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投稿日: 2007/07/15(Sun) 10:07
投稿者mdy
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タイトル森田療法はコロンブスの卵

こう言われたのは樋口先生です。それではなぜコロンブスの卵なのか、先生の書かれたものから引用しますね。
 治さない療法

 森田療法という名称については、森田先生の御存命中は誰も「森田療法」とはいわなかったそうである。「森田療法と呼ばれるようになったのは、戦後のことで、誰がいうともなく、そこに落ち着いたのではないかと思われる。
 「森田療法」の別名としては、いろいろなものがある。それらを列挙してみよう。先生御自身では、「余の特殊療法」または「余の説得療法」と言っておられ、門下生たちは「森田氏神経質療法」と呼んでいたそうである。その他、臥褥療法、隔離療法、作業療法、家庭的療法、恐怖破壊法、体験(得)療法、自然療法、家庭的訓練療法、神経質家庭訓練療法、森田法による自覚療法などがある。
 ところで、精神分析療法をフロイト療法と言わないし、ロゴテラピーをフランクル療法とはいわないのに、なぜ森田療法だけに人の名を付けるのだと、ある人に言われたことがある。こんな時には、「自然発生的に、いつの間にか、森田療法という名称になったのだから仕方がないだろう」と答えることにしている。
 また、「あるがまま療法」という名を付けるのがよかろうという御意見もあった。さらに、「注意集中・交互作用理論療法」と名称を変えるのがよいというアドバイスをいただいたこともある。いずれも一理あるものばかりであるが、私は「治さない療法」というのが本質をついているのではないかと思っている。これについて理屈を言えば、治さなければ治療法ではないと反論されるかも知れないが、その意味をよく説明すれば理解されよう。
 いずれにしても、われわれは、森田療法は治さないのだということ、それが本法の本質であることを忘れてはならないのである。

 森田療法で治るとはどういうことか

 一般に、精神療法(心理療法)の目標(治癒像)としては、次の三つが挙げられている。
 (一)症状の改善、(二)適応性の回復(対人関係、日常生活、生きる姿勢の三つの面において)、(三)原因についての自己洞察(何が原因で病気になったのかを知ること)である。
 しかし、森田療法による治癒像は、(二)(三)はこれでよいとしても(一)が違うことがお分かりになろう。結果的には症状が改善されるけれども、当初から症状の改善を問題にはしていないのである。
 森田療法における治癒像については、いろいろな議論があるが、その本質をつかまなくては、本法を真に理解したことにはならない。一般に、苦しみや悩みや不安が消失することが治った状態だと思われがちであるが、森田療法における治った状態とは、まったくこのような考えと反対の立場をとっているのである。
 恩師の古閑義之教授は、これに関して、「治るとは、悩み自体が解消し、消滅することではない。そのことは、神経質の症状が病的異常のものではないという立場にある森田学説から遡って考えるなら当然のことである。そして、自分だけで病的・異常だときめつけていたのも、自分の欲望の強いためと知って、その強烈な欲望の達成に向かって新たに突進を開始してゆく、その欲望の達成には毎日の努力の蓄積以外に手はないことを知って、その努力に向かってすすんでいくことが、森田療法でいう治った状態である」と述べている。
 なお、治癒像については、その理解を誤ると治療技術そのものにも影響し、いわゆる治りそこないの患者をつくってしまうことになるので注意が肝要である。たとえば、対人恐怖の患者はずうずうしく恥知らずになり、不潔恐怖の患者はかえって不潔になるようなものである。
 また、特徴的なことは、治れば、それまで、ものごとにあたって粗調整しかできなかった患者があまねく微調整がきくようになることである。治るまでは一見微調整がききすぎて困っているように見えるけれども、それは自己中心的にかたよっているから、そのように見えるだけであって、治れば、あらゆる面において気働きのできる人間に成長し、微調整と粗調整を適宜適切に使い分けることができるようになるのである。
 さらに、治るとは、一言でいえば、とらわれからの解放で、心が自由に動くようになることである。神経質で悩んでいる間は、程度の差はあるが、症状へのとらわれから心が動かなくなっているのである。本当に治った人の心境は、禅語「心は万境に従って転ず、転ずる処実に能く幽なり、流れに従って性を認得すれば、喜びも無く亦憂いも無し」のような境地に達することができるのである。


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