第20回アルス・ノーヴァ クラシックコンサート

当日場内アナウンス原稿

当日使用したアナウンスの原稿を掲載致します。


舞台の緞帳が上がる……そこから演奏が始まる

バッハ=グノー(編曲:松本昌敏) : アヴェ・マリア(平均律第1巻第1番 前奏曲)
演奏 : 松本昌敏

 皆様、本日はお寒い中を、アルス・ノーヴァ クリスマスコンサートにようこそお越し下さいました。
 今日のこのコンサートはクリスマスにちなんだ曲を色々と集めてみました。どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみ下さい。

 ただ今お送りしました曲は、グノー作曲の「アヴェ・マリア」でした。彼は音楽家になるか、僧侶になるかを悩んだほど敬虔な人物で、この作品では、バッハの平均率第1巻のハ長調の前奏曲をそのまま伴奏に用いて、祈るような美しいメロディを奏でています。

 さて、次にお聞きいただきますのは、パッヘルベル作曲の「カノン」です。
 彼はバッハの先輩に当たる人で、オルガニストとして活躍しました。
 この曲では、同じメロディーが幾度も繰り返されるカノンの中でも、もっともポピュラーで、クリスマスシーズンのこの時期よく耳にする一曲です。演奏は、上田多嘉子さんです。

パッヘルベル : カノン
演奏 : 上田多嘉子

 次はモーツァルトの名曲を二つ聴いて頂きましょう。どちらも晩年の作品で、一つはオペラ「フィガロの結婚」の一曲を後にコントルダンスとして作り直したものです。コントルダンスとは、モーツァルトの頃にヨーロッパで流行した、イギリスで始まった踊りのことです。
 もう一つはモーツァルト最後のオペラ「魔笛」の中で、全ての人の心を和ませる「魔法の鈴」の音楽です。歌詞の中では、「怒りは消え、憎み合う者も全て愉快に笑う」という一節があります。……そんな鈴があったら、どんなに良いことでしょう…
では連弾でお送りいたします。

モーツァルト : コントルダンス、「魔法の鈴」の音楽
演奏 : 小笠原順子(第1奏者) ・ 馬場節子(第2奏者)

 次にお送りする作品は、モンサルバージェ作曲の「イヴェットのためのソナチネ」より、第3楽章です。
 モンサルバージェは、1912年に、ピカソやミロ、そしてダリなどの芸術家と同じく、スペインに生まれた作曲家です。
 この曲は1962年にピアニスト、ソリアーノの愛らしい娘、イヴェットをモデルに書かれました。曲の中に、皆様よく御存知の曲が現れ、とてもユニークな曲です。さて、どんな曲が現れるでしょうか? 演奏は山口智子さんです。

モンサルバージェ : イヴェットのためのソナチネ 第3楽章
演奏 : 山口智子

 さて、皆さん、御馴染みの曲が何の曲だったかお分かりになりましたか?
 そうです。「きらきら星」でした。

 次の作品は、ベートーヴェン作曲の、「メヌエット ト長調」です。
 この作品は1795年、ベートーヴェンが25歳のときに書かれた作品で、彼が32曲あるピアノソナタの第1番を作曲している頃に作られました。ベートーヴェンといえば規模の大曲が多いという印象がありますが、大変可愛らしい作品になっています。ではお聞きください。演奏は、小原まやさんです。

ベートーヴェン : 6つのメヌエットWoO10より 第2番 ト長調
演奏 : 小原まや

 次にお聞き頂きますのは、モンティ作曲の「チャルダッシュ」です。
 彼はイタリア生まれのヴァイオリニストです。オペレッタやバレエなども作曲しましたが、結局この「チャルダッシュ」だけが代表作として今に残っています。
 「チャルダッシュ」とは、ハンガリーやジプシーの民族舞曲で、ゆっくりなテンポの導入部分と非常にリズミックで速い部分から作られています。演奏は、松本昌敏さんです。

モンティ : チャルダッシュ
演奏 : 松本昌敏

 次は、ジャズの代表的な名曲、「ミスティ」をお聞きください。
 これは、ポピュラーのピアニスト、エロール・ガーナーの名作です。この曲は、彼が飛行機の中から霧に煙った窓の外を眺めているうちに思いついたそうです。
 後に、「恋に落ちて夢うつつになった女心」を歌った歌詞が付き、大ブレイクしました。今日はドロシー・アシュビーがハープにアレンジしたものを、ピアノ用に編曲したものでお聞きください。演奏は、小笠原順子さんです。

