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『話せる島記・外伝』

『第一章・それぞれの道』

『第七話・エルフの国まで何マイル?』

話せる島の村まで戻ったあたしたち四人のうち、どきんチャンは別の用事があるとのことで、そこで別れることとなった。エルフの国へは案内役のファル、亜羅雌、あたしの三人で行くことになった。

「うさぎさんだ〜〜〜」

「それじゃあ、行ってくるね」

「うん。気をつけてねん」

灯台

Lineage (R) II and Lineage (R) II the Chaotic Chronicle are registered trademarks of NCsoft Corporation. 2004 (c) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Chronicle in Japan. All Rights Reserved.

灯台の下、エルピーと戯れるファルの横、あたしと亜羅雌がどきんチャンに別れを告げる。別に場所はどこでもよかったんだけど、村から見える灯台にひかれてファルが来てしまったのでなんとなく着いて来てしまっただけだ。たまたまそこにエルピーがいた、と。

「ぴょんぴょーん」

「ほら、ファル、行くよ」

「あい〜。うさぎさん、どきんチャン、ばいばーい」

名残惜しそうにエルピーとどきんチャンに手を振りながらもファルはあたしたちに着いてきた。海岸沿いに北上し、クモの丘へと向かう。クモの丘に入ると、他の冒険者が数人、クモたちと格闘しているため特に危険はない。

「通りまーす」

と、その人達に声をかけて突端へ。たどり着く前にファルには先にウィンドウォークとキス・オブ・エヴァをかけておく。案の定、あたしの指示を待たずに海へとダイブするファル。かなり行動を予測できるようになってきた。

亜羅雌と自分にも補助魔法をかけてダイブする。海底で右往左往するファルの手を曳いて目的地を目指す。

島側から海底空間への距離は少し遠い。補助魔法の力を借りてもギリギリだ。はぐれたりしたら命にかかわる。さすがのファルも二度目ってこともあって素直に真直ぐ歩いてくれている。

やがて息が切れ、体力が減り始める。亜羅雌も自分で回復魔法が使えるようなので、彼女と交互に自分自身とファルを回復しながら進む。やがて海底空間へと無事にたどり着くことができた。

「きーーーーん」

海底空間に着くと息もできるようになり、走る速度も元に戻る。水を得た魚・・・ではなく、その逆。空気を得た小動物よろしく、駆けて行くファル。そのファルを追いかけるように走りだす亜羅雌とあたし。

「似てるな・・・」

亜羅雌がぼそりとつぶやいた。

「ん?誰に?」

「いや、なるるは知らないと思う・・・ウチの友達に居るんだ、ああいうのが。ヒューマンメイジの女の子だけどな」

「あーー・・・・あたしも居るよ、同じような友達。やっぱりヒューマンメイジだけど」

第一印象もそうだったが、まるで好奇心旺盛な生まれて間もない子猫のようなコ。高子の顔が浮かぶ。そういえば亜羅雌と高子は互いには知らないか。

「ヒューマンメイジって、そういうのばっかりか?」

「どうだろうねぇ・・・ってあたしもかっ! ってゆーか、arameさんもじゃん」

「うひひ」

亜羅雌・・・arameさんもまた猫的なところはある。どちらかと言うと年を重ねて落ち着きを得た物静かな猫と言った雰囲気ではある。気を許した相手にだけ時折ちらりと見せる、喉を鳴らすような甘えた仕草。いたずらっ子のような言動。間違いなく猫の譜系だ。

なんぞと言っている内に対岸へとたどり着いた。

「さて、んじゃあ、アレ、試してみるか」

アレ。そう、島への道中、ファルが見つけたこの崖をよじ登る方法。

「はーい。いちばん、ふぁる、いっきまーーす」

「よっこらしょ」

ファルと亜羅雌さんが相次いで崖に飛びかかる。あたしも。さっきの要領で崖のてっぺんを目がけて駆け登ろうとするのだが・・・

「やほー。登れた〜〜」

やぱっぱり猫だな。木登りとか得意そう・・・。亜羅雌もささっと登り切ったようだ。

「変だなあ、前はうまく登れたのに・・・」

あたしは崖の下で悪戦苦闘していた。なんかコツがつかめず、登ろうとしてもずるずると滑り落ちてしまう。そもそも、垂直に切り立った崖である。登れる訳なんてないと思っていたこともあるし、なかなか感覚がつかめない。

