

「油断大敵ですよ」

「まったく・・・無料帰還するとこだったわ」

「あはは。あんまり使いたくないですよね」

「うむ」

そんな感じでarameさんと雑談をして別れると、今度はエル・ロンドから連絡が入った。近くまで来たから顔を出すとのこと。

エルとはそんなに年も離れてはいない。ただ、彼女の方が少しだけ育ちがいいようだ。ちょっと追い越された感じ。交感魔法で場所を伝えて誘導する。

彼女は騎士。危なげなくあたしのいる場所へとたどり着いた。

「やー」

「いらっしゃーい」

まるで自分の家のようだが、あくまでも他人様の土地。それはまあいいとして、arameさんの時とは異り、おしゃべりもほどほどに一緒に戦うことにした。

「そうそう、帰還スクロールが結構拾えるんだよ」

「へー」

と言ってるそばからぽとり。

「おー、ほんとだ」

「もう、40個ぐらい拾ったよ」

「よーし、あたしもガンバろ」

エルとパーティを組むことになったので、ローブに着替えた。定番通り、ファイターであるエルが先制攻撃をしてくれるので、あたしが直接攻撃をうけることは少ない。それに、エルを回復するためのマナを確保するためにもローブでなければならない。

回復はともかく、それ以外となるとすることがないので、一緒に攻撃も行う。

しばらく一緒に戦っていて、エルの戦い方はアミノ式と杏とはちょっと違う感じがした。アミノ式と杏は戦士、エルは騎士っていう職業の違いもあるのか、それとも単に性格の違いなのだろうか? アミノ式や杏は敵が単体だろうが群れだろうが、とにかく真っすぐに突っ込んで行く。エルの動きは違った。単体の場合は同じように突撃するけど、群れている場合は、わざと敵に先制攻撃をさせて、後退し、連鎖反応を起こさせないようにしているのだ。

アミノ式とお姉ちゃんのペアに慣れていたため、杏との時は気にならなかったんだけど、エルを見ていてなんとなく違和感があった。しかし、あたしも一人の時はそういう風にしているので、その動きと同じだからその違和感もすぐになくなった。

「あれー?おかしいな」

別の違和感が生じた。もっと頻繁に帰還スクロールを入手できていたのに。

「あんまり出ないね」

「うーーむ。一人の時と二人の時じゃ変化するのかなぁ?」

そう、あれほど大量に出ていたものがぱたり、と出なくなったのだ。全く出ない訳ではないんだけど、頻度はかなり減っている。

あたしの言葉に期待をしていたエルはなんだかガッカリの様子。テンションがちょっと下がった感じ。まあ、飽きてきたのかもしれないが、ここからさほど遠くない悲嘆の廃墟に行ってみる、と言い出した。

あそこはまだあたしには怖い。エルはすでに何度か行ったことがあるってことで、お見送りすることになった。

「んじゃ、またね」

「うん、気をつけて。がんばってね」

「お互い、ね」

「うん」

さて・・・また一人に戻ってヴクオークと対戦。すぐに変化が現れた。

「出るじゃん・・・・」

やはり二人ではだめなのだろうか?

それからまたしばらく、あたしはその場所に住み込んで、100個以上の帰還スクロールを入手した。使ったのは2個ぐらい。途中で加齢したため、新しい魔法を覚えるためにグルーディン港の村へ戻る必要があったからだ。それ以外は特に村に戻る用事もなかったので、近くの道で寝泊まりしていた。

集めたスクロールはお姉ちゃんにも半分あげよう。どちらかと言うと、お姉ちゃんの方が行動範囲が広いので、スクロールを使う頻度も高い。まあ、あたしもまた、すぐいっぱい使うようになるだろうから、半分こ。

お姉ちゃんとの荷物のやりとりは、ちょっと面倒な手順を踏まねばならない。島に居た頃はみづほに頼んで受け渡しを手伝ってもらったりもしたけど、最近はここ、グルーディン港の村で実行。

同じ魂を共有している関係で直接手渡しすることができない。だからみづほたち友達に中継してもらったりするんだけど、そういう知り合いが都合よく居るとは限らない。そういった場合は路上に一度置いて、入れ替わってそれを拾う、と言う手を使わざるを得ない。

しかし、人目のある場所でそれをやると、荷物を横取りされる可能性があるため、こっそり隠れて、が基本となる。あたしとお姉ちゃんの場合は村の北口をでたすぐ目の前の高台がその場所だ。距離的にはすぐ近くなんだけれど、実はかなり遠回りしないとその場所にたどり着けないのだ。一度、例のヴクオークの住む林の手前近くまで行き、そこから道を外れて逆戻りする必要がある。この高台近辺には怪物もおらず、すぐ脇を街道があるため、わざわざこちらに回り込む人もいない。それに、正面とは言え、仰ぎ見ないといけないから、かえって見つかりにくいのだ。さらに、高台にはごつごつとした岩が出っ張っており、その岩の上に降りると、高台の上からさえも死角になるため、好都合なのだ。

秘密の場所?

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時折、必要がある場合はお姉ちゃんとここで待ち合わせをして荷物の受け渡しを行っていた。今回も問題はないだろう。あたしがまだ幼い頃はお姉ちゃんに島まで来てもらって滝の上とかで受け渡ししていたけど。あたしも行動範囲が広がったからね。

しかしそれでも念には念を。

周囲確認、足元確認、頭上確認。手早く荷物・・・帰還スクロール50個・・・・を置いて、魂をお姉ちゃんと交換する。そしてまた気が付けば、足元から帰還スクロールが消え、代わりに宝石箱が落ちて居た。ためらうことなく、さっさとそれを拾い上げる。

お姉ちゃんが使わなくなったアクセサリをあたしにプレゼントしてくれたのだ。帰還スクロールの代償、ってところか。まあ、姉妹だから無償でもいいんだけど。姉がいるとお下がりとかたまに譲ってもらえたりするのでうれしいこともある。

姉妹で、と言えば、「経験」もしかりだ。成長する過程において、さまざまな場所に行くことになるが、すべての場所を訪れるのもなかなか困難だし、気付けばその場所は時期、つまり自分の年齢と怪物たちの強さが釣り合わなくなってしまっていることもある。妹であるあたしはお姉ちゃんが行かなかった場所へ行くことができる。

悲嘆の廃墟。

そう、お姉ちゃんがまだ10代のころ。恐怖と困難を持って通り抜けた場所だ。

お姉ちゃん自身は「悲嘆の廃墟は恐ろしいところ」と言うイメージが刷り込まれてしまっていたためか、ほとんど訪れることがなかったのだ。気付けばすでに30歳近くなったお姉ちゃんにとっては、「行ってもしょうがない場所」になってしまっていたのだ。

そろそろ。

あたしにとっては好都合な場所になりつつある。エルやサリューも入り浸って居るらしい。なんでも、とっても「オイシイ話」があるとかないとか。お姉ちゃんの武器や衣装、あたし自身のも含めてなにかと入り用なので、アデナはいくらあっても足りない。稼げるのならば・・・と、恐る恐るながらも悲嘆の廃墟へと訪れてみることにした。

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