岩渕聡(PSF)さんからのメール

(文章は勝手に若干アレンジさせていただきました。)

<阿部薫他のCD(『JIコレクション・シリーズ』)を発売した理由>

実はPSFが『JIコレクション・シリーズ』をスタートさせた最終的な目的は「阿部薫と高柳昌行のデュオの未発表録音」をリリースすることにあったのです。もちろん、「解体的交感」とは別の音源です。そのLPの少し後にステーション70で録音されたものです。演奏内容は「解体的交感」より上だと思ますし、何よりも「解体的交感」が諸般の事情により再発不可能な状態なので、その代わりを果すものとして考えていました…。

<「阿部薫と高柳昌行のデュオの未発表録音」発売の可能性は?>

(上記続き)ただし、阿部の高柳がらみの音源は高柳サイドの意向で再発あるいは発売がまず不可能です。

当事者たちが物故しているということも問題を複雑にしている一因かもしれません。特に誰が悪いというわけでもないし、残された者の想いに託すしかないものだと、あきらめてもらうしかありません。何より問題を複雑にしてしまったのは、今いない人たちなのですから…。

たとえ署名が集まっても再発のきっかけになるようなレベルの問題ではありません。

また、音源の所有者も当方(PSF)も正式なものでなければリリースする意思はありません。

<阿部薫の1974-1976頃の未発表録音について>

音源が残っているという話題は当方で発行している「G-Modern」14号の「恐竜の骨」という五海裕治さんのエッセイでも触れています。 1975-1977の音源はDIWの音源の提供をした大島さん、中村さんが持っているものだと思われます。ただ、その頃の阿部の演奏は贔屓目にみても出来不出来が激しいものです。個人的にはすべて発表するのはどうかと思います。

また、坂本龍一とのセッションですが、これもオープンにはならないでしょう。聞くところによると坂本サイドでは「Disappointment-hateruma」という土取利行とのアルバムの存在も今となってはあまり触れたくないようなのです。

<阿部薫の海外での反応について>

実際、わたしはDIWのものは正直言って全部聴き通すのがつらい…実は、ヨーロッパで最初に紹介されたのがDIWの10枚シリーズだったのでかなり前評判と違う(もちろん悪い、ということですが)という反応が多かったようです。

手前ミソで申し訳ありませんが、PSFからの音源が紹介されてその真価がわかったようです(実際かなりのオーダーがヨーロッパから来ました)。

また本来、映画「エンドレス・ワルツ」で時期的に使うべき音源は「彗星パルティータ」以降であるところですが、屋外でサックスを吹くシーンではPSFの音源を使用しました。

おそらく演奏のみのレベルで判断すれば、そうしなければ阿部の凄さ、壮絶さ、何よりも情報のまったくない人にとってその良さが伝わらないと判断されたのだと思います。

<その他>

それと、吉沢元治さん(ご存じだと思いますが、阿部と共演の多かったベーシストで「エンドレス・ワルツ」では古尾谷雅人が演じていました)の阿部の思い出話みたいなもでよければ、それも折りを見て作ることもできます。それと吉沢さんは最近ホームページを作ったそうです。

また、吉沢元治さんが10/25に「Play Unlimited」という20年ぶりのアコースティックでのベース・ソロのアルバムをリリースします。阿部や高柳や間章などへの想いも込められた作品ですので、よろしければお聴きください。

灰野敬二のホームページはアメリカにあります。ものすごく詳しいけど現在進行形のため結構まちがいもあって面白い。なんたって、灰野さん本人もマネージメント・サイドも知らない新譜情報があったりして笑えるんです。訂正文を送ると物凄い速さで更新されているので、またビックリしますが…。

ただ、理想を言うとPSFには海外からのアクセスが多いので英語版があるとベターなのですが…まあ、これはぜいたくなことです。

まとまりはありませんが、END.

<!--奥野より、English Versionについて御協力いただける方御連絡下さい-->

--1997.11.23 初版作成--