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『話せる島記・外伝』

『第一章・それぞれの道』

『第八話・新しい装備』

杏樹とエル・ロンドに連れられて「捨てられた露営地」に行ってみた。

露営地

Lineage (R) II and Lineage (R) II the Chaotic Chronicle are registered trademarks of NCsoft Corporation. 2004 (c) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Chronicle in Japan. All Rights Reserved.

と言っても、中には入らず、街道に面した森の中だ。街道をはさんだ反対側の森にもオル・マフムと呼ばれる獣人があふれている。猫科の血を引く大型獣だが背格好は人間に近く、鎧を身につけ武器を装備している。それに彼らは言葉を解するだけではなく、ある程度統率の取れた組織を成して行動しているようである。

それだけに手強い。

これまで相手にして来た怪物たちは、その名の通り「怪物」と呼ぶにふさわしく、ただ衝動や本能、はたまた怨念で行動するような、言ってみれば野獣だった。それだけに行動は単純で動きもある程度読み易く、戦い易かったと言えよう。

オル・マフムは違った。

あたしと杏樹、エル・ロンドの三人で一体のオル・マフムと戦っている時のこと。

「戦略的撤退だ!!」

戦いの途中、そう叫ぶとそのオル・マフムは脱兎・・・いや、ウサギじゃなくて猫か?・・・のごとく逃げ出したのだ。

「待てっ!」

杏樹が後を追う。

「ああ、待って!」

杏樹の後をエル・ロンドが追う。

「あちゃ・・・」

そうなのだ。

オル・マフムが逃げた先は彼らの陣地。そこには彼の上司と思われる見た目にも高級そうな装備に身を包んだオル・マフムがいる。もちろんそんなところに突っ込んだ杏樹は・・・・

さすがに逃げ帰って来るかと思ったが、杏樹の根性はそんなもんじゃなかった。一斉に襲いかかられても踏みとどまっている。エルが加勢に入る。エルは彼女の・・・騎士の技能を使った。

「こっちだっ!!」

杏樹に襲いかかるオル・マフムたちの意識を派手な動作で自分の方へと向けさせる。オル・マフムたちが矛先を変えたのを確認すると、今度は気を全身に纏い、自身の防御力を究極まで高める。これで数体の同時攻撃にもしばらくは耐えられる。ただし、この技を発動している間は移動ができないらしい。エル本人いわく、「亀・・・」だそうだ。

「今のうちに、杏!」

あたしも杏、エルに回復魔法を唱え、まわりのオル・マフムにもウィンドストライクを叩き込む。ところが、これも今までとは違い、ほとんどと言っていいほど効かないのだ。下手をするとたまに魔法が失敗して跳ね返されてしまう。これまでならある程度はあたしの攻撃力も殲滅に貢献できたのだが、おそらくこれからはもう役立たずになってしまうのだろうか・・・

杏はありったけの必殺技を繰り出して少しづつではあるが確実にオル・マフムを倒して行く。まるで舞い踊るような華麗な動きだ。

「うわったたた。亀きれた〜〜」

エルを包んでいた気が薄れ、みるみる体力が減り始める。あたしは緊急回復魔法をまじえ、回復魔法、全体回復魔法を矢継ぎ早にかけた。一方的に攻撃している杏や回復魔法をかけていたあたしに矛先が向けられたからだ。しかし、攻撃が分散したことで、エルに集中していたダメージも分散された。これで回復は少し楽になった。杏が数体倒したこともあって、状況はこちらに有利になりつつある。

「はぁはぁ・・・戦略的撤退だ〜〜」

今度はこちらが撤退する番だった。さすがの杏もエルの言葉に従い、街道へと退却してくれた。陣地の中に新たなオル・マフムが増援として現れたためだ。

数体、残ったオル・マフムを街道まで引き連れ、三人で応戦する。ここならば増援も来ないだろう。最後のオル・マフムを倒し、その場にへたり込む面々。体力はともかく、マナがもうほとんど残っていない。あたしの魔法もそうだが、エルも杏も技を連発していたため、マナをぎりぎりまで使い切っていたのだ。あのままあの場所に留まって応戦していたら、いずれ・・・いや、すぐに全滅しただろう。

引く勇気も必要、か。

「ってゆーか杏ちゃん」

「ん?」

所在なげに剣先で地面を削っていた杏にエルが言う。

「突っ込むのもホドホドに・・・」

「あい」

口ではわりと素直な杏樹であった。

街道の北側、露営地は盛り上がった土の壁で仕切られており、二か所・・・いや、三箇所だけ出入り口の門がある。ここはその出入り口のひとつ。壁に寄りかかるように三人で休憩だ。

