・・・富士見ファンタジア文庫etc(ヤングアダルト小説)

 そういえば富士見ファンタジアで最初に手にとったのはどれだったかな? 今ふと思い出そうとしても思い出せない。確か創刊された時から買っているはずなんだけど忘れる程前だっけ?・・・それにメジャーなのも読んでない(スレイヤーズ一冊も買ってないし、タイラーも2ndシリーズから買ってない)。何だかあまり熱心なファンじゃないみたい(^^; そんな私ですが今でも新刊を楽しみに待っている作品&シリーズがあります。ここではその辺のこだわりをその他のヤングアダルト小説を交えてボチボチ語っていきたいと思います。


「イリヤの空、UFOの夏」秋山瑞人/電撃文庫

 一人の男の子が一人の女の子と出会う。ただ普通とちょっと違ったのは「夏休み最後の日」で場所が「夜の学校のプール」だったこと。そして女の子の手首には「銀色の金属球が埋め込まれていた」...でもそんなのは些細なことだった。ボーイ・ミーツ・ガールという天下無敵のシチュエーションの前には。

 何というか懐かしくもくすぐったい感じがそこかしこにあるお話です。痒い表現でいくと『青春』なんでしょうね。私のようなおじさんにとってはノスタルジックな想いを、何でも出来そうだったあの頃を思い出させてくれる作品で、悲しみとは違う涙がホロリときました。


「封仙娘娘追宝録」ろくごまるに

 仙人になる為の昇格試験に何とか合格したばかりの新米仙人の和穂。しかし彼女は師匠である龍華の工房で誤って八卦炉を暴走させてしまい、封印されていた七百二十六個の欠陥宝貝を人間界へとばらまいてしまった。人間界への不干渉の原則から例え人間が死滅しようとも仕方無しと考える仙主や神農に対して、和穂は自ら願い出て仙骨を封印し、一人の人間として宝貝回収の旅に出ることとなった。その伴にはたった一つだけ逃げずに残っていた欠陥宝貝の殷雷刀。情に脆いが為に武器の宝貝としては欠陥品の烙印を押されていた彼と和穂が様々な宝貝とそれを取り巻く人々と出会う旅の物語、それがこの『封仙娘娘追宝録』です。

 個性的な宝貝の数々、それらと時には戦い、時には協力しあうことで成長していく和穂の姿。巻を重ねる毎に物語りもどんどん膨らんでいき、見事に一つの世界を構築しているおかげで、その奥行きが読む者を魅了する力の一つとなっているんでしょう。

 でも、七百二十六個はちょっと多いんじゃないでしょうか(^_^;?


「ロケットガール」野尻抱介

 ハネムーンの夜に行方不明になった父親を探しにソロモン諸島にやってきた女子高生森田ゆかり。父親探しに協力してもらうことを条件に、偶然遭遇した日本資本100%の「ソロモン宇宙協会(SSA)」で軽い気持ちで引き受けた『猿でもできる簡単なアルバイト』。それは・・・人類初の女子高生宇宙飛行士への道だった(^^;

 とっても妖しくっていいところですね、ソロモン諸島って(^^; 何故か地元民の酋長におさまっていた父親と異母妹のマツリの天真爛漫さというかマイペースさ、SSAスタッフの中でも医学主任の旭川さつきのヤバさは格別ですし、その他のスタッフも個性豊かな中にもそれぞれの熱情を持っています。こんなところがあれば夢に向かう&共有する心地よさってのがあるでしょうね。

 描かれ方としては、そういったプラスの方だけでなく、ゆかりがぶつかる壁、障害、憤りなんかもきちんとおさえられていて、彼女の変遷が感じられます。そして何よりもストーリーのポイントであるロケット打ち上げがその他の描写と剥離していないのがいいですね。背景でも、サイドストーリーでもなく、キャラクタと同じようにそれぞれのキャラとかかわり合っている感じがラス前の盛り上がりを生んでいると思います。


「魔術士オーフェンシリーズ」秋田禎信

 黒髪、黒目に、黒づくめの衣装、胸には剣に絡み付いた一本脚のドラゴンをかたどった銀のペンダント、大陸黒魔術の最高峰《牙の塔》の紋章を下げた若者オーフェン。彼は姉と慕うアザリーが失踪した後を追って《牙の塔》を飛び出していた。しかし彼が最後に見た彼女の姿は人ではなく異形の姿であった・・・オーフェンは果たしてアザリーに逢えるのか? 逢えたとしてもその時オーフェンは? “鋼の後継者”と呼ばれたオーフェンの真の姿とは?ってのが、シリアス路線がメインの『はぐれ旅篇』

 黒髪、黒目に、黒づくめの衣装、胸には(中略(^^;)下げた若者オーフェン。彼は今日も日がな一日借金の取り立てと無能警官の相手と次から次へと降って涌く頭の痛くなるような事件の数々に追われていた。オーフェンは果たして赤貧地獄から抜け出ることができるのであろうか? できたとしてもコンスタンス、ボニー、ドロシーと続いた姉妹地獄から抜け出ることができるのか? 謎に包まれたキースの過去を白日の元にさらけ出すことは出来るのか?ってのが番外篇である『無謀編』(^_^;うそ半分?

 あと、『無謀編』のさらに番外篇として《牙の塔》時代、オーフェンがキリランシェロと呼ばれていた頃の回想録である『憂愁編』。拗ねてないキリランシェロが思いもかけず可愛いと評判ですヾ(^o^;ぉぃぉぃ

 数に差こそあれ、いずれもこの作品の魅力として欠かすことのできないシリーズですね。いつのまにやらアニメ化しちゃったので有名になっちゃいましたけど、原作の方もまだまだこれからです。


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