エロール・ガーナー(編曲:ドロシー・アシュビー、小笠原順子) : ミスティ
演奏 : 小笠原順子

 さて、この2001年は、新世紀の幕開けとはいえ、非常に激動の一年でした。世界中で、おぞましく悲しい事件が起こっています。
 今からお送りします曲は、それらへの想いを軸に、松本昌敏氏が編曲したビートルズ・メドレーです。最後の曲の、Happy Xmasという曲には、副題として「War Is Over … 戦争は終わった」と書き加えられています。
 この演奏は、そうした事件の犠牲となられた方たち、そしてこの秋に亡くなったビートルズのメンバー、ジョージ・ハリスンに捧げたいと思います。
 世界中が平和でありますように…。Happy Xmas…

Message for you …… ビートルズメドレー (編曲 松本昌敏)
演奏 : 山口智子(第1奏者) ・ 小笠原順子(第2奏者)

 ここで、15分間の休憩を頂きます。


 では、後半に移らせていただきます。
 最初の曲は、ショパンの「華麗なるワルツ」作品34の1です。
 彼は生涯に全部で19曲ほどのワルツを残しています。「華麗なるワルツ」と呼ばれる作品は全部で3曲ありますが、今から演奏致しますのはその第1曲で、ショパンが25歳のときの作品です。
 パリに移ったショパンが、生活にも慣れ、気力も充実して、作曲に力を注いでいた頃の作品で、華麗な曲想の中にも密かな愛情のこもった楽想が交錯している堂々とした大ワルツです。演奏は、森田こよりさんです。

ショパン : 華麗なるワルツ 変イ長調 作品34-1
演奏 : 森田こより

 次は、クリスマスには無くてはならない、御馴染みの「そりすべり」です。では皆さん、連弾でお楽しみ下さい。

馬場節子と森田こより、赤いサンタクロースハットをかぶって登場。場内がどよめく

アンダーソン : そりすべり
演奏 : 森田こより(第1奏者) ・ 馬場節子(第2奏者)

 次は印象派を代表するドビュッシーの作品です。
 ドビュッシーは子供の頃からとても貴族趣味を持っており、大人になってからも趣味は高尚で、服装などもいつもダンディーに決めていました。慎重に選んだマフラーに肩マント、それからつばの広い帽子をかぶったりしていたそうです。
 「子供の領分」というのは、当時5歳になる彼の可愛い娘シュシュのために書かれた作品です。今日はその中から「雪が踊っている」を演奏します。
 子供たちが降りしきる雪を窓から眺めています。素晴らしい自然の不思議に驚く心情を、雪の降る情景の中に表現しています。

ドビュッシー : 「子供の領分」より第4曲「雪が踊っている」
演奏 : 森田こより

 雪にちなんだ曲をもう一曲お送り致しましょう。リスト作曲の作品ですが、技術的に大変難しいと言われている「超絶技巧練習曲集」より「雪かき」です。
 「雪かき」といっても、積もった雪を取り払うものではなく、まさに吹雪いている雪の様を表したもので、人の悲しみや深い思いが美しいメロディーの中に表現されています。

リスト : 「超絶技巧練習曲」より第12曲「雪かき」
演奏 : 小笠原順子

 本日最後の曲となりました。松本昌敏の編曲による、クリスマス・メドレー・ファンタジーです。様々なポピュラーなクリスマスにちなんだ曲の中に、ショパンの作品がパロディ風に現れてきます。
 そして最後は、有名なショパンのスケルツォの第1番からポーランドのクリスマスキャロル「眠れ幼きイエスよ」と、「きよしこの夜」の2つのメロディが重なり合いながら消えるように終わっていきます。

クリスマス・メドレー・ファンタジー (松本昌敏 編曲)
演奏 : 松本昌敏

「ホワイトクリスマス」が演奏され、2コーラス目に客席の照明が点き、アナウンスが入る

 本日のクリスマスコンサートは、お楽しみ頂けましたでしょうか。
 それでは最後に、皆様とご一緒に「諸人こぞりて」を歌って終わりにしたいと思います。
 では、皆様、素敵なクリスマスを。そして来年は、皆様にとっても、そして世界中の人々にとっても平和で幸せな年でありますように…。

全員で、「諸人こぞりて」を歌う。
演奏後、全員で礼、下手へ消え、幕


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