視察地の感想


(1997-5-6)

<フローラハウス>
・安藤さんと出会った印象は、「すごく元気な人」です。自分に対して責任感があり、また、積極的なところが元気の元かな、と思いました。
・すごいパワーが感じられました。とにかく既成観念がなく、自由な発想、何でも口に出してはじめることが大切、ということが心に残りました。何でもかんでも好きほうだい、言いたいことを個々の人が言っていて、うまくいくとは到底思えませんが、このまちではみんなが根底で考えていることは共通のような気がしました。このまちをよくするという以前に、このまちで自分がいかに心地好く過ごすかということがあって、”このまちをよくする”ことが出来るんだと感じました。
・田んぼの中のハウスで、こんなところで何をしているのかな?と思って入ると、押し花やドライフラワーのしゃれたお店でした。店主の安藤さんは公民館活動から初めて20年で現在に至るとのこと。女性の参加できる場、団体がたくさんあるとのこと、羨ましかった。安藤さんの「やる気}。こんな女性がたくさんいたら面白いだろうと思った(ほんとうはコワイかも・・・)。この方も由布院移住者。やる気のある人が大切だと感じた。
・女社長の安藤さんに、輝いた目で将来についてのお話しを聞かせていただき、自分自身も、将来を見据えたまちづくり、人づくりを考えていきたいと思いました。
・男の人の気配がしない、女の人だけの空間。そして、決して後には引かないであろうパワー。そんなものに溢れているお店でした。安藤さんの女性らしいキップの良さ。こんな人が我々のまちにいたらなって思いました。これからもまちづくりのキーワードは「女性」。そんな気がしてなりません。
・小さな温室をぬけていくと、同年代くらいの女の人、数人が忙しそうに働いている姿があって、口調がすごくパワフル!方言交じりで。でも安藤さんの回りも又市民の人たちも一つの考えをしっかり持っていて、みんなが意見をしっかり言う。偉い人でも同じ立場で、という感じがした。安藤さんの自由な生き方に感動もしたが、それよりもあの自信溢れる言葉はどこから出てくるのだろう?しっかり自分の意志で自立し、生活の基礎が出来ているからだろうと思う。フローラハウスに行って、安藤さんの話を聞いたら、あんな女の人になれたら、と思うに違いないですね。女の人の力強さを感じた数分間でした。
・安藤さんの印象が強烈。

<由布院駅>
・由布院駅の中を見て、さほど感動がなかった。二人展をやっている待ち合い場には人が集まり、確かに作品を覗いている人も多かったが、何となく雑な感じがして私は好きではない。作品ももったいないような気がしたし、この見ている人たちの何人が興味を持っているのかな?とか、作品を大切に扱っているのかな?と思う。作品の横にかばんを置いて話している人もいたし、常識的なことなのだが、これがしっかり出来ていない人も中にはいるので、少しもったいない気がした。そのせいか、自分が見ても少しがっかりだったような気がする。
・人を受け入れること。本来、応接室だけ奇麗にして玄関がゴミだらけって考えられません。由布院駅は、「ここは普通の温泉地と違います」と十分語っていると思いました。そんな「ゆふいん」という家に訪れた客を、十分歓迎していると思いました。横のギャラリーは待ち合いとして十分な位置付けがなされていると考えます。ただ、作者の立場として、作品が乗ってる台の上に、「おばちゃん」が紙袋を乗せている姿にはヒヤヒヤさせられました。身近な芸術とふれあう場として羨ましく思いました。
・待合室がギャラリー。改札口のない出入り口。2億で何故あれくらいの建物が建つのか?


<山荘 無量塔>
・ぜひもう一度ゆっくり見てみたいです。湯布院の山合いとうまくマッチし、また、今風の建物だと思います。
・旅館の名で”ムラタ”というのを忘れることもなく、しかも漢字まで書ける。インパクトが強いということだろう。古い建物を利用していながら、妙に新しい印象を与える。田舎であることを最大の武器としながら田舎人である我々にも好印象を与える。宿泊料金が高額であるので、私には利用できないが、通の人にとってリピーターとなって利用する理由が分かった気がする。由布院に人がたくさん訪れるようになると、色んな人が商売として考えるようになり、規制できる範囲が狭くなるのはいたしかたないことだろう。テーマパークのように一過性のものでない良さを売り物にした考えの根の深さは、きっと凡人の私には想像もつかないものがあるのでしょう。
・(+びんぼうな貴族)まちの風情を作るため、全国の民家をそのまま利用していました。このような前むきの姿勢で経営しているところは、特にこだわりが感じられ、その古いところを照明が、見事に新しいものに作り上げていました。この2店ともオーナーのこの店このまちに対する思い入れを感じました。反面とても古びたお店や民家があるのが気になりました。