「そういやさ」

手持ち無沙汰のエルが切り出した。

「ん?」

「最近サリュー見かけないけど、どうしたのかな」

そう言われてみればそうだな。ここのところ感応魔法でも感知できない。

「なんでも」

意外なことに杏が真相を知っていたらしい。

「PKされたりとか色々あったみたいで、今は体調不良でお休み中らしい」

「ええっ!?」

そうだったのか・・・もともとサリューとは時間帯が合わないこともあってすれ違いが多かったんだけど、そうか・・・

「わたしもPKされたことあるよ」

「ええっ!?」

あたしは驚いてばかりだな。杏はあんまり表情を変えないし、自分のこともあまり口には出さない。もしかしたら、彼女も、なのかもしれないが・・・。あたしは襲われたことはあるものの、幸いにも倒されるまでには至らなかった。

「前に悲嘆の廃墟で骨叩いてる時にさー、後ろから弓で撃たれて、ほとんど一発でやられちゃった」

ふむふむ

「まったく、頭に来るよなぁ・・・いつか・・・もっともっと強くなって、仕返ししてやるんだ」

また物騒な。

エルは続けて言った。

「強くなるためにも武器!武器だよ!ねっ、杏ちゃん!」

こくり。エルの問いかけに首を縦に振る杏。しかし武器と言ってもそうやすやすと手に入るものではない。買い替えるにも大金が必要だ。怪物がまれに落とすことも有るって言うのはあたしのセスタスの例もあるが、期待して拾えるものではない。しかしながら村で他人の会話が漏れ聞こえるのを聞いていると、少数ではあるがやはり拾ったと言う話もある。

「よーーし、気合入れて出すぞっ」

体力もマナも回復したこともあり、エルが雄叫びとともに立ち上がる。

「行くよ、杏ちゃん、なるるっ」

まてまて。

血気盛んなエルと、これまた静かな闘志を燃やしている杏に補助魔法をかけつつ後を追う。

エルと杏の違いは、杏なら勢いのままオル・マフムの集団に飛び込んで行くが、エルの場合は勢いはありつつも手前で一旦停止し、一体だけを的確に「引いて」戻って来るところか。

「バッソ出せ〜〜〜」

戦闘が始まると二人とも似たように剣を振り回している。多少の違いと言えば、杏の方が必殺技をより多く繰り出すところだろうか。

そして、エルの叫び。この間まで「頭骨出せ〜〜」と叫んでいたかと思ったら、次はこれですか。バッソ、と言うのはバスタードソードって剣の事らしい。今戦っている相手、オル・マフムの指揮官が落とす可能性があるらしい。普通は死体と共に消えるのだけど、運が良ければ剣だけ消えずに残り、それを手にすることができる・・・と、いいな。

期待を込め、剣を振るエル。

世の中、まあそんなに甘いはずはありませんが。おそらく、あたしがセスタスを拾ったのもかなり運が良かった事なのだと思われます。

ひとしきり戦ったけれど剣はおろか、ろくなものは入手できなかった。いつものように素材がいくつかと言った程度。最近はあたしが拾い役に徹し、最後に数割りで拾ったものを分配するようにしていたので、てき、ぱき、と二人に渡し、一段落。

「とほほ〜〜」

意気消沈のエル。

「まあ、またそのうち。いいこともあるよ」

あたしは結構、お気楽、マイペースなところもあってあまり執着はない。着実にアデナは溜まっていってるので、いずれそのうち、買えるようにもなるだろう、と、のんびり構えている。

「だといいんだけどね〜」

エルもそのあたりは解っているのだろう。落ち込んでいるとは言え、お先真っ暗と言うほどではない。

「ちょっと村戻ってくる。またな」

グルーディン港の村へ向かう杏と別れた。エルは独りでもうちょっとがんばってみるとのことだ。無理しないようにね、と忠告し、あたしはグルーディオ城の村へと向かうことにした。

実はそろそろ装備を買い替えよう、と思っているところなのだ。村で出物がないか見て回り、値段の合うものがあれば買っちゃおうかな〜などと考え中。

村に入ると、所狭しと並んでいる露店を一軒一軒見て回った。すると、今着ているボーンブレストよりも上級の装備を見つけた。値段が高いのか安いのか、そのままでは判断できなかったので、一度、商店・・・個人の露店ではなく、ちゃんとした店を構えた村のお店・・・で並べられた装備品の価格を確認する。比べて見ると、商店より露店の方がちょっとだけ安い。

