落合川磨崖碑





<選んだ理由>
 あさもよし 紀人羨しも 亦打山
    行き来と見らむ 紀人羨しも
              調首 淡海

 と「万葉集」にも詠われた真土峠(亦打山)の谷間を流れる落合川の上流川中に「落合川磨崖碑」が存在するのをご存知でしょうか。橋本市隅田町真土より落合川にそって焼く1.5Km 上流の五條市と橋本市の境を流れる落合川の川中にお経や仏像・梵字・飛天像の刻まれたいくつかの巨石群を見ることができます。
 これらが彫られた年代は、鎌倉時代前後と考えられています。(いくつかは後に彫り添えられたものの様ですが)
 場所的には落合不動寺の前の川中ですので関係がないこともないのでしょうが、供養塔でもなく、いかなる目的で刻まれたものか明らかではありません。ただ、密教世界・曼荼羅世界・浄土世界を表出させるものです。
 中でも、緑の苔に覆われた飛天像の1mあまりの優雅な姿は、遠くからでも見ることができます。道からは見えませんが、他にも色々な彫刻があちらこちらにあります。
 五條市では、宇智川磨崖碑(五條市宇野町)はよく知られていますが、「落合川磨崖碑」は年代的に400年ほど新しいためか、県境の川の中にあるためか、忘れられた存在で、いまだに詳しい調査も行われていないようです。
 五條市史にも橋本市史にも取り上げられず、一部の考古学誌や遺跡地図に名を見かけるだけです。
 今後、県境にこだわらない調査・保存を期待します。


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