「第六回 アメニティフォーラム inしが」の報告

 全国から1500名余りが集合、今年も2月14日から三日間、アメニティフォーラムが開催されました。鎌田實氏のお話、北海道の精神障害の人たちでつくるベテルの家の「非援助論」の実践報告、滋賀県の知的ハンデイのある当事者達の株式会社、しかもデイサービスとグループホームを経営している共生舎なんてんの報告、TEACCHプログラムについての講義、明石さん親子からの報告、そして4月からはじまる支援費にまつわる最後の攻防の報告と内容は盛りだくさん。途中には宮城県浅野知事を中心に七つの県知事が集まって「障害者福祉は介護保険の(いいとこどり)で」とのアピールを採択するという場面もありました。以下、その一部を報告します。

支援費のこと

 利用者主体、障害をもつ人が選択し契約をするという支援費の制度は、措置という障害者の制度の根本的な見直しのはずでした。この制度をどのように実施していくかという話し合いが繰り返されてきたのですが、実際には施設側からの反発が強く、しかも措置費の範囲を一歩も出ないこととの指示が財務省からでたため、地域生活への転換への投資は不十分のままの実施になりました。最後まで、ヘルパーの上限の提案で当事者に猛抗議をうけて撤回、しかし一方では支援センターのコーディネーター事業が一般財源化されてしまう、というゴタゴタが繰り返されて、今4月を迎えようとしています。

 4月からスタートする支援費、どうなるんでしょう? うまくいくでしょうか?

 しかし、岡田善篤先生が指摘されたように、もう誰も、街から遠く離れた施設の中で一生を送ることが良いことだとは思っていません。最低限必要な施設を残してすべての施設の解体がすすむべきです。そのためには、欧米の施設解体の過程に学ぶべきだろうと思います。また、知的なハンデイをもつ人たちが地域で生きるために必要なサービスは単なる身体介護ではありません。知的ハンデイをもつ人たちの生活を豊かで充分なものにするために、何が必要なのか、もっと見極めながら自分達もサービスを作っていかなくてはと思いました。

 特に権利擁護や成年後見制度の利用、契約能力のこと、実際のサインのこと、親と子の関係のこと、これらのことは、曖昧模糊としたままのスタートです。現場でひとつひとつ検証しながらすすんでいくしかありません。皆さんも、一緒に情報や意見をだしていってください。よろしくお願いします。

自閉症の人への支援について

 TEACCHプログラムについての権威、佐々木正美氏の講義、明石洋子さんと息子さんの徹之さんのお話をききました。世界中で今自閉症の人のためのプログラムが試されています。英国では学校教育に正式に組み込まれています。施設を解体した北欧の国にも、今、自閉症の人達のための学校や訓練の施設が、街の中に作られているそうです。自閉症の人への支援は、今まさに、本格的にはじまったと言っていいでしょう。

 タンタンのみんなも、これから、ですね!でも、彼らが大きくなり、この社会で生きていく上に必要不可欠なことは、彼らを知っている人たちが、彼らのために代弁し、周囲に理解を求めることのような気がします。たとえば、明石洋子さんは、手書きのニュースを数百枚、近所に配り、徹之さんの理解者を増やしてこられました。さらにいえば、明石さんはTEACCHを知らなかったのですが、息子を愛し、理解しようとしていく中で、よく似た対応に達しておられるのですね。こうした明石さんの歩みは、自閉症への理解者を日本中に増やしましたし、さらには徹之さんの公務員試験合格、そして就職という道を開拓して、大きな希望を作って下さいました。興味のある方は、是非『自閉症の息子と共に@ ありのままの子育て』(明石洋子著 ぶどう社)を読んでみて下さい。(まもなく続刊『自閉症の息子と共にA 自立への子育て』もでるそうです。)

その他…京都の多くの参加者と情報交換もできましたので、その情報もあわせて報告します。
@ 子ども対象のガイドヘルプですが、小学生以上も単独で利用できるようになりそうです。
A ガイドヘルパーやヘルパー派遣のため、いくつかのグループが現在準備中だそうです。
B 事業者との契約書のモデルは現在全社協で作っていてまもなく手に入る予定です。

以上 (報告:谷内 2003.2.16)

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