これはお買い得かも。

しかし、手持ちのアデナだけでは少々不足する金額だ。そこで、来ていた服を着替えて、お店の人に買い取りの査定をしてもらった。

「買い取りだと、この金額ですねぇ」

お店の人が提示してくれた金額はとても悲しいものではあったが、それを手持ちに加えれば、露店の方で新しい装備を買える。

「じゃあ、その金額で。引き取ってもらえます?」

「はいはい、いいですよ。じゃあ、これが代金ね」

引き換えにボーンブレストを手放す。ちょっと寂しい気もするが、これからのことを考えれば装備を少しでも強化する必要はあるだろう。背に腹は変えられない。

増えた資産を持って広場へと飛び出す。えーーっと、さっきの露店の人はどこだっけな。買おうと思えば誰でも買える。後で買おう、と思っていたらいつの間にか他の誰かに買われて売り切れ、なんてこともままある。売り切れてませんように〜、と祈りながら走ってゆくと、居たっ。

幸いにもまだ売れておらず、しっかりと残っていた。革鎧、プーマレザー。

・・・・

さて。ここまでくれば後は買うだけなんだけど、やっぱりちょっとためらいもある。ホントに買っていいものかどうか。でも、もうボーンブレストも売っちゃったし、これ買うしかないよなー。でも、がまんしてもうひとつ上のランクって手もあるかな〜。うじうじ考えてる間に他の人に買われちゃうかもしれないしなあ。もっと安いのあるかもな〜〜。

一瞬にしてそんな考えが頭の中をぐるんぐるん回る。ない頭がオーバーヒートしそうだ。

ええい!

ちーーん。

露店では特に駆け引きのやりとりをしなくてもアデナを相手のポケットに放り込めば自動的に売り物を引き取れるようになっている。感応魔法や交感魔法と同じように、この世界の一般的な魔法のひとつだ。もちろん、直接相手と値段交渉し、取引を行うことも可能ではあるが、ほとんどの場合、この自動売買の魔法を使っていることが多い。

それはともかく、買っちゃった。

その場では着替えず、カバンの中に入れて、ひと気のない場所を探す。村の中にはひとが一杯だったので一度村の外へ出て手頃な場所へ。いや、別にどこででもいいんだけど、なんとなく。

きょろきょろ、と辺りをうかがい、誰もいないことを確認し、着替えてみる。着替えてみてびっくりと言うかすぐにローブの方に着替え直した。辺りを再度確認し、人がいない事をよく確かめてからもう一度着替え直す。

「・・・・」

機能面に気を取られていて、デザインのことまでは考えていなかった。着てみるまでどんなデザインなのかよくわからないのだ。この世界の装備品は魔力が込められており、装着する種族、性別、職業などそれぞれに最適なデザインに変化するのだ。もちろん、基本デザイン・・・・色あいや柄はほぼ共通なのだが、形状ががらっと変化する。あたし・・・ヒューマンのメイジの女・・・・の場合は・・・・・

「とんでもなく恥ずかしいんですけど」

露出過多

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ちょっと泣きたくなった。ボーンブレストがゆったりとしたロングスカートだったのに対し、プーマレザーはかなり露出度が高い。丈はそれなりにあるのだけど、左右に布が無い。マジックパワーローブにも似ていなくはいないが、さらに面積が少ない感じ。色はボーンブレストと同じブラウン系で落ち着いているのはいいんだけど・・・・こりゃたまらん。

とりあえずまたローブに着替えた。デボーションローブは、ミニスカートではあるけれど、前後左右、ちゃんと隠れてるので、暴れさえしなければ見えちゃうことも少ない。実際には魔法を使うとマナが身体の周囲を舞うため、つられてスカートもふわりと浮かんでめくれ上がっちゃうんだけどね。だから、多少見られても、ってところもあるんだけど、でも、じっとしてても見えちゃうのはどうかと思うんだな。

そういう訳で、あたしは早急に次の装備に買い替えるべく、アデナ稼ぎをがんばらねばならなくなった。

以前から独りで狩りをする時はひと気の無い場所を選んでたこともあるので、いやいやながらもその装備に着替えてやることにした。あまり友達には会いたくないけど、友達や別の人達とパーティを組む時はマナの量を増加させるためなど、ローブに着替えればいいので、普段着としてはローブの方を着用することにした。