「崖の頂上に意識を集中して。崖の途中は考えなくていいから。一番上の方に一気に飛び上がる感じで」

亜羅雌ならともかく、妹のようなファルにそう指示されるとなんだかムッと来るが、ここは大人しく従う事にしよう。彼女の野性的なカンと行動力には見習うべきところも多い。そのお陰か、ある瞬間にすぽっと登ることができた。たどり着くとそこは海底。

「ごめんごめん、おまたせ」

「ごーご〜〜」

ここからグルーディン港まではさほどの距離ではない。こちらから見れば港の右側、砂浜があったはずだ。そこに直接上陸できるだろう。

すぐに港の桟橋の脚が見えてきた。それを横目に進むと砂浜も見えてきた。

「いっちば〜〜ん」

先に到着したファルが浜ではしゃいでいる。

「にっっば〜〜ん」

つられて亜羅雌も。

「うう、さんば〜〜ん」

三人しかいないので最下位。まあ、別に競争していた訳じゃないからいいんだけど。

しかし、このワザは色んなところで応用できそうだな。登れなさそうに見える山や崖なども、もしかしたら登れるようになるのかもしれない。今度別の場所でも試してみるか。

「どうする? 村に寄ってく?」

特に用事はない筈ではあるが、一応聞いてみた。

「そうだな・・・この先、色々危険があるかもしれない。うち、arameで行く」

姉妹交替か・・・そうだな。あたしもちょっと不安だし、ここから先はお姉ちゃんに頼むとするか。

「あたしも、お姉ちゃんに交替」

「ほえー」

ちょうど、Narurunお姉ちゃんもグルーディン港の村に居たはず。

「じゃあ、村の広場で。ちょっと待っててね」

「あいあいさー」

・・・・・・・・・・・・・

と、言うことで、魂を交換した。お久しぶりです。なるるんの姉、Narurunです。しばし、わたしがご案内をさせていただきます。

・・・・・・・・・・・・・

「おまたせ」

南門近くにいたわたしが広場に到着すると、すでにファルもarameさんも広場に来ていた。そしてさらに意外な人がもうひとり・・・。

「Narurunさん!こんにちは!」

トロピ・・・トロピカーナさんだった。

「お、お、お、おひさしぶりです」

いきなりだったもので、なんかどもってしまう。

「狩りに行きましょう!」

あいかわらずのテンションのご様子で。

「いや、だから、用があるんだってば」

先に出会っていたarameさんが状況を説明しているようだが、通じてないようだ。

「露営地なんてどうですか」

いや、だから。

「これからェルフの国まで行くんですって」

「野営地もステキ」

つんつん

「この人、誰?」

arameさんの陰に隠れるようにしてわたしの袖を掴んで聴いて来るファル。わたしのことは名前のこともあるのですぐ解ったようだ。

「んー・・・わたしとarameさんの師匠というか、先輩というか・・・まあ、知り合いだよ」

「ふーん・・・」

「むう、仕方ありませんね。それではエルフの国へ参りましょう」

ファルと話している間にトロピが折れた・・・って、え?一緒に? 

「そうと決まれば早速しゅっぱ〜〜つ」

仕切ってるし。

今度はファルが苦笑い。

『他人のフリ見て我がフリ直せ』

ファルにはいい薬かもしれないな。良薬口に苦し、とも言うけど。そういえばこの人もヒューマンのメイジ。猫科の人なのか。

走りだすと、エルフであるファルがすぐに先頭に立った。わたしたちヒューマンはエルフには敵わない。ファルもそれは解っているらしく、時折振り返ってわたしたちが着いて来ていることを確認してくれている。

なるるからわたしに交替したのはもう一つ理由があった。なるるのウィンドウォークよりわたしの方が力が強く、より速く走れるようになるからだ。30歳を過ぎたわたしには、なるるがまだ持っていない魔法もいくつか持っている。それに同じ魔法でも向上している部分もある。長距離を走るのならば断然有利だろう。

