第26話 「なるちゃんに笑顔を!うさぎの友情」
幾原邦彦演出 脚本 富田祐弘 作画監督 中村明
第24話でネフライトが死んで(この第24話はネフライトとなるちゃんの愛情を描いた、セーラームーン中盤最大の名作ともいわれている回)、四天王はゾイサイトに代わっています。ゾイサイトの目的はエナジーではなく、銀水晶のかけらである虹水晶を集めること、虹水晶は人間に転生した最強妖魔7人衆の体内に隠されており、虹水晶を抜かれた彼らは最強妖魔に復活して、セーラー戦士達に襲いかかります(ただし最強妖魔という割にはおマヌケな奴が多いのも確かなのですが・・)。
なお前話の第25話でセーラージュピターこと木野まことが登場しており、セーラー戦士は4人となりました。なおこのシリーズから、敵の妖魔は正体が元は人間だということなので、ムーンティアラアクションでやっつけるわけにもいきませんから、セーラームーンの必殺技はムーンヒーリングエスカレーションに変わっています。また浄化された妖魔が放つセリフが、かの有名な「リフレーッシュ!」です。必殺技の変更に伴って、ムーンスティックという新アイテムも登場しました(このアイテムの登場も極めて唐突で、なんの前振りもなかったですが)。そしてこのムーンスティックが、年末の玩具商戦の中でヒット商品となります。
ストーリー
ネフライトの死によってショックを受けているなるちゃんを励まそうと、海野を連れて3人で横浜に繰り出すうさぎ。横浜の外人墓地で、傷心のなるちゃんは一人の牧師に出会い、自分の心のうちを打ち明けます。しかしそこに現れたのはゾイサイト。ゾイサイトの狙いはその牧師で、実は彼は妖魔七人衆の一人、妖魔ボクシーの転生した姿だったのである。
チェックポイント
何と言ってもこの回で笑えるのは、妖魔ボクシー。牧師→ボクシー→ボクサーというほとんど駄洒落で登場した妖魔。この辺のぶち切れたギャグセンスに後の幾原演出作品などでも見られる、コテコテギャグの片鱗が現れ出てます。随所にちりばめているかなり強烈なギャグ演出には注目の必要があるでしょう。
ストーリー的には、ゾイサイトとセーラー戦士だけでなく、タキシード仮面も独自に虹水晶を求めて行動を始めるので、三つ巴の争いの様相を示してきます。この辺りからタキシード仮面の行動が、セーラー戦士達にとって敵か味方かがはっきりしなくなってきてます。これが後にクンツァイト編でタキシード仮面が敵に回ることの伏線になってます。またこの回で、タキシード仮面の正体が地場衛であったことが明らかになり(確かにもうバレバレだったが)、またタキシード仮面とプリンセスの関係の一端が示されるなど、中盤からのストーリーの転機になっています。
またこの回は基本的にうさぎとなるちゃん友情を描いた回です。これを描くことで、ただの能天気なお馬鹿に見えるうさぎも実は友達思いのやさしい子であることを示し、うさぎのキャラクターに深みを与えています。そして同時にこの過程で、セーラー戦士達のリーダーとなっていくうさぎの姿を描いていきます。ちなみに海野がうさぎからなるちゃんにこけるのも、この回辺りがきっかけです。この回の前半では、海野はうさぎに頼まれたからなるちゃんを励ましに行くのに付き合うのですが、後半部分で海野は自発的になるちゃんを助けてます。そして最後には、海野となるちゃんの今後の関係を思わせるエピソードも加えられています。
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タキシード仮面こと地場衛の夢に現れる謎(笑)のプリンセス。でもこのシルエットと声は、正体バレバレですよね。 |
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まこと「ふっ、この私がいる限り、悪党どもに好き勝手させるものですか。」 レイ「うっ、そのセリフはレイちゃんが言うつもりだったのに・・・」 キメ台詞をとられて悔しがるレイ。この頃のまことはかなりかっこいいです。 |
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レイ「あの子に(スティックを)持たせたって、日曜大工のトンカチに使うのがオチよ!」 亜美「いくらなんでも、そんな・・」 と言ってるはたからこの通り、このシーンに亜美の 「でも、確かに近いことには使うかも・・・」のセリフが重なります。この辺りの演出は絶品。 |
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うさぎをかばおうとした亜美の脚を、思いっきりつねりあげる悪魔のような(笑)レイ。それにしても痛そう。亜美ちゃんはこの後、あまりのことに思わずガックリ突っ伏してしまいます。この時の亜美ちゃんの動きも傑作。幾原演出が冴え渡ってます。 |
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うさぎのあまりの脳天気さに、思わず絶句のまこちゃん。登場当時のどことなく不良っぽいカッコ良さが吹っ飛んじゃった崩れ方です。 |
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同じくひきつり笑いの亜美ちゃんと、涙ドーッのルナ。この涙の演出(別名、伴宙太泣き)はセラムン名物ともなります。 |
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「そおう、そんなに北京ダックになりたいわけ!」 いちいち鈍感な海野(別に本人に悪気はないのだが)に怒りが爆発、思わず凶暴化するうさぎ。完全にイッちゃってます。 |
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「違ーウ、ミーハ牧師デハナイ。ソウ、ミーノ名ハ妖魔ボクシー。」 アイム チャンピオンが口癖で、腰のゴングが鳴った途端に戦いを始め、ロケットパンチを繰り出すというかなりイカレタ野郎でした。筋肉の描き方がどことなく劇画してるのが、また笑える。 |
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「ナニヲ、ゴチャゴチャ、言ートルダギャー!」 なぜか突然名古屋弁(笑)になったボクシーのパンチが、なるちゃんを襲う。助けに飛び込む海野。海野の見せ場の一つ。後の「なるちゃんは僕が守る!」の原点です。 |
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「アナタハ神ヲ信ジマスカ。私ハ信ジマス。汝、隣人ヲ愛セヨ」 セーラームーンによりリフレッシュされ、見事に更正した妖魔ボクシー。しかしかなりきちゃってます。 |
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なるちゃんをかばって怪我をした海野の、手当てをしてあげるなるちゃん。その時に使ったのがネフライトの形見の・・。ここに、なるちゃんがネフライトのことを吹っ切ろうとしていること、なるちゃんと海野の今後の関係を暗示するものが示されてます。 |