【2002年医大入試の総括と来年の展望】

                  フェニックス.ゼミ大阪校事務局長 川添雅夫

 本日の近畿大学後期試験で2002年度のシーズンは終了となる。昨年は、85パーセント以上が合格ラインであった。そして補欠合格が25名で実質の倍率は23倍であった。受験雑誌などで56倍などという数字が出たこともあったが、この補欠合格のために倍率は下がっていく。また、国公立併願の生徒がキャンセルしていけばどんどん補欠の追加合格が出てくる。もしかしたら医大から「補欠だが来るか?」と電話が入るかもしれない。4月の頭に電話がかかるかもしれない。君にもチャンスが巡って来るかもしれない。

 「神のみぞ知る」の世界である。今年、連続不合格の洗礼を受けた生徒にいくつかのアドバイスを送る。帰宅して一服して読んで欲しい。ためになるはずである。医学部受験はまず「情報戦」から始まる。最近は、医大入試の知識が全くなく、「近いから」とか「田舎はイヤだから」というような生徒が(特に現役生)増えてきたが、まず全国を視野に入れないとダメである。そんな甘い試験ではない。まず、「どこかにかかる」というのが最優先なのである。
 次に数。Cをどうするのか?やるのかやらないのか?がまず鍵をにぎる。やらなければ受験校が少なくなる。しかし、数氤ABが不完全な生徒が更に負担を抱えるのも、ある意味では危険である。来年も受験する生徒は、まずこの点を明確にすべきである。

 次に西日本は、川崎からスタートして金沢、愛知、藤田、近畿と続くが、まず金沢の小論文をナメてかからないことである。医大入試の中で最も難しい。資料文型小論文の攻略も全くせずに受験している生徒が多い。医大入試は、ある意味「どんぐりの背比べ」であり、1点差で10人以上がひしめき合う試験である。全ての科目が、まんべんなく伸びて来たら合格が見えてくる。1人で2〜3校かかり始める。次に医学部受験の常識とも言える「受験校のバッティングと日程吟味」である。

この単純すぎる事実さえも理解せずに受験計画を立てていることは大きなミスである。2002年は、藤田と近畿のバッティング、岩手と兵庫と東京医大の連続であった。最も賢い選択と言えば藤田から岩手、そして帝京から東海(独協はセンター初参加のため東海を選択)、次に福岡、久留米から埼玉であったと思う。「同じ受験生と何度も戦う」という大前提も見えていない。そして倍率の高い都会の人気校だけを受験して見事に撃沈している。例え、地方であろうと卒業して帰ってくれば言うことは何もない。まず合格することが大前提であるからである。

次に非常に細かいことでもあるが、とりあえずセンター受けようの「中途半端国公立願望組」が非常に多い。私立でもハードルは高いのにどっちつかずの生徒は何年もかかる。ましてセンターの後に愛知を連続して受けて両方失敗して自信をなくしている。センター試験で体力を消耗して、すぐに愛知を受け、更に体力を消耗して高熱を出す生徒も多いのである。体力に自信のない生徒は、センターか愛知のどちらかを選択すべきである。

 特に関西の医大の激戦は驚くべきものであった。特に関西医科大学や兵庫医科大学の今年の受験者数を調べて欲しい。(当然、岩手と福岡が穴となる。また久留米と福岡には3日間しかあいていなかった。関西医科と大阪医科を外すのであれば、福岡、久留米を受けて、すぐに埼玉の集中対策にかかるべきである。)

 以上、述べたことは医大入試の超常識的なことであるが、私立医大については、特殊な試験であるため高校の教師もシステムそのものを全くわかっていない。私も関西の某予備校で9年間教鞭をふるったが、私立医大の入試がわかっている講師は1割にもみたなかった。つまり、情報を得ようにも周りが知らない人だらけなので1〜2年がすぐに浪人として過ぎてゆく。更に普通の予備校では、個性の強い医大の問題は、予備校のテキストの問題に挿入されることもほとんどない。(私は、講師をしていた9年間で1度だけ近畿医学部のAIDSの長文を使用しただけである。)講師も私立医大関連の知識がないのが普通である。家が病院の両親の方が詳しいというのが現状なのである。
おまけに、私立理系コースに入れられて工学部や薬学の問題をいくら解いても傾向そのものさえつかむのに時間がかかる。医学部受験は「情報戦」から始まるというのは、周りがよく知らない人ばかりで右往左往し、高いハードルを前にしてわけがわからないまま1年目を終える生徒が多すぎるから言うのである。ましてや、小論や面接のアドバイスもできる人が少なすぎるからでもある。 

最後に2003年以降はどうなるのかということであるが、医学、歯学、薬学は、人気の学部となるであろう。最近、私立文系から医学部入試、社会人からの再受験が増えてきている。これは、将来大きな会社に入っても「リストラされたらしゃれにならない」ということで、資格を取って永久ライセンスを持つ職業につきたいという今までなかった受験層が医学部受験に参入してきているからである。

 社会が不況になると倍率があがるものが3つある。それは、資格試験、公務員試験、センター試験の3つである。医学部受験は、大学入試というより資格試験に近いのである。「医学部に入らないと国家試験を受けれない。国家試験に合格しないと医師になれない」からです。将来の職業を左右する試験であるため、ハードルが高いのは当りまえなのです。以上、長々と医学部受験の常識を述べましたが、最後にこの詞でしめくくりたいと思います。

「来年は、もう始まっている。」「来年まで、あとわずか10ケ月である。」

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