概要解説
この「尺八調律秘伝」は故佐藤晴美先生が自筆で記録されたものをお借りして、写したものです。
記載の音名は琴古流の表記です。「ヒ五」は「イ」のことです。
「尺八秘伝」はPDF形式のデーターで保存されています
頁 | 目次 | 説明 |
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4 | 七管室の図 | 尺八の内部を7つの部屋に分けていますが、この位置を、1尺八寸管の尺八の図で示したもの |
5 | ロ之部 | 乙ロ不鳴之場合、鳴りがたい場合 |
6 | 乙ロの弱い場合 | |
7 | 甲乙共にロの調子高い場合あるいは低い場合、甲音のみ鳴りがたい場合 | |
8 | ツ之部 | 弱い場合(甲乙共) |
9 | 調子高い場合(甲乙共) | |
10 | 調子が低い場合(甲乙共) | |
11 | レ之部 | レが弱い、甲走り |
12 | 調子が高い、低い場合 | |
13 | チ之部 | 乙チの鳴りが弱い場合、調子が高い、低い場合 |
14 | リ、ヒ之部 | 鳴りが弱い場合、リの甲走り |
15 | 調子が高い場合、低い場合 | |
16 | ヒ五之部 | 乙の鳴りが弱い場合、甲走りする場合 |
17 | 調子が高い場合、低い場合(甲乙共) | |
18 | カラ之部 | カラが効かない場合 |
19 | ハ四 | 鳴らない場合 |
実際にこの通りの結果を得ることが出来るかどうかを保証するものではありません。自己責任でお願いします。
特に削る場合は、慎重にしないと、失敗や思った成果が出ない場合には困ることになります。
内部を埋める場合は、試しに濡らした紙片を貼ってテスト吹きするのも一つの方法だと思います。
【尺八の下地】
尺八の内部の、「下地」には以下の3種があります。
@砥の粉地:砥(と)の粉に生漆、セシメ漆を混ぜて作る。砥の粉は、水で耳たぶ程度の堅さに練ってから漆を混ぜる。
A竹の粉地:竹のキリ屑を漆でこねて使用
B石膏地:石膏に水2分、アルコール1分の割の溶液で溶くと1,2時間では固まらないので作業がし易い
【尺八目割法】
尺八の指孔の位置については、以下の方法がある。
@九半割法
A十割法
B十半割法
これらは、残念ながら晴美先生に詳しくは聞いていなかったので、推測ではあるが、指孔の大きさによる違いであるように考える。
一般に指孔の直径は10mmが標準であるが、11mmや、9mmの場合には割り振りの補正が必要である。この補正を目割りの違いによって行ったのでは無かろうか。ちなみに孔が大きくなれば割り振り比は小さくする。
指孔が大きくなれば、明るく明瞭な音になる。小さくすれば重く沈んだ音になる。
孔間比率 | 九 半 割 法 |
十 割 法 |
十 半 割 法 |
歌口〜裏孔間 | 4 | 4+1/2 | 4+1/2 |
裏孔〜第四孔間 | 1/2 | 1/2 | 1/2 |
表各孔間 | 各1 | 各1 | 各1 |
第一孔〜管尻間 | 2 | 2+1/4 | 2+1/2 |
この目割りの場合、3孔が少し高くなるので、現在の尺八は、3孔を少し小さい孔にする、孔の位置を管尻側に少し下げる、などの補正をする。
なお尺八の裏孔は流派により、以下の補正がある。
琴古流は3分上がり
都山流は1分上がり
上田流は2分上がり
現在はあまりその違いはないようである。