独りで戦う時にだけ軽装備に着替えればいい。

悲嘆の廃墟に入り浸って、また骨集めに勤しんで、アデナを稼ぐ。そうそう、弓使いのスケルトンを倒したら弓を拾うことができた。めちゃくちゃラッキー。村に戻ってサメドに骨を引き取ってもらたり、拾った弓を友達に買い取ってもらったり、溜まったアデナ、プラス、プーマレザーの中古下取り代金を計算して新しい装備が買えないかどうか調べて回った。

もう一つ上のランクでライオンレザーと言うのがあることがわかった。金額的にはもう少しで買えそうなのだけれど、いやな予感がしたため、それは買わないことに決めた。さらに上のマンティコアレザーってのに狙いを絞ることにした。と、言うのは、あたしのようなクレリックが軽装備を着ていることが実は少ないのだ。着ているとしても決まってマンティコアなのだ。だからそのデザインは見たことがある。ライオンレザーは誰も着ていない・・・着ている人をあたしが見たことがない・・・・ため、プーマレザーの二の舞いになるのが嫌だったからだ。

そんな時に朗報が舞い込んだ。

お姉ちゃんが少々余裕が出て来たらしく、あたしにローブをプレゼントしてくれたのだ。

カーズドローブ

お店で売っているのを見たんだけど、名前からしてうさんくさかったため、欲しいとは思わなかった。カーズド・・・呪われた、って、そんなの着たくないわよ。でも、くれる、って言うんで、有難く頂戴したんだけど、さっさと売りさばき、マンティコアレザーを買う資金にさせてもらった。これで買える!

プーマレザーも売り、結局、ちょっと足りなかったためにデボーションローブも売ってしまった。ここのところ、友達との年齢差が広がり過ぎて・・・みんな育ちが早いため・・・独りで居ることの方が多くなっていたこともあって、ローブはもういらないかな、と。

マンティコアレザーは、色がちょっと派手なオレンジ色で、ミニスカートなんだけど、そんなにイヤラしいデザインではない。どちらかと言えば落ち着いた趣さえ醸し出している。ボーンブレストほどの落ち着きはないけど、プーマレザーに比べればだいぶマシだ。性能的にもかなり向上しているので申し分ない。さらに、マンティコアレザーブーツを手に入れればなんかうれしい効果が得られるらしい。

ローブはその魔力で着ている人のマナを増大させてくれる。軽装備にはそれがないので、マナの総量が少なめになるのだけど、同じ種類のブーツを併せて着用すれば魔力が得られ、少しながらマナを増加させることができる・・・・と、商品の説明書にそう書いてあった。

でも、その靴はべらぼうに高く、おいそれと買える品ではない。それに、お店では販売されていないため、個人の露店で売り出されるのを探すしかないのだ。しかも流通量が少ないため滅多に見かけることもない。しばらくは今のままでがんばるしかないか。

ローブを手放したため、狩りの時はともかく、村でくつろぐ時もこの格好と言うのは少し違和感がある。いかにも戦闘服、といったデザインだし、硬そうな材質なため、村の中で着ているのはなんだかムズムズする。しかし、資産の関係で新しいローブを買う余裕もないので致し方ない。

新しい装備であちらこちらと行ってみた。さすがに防御力が格段に向上していて、受けるダメージをかなり軽減できるようになった。回復系の魔法を使う頻度が減ったことでマナにも余裕が生まれ、かなり連戦できるようになった。そのおかげもあってまたアデナも少しづつ蓄えられて行った。

いろいろ試してみた結果、グルーディン港の村からグルーディオ城の村へと拠点を移し、城の北側、エルフの国との境界にある「中立地帯」と呼ばれる平原が手頃な狩場だとわかった。ここにはウェアウルフに似たライカンスロープと呼ばれる獣人とクモが数種類生息している。狙いはライカンスロープだ。クモの方は特に手出しする必要もない。

戦い方は同じでも装備品の違いでずいぶんと変わるものだ。もちろん分相応、どこにでもいけると言う訳ではもちろんない。無茶をしても大丈夫なんて訳もないので、身の程をわきまえねばならないのは変わらないが。

そんなこんなでまたまた、それなりのアデナが溜まった。最近では自分の今使っている装備の下取り金額、新しく欲しい装備の相場、それらを調べていて、後いくら、と計算できるようになっている。もうそろそろ、新しい武器が買えるのだ。

