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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第十七話・血盟 白鳳天翔。そして・・・・』

時折、友達に連れられて知らない場所などにも行ってみる。杏樹、arameさんに誘われて、エル・ロンドと共に向かった先.

知らない人達が居た。

ドワーフの男性・・おじちゃん以外は皆女性。エルフ、ダークエルフ、ヒューマンのメイジに剣士。そこにわたしたちだから・・・・

「うほほっ、ハーレムじゃっ」

おじいちゃんはとっても喜んでいた。

おじいちゃんは魔宝(マホ)さんと言った。

エルフのお姉さんは凪颯さん。なんて読むんだろう? みんなからは「なぎ」と呼ばれているみたいだ。

杏樹とarameさんを通じ、お互いを紹介してもらう。一緒にやりましょう、と言う事らしい。場所は、全く初めて訪れる場所だ。オーレンのはるか北、象牙の塔をさらに北上した森の中。見たこともない鳥のような怪物がばっさばっさと飛んでいる。その足元にはバシリスクも居たが、わたしのよく知るバシリスクとはまた違う種類のようだ。

凪颯さんの動きからエルフにもメイジの系統があるらしいことは解った。解らないのは、時折、回復魔法とは違う魔法をメンバー、とくに魔宝さんや杏樹たちにかけているところか。わたしたちクレリックの回復魔法は、その効果が対象にかかるとき、黄色い光の柱となって現れる。凪颯さんのそれはブルーなのだ。ちょっと奇麗でうらやましい。何の効果があるのかは最初よくわからなかったけど、休憩中にarameさんや魔宝さんにかけた時に謎がとけた。マナを回復していたのだ。

おじいちゃん・・・魔宝さん以外の女性陣はなんだか皆、無口だ。杏樹もarameさんも元々あまりおしゃべりな方ではない。そんな二人なので、この人たちと何処で、どんな風に出会った、とかそういった話はほとんど聞いてはいない。二人の知り合いなのは間違いないんだろうけど、どうもまだ打ち解け切れて無いような感じもある。

普段はおしゃべりなエル・ロンドとわたしもあまり騒ぐこともできず、黙々と狩りに精を出すしかない。

「うほほ。そぉれっ!」

一人だけ例外がいた。魔宝さんだけが賑やかだった。技をかける時についでに声もかける。

「とりゃっ」

ばしっ。

「うりゃっ」

びしっ。

「うぉっとっと」

元気なおじいちゃんだ・・・・。

「ふう。ここらで一休みするかのぉ」

補助魔法の切れたところで、魔宝さんが宣言すると、皆同意し、安全な場所で座って休憩することになった。凪颯さんがマナを回復させているとは言え、その凪颯さん自身のマナも減りぎみだ。全体を考えても少し休んで回復した方がいいのだろう。

座る位置も固まって座るのではなく、なんだか微妙な距離感があった。

微妙な距離

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またしても一人だけ例外がいた。そう、魔宝のおじいちゃんだ。最初、arameさんのすぐ横に座った。arameさんは無言で立ち上がり、少し離れたところに座り直した。おじいちゃんは今度はもう一人のメイジさんの横に座った。そのひとはそそっと横に移動した。おじいちゃんは凪颯さんの横に座り直した。凪颯さんが蹴りを入れた。おじいちゃんはわたしの横に座った。

「ふう」

わたしは、とりあえず、そのまま座っていた。

「みんな冷たいのぉぉ。Narurunはいい子じゃ」

苦笑いするしかなかった。悪い人じゃないのはわかるんだけど・・・

色々と聞きたいことはあった。でも、なんとなく、自分から切り出すのもためらわれたので、しばらくはおとなしくしていよう。

arameさんと出会った頃もそんな感じだったかな。トロピを中心にしたパーティでメンバーの一人として知り合い、その後、幾度かのパーティを経て、仲良くなった経緯もある。この人たちともいずれそういうふうになるのだろうか?

休憩をしているところに、もう一人、ドワーフのおじいちゃんが現われた。

「おまたせおまたせ。お? 新しい血盟員か?」

「いや、杏樹の友達だそうじゃ。まだ誘ってはおらん」

なんの事だろう?

