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『話せる島記・創作小説3』

『創作小説・その3』

二度めのファンフィクションコンテストに応募しようかと書いたんだけど、これまた締め切りに間に合わず(爆)

本当は、イラストも書いて、連動、と考えたりもしたんですが、これまた気合いが足りず(爆)


『とんでもなく、すごい、装備?』

「うーむ、困った」

「困ったねぇ」

「まったく・・・」

「ねーねー、こっち行けそうだよ」

わたしたち四人のパーティは迷子になっていた。

話せる島の滝。その滝壺の裏に隠し通路があったのだ。その中の迷路を進むと、ある場所に辿り着けると言う。その迷路の中で右往左往していた。

「おっかしいなぁ。姉ちゃんの話だと結構簡単に見つけられたらしいけど」

首をひねりつつ、わたしは三人の後に続いた。

「ルルの姉ちゃんだしなぁ・・・」

何が言いたい?ナミさん。いや、言いたい事は痛いほどわかるんだけど。

「しかし、ソーサラで来たのは正解だったね」

「麻衣がいなかったらどーなってたことやら」

「えへっ」

確かに、ソーサラーの麻衣が居てくれて助かった。

エルダーのナミ、シリエンエルダーのあーちゃん。それにわたし、ウォースミスのルル。この三人だけだったらどうなっていたか・・・まあ、ナミのパーティーリコールで脱出は出来ただろうけど。前には進めなかっただろうな。

お姉ちゃんの話では「途中にモンスターが居るけど、大したことはない」とのことだった。しかし、実際には、大したことのあるモンスターたちがうざうざと待ち構えて居た上に、あちこちにトラップが仕掛けられていたのだ。

「姉ちゃんが来たのは一年ぐらい前だし、状況が変わったのかも」

苦しい言い訳をしてみる。

「まー、どっちにせよ、早く道を見つけないと」

ナミの言う通りである。

その道は、何も見えないほど真っ暗ではなかった。壁全体がうっすらと光っている。しかし、その光は正しい道を教えてくれるものではなかった。

分岐、分岐で行き止まり。戻って分岐を逆に進み、扉にしかけられたトラップをナミとあーちゃんの『頭脳』でクリアする。

扉を開けて広い場所に出たかと思えばモンスター。ソーサラーの麻衣が火炎魔法で焼き払う。エルダーとシリエンエルダーがバックアップするから、なんら問題なし。

「ほら、ルル、次どっち?」

「ええ〜〜っとぉ〜」

スミスのわたしには出番が無い。道案内さえまともに出来ていない。

お姉ちゃんから教えられた『話せる島にとんでもなくすごい装備を作ってくれるマエストロが居る』ってネタを基に三人を強引に連れて来た。責任上、見つかりませんでしたと言う訳にもいかない。特にナミは・・・。

「むぅ・・・」

無駄を嫌うナミはそろそろ我慢の限界か? こんなところで油を売ってるヒマがあったら狩りにでも行こう、と言いたそうな気配。

「『とんでもなくすごい装備』ってどんなのだろうねー」

麻衣は純粋に興味があるみたいだ。

「とんでもなくすごいんだろ」

あーちゃんはモノ自体にはあまり興味はないらしく、こうやってわたしたちとつるんで何かしているだけで満足のようだ。

「だから、何が、どう、すごいのかと」

ナミも興味は持っている。純粋に『強力な装備』が手に入るのなら、普段の狩りにも役立つのだから。ただ、そのプロセスに手間ヒマをかけたくないのと、あやふやな情報が気に入らないだけだ。

「あたしも姉ちゃんから『すごい』としか聞いてないし・・・」

「やっぱりルルの姉ちゃんだけのことはあるな」

はい。我が姉ながら、そう思います。きっと、わたしたちを驚かせたいだけだと思うけど、いい迷惑。でも、そこは姉妹。そんな姉の戯れ言を信じてここまで来たんだから。あのお姉ちゃんがもったいぶって言うぐらいだから、本当に『とんでもない』事を期待しよう。