捨てられた露営地にさしかかった時だった。

「ちょうどこのあたりだったよね」

「何が?」

亜羅雌には何のことだかはわからないだろう。

「ファルとわたし・・・いや、なるるんが出会った場所」

「むう、まふむめーー」

そう言いながらファルはオル・マフムのいる森の方へと突進していった。

「ちょ、ちょっと」

まさか、復讐とばかりに切り込むのかと思ったけど、そうではないらしい。マフムの間をすり抜けて森の奥へと進んで行く。

マフムの森

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「ちょっと、何処に行くのよ」

エルフの国を目指すにしても、一度グルーディオ城の村あたりを経由して行くことになる。道なりに行けば安全で早いと思うのだけど・・・・

「こっち近道〜」

だそうで。

arameさんも半信半疑。本当かね?と言う顔をしている。森を抜けると、山間の谷間に出た。ああ、ここは・・・なるるがエル・ロンドと迷子に・・・もとい、探検した山か。最後に下山した場所だ。そうか、あの時は山の中を彷徨っていたけど、この谷をそのまま抜けられるのか・・・

ふ、と見るとトロピがいない。

何処へ行ったのか、と振り返って見ると、後ろにいた。

「おみやげ〜〜〜」

そう言いながらこちらに向かって来るトロピの後ろからはおみやげよろしいオル・マフムの軍団が一緒になって走って来ていた。

「連れてくんな〜〜」

arameさんもさすがに呆れている。

「えー、いいじゃなーい」

「ダメ、さっさと捨ててきなさい」

「むう」

トロピが魔法を放つとオル・マフムはあっと言う間に倒されてしまった。す、すごい・・・

「なにしてるですか〜〜」

先頭を行くファルにはトロピのおみやげは見えなかったらしい。見えてたらそれはそれでえらいことになっていたかもしれないけど。

ぴょんぴょん、とはねるように走るファルを追いかけて谷あいを抜け、山の反対側へ出る。そこから今度は山に沿って北へ。あたりには怪物が居たが、ファルは平然とすり抜けて行く。見ると、山と平行に谷があり、最終的にはその谷へと降りることになった。降りたところでファルが立ち止まって居た。

「どうしたの?」

後から追い着いたわたしたちはファルに問いかけつつ、ファルの視線の先を見やった。そこには熊がいた。

「あれはヤバいです」

あの熊にもやられたことがあるんだろう。ファルはファルらしくなく、警戒し緊張していた。

「へーきへーき」

arameさんはそう言うと二、三歩前に出ると炎の魔法を唱えた。一撃で倒される熊。遅れてトロピの魔法も着弾する。

「うほっ、さすがです!」

「さ、行くべ」

arameさんに促されてファルはまた走りだした。今度は行く手に怪物が居てもお構いなし。ただし、歩数を調整してあまり前に出過ぎないように注意はしているみたいだ。arameさん、それにトロピがそばにいれば安全だろう。わたしも居るので最悪の事態、と言うのは避けられそうだ。

やがて谷を抜けると森へと入った。地図でみると、グルーディオ城の村から南へ少し離れた森のようだ。確かに走って来たルートを地図上で確かめてみると、道なりに村を経由するよりは近かったようだ。そして森を抜けると街道に出た。しかしファルは街道を走るのではなく、街道沿いの川の方へと向かって行った。

「ここから川の中を走るです〜」

ほう。実際に川へ入り、浅瀬を走って行く。海のように水圧で足を取られることもなく、陸上と変わらない速度で走ることができた。

「ここなら怪物も居ないし、安全です〜」

「へえ」

実際、河原から少し離れたところには怪物の姿を確認できたが、川の中、川岸には全くと言っていいほどに何もなかった。海もそうだが、水中には怪物は居ないらしい。話せる島の川辺にいるジャイアントトードは極めて稀な種なのかもしれない。

ファルはあちこちを徘徊していたこともあって、わたしたちの知らない色々なことを知っているようだ。

「クルマの湿地〜〜」

トロピがなんか叫んでいる。

「狩りいこーよーー。クルマの湿地、おもしろいぞ〜。何ならクルマの塔でもっ」

はいはい。

とりあえず、トロピのことは聞かない振りをして先へと進む。川を北上するとファルはいきなり進路を変えた。右・・・つまり東側へと進み始めた。川をわたり、対岸へ上陸すると、緑豊かな草原にたどり着いた。

「ここはもう、エルフの国なんですよ」

自慢げにファルがそう宣言する。ふむ。確かになんとなく雰囲気と言うか、空気が変わったような来がする。木々の間を見たこともない妖精たちが飛び回っている。

一度草原から街道へ出たと思ったらまた草原へ。つくづく道を走るのが嫌いなんだろうかと思ってしまう。わたしは若いころからずっと、基本的には道なりに走っていたからなおさらそう思うのかもしれない。

