当塾は、師弟の信頼と愛情を基盤として、1955年に寺子屋のような形でスタートしました。
その50余年の歳月の中で守り抜かれ、あるいはその間に培われてきた基本方針は次の通りです。
[1]道具としての英語
英語を教え始めて、人間が言葉を所有していることの意義深さに感動さえ覚えるようになりました。言葉は、単に伝達手段であるだけでなく、人間の精神生活を支えており、動物と人間との明確な一線を画しています。外国語を学習し、母国語と比較することにより母国語の理解を深めることは、現代社会の中で生きる者にとって、不可欠な要素だと思います。
また、外国語を学習する際には、単語を覚えてゆく過程での集中力、記憶力、忍耐力、母国語にない文章の構成や内容を把握する論理性、推理力、作者と一体となるための豊かな情緒や感受性等々、実に様々な能力が要求されます。外国語を学習する過程で、子供は、より高い、より幅の広い人間へと成長してゆくわけです。
更に、現在の日本の教育体制下ではどうしても避けては通れぬ問題として、入学試験が厳然と待ち構えています。厳しい受験戦争の苦しさの中で、悩み、傷つきながらも、子供達は努力することのすばらしさ、助け合うことの大切さ、社会の矛盾などに気付き、乗り越えてゆかねばなりません。
英語を道具にして子供達が頭を鍛え、忍耐力や豊かな情操を備えた人間として成長してゆくための場として当塾を最大限に利用していただけることを願っております
[2]小学生から英語を教え始めることについて
外国語教育は早ければ早いほどよいと言われます。確かに、音感の発達した幼年期に始めれば、正しい発音を身につけるには効果的でしょう。
しかし、あまり早くから英語を習っていると、自分の能力を過信したり、新鮮な興味を失ったりする危険性があると思います。また、ある程度母国語の基礎がないと、辞書を引いて単語を調べたり、日英両語を比較するといった、「学習」としての教育効果は望めません。
しかし、中学生ともなると他の科目も急に難しくなり、時間的にも体力的にも相当な負担増加になります。このことを考慮した上で、当塾では小学生からスタートすることを基本にしております。
[3]初等部から高3までの一貫教育と『高等部入塾試験』および『中1追い上げコース』
本来、当塾では初等部から高3までをひとつの単位とし、創立以来の精神である「師弟の信頼と愛情」に基づき、発展性のある英語教育を理想としております。
ただし、この間には、中3終了時において塾生以外からも受験生を募って、高等部「入塾試験」を行っています。これは、次の理由により熟慮の末に実施することになったものです。
「入塾試験」は受ける生徒にとって、義務教育修了時をひとつのけじめとして、自分自身の選択によって、更なる3年間を塾に通うかどうかを決断する良いチャンスになります。これを機に新しい刺激を受け、長い英語学習生活での中だるみを解消することもできると思います。一方、教師の側でも、あらためて生徒から評価を受けるという緊張をもって、この試験に臨み、その後の反省材料としてきました。
なお、私立中学受験等のために初等部からの入塾のチャンスを逸した生徒につきましては、中1から入塾したいという熱心なご要望にお応えすべく、「中1追い上げコース」を設けております。「中1追い上げコース」は、1年間で当塾の初等部のカリキュラム(学校の中1〜2程度)と中1のカリキュラム(学校の中2〜3程度)を習得することを目標にしたコースです。このコースでは限られた時間で多くの内容を習得して戴く為、国語を中心とする筆記試験と面接試験により選抜させて戴いております。
以上が当塾の基本方針ですが、私の英語教育の理念と実践につきましては、大阪産経新聞の教育欄に15回にわたって連載させていただきましたので、ご希望があればご送付致します。
創始者 岩野 直枝