「ちょいまち」

「ん?」

進軍する一行をナミが止める。

「バフ、かけ直すよ」

補助魔法の効果持続時間が切れる。ナミとあーちゃんがそれぞれ得意のバフをてきぱきとかけてゆく。これで四度目。そうか、もう1時間もウロウロしてるのか。参ったな。

「おけ」

ナミの合図で進軍再開。

律義な二人はわたしにも補助魔法をかけてくれている。戦闘になっても何も出来ないと言うのに。

少し進むと、またトラップがあり、ナミが解除した。開いた扉の向こうからはモンスターの一団が襲いかかったきた。すぐさま麻衣が魔法を唱える。ナミがトランスをかけ、あーちゃんがドライアードルーツで足止めする。後は麻衣の火炎魔法で一匹づつ料理。わたしは、ルーツで固まっているモンスターにスポイルをかけてみるが、スミスのスポイルがそうそう効くこともなく、二度目をかける前には麻衣が一掃してしまう。

麻衣も多少の攻撃は受けるが、後方の二人によってすぐに体力とマナを回復する。盾となる騎士はいないが、至ってバランスの取れたパーティだ。

バランス?いや、アンバランスだ。わたしは要らない。必要ない。恐らく三人で十分なのだ。こと、戦闘に関しては。

・・・・考えても仕方が無い。今は自分に出来ることをしよう。

しかし、現実には出来ることはほとんど無い。自分自身のカンを信じるか、それとも・・・

「ねぇ、麻衣、どっちだと思う?」

別れ道で麻衣に振ってみた。あてにならない自分のカンより、彼女の天性にかけてみよう。別に彼女のせいにしいようって訳じゃない。

「ん〜・・こっちかな?」

他の二人がどう思ったかはわからない。ちらっと見た横顔からは特に何も読み取れはしない。

『また麻衣に押し付けて・・・』

そんなふうに思われていないかな?

不安をよそに、麻衣はどんどんと進んで行く。そしてまた少し広い空間に出た、その時である。

「あや〜〜?魔法が〜〜??」

矢継ぎ早にどどどどーん、と繰り出されるはずの麻衣の魔法が一発目で止まった。代わりにモンスターの攻撃が麻衣に集中する。ナミとあーちゃんがてきぱきと対処する。落ち着いてよく見ると麻衣の頭の上に青い輪っかが浮かんでいた。

呪文封じの魔法、サイレスだ。初弾の直後に食らったらしい。得意の魔法を封じられた麻衣はもはや何もできず、ジタバタ。わたしはどうしたらいいのかオロオロするばかり。

いや、ゴーレムだ。ゴーレムを召喚しよう。

「サモン・ビックブーム!」

呼び出したゴーレムをモンスターの真ん中に移動させてスイッチを入れる。しばらくすると、ゴーレムは自爆する。その爆風で・・

「こら!ルル!余計なコトするなっ!」

ナミに怒られた。トランスで寝かせたモンスターが起きてしまったからだ。

「麻衣のサイレスが解けるま・・・げっ!」

「うひゃっ」

最悪。ナミとあーちゃんにまで青い輪っかが。わたしは自分の浅はかさに後悔した。しかし、落ち込んでる暇はない。この事態をどうにかしないと・・・

まず麻衣を襲っている一匹にハンマークラッシュ。決まった。他のモンスターはわたしに襲いかかってくる。体力回復剤を飲みながら槍に持ち替える。わたしにもサイレスがかけられたがこれは関係ない。もとより魔法など使えないのだから。

槍のスキルを連発しつつ各種回復剤を使い続け、なんとか持ちこたえる。しかし集中攻撃を受けるわたしの体力はみるみる減ってゆく。ナミたちも後ろから剣で攻撃してくれてはいるが、もはやこれまでか、そう思った瞬間、辺りが炎に包まれ、モンスターはあっさりと倒れていた。サイレスの解けた麻衣が片付けてくれたのだ。わたしはへなへなとその場に座り込んだ。

同じくサイレスの解けたナミとあーちゃんがわたしや麻衣にヒールをかけてくれる。

「・・・ごめん・・なさい」

わたしは謝るしかなかった。

「まぁ、全員無事だったし」

真っ先に小言を言うかと思ったナミがそう言う。

「でも・・・」

結果オーライ、で済まされる事ではない。

「次から注意して」

「・・・はい」

変に蒸し返したり言い訳しても余計に気を使わせてしまうだけだろう。それ以上、三人とも何も言わなかったので、好意に甘んじることにした。きっと言いたいことは一言や二言ではないはずなのに。