「そうかそうか。血盟員候補ってところか。杏樹もどうじゃ?入る気になったか?」

話が杏樹ちゃんに振られた。

「ん・・・まあ」

お茶を濁しまくりな曖昧な返事。

「そうか、気が向いたらいつでも言ってくれ。歓迎するぞ」

「ああ」

わたしとエルが何のことだろう?と顔を見合わせて首をかしげていると、魔宝さんがそれに気付いたのか、説明してくれた。

「血盟じゃよ。わしらは血盟『白鳳天翔』をやっとる。血盟員大・大・大募集中じゃ」

血盟・・・・なんとなくだけど、そういう組織がある、ってことは知っていた。具体的に何をどうする、と言うことは詳しくは知らなかった。数人のメンバーが集まってパーティではない組織を構成するのだそうだ。パーティはその場限りの一時的な集まりであって、基本的にはグループでの狩りをやり易くしたりするだけのもの。血盟はもっとまとまった、繋がり深い組織として存在する、らしい。

「おぬしらも気が向いたら声をかけてくれ」

わたしとエルにそう語りかける魔宝さんは最後に一言付け足した。

「ちなみに、わしが盟主じゃ」

「ぜんっぜん、そうは見えないけどね」

凪颯さんがすかさず突っ込んだ。

「・・・と言われとるがな」

おじいちゃんは少し悲しそうだった。

「さて」

気を取り直したのか、おじいちゃんは元気よく立ち上がると、

「再開じゃ」

宣言した。この辺りは盟主・・・リーダーの片鱗が見える、かもしれない。

「待てぃ」

走りだそうとする魔宝さんを引き留める凪颯さん。

「補助魔法かけるよ。アキュメン、ウィンドウォーク、フォーカスよろしく」

どうも、実権は魔宝さんよりこの凪颯さんが握ってるような気もしないではない。副盟主、いや、陰の盟主なのだろうか? もちろん、そんな疑問をぶつける訳にもいかないので、黙って付いて行くしかない。

凪颯さんともうひとりのクレリックさんが補助魔法をかけてゆく。しかし、補助魔法はわたしもかけられる。何か分担した方がいいんだろうか・・・かけ終わったのを見計らって、それだけは聞いてみることにした。

「えと・・・次からわたしも何か補助魔法、やりましょうか?」

「ん? あー・・・いや、回復魔法用にマナ温存しといて」

「・・・はい、わかりました」

とほほ。

狩りは順調で、危なげはなかった。敵も強過ぎもせず、弱すぎもせず。適度な戦力と言えるだろう。

後からやってきたドワーフのお爺さんは、怪物に例の花火を打上げている。怪物を倒すとたまにその怪物が青紫色に薄ぼんやりと光ることがある。魔宝さんがその怪物の身体に腕を突っ込むと、体内から動物の皮や鉄鉱石などの素材を抜き取る。

打上げ花火は「スポイル」、光った身体から素材を抜き取るのは「スウィーパー」と言うドワーフさんたちの特殊な技能そうだ。

以前から時折、ドワーフのこの動作を見たことはあったんだけど、具体的に何をしているのかはよくわからなかった。

「スポイル」は、怪物に気を打ち込み、その身体を変質させる。うまく変質すれば、倒した時に体内に結晶が生み出されると言う。青紫に光るのはその結晶のせいだ。この状態で怪物の身体に腕をさし入れ、「スウィーパー」でその結晶をさらに素材などの物質に変化させ、抜き取る。怪物ごとに出来上がる素材の種類などはある程度決まっているらしい。

さらに、ドワーフさんにはその「スポイル」の技能に長けた「バウンティハンター」なる職業があり、後から来たドワーフさんはそちらの方だ。魔宝さんはというと、「ウォースミス」と言う、製作専門の職業だそうで、スポイルやスゥイーパーも使えはするが、専門職のバウンティハンターと比べると威力が小さいとのこと。装備品などを作る事ができるのは魔宝さんのようなウォースミスだけだと言う。

装備品を作る、と言っても、アミノ式の槍のようにとんでもない数の素材が必要になる。わたしが何か作ろう、と言う気にはとてもなれない。多少高くとも出来合いの品を買い求める方が手っ取り早いだろう。しかし、少しでも節約したい人には製作の選択肢も有りだ。そうなると無くてはならない存在と言える。

