辻村 晶


<小国町>

☆先進地視察におけるテーマ

木造立体トラス工法による建築群が、いかに小国町にマッチしているか?

☆テーマに対する答え

 ゆうステーションは、まず、形が印象的で、ダイヤモンドが地中から飛び出しているように見え、外からはとても木造と見えなくて、「ナウい」感じがする。木魂館は、一風変わった建物だが、周りの風景と折り合って、斬新なデザインで印象深い建物であった。入ったとたん、ふわっと広がる木の香りが、度の疲れをいやしてくれる気がした。小国ドームは、コスモスと杉の木に囲まれ、閑寂な風景の中に立ち、現代技術を駆使したガラス張りで、ビッグタートルの愛称通りの巨大な建物で、トラス工法による天井が、さわやかな空間を作り上げていた。
 このように、建物だけに目を向けると、斬新で、人目を引き、若者受けしそうで素敵だが、その空間だけが特に目立っている感じがして、まち全体としての調和は今一つのように思えた。
 しかし、宮崎町長の著書「とっぱすの風」の一節に、「人が生き甲斐を感じ、生きている喜びを感じるのは、何かをじっと守り続けているときではなく、創造的に新しいものを求め、夢に向けて邁進し、それを実現していくときに、人はより大きな喜びと生き甲斐を感じる。創造して、変化していくことで、山村も時代の中に生き生きと蘇ってくる。」とあったように、「とっぱす精神」を持った若者たちの手で、徐々に作り替えられていくような期待感のもてるまちであった。

☆視察を終わっての感想その他

 木魂館の館長である江藤さんの、意気揚々と話をしてくださる姿がとても印象的で、「まちづくり」「人づくり」に対する意気込みがうかがえた。
 町民プランニングシステムの説明の中で、「やる気のある人を集めて任せた。任せないと人は育たない。」という話に共感。このシステムが今の小国を作り上げてきたのだと実感した。また、「今生きている自分たちが楽しく過ごせる町にすることが大切。今自分たちがどういう考え方をするかが大切である。」と言われたように、今の五條市を、今の自分を、もう一度見つめ直す必要があると感じた。

<山鹿市>

☆先進地視察におけるテーマ

八千代座と城恵一さんの魅力を探る。

☆テーマに対する答え

 八千代座の魅力は、そこが「人づくり」「まちづくり」の拠点になったことだと思う。朽ち果てようとしていた芝居小屋を、最初は老人会が「先人の思いがなくなるから。昔の思い出の場所をなくすまい。」と八千代座修復の瓦募金のため、自転車で走り回っている姿が、若者はじめ市民に強い感動を与えた。八千代座が、老人と若者の接点を生み、復興に向けた幅広い市民運動へと、人の輪を広げていったことにあると思う。
 その中の中心人物である城恵一さんの魅力は、その人柄にあるのではないかと思う。八千代座での演劇興行に向けて、消防法や建築基準法の基準をクリアするために奔走し、消防署長に直訴。自家用車に拡声器を取り付け、公演を連呼しながら走り回る実行力。これほどのバイタリティ溢れる人でありながら、二日間の視察を通じて受けた城さんの印象は、穏やかで人当たりがよく、一緒にいるとほっとするような、人情味溢れる方のように感じられた。その人柄とバイタリティが、桟敷会の中心人物として皆を引きつけ、人の輪を広げていったのではないか、と思う。

☆視察を終わっての感想

 魅力溢れる人の周りには、自ずと人が集まってくるし、その生き方は顔に現れるものです。城さんを見て、つくづくそう感じられました。自分も城さんのように、年を重ねても輝いていられるような、そんな生き方をしなければと痛感しました。
 また、一つのことを成し遂げても、次から次へと問題がわき起こる、「まちづくり」「人づくり」の大変さも痛感しました。