・・・一息ついて、また歩きだそうとした時だった。

「あれ、何だろ?」

広場の奥、あーちゃんの示す方向を見ると、洞窟の上の方から何やら垂れ下がっているのが見えた。

「ハシゴだ」

「あれかっ?」

駆け寄ると、確かに、垂直に延びたハシゴのようだ。

「きっとこれだ」

ハシゴを登りきると小さな部屋になっていた。鍛冶屋だ。ようやく目的を達成することができる。

そんなに広くない部屋の片隅、一人のドワーフが横たわっていた。あれがお姉ちゃんが言っていた『とんでもなくすごい装備を作るマエストロ』だろうか。しかし、なんとなく嫌な予感。横たわるマエストロは体中に包帯が巻かれ、苦しそうにしていた。

「・・・よくここまで辿り着いたな。じゃが見ての通り、残念ながらおぬしたちの望みに答えてやることはできん」

嫌な予感は現実となる。全てを理解したわたし達全員はへなへなとその場に座り込んでしまった。

「なんとかならないの?」

誰にともなくナミが言う。せっかくここまで苦労してやって来たと言うのに、ハイそうですかサヨウナラとは行くまい。

「なんとかと言われても・・・まあ、四、五日もすれば治るだろうからまた改めて来てくれれば」

あの道程を考えると、もう一度なんてお断りだ。一度通っているから多少時間短縮はできたとしても、かなり面倒だ。ましてやこの三人を説き伏せて再挑戦など・・・。

「だいたい、なんでそんなケガを・・・うちのヒールかピュリファイで治せないか?」

あーちゃんならずとも思いは同じだ。どうにかできないものか?

「いやぁ、こいつはただのケガじゃなくてな。オークの呪術を電気的な罠に再現してみようと思ったのじゃが・・・」

実際にあーちゃんが治癒魔法をかけてみたが効果が無いようだ。

「どんなにえげつない罠をかけるつもりだったんだ・・・」

偉いマエストロのはずなんだけど・・・

「とんだ無駄足だったようね・・・もういいわ。さっさと帰りましょう」

さすがのナミもとうとうキレた。苛立たしげに立ち上がって出口らしい扉に歩み寄る。

「待って」

わたしは、ナミを制止した。何か、何かあるはず。何かできることが・・・

「・・・製作図さえあれば、もしかしたら、わたしにも作れたりしません?」

ダメモトで訪ねてみる。方法があるとすればそれぐらいしか思い付かない。

「ぬ? おぬし、ウォースミスか?」

「はい」

「ふむ・・・Aグレード装備の製作はできるか?」

「はい」

「・・・」

マエストロは目を閉じて少し考え込んだ。何かの答えを出してくれるのか。ナミも立ち止まってその答えを待った。

「・・・その製作図は門外不出でな。おいそれと渡す訳にはいかんのじゃが・・・致し方ない、今回だけは特別に見せてやろう。ただし、その図を記録したり記憶して持ち帰らぬという約束でじゃ」

それは有り難い。ぶんぶん、と首を縦に降り同意する。しかし不安がある。

「わたしに作れるんでしょうか?」

「成功率は多少下がるがな・・・図はその棚の真ん中右端じゃ」

示された棚から製作図集を手に取り、ぺらぺら、とめくって見る。自分のローブに該当するページを見つけて製法にざっと目を通してみる。

「・・・」

使う素材の種類と量はさほどでもないが、組み合わせの手順がやけに複雑だ。作れなくもないが、これは大変そうだ。

「ワシがやっても6割ぐらいじゃからな・・・おぬしなら2割3割てとこかの」

目を白黒させているわたしに気付いたマエストロが付け加えてくれた。なるほど。

ふと周りを見渡すと、三人の輝く瞳があった。

「ルルさん、がんばって!」

「頼むぜ、ルル」

麻衣・・・あーちゃん・・・。

「・・・」

ナミは何も言わなかったけど、瞳が何かを訴えている。

やるしか・・・ないのよね? 今、わたしに出来ることを、全力で。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

はぁはぁ。

「くれぐれも、図のことは他言せぬようにな」

「あんな複雑なの、覚えようったって無理ですってば」

実際、図と首っ引きでどうにかこうにか出来たってところ。それに『失敗するかも』って不安で手に汗握るわ、震えるわ。よくまあ、無事に四人分成功できたな、と。自分でも驚き。ある意味、戦闘より疲れる。