いろんな人と交流が広がる中で、そんな知識を少しづつ蓄えて行く。いや、行かねばならない。全てを理解するのは無理かもしれないが、出来る限り、時間がかかっても、そうする必要はあるだろう。この世界で上手に生きて行くために。

ドワーフのお爺さんたちのお陰もあり、さまざまな品を入手できた。普通に怪物の落とし物、残し物だけを集めるよりはその分量、質、共に申し分ない。

「ふう、こんなところかのぉ」

何度目かの休憩に入ろうかというところで魔宝さんが言った。

「だね。そろそろお開きにするか」

凪颯さんが続けて言った。さすがにわたしもそろそろ疲れて・・・眠くなってきたところだ。頃合いってところか。他の人達も「うんうん」とうなずいている。杏だけは・・・まだ戦い足りないとでも言うような表情をしていた。目ざとくそれを見つけたエルが何やら耳打ちしている。後でちょろっと二人で出掛ける?とでも話しているんだろう。わたしも付き合いたいところだけど、さすがに体力が足りない。残念だけど。

特に高価な品物も出なかったので、分配清算する必要はなかった。ある程度回復したところで、解散となった。個別にパーティを抜け、帰還スクロールで村へと戻ってゆく。わたしも挨拶をして抜けることにした。

そんな風に導かれ、白鳳天翔の人々と出会ったあと、彼らと行動を共にするようになった。彼らとだけ、と言うわけではなく、業務課さんたちの仲間やアミノ式も含めて、交流は広がり、それぞれお互いに紹介しあう形で合流し、大きなパーティで繰り出すこともあった。勢いあまってドラゴンバレーで全滅したりとかもしたけど・・・・まあ、それも含めて楽しい毎日だったと言える。

と、同時に、自分自身のことについていろいろと考えていた。自分自身・・・そう、もう一人の自分、分身とも言える、妹のなるるんについても。

姉妹で同じ魂を共有しているため、互いに活動できる時間が限られてしまう。それでなくても、他の友達が先に先に成長しているのに比べると、わたしたち姉妹は追い付くどころか、どんどん引き離されてしまっている。年齢的にはわたしの方が上なので、妹を休止してもらってわたしが集中すれば、どうにかみんなに追従することもできるだろう。だが、姉妹と言え、わたしと妹は別の人格なのだ。

確かにわたしと妹の魂は同じ起原だ。しかも、生まれ育った環境も似ている。話せる島で育ち、職業も同じクレリックになった。顔形はともかく瓜二つと言えなくもない。

しかし、その生まれ育った環境や経験は微妙に異なる。その微妙な違いは、おたがい成長するにつれ顕著なものとなってきている。わたしはわたし、あの子はあの子。別個の人格が形成されているのだ。

その違いはあこがれる職業への差にもなっていた。

いろんな人と知り合い、話を聞く中でクレリックが成長した先に転職できる「プロフィット」と「ビショップ」について知った。

「プロフィット」はクレリックが使える補助魔法に特化した職業で、より強力な補助魔法を覚え、駆使できるようになるらしい。自分のみならず、パーティー全体の能力を飛躍的に向上させることができる。さらに、重い鎧も扱うことができるようになり、自身がファイターとしての性格も持つようになると言う。

一方、「ビショップ」は回復魔法に特化していて、ヒールやキュアポイズンを始めとする回復系の魔法がさらに強化されるらしい。

いずれにせよ、どちらも今のクレリック同様、攻撃魔法そのものは覚えることはできないらしいが、唯一、ビショップだけはアンデットに対する攻撃魔法を強化できると言う。

まさに、わたしと妹の性格の違いと一致すると言える。

妹は軽量の鎧をまとい、格闘武器で肉弾戦を得意とする。どちらかと言えばパーティで皆の回復をするよりは自分一人で戦うか、パーティでも前衛に出て戦うのが好みだ。性格的にはプロフィットに適していると言えよう。わたしはローブに魔法の本しか持っておらず、パーティで皆の回復を主に「戦う」と言うよりはサポート役に徹するしかない。一人で戦うことも無くはないが、魔法主体でアンデットを相手にすることが多い。まさにビショップなのだ。

わたしがビショップ、妹がプロフィットになる。漠然とではあるが、そんな風に思っているた。しかし、同時に、二人ともそうなるには想像もつかないような長い時間がかかるであろうことも理解していた。

従って、友達らと同じ道を歩むのであれば、いずれか一人に集中し、魂を有効に使う必要がある。

わたしか、妹のなるるんか。

わたしはある決意をし、妹から彼女の装備を一式、借りることにした。

わたしが、彼女のように振る舞えるか?

