未発表の音源も含め、幻野から解体的交感に至るまで、続々と阿部薫関
連のCDがリリースされている中で、現在最も入手が難しいと思われるアルバムは、こ
のWinter 1972だと思います。 「阿部薫 1949-1978」のインタビューの中で、海賊盤として阿部薫自身が言及していたこのレコードは、関西方面で手売りされていたそうですが、私が知る限り この音源はカセットテ−プでも出回っており、最近ではインターネットオークションでCDRという不細工な形で違法に売買され、一部の心無い人達に大きな利 益を与えています。 こういう形でこのアルバムが扱われるのは非常に不愉快ですが、CD化は今後も難しいと思われ、入手の困難さからこの様なことがまかり通っている様です。 また、録音が1972年ということもあり、阿部薫が最もスピード感溢れる演奏をしていた時期である為、演奏内容も非常にテンションが高く、最後まで緊迫 した演奏が聴けることも、このアルバムの価値を高めています。 演奏の最後に「ありがとう。今日の演奏はこれで終わりです。」という阿部薫の挨拶の後に、観客の拍手(4.5人か?)でこのレコードは終わります。 このアルバムは入手が難しいですし、阿部薫の肉声が聴けるという点で貴重かもしれませんが、同じ年代の音源がCDでリリースされていますから、それらで 十分に阿部薫の魅力は味わえるので、特にこのアルバムを血眼になって探すことも無いと私は思います。 |
--2004.07.25 第6版作成--