「うはははは。おーい、アルトラン。客人のお帰りだ」

扉が開き、見慣れたドワーフが入って来た。

「はいはい〜。お帰りはこちら〜〜」

そう言ってアルトランは用の済んだわたし達を扉の外に連れ出すとピシャリと扉を閉じ、いつもの場所に戻った。

話せる島の村のド真ん中。アルトランが入って来た時点で解ったが、なるほど。

「何故わざわざ苦労してあんなダンジョンから・・・」

ナミの言いたいことはよくわかる。最初から解っていたなら、アルトランに交渉して中に入れてもらえばよかったのだ。

「なんか理由があんだろ? それより、この装備、試してみようぜ〜」

あーちゃんは特に気にはしていないようだ。もちろん、あの製作図のことがあまり大っぴらに知れ渡らないように、知られたとしても、誰でも彼でも入って来れないようにするためってとこだろう。

あ、そうだ。

「それで思い出した」

「ん?何を思い出したん?」

「姉ちゃんが『装備を試着するなら浜辺で』って言ってた」

「何故・・・」

「いいじゃない、行ってみよー」

ナミと比べると麻衣もあーちゃんもあまり細かいことは気にしない。

「なんだかなあ・・・」

ナミだけは理屈や理由がないと気が済まない。しかし、わたし達に合わせてくれる度量はある。ブツブツ言いながらも一緒に灯台のそばまで移動してくれる。

「・・・確かに、ここで着替えるのが正解だったらしい」

着替えが済んで、ナミも理由が解って部分的には納得してくれた。他の二人も理解しただろう。製作していたわたし自身は途中で気付いていたので、改めて驚きはしなかったが。

「・・・確かにいろんな意味で『とんでもなくすごい』わな」

あーちゃんの言う通り、お姉ちゃんはウソつきではなかった。しかし、真実を正確に語っていたかどうかはハナハダ疑問である。

「わ〜〜い、わ〜〜い。ルルさん、ありがと〜」

そんなことはともかく、新しい装備がたいそうお気に召したらしい麻衣は、はしゃぐように目の前の海に飛び込んでいた。

「いや、まて、この装備で何をどうしろと?」

新たなナミの疑問。

「泳ぐっきゃないっしょ? しかし、さすが、ルルだな。こりゃいいや。さんきゅ〜〜」

あーちゃんが即答する。そのあーちゃんも麻衣を追って海へ飛び込んだ。

「まぁ・・・」

ナミだけはまだ納得が行かない様子だった。手間ひまかかったわりに、とても戦闘には使い物にならない代物だ。攻撃力や防御力など、ほぼすべの能力が大幅に低下してしまう割に、大きく向上するのは『水中での移動速度』と『水中で息を止めていられる時間』だけ。しかし、それとは別にもう一つ大きな変化があった。

「まぁ、でも、可愛いからいいか」

難しい顔をしていたナミは少しだけ微笑んでそう言うと、二人の待つ海へと飛び込んでいった。

「よーし、こーなったら、ルウンまで泳いで帰るか〜。いくぞーそこのぼんよりスミス〜〜」

「何やってんだ〜、ルルも早く来いよ〜〜」

「ルルさ〜〜ん、こっちこっち〜〜〜」

三人がわたしを呼ぶ。

「待って〜、いま行く〜〜!」

わたしも、元気に、大きな声で答え、大海原へと飛び込んだ。

<おわり>


『トラップ』に関する項目の追加と、『マエストロがケガしてて製作できないんで、ルルががんばって作る』、って部分を書き換え。ケガの理由とトラップを関連付け。ハシゴから落ちた、ってことにしてもよかったんだけど、それだとヒールかピュリで普通に治りそうだしw 『オークの呪術を電気的に再現』とか、コジツケてみますた。

ドワーフは元来魔法や呪術は使えない。けど、「テレポート」や「スポイル」など、物質や空間を転移したり変換する「テクノロジー」を持っている。それらのテクノロジーで魔法や呪術に似せた効果を発揮する「装置」を作ることも可能なんじゃないか?って案でつ。

あと、勝手に『製作レベルによって、成功率が変換する』ってシステムにしていますw

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