ただまだ少々足りない。それに、露店では常時欲しいものが手に入る訳ではない。欲しくてもアデナが足りなければ買えない。タイミングの問題だ。

自分自身も露店を開いて手持ちの装備品を高く売ればお店で下取ってもらうよりもいいのだけれど、その労力と、売れるまでの根気が必要だ。

そして見つけた。「毒蛇の牙」

現在使用しているセスタスよりも強力な格闘武器だ。形はほぼ同じだが、性能は高い。しかし、そもそも格闘武器を使う人が少ないがために、露店にならぶ事も滅多にないのだ。ヒューマンをはじめとする剣士さんの多くは剣を使う。短剣や弓を得意とする種族、職業もあり、ドワーフさんたちは鈍器・・・ハンマーをよく使っている。アミノ式さんのように槍を使う職業もあるようだ。本来ならあたしの様なメイジ、魔法使いは魔力の高い書物や杖、それに呪文の込められた品々を使うのが一般的だ。

格闘武器をその主要武器として使うのはオークの闘士さんたちだ。そのオークさんの人口は極端に少なく、故にその武器も流通していないのだ。

お店では買えるが、露店で買った方が多少なりとも安い。しかし安いと言っても手持ちのアデナでは少々不足する。セスタスを下取りしてもらっても、だ。拾ったものをすべて売りさばいてもまだ足りない。

いや?

ちょんちょんちょん。

計算し直してみたらほぼぴったり。

露店の品物はいつなくなるかわからない。露店を出している人が居なくなることもある。

つまり、今を逃せば、次にいつ買えるかわからないのだ。

決断の時。

今、買うか?

今度にする? もっと安いのが出回る可能性もあるよ?

・・・・・・

悩んでいる間にも売れてしまうかもしれない。居なくなってしまうかもしれない。

どうする?

考えながらもあたしはまず、村のお店に向かっていた。

「いらっしゃいませ」

・・・・・

「いかがいたしましょう?」

・・・・・

「?」

さあどうしよう。どうしよう。どうしようどうしよう。

気持ちは半分以上、決まっている。でも踏ん切りが付かない。買えたとしても暫くは貧乏な生活を強いられることになる。

でもまあ。

しばらく何も買えなくなるってだけで、何も買わなければどうにかなるか。

「えと、あの」

そりゃあ、欲しいものは沢山ある。

マンティコアのブーツも欲しい。

ローブもやっぱり有った方がいいよね。

「これを・・・・」

ヘルムやアクセサリも、もっといいものに買い替えたいし。

待っていればもっと安い出物があるかもしれないけど、でも、でも。

「下取りお願いします」

と言う訳で。

セスタスを下取りに出し、毒蛇の牙を買った。

やっほぉぅ。

あれだけ悩んだけど、買ってみればウキウキ。現金なものです。しかしやっぱり、新しい装備を手に入れると嬉しくなってしまう。さっそく試し斬り・・・ならぬ、ためし殴りか。

グルーディオ城の村を出て中立地帯へ。向かう途中、道端にいたヴグ・オークにウィンドストライクを使ってみる。ほぼ一撃。ヤッタネ。近づいて来たところをガツン。

中立地帯でライカンスロープを相手にしてみる。こちらはさすがに一撃とまではいかないまでも、格段に楽に倒せるようになった。武器のおかげではあるが、自分自身が強くなったように感じられる。武器も含めて、自分自身だとも言えるので、あながち間違いではないかもしれないが。

とにかく。

あたしは、こうやって少しづつ、着実に成長している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢の中のあたしも着実に成長しているようだ。

先日はエルフの国でキノコを相手にしていたかと思ったが、今回はまた話せる島に戻っていたようだ。ここは見覚えがある、と言うか、おなじみの場所。今となっては懐かしいとも言える場所だ。

エルフはエルフでも、エルフの遺跡。話せる島にある廃墟だ。その入り口。

あたしは、見知らぬ人達と一緒にいる。状況から推察するに、これから遺跡の中へと繰り出そうか、と言ったところか。

遠くからこちらに走って来る人影に気付いた。その人に向かってあたしは手を振り、手招きした。合流したその人・・・・ヒューマンのメイジ、男性だ・・・・を加え、5〜6人のパーティを組んで遺跡の中へと入って行った。

装備、構成からして、年齢は15〜6歳ぐらいか。ただ、この夢の中のあたしは剣士らしいので、当たっているかどうかは微妙なところだけど。

まあ。

夢の中の話だし、どうでもいいんだけど。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢から覚めればそこは現実。

お財布の中はカラッポ。さてまた、がんばってアデナ溜めるぞー。

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