<中央公民館>
・正直言って、どこといって何ということもないまちの、取り立ててスゴイということもない、何の変哲もない公民館。一歩足を踏みいれて感じた印象はそうでした。でも利用する人たちの意識もさることながら、それを受け入れる側の意識もまるで違っていました。利用する側もさせる側も、その積極性とかその事業に対する意識の真剣さがスゴイですね。何に対しても固定観念がなく、このまちをいかに良くするか、”このまちで”いかに自分が快適に過ごすか、この環境の中でいかにこのまちが素晴らしくあるか、ということを常に念頭に置いて動いているまちのような気がしました。
・由布院観光総合事務所事務局長の溝口さんにお話しを聞かせていただき、湯布院の凄さを知りました。マネするというより、参考にさせていただき、これからも頑張りたいと思いました。
・自分のなかにあった疑問がここにきて分かりました。色んな話を聞かせていただいて、少しずつ由布院というまちの全景が増えてくるような気がしました。湯布院の”湯・由”の字の由来、又食にこだわり、多数のイベントをしているわけ。あの牛喰絶叫大会から始まっていったことなど、他国の交流の中で自分たちなりの食のイベントを開いたりと、やはり活動的。ここでも市民がどんどん生きた意見を出してくれて、それを上手くまとめる頭と呼ばれる人たちがいて、それに上手く行政も乗っかってと、3本立てのような力強い行動力がこのまちの魅力でもあり、このまちそのものでもあるような気がした。少し「あっぱれ!」という言葉が出てしまう。

<溝口さん>
・由布院はとても魅力あるまちです。そしてきっと今の状態がこのまちにとってベストなんだなあ、って感じました。自分のまちもこんな風に、市民として働くとしても、こんな受け皿があればいいのに、と感じさせられました。溝口さんはきっと我々の年より若いだろうけど、彼の生き方は、「羨ましい」の一言です。色んな地で色んな人と、この日本を良くしていくことにガンバッテ欲しいと思います。いつか、また、どこかで会えたらいいのに、と思いました。

<ぽこあぽこ>
・アイデアの勝負。このまちには本当にそういう言葉が似合うと思います。このまちを本当に好きなひと、このまちで暮らすことを本当に快適だと思っている人たちが、それぞれにやりたいことをやっていて、有機的に不思議と結びついて、町のイメージにつながっている。とても勉強になりました。それぞれにやっていることはバラバラでもまちに対する”想い”は同じ。そんな印象を受けました。
・(+人形の家+12の月)由布院のまちから山道を通っての別荘地に色んなお店がある。こんな山の中になぜ?と思っていると、この湯布院が好きな人が集まって色んな自分のやりたいことをやっている、そんな発想がおもしろかった。こんなことで商売になるのかな?と思わず思いました。五條でだったら「ゆふいん」は「ばあく」「山口先生」あたりみたいだった。

<12の月>
・ゴールデンリトリバーのウェンディがいるお店へ行った。そのお店は12の月という名前の店で、手作りのハム・ソーセージを委員長が買いました(結局、みんなで食べることなく、委員長のオミヤゲになってしまった)。そのお店は自宅の台所を利用して、お客様にお料理を出しておられました。家庭的な雰囲気がとても良い感じでした。

<みるく村>
・自分の作ったものがいかに評価されるか、そういうコンセプトから始まったことだとうかがいました。町づくりや村おこしがどうということ以前に、このまちで暮らしている自分のしていることがここでどういう風に評価されるか?そこから始まることが互いに相乗してまちづくりに役立っていることはとても素晴らしいことだと思います。好きなまちで好きなことをやる。それが人に受け入れられて初めてまちづくりは出来るんですね。
・壮大な草原に立つ大きなログハウスで、手作りアイスクリームを食べた。牛60頭を育て、ミルクをしぼり、ラズベリーや色んなものを作りながらしぼりたての牛乳でアイスを作り、販売している。「グリーンツーリズム」って言葉が生きてきそうな、農業から、観光を取り入れた産業へステップアップしているのが良かった。そして、村長は奥様、ご主人が助役、という女性をたてる心が憎らしかった。農業を忘れた観光でない点も良かった。
・手作りのアイスクリームが、素朴な味でとても美味しかった。ついついチーズケーキとアリスクリーム二人分食べてしまった。
・まず場所に驚きました。まさに牧場の一軒家という感じでした。今では名前も売れて客も集まっているようですが、名前が売れるまでの間、どのような状態で名前が売れていったのか、非常に興味があります。美味しいアイスクリーム、ごちそうさまでした。
・山の中の小さなロッジ。自然の中で共存している感じを強く受けました。美味しいアイスクリーム。天気が良ければもっと大きな自然の中にいるのに、という気がしたと思います。少し残念です。年に数日でも、こんな環境の中で過ごせたらナ、と思いました。
・「ミルク村 村長:竹内マリ子 助役:主人」← なんとステキな名札なんでしょう。奥様が頑張って努力の末できたアイスクリームだから村長さんで、自分は酪農だけを頑張っています。という感じ。絞りたての牛乳を固めるという製法らしいが、こんなに美味しくなるのが不思議です。そんなにメニューはないが、季節になると並ぶそうですね。それはご主人が土地を提供することで、色々なグループが集まるおかげだそうです。ここでもうまく乗っかって商品を広げているんだな、と思った。
・(+ぽこあぽこ近辺)牧場を生かした喫茶。別荘を生かしたお店。

