出会いは高校のとある部室でした。まだ入学して間もない純真ムクムクな私がそこで目にしたのは、床から天井まで堆く積まれた少女漫画雑誌の山、山、山(^_^; それまで少女漫画に触れることさえなかった私は、恐れ戦きつつも一冊手にとって読みはじめました。その後、何の因果かそこに入部して、気がつくと部長やって、何よりも知らず知らずのうちに少女漫画のコミックスが部屋に溢れるようになってまうなんて、今から思い返してもほんま運命としかいいようがないですな(^^;
というわけで、ここでは溢れている上に更に積み上げられる新刊の中からお薦めの一品などを紹介していきたいと思います(積み上げられてたら新刊とは言わんぞ>をれ)。
DROPS/南京ぐれ子(ソニーマガジンコミックス ルチル コレクション) 一夜限りの恋、甘い時間を過ごすためのお菓子、DROP。人工生命体であり、限られた期間しか生きられないDROPたちと、命ある者であり、DROPより遙かに自由に生きられるはずの人間達との関係は、商品と客...でも時として両者の間に生まれる感情はその範疇を越え、絆とよべるものすら生み出してしまう。しかしDROPの宿命が否応なく両者の前に立ちはだかり、より熾烈な運命へと誘ってゆく...
南京ぐれ子さん2冊目のコミックス。ただ快楽のために生み出されたDROPと人間が織りなす物語の第1巻で、序章にあたる「RED」と描き下ろしの「WHITE」も収録されています。個人的にはオーソドックスですが、DROPにとっては不良品の証である涙を流したハッカをかばって、その幸せを願っていたキムさんがいい感じでした。
フルーツバスケット(1)(2)(3)/高屋奈月(花とゆめコミックス) 死別した母親との約束を守り通す為にテント生活までしていた主人公の本田透。彼女はひょんなことからテントを張っていた土地の持ち主、草摩紫呉の家に居候する羽目になってしまったのですが、この家にはとんでもない秘密があったのです。それは学校では眉目秀麗な王子様(^^;と言われ、雲の上の人であった草摩由希も住んでいた!・・・んじゃなくて(それも事実だけど)、紫呉や由希を含めた草摩一族が十二支の物の怪が憑いていることでした。異性に触ると十二支の原形に戻ってしまう為にあれやこれやの騒動が起きる訳ですが、そこに加えて十二支に入れなかった猫の物の怪が憑いていて由希を倒しに乗り込んでくる夾とか、その夾を結婚相手と決め込んで文字どおり猪突猛進な楽羅(さて干支は何でしょう(^_^;?)も加わってもう大変!! その裏で由希が抱えている草摩一族への想いと現実との軋轢などちょっぴりシリアスな面も見せて、次巻を待ち遠しくさせる第1巻です。
待望の2巻では前作以上に透の“前向きな優しさ”がしっかり描かれていて、見ている側も読み終えた後で背中に暖かさを感じるようです。そして今回は透の周囲の人々もたくさん描かれているおかげで、透との交流、絆、そして想いがストレートに伝わってきますね。中でも『梅干しと電波とタツノオトシゴ』がとてもいい感じです。え?何のことかわからない?だったら黙ってコミックスを買いましょうヾ(^o^;ぉぃぉぃ
「ああ なんて 愛しいんだろう……」
『世界で一番バカな旅人』のお話を話した後、紅葉の言葉は由希、夾、そして紫呉の心に一人の女の子の姿となって浮かび上がります。見返りとか、駆け引きとか、そんなものとは無縁の優しさが草摩の人々の、そしてコミックスを読む我々の心に静かに染み込んでいきます。でも彼女の純粋さ故に己の醜さをも鏡のように映されてしまう怖さを知りながら、なお己の大切な者のために選んだ道を生きるのは避けられない宿命なんでしょうか...というわけで第3巻。しっかり泣かされました(;_;) で、見開きの左右で別人のようなリリカル&パワフル神楽ちゃんとか、超マイペースなブラック&ホワイト溌春など新旧入り乱れて「お茶の間ほのぼの系コミカル学園ラヴラヴちょっと不思議付き物語(by紫呉(^^;)」を相変わらず展開しているのでしんみりしながらも楽しさ一杯に仕上がっています。