結果はさんざんなものだった。やはり性格的なものが大きいのだろう、わたしが軽量鎧を着て、格闘武器で肉弾戦を行っても、なにかしっくりこないのだ。わたし自身、彼女への憧れもあったろう、しかし真似は出来なかった、そういうことだ。

わたしは、彼女に全てを託すことにした。

親しい友人にそのことを打ち明け、わたしは最後の日を迎えた。

arameさんは、餞別にとフルートをくれた。そのつもりはなく、最初からわたしに渡すつもりだったらしい。ハッチリンを召喚するフルートだそうだ。

「本当は転職終わったらお祝いにって思ってたんだけどな」

「・・・妹が代わりにがんばるから」

「そか・・・」

arameさんはそれでも少し納得できない様子ではあったが、それ以上は何も言わなかった。そうそう、彼女はすでにウィザードの上位職であるソーサラに転職したそうだ。

「・・・またな」

「・・・うん、また、ね」

arameさんと別れ、わたしは最後の場所を探した。

エルや杏樹とは先にお別れを済ませてあった。その時にエルに頼んで、わたしの装備を一切合財、妹に渡してもらっていた。全て、と言う訳ではなく、一部は手元に残した。重複するような荷物や、どうしても手放せない、自分自身の記念品だ。

アデプトのワンド。妹も持っているし、何より苦労して手に入れた初めての武器だ。売ってしまってもよかったのだけど、どうしても手放せなかった。これだけは持っておこう。

本当なら、話せる島へ、あの滝へ行きたいと思った。でも、あそこへ行ったら、あの場所を見たら、決意が揺らぎそうな感じもした。あの場所は全ての始まりの場所だ。またやり直したいと言う思いにかられるかもしれない。

ちょうど、処刑場のあたりに居たわたしは、無意識にだろう、西へと進んでいた。おそらく話せる島へと近付こうとしていたに違いない。進んで行くと、ディオン城の村が見えてきた。ふ、と見上げると、神殿のテラスが見えた。

そうだ、あそこがいいな。

友達と井戸端会議をするときなど、人の往来が少ないのでよく使う場所だ。あそこなら静かだし、クレリックのわたしにとってもゆかりのある場所でもある。神官様たちの近く、眠るには最適だろう。

わたしは一度倉庫に立ち寄り、渡し忘れがないか確認して、手持ちの品々の一部を整理してから神殿へと向かった。

神殿で神官様たちに簡単にあいさつをし、そのままテラスへと出た。テラスに寄りかかって一息つくとまた様々な思いが蘇ってきた。

生まれた時のこと。アミノ式やLestに出会った頃のこと。滝のこと。転職試験。他にも知り合った人々のこと。エトセトラ、エトセトラ。色々なことがあったよな・・・・。

あ。

それで思い出した。アミノ式にお別れを言ってなかった。歳が離れてしまったことや、彼が血盟に入ったことなどもあって、会う機会がなかったこともある。そう思ったら感応魔法で彼を感知することができた。

「やー」

すぐに交感魔法で話しかける。

「毎度、こんちゃ。どないしたん?」

「えとねー・・・・」

わたしは事のいきさつとお別れを述べた。

「そか、寂しぃなるなぁ」

その後、白鳳天翔の魔宝さんにも声をかけた。まだ知り合って間も無いってこともあってどこかよそよそしい会話ではあるけど、やはり、寂しいと言ってくれた。

「妹のこと、よろしく頼みます」

「まかしとけ」

凪颯さん、jimerさん、トロピ・・・他の知り合いも皆、同じように言ってくれた。

さて。

そろそろ潮時かな。

一通り、あいさつを済ませるとテラスに座った。

空を見上げ、誰にともなく、言った。

「・・・・・また、ね」

また、ね

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(おわり)

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