<亀の井別荘>
・高級感あふれる、というよりは、やってきてホッとする懐かしい場所に帰ってきたような落ち着ける場所という感じでした。コンセプトがその部分に徹底しているような気がして、決して自然が人に媚びることなく、人が自然に調和するような雰囲気がとても良かったです。新しい開発でなく、あくまでもそこにあるものを大切にしているような気がしました。開発のあり方を考えさせられました。
・(湯の岳庵)風情のあるところでのお弁当はすごくおいしかったです。
・仕事柄すごく興味深く見せていただきました。雰囲気も建物も素晴らしく、室内の凝った作り、工夫から中谷社長の思いが伝わってくるようでした。是非とも愛する妻と泊りたいと思います(十七号室)。
・湯の岳庵で昼食をとらせていただきました。山菜を中心とした料理で、湯布院のイメージに合いました。亀の井別荘を見学させていただきました。感想としては、全体として和風であったり洋風であったりして、何やらよく分からなかったといったところですが、個々の建物としては、また来たいナと感じさせる魅力を十分持っていると思いました。
・4〜5年前、ここに泊ったことがあります。由布院という、しっとりとした温泉町に、ただものではない「やど」がありました。今回再び訪れて、そして今一度自分の目で確かめて、やはりただものではありませんでした。全体のコンセプト、漂う気配、それがこの由布院全体のコンセプトにもつながっているのを感じました。時代は独り歩きしますが、ここは、時代から取り残されることはない、と思えました。
・(湯の岳庵)茅葺きの素敵な食事でした。

<トーフと果実酒>
・今回の研修では、湯布院の人情と、何でも受け入れる寛容さを十分味わいました。中でも心に残っているのは、ザルトーフと果実酒です。30種類の果実酒があり、パイナップル味とサンショウ味を試飲しました。パイナップル味はあまりにも特徴がなく、「何か癖のある味が欲しい」とリクエストしたところ、でてきたのがサンショウ味です。一口飲んだら二度と飲みたくなくなる変な味です。心に残る不思議な味です。一度試みられては如何ですか?

<湯布院全体>
・一番のポイントは亀の井別荘、玉の湯、無量塔のすべての”もの”に対するこだわりが徹底しているということで、「これ位でもういいんじゃない?」と言うのではなく、設計は勿論のこと家の作りから家具、レンガ一つまで、自分が納得いくまで行われていた。これらのことが認められるようにPRしていることも事実だが、手法として文化人も上手く使っているというか、応援しているというのが凄いことだ!また、住民もパワーのある人が当然のごとく存在しており、彼らの生き方も見習うことが多く、自分がどうすれば楽しく生きていけるのかということをいつも考え、実行している。この住民の考え方が結集して、現在の湯布院が出来上がったように思いました。
・大勢の人(観光客)が集まると今まで考えなかった凄いアイデアがまた新たに浮かぶ。フローラハウスやミルク村はその例。最初の仕掛けのヒントは得てない。駅は確かに人を集めた仕掛けの一つ。うまくいきだすと、次の素晴らしい人が生まれる・・・。
・まちの幾つかの旅館を中心に、まちの活気が感じられた。そこには別荘ホテル、他の温泉地にはない雰囲気があったとおもう。余裕を持った庭、古本、そして部屋が一戸建。その家々も古本を集め、古家を移築したようなものだったが、それがすごく感じ良かった。そんな旅館を中心に、美術館や工房が会って、公民館を中心とした市民のイベント、由布院の文化の高さに感心しました。芸術・美術を多数見ることが出来てよかった。また民芸村等色んな職人の集まるまちとして、良い印象を受けました。どうして由布院に集まってきたのだろうか?誰が集めたんだろうか?芸術家・文化人を出しているようで、羨ましいところです。また訪れる人々を大切に扱っているのにも感心しました。まちの文化の高さを感じることが出来ました。こんな環境で育った子供達が、身近に文化・芸術にふれることが出来ることを羨ましく感じました。これからは観光中心の文化ではなく、地元での文化の活用を考えていったらどうでしょうか?そして、まちの有力者中心のまちづくりではなく、子供達や青年の自由な発想を使って、新しい文化を作り出していける事業が必要じゃないかと感じました。