やがて、森のある場所でファルがまた止まった。

「こいつもヤバヤバです」

それは馬・・・いや、角のある白い馬・・・ユニコーンだった。話には聞いたことがあったが、見るのは初めてだ。

「いつかは倒してみたいですが・・・今はまだ無理無理です」

「よっしゃ〜〜!!」

水を得たのはトロピだった。道中、「狩りしよー」「狩りいこー」などと言い続けていたトロピ。あえて無視していたんだけども、ここへ来てそれが爆発したらしい。

「手出し無用。タイマン、いきます!!」

そう宣言すると、いきなり火炎魔法をユニコーンめがけてぶっ放す。うわー。

もちろん反撃を食らうトロピ。ユニコーンは前足を高く上げ、そのヒヅメを振り下ろす。と、同時に額の長い角でトロピを突き刺す。トロピも離脱しつつ、次の魔法を唱える。何度かその攻防を繰り返すと・・・

「きゅうう」

ユニコーンの勝利。無惨に転がるトロピ。ユニコーンに踏み付けられている。

「リザおねがい〜」

はいはい・・・・

わたしはトロピに向けリザレクションを唱える。体力を回復したトロピはそのままその場所に座り込んだ。

「回復したら再戦!」

「エルフ村はもうすぐだよ」

ファルは生まれ故郷に早く戻りたい・・・いや、わたしたちを案内したいのだろう、先に進みたがっているようだ。確かにこのままトロピに付き合っていたらいつになるかもわからない。

「あーいいよ、おたくら、先行って。一人でがんばる。だいたい見切ったから、次は倒せそうだ」

「そう?それじゃ、行くね」

「あいあーい」

「気をつけてー。あんまり無茶しないでね」

「うい〜〜」

トロピはトロピで楽しんでいるようなのでそっとしておくとして、わたしたち三人はエルフ村へと急いだ。もともとトロピはエルフの国へ行きたかったって訳でもないし。

「もうあんまり時間がないです」

そういえば、露営地で出会い、島を案内し、ここまでずいぶんと時間が経っている。ファルにも都合があるのだろうし。

平野にはところどころオークやキノコ、それに精霊やクモなども居た。しかし、どれも名前は真っ青で、今のわたしには何の脅威もなかった。ファルにしても同様だろう。何も迷う事なく、平野の只中を突き進んで行く。時折、襲われることもあるが、平気だ。

「あれがエルフ村・・・」

エルフの村

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前を走るファルのその前。大きなお椀が中空に浮かんでいるのが見えて来た。お椀の縁のあちこちから澄んだ水が滝のごとく流れ落ちている。吹く風に乗ってその水の澄んだ香りが森の木々の香りにブレンドされ、さらに心地のよいものとなっていた。

幻想的。

まさにそんな雰囲気だ。

さらに近づくと、そのお椀は数カ所、橋がかけられていて、そこから村の中へと入れるようになっているようだった。なるほど、塀を張り巡らせるよりもこの方が安全かつ防衛には持って来いだろう。橋のたもとには衛兵も立っていた。

「とうちゃーーく」

その衛兵にとがめられることもなく、わたしたちは橋をわたり、お椀の中・・・エルフ村へと到着した。

村の真ん中。広場のさらに中央には泉があり、そのまた中央には木があった。水に護られし森の住人。エルフのそんなイメージを体現するかのような光景だ。村の外形と同様、内部の作りも優しい円形を成しており、店などの建物が周囲に点在している。ちょうどわたしたちが入って来た門の前は話せる島の村で言うところの広場みたいな様子で露店を広げる人で賑わっていた。エルフばかりかと言えばそういう訳でもなく、ダークエルフやドワーフ、それにヒューマンの姿もある。

「わたしの生まれ故郷へようこそ」

ファルが誇らしげに言った。誇りに思っても不思議じゃないだろう。話せる島は素朴ではあるが雑然としていた。他の村々も機能重視で混沌としている。ダークエルフの村は陰とした荘厳さはあるが、この落ち着いた造形はどうだ。

わたしは先ず中央の泉へと歩み寄り、その木を見上げた。

「もっと大きい木もありますよ。世界樹て言うのが」

わたしの行動を見ていたらしいファルが近づいて来た。

「こっちです」

わたしはファルに着いて反対側の橋へと進んだ。進む間もなく、ファルの後ろ姿の向こうのとてつもなく巨大な木が目に入った。いや、大きすぎて、視界に入っていたのに気付いてなかったのだ。

あれが、木!?