以降続巻
※途中で作者療養のため一時休載期間があったものの、大地丙太郎監督の手によるTVアニメ化や連載再開など話題になりました。
観用少女(4)/川原由美子(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) 「“名人”の称号を持つ職人が丹精込めて育て上げた逸品でございます」・・・店主の指し示す先には美しい人形、「観用少女(プランツ・ドール)」が静かに瞳を閉じて座っていた。ということで、生きた人形と人間が生み出す物語もようやく4巻、前巻から2年以上待ち望んだだけのことはありました。作品としては最後の「メランコリィの花冠」がスキですけど、「流砂」の意味ありげなラストとか、「珊瑚」の『ばたっ じゅっ』とかも捨てがたいですし(^_^; 結局はどの話もお薦めです。ちょっと忘れていた心の欠片のような煌めきをもつ少女たちの笑顔に、あなたも一度出逢ってみませんか? きっとその魅力に取り憑かれることでしょうヾ(^o^;ぉぃぉぃ
鵺−ぬえ−/南京ぐれ子(花音コミックス) その声を聞くだけで如何なる傷病をも治すといわれる『鵺』。母親と同じ死病に冒された娘の桔梗を救う為にお館様が雇った鳥師の紫苑は、山で鵺を捕らえてその羽を切り落とし、人の姿となった鵺を屋敷へと連れ帰った。だが紫苑は鵺に「桔梗の為に今は鳴かないでくれ」と懇願する・・・紫苑の言葉の裏には桔梗の秘密と鵺の声の持つ真の力が隠されていたのだった。
というわけで『JARO』の南京ぐれ子さんの初コミック。冬コミの本で発売が予告されていたので楽しみに待っていましたが、その甲斐があったと言える出来です。お薦めという点では自信を持っていますが、発行が花音コミックスということでもわかるように普通の少女漫画が買える野郎でもちょいと手が出し辛いジャンル(あるいは本屋のコーナー)かもしれません点はご注意を(^_^;
ニューヨーク・ニューヨーク(3)(4)/羅川真里茂(ジェッツコミックス) 2巻のラストで幸せの絶頂から一転して不安のどん底に突き落とされたケイン。行方不明のメルを探し、その死の影に怯える彼の前に、FBI捜査官のルナが現れて衝撃的な言葉を伝える、「メル・フレデリックスはまだ生きているわ」と。彼女と協力して次第に真相へと迫るケインだったが、事態の展開は彼の思った以上に早く、メルの元に辿り着いた捜査官二人が誘拐犯に殺害されてしまう。犯人の凶刃がメルに・・・
傷つけあっても互いを求め合う二人の姿は同性愛という枠をあてはめるのさえ馬鹿らしくなります。もちろん同性愛故の障害はあるし、その痛みを私がわかるかと問われれば「No」としか言えないんですが、結局二人をみれば何というか「愛っていいなぁ」って思えるんで(^_^;
メルとケイン、そして周囲の人々の多くを巻き込んだ連続猟奇殺人事件はジョーイ・クラインの射殺で幕を閉じました。しかし物語はそれで終わりません。人が生きている限り、というか文字どおり人生がそのまま物語であることがこの最終巻で描かれています。人は出会い、別れを通して他の人の人生と重なり、交わっていきます・・・時には傷つけ、命を断ち切ってまでも。でも、それら全てが生きるって事なんでしょうね。
時間屋/日高万里(花とゆめコミックス) “時間屋”時永は願う人の想いに応えて刻を操る。しかし時間は生み出すことができるものではない・・・補われた刻があれば失われた刻があり、一度は通り過ぎた過去がある。でも人にとってそれらは全く異なった時間となって過ぎてゆく。その先にこそ未来はあるのだから...1/4スペース同様、私も「いつもとちがうぅ」と思ってしまいました(^^; でもこ〜ゆ〜のもいいですね。
人形芝居/高尾 滋(花とゆめコミックス) 生まれた時からの兄弟として、あるいは死するまでの話し相手として、静と嵐の二人の手でつくられたドール達。人ではない人形、人形ではない人、それぞれの想いが交錯する物語は、それ故にとても人間味に溢れた暖かみを感じさせてくれます。初コミックスですが一押しです。