山ほどもある大きなそれは、広場と同じように泉の中央にそびえていた。黄色から新緑まで色とりどりの葉が生い茂り、陽の光りさえも遮り、根元の泉のまわりはひんやりとしていた。その泉の中、世界樹の正面にはおおよそ似つかわしくない怪物・・・いや、怪人が立っていた。

ネルファ

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ネルファ。

木に見とれていて視線を下げていったらそれが目に飛び込んで来たため、わたしはその場で凍りついてしまった。

「だいじょうぶですよ。そのひとはわたしたちエルフの・・・先生ってとこかな?」

背中から何本もの触手を伸ばしたその姿は蜘蛛のようにも見える。思わず手にした武器を握り直してしまったが、ファルが先に解説してくれたのでとりあえずホッとする。しかし、あまりお近付きにはなりたくないので、遠巻きに泉の外から再び世界樹を見上げる。

「世界樹は・・・」

そんなわたしと同じように樹を見上げながらファルがつぶやくように説明してくれた。

「わたしたちエルフにとっては母親のような存在なんです。

そもそもエルフはこの泉で生まれまれるんですよ。

それに、世界樹はエルフの国のあちらこちらに何本か存在します。世界樹の下では加護を受けられて、体力やマナの回復がすごく早くなるんです」

わたしはヒューマンだからその加護を受けることはない。しかし、その優しさを感じることはできる。ここにいると、気分が落ち着き、癒されるような気もする。

ただいま、お母さん。

ファルは口には出さないけど、そうつぶやいたように思えた。しばらくここには戻っていなかったのだろう。アデン大陸のあちらこちらを彷徨い、様々な危険にも遭ったに違いない。わたしたちを案内する、と言うのは大義名分で、実は里帰りをしたかったのかもしれない。

彼女の瞳は「まふむめー」と言っている時とは明らかに異なって見えた。

「残念ですが、時間切れです」

視線をわたしに向けてそう言った。気付けばarameさんもそばに来て世界樹を見上げていた。

「もう少しそこいらを案内できたらよかったんですが」

「いいや、いいよ。ありがとう」

「うん、お疲れさまでした」

「またです」

「またね」

「またな」

わたしたちは互いにあいさつを交わし、ファルが行くのを見送った。

「さて、っと」

「どうしよっか」

残されたarameさんとわたし。

「さすがに疲れたな・・・ちょっとそこいら見て回って寝るわ」

「そだね。わたしもそうする」

「ん。それじゃーな」

「うん、お疲れさま」

「またの」

「またね」

・・・・・・

arameさんとも別れ、わたしはまたしばらく世界樹に見入っていた。それでもさすがにずっとそこに佇んでいてもしょうがないので、村の中をあちこち見て回っていると、本当に眠くなってきたため、村の一角のひと気のない場所で一休みすることにした。

世界樹

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢を見た。

あれ?

夢?

ここはエルフの国かな。

無意識の内にエルフの村を出て、草原にやってきたような錯覚。って、あたしはグルーディンか・・・お姉ちゃんとの意識の境目が希薄になっていて、どっちがどっちだかわからなくなってるな。

夢の中のあたしは草原でキノコと格闘していた。キノコのパンチを受けながらもわたしも殴り返す・・・・殴り?あたしのセスタスと同じような格闘武器を両手にパンチを繰り出していた。この感覚は非常にリアリティがあるな。以前の夢では剣だったため違和感がすごくあったけど、これだとすごく現実に近い。

でも、拳を繰り出す時の自分の掛け声はまるで違う。やっぱり別人だ。

倒した怪物が紫色に光るのも違う点。夢とはいえ、何度も見ているのでもう慣れたけど、やっぱりなんだか気持ち悪い。

キノコから胞子が取れるのはお姉ちゃんがダークエルフの森で体験したのと同じかな。エルフの国のキノコも同様らしい。

ダークエルフの森は鬱蒼として陰々としていたけれど、ここはすがすがしく、戦っていても元気が出るような気もする。まわりの環境ってのもずいぶんと影響するものね。

右へ左へ。フットワークも軽やかに、次々とキノコをなぎ倒して行く。時折オークに襲われたりしてもやすやすと倒してしまう。あたしってすごーい。と言ってもあたしじゃないんだけど。

でも、これって誰なんだろう?

そんな事を思いながらぼーっと動きを眺めていたら意識が遠のいて行き、真の眠りへと誘われていった。

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ファル・・・・また何処かで出会えるといいな。

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