第52話 「狙われた園児!ヴィーナス大活躍」

  五十嵐卓哉演出 脚本 隅沢克之  作画監督 中村太一

 前話(第51話)でうさぎがパワーアップしたので、これからはセーラー戦士一人一人にターゲットを絞りながら、そのパワーアップ兼キャラクター掘り下げエピソードが続く。その最初にあたるのがこの回で、美奈子のパワーアップを描く。登場が一番遅かったため、どうしてもエピソードが少なかった美奈子であるが、この回で彼女の生活が描かれる。

 ストーリー

 美奈子は登校の途中、男の子達にいじめられていた女の子、みえちゃんに出会う。セーラームーンを信じる彼女のために、幼稚園でセーラームーンについての話しをすることを引き受ける美奈子。しかしその幼稚園のバスがエイル&アンが差し向けたカーディアン・ギガロンに襲撃される。幼稚園の先生に扮してそのバスに乗り込んでいたうさぎが、セーラームーンに変身して迎撃するが大苦戦。美奈子もセーラーヴィーナスとなって戦うが、ギガロンにはクレセントビームが通用しなかった。

 チェックポイント

 今まであまり描かれることがなかった美奈子の生活について描かれていることに注目。この回は美奈子の魅力が爆発している、美奈子ファンが涙するようなストーリー。後から登場してヒーロー暦も結構長かっただけに、結構しっかりして見えていた美奈子が、実はうさぎとあまり変わらないことが暴露される(笑)。朝寝坊して(「どうして、いつもこーなのー!」と絶叫していたところを見ると、どうやら常習らしい)学校に走っていく姿などに親しみがもてる。(走っている美奈子の前に、やっぱり走っているうさぎが現れるのは爆笑もの) また常にヒーローを意識している美奈子の姿というものも楽しく描かれており(どうやら彼女はヒーローオタクらしいのだが)、幼稚園児達を守るために新たな力に目覚めるというのも、いかにも彼女らしい。(そう言えば幼稚園バス襲撃というのは、仮面ライダー以来ヒーローものの黄金パターンである。) また美奈子のことわざボケ(「春眠、赤土を耕す」ってどういう意味だ?)や「オバサン」と言われて怒り狂う美奈子など楽しさ爆発。なお美奈子はなぜか「オバサン」と言われることが多く、実際この後のエピソードでもそのようなシチュエーションが何度か登場しています。アルテミスがぼやいている通り、「全く最近の若いもんは・・。」なんて言葉を言ってしまうところがオバサンくさいのですが、これは彼女が実はかなりしっかりしていることの反映でしょう。(何も決して声を当てているのが深見梨佳さんだからというわけではないでしょう・・・笑)

 五十嵐卓三氏に演出は、はつらつとしていて素直に楽しめるストーリーに仕上げています。その手法的には目新しい斬新なものはありませんが、いい意味で正統派少女漫画に仕上げています。また幼稚園児達の「今時の子供」風描き方も楽しい。(「いいよな大人は、自分達だけ空想の世界に逃げるんだから。」なんてセリフ、今時の子供ならホントに言うかも。それにしても突き刺さるなこの言葉(笑))

 

 

今回のチェックシーン

 本邦初公開の美奈子の寝室。ぬいぐるみがいっぱいです。そう言えばアルテミスは美奈子と同じ布団で寝てるんですね・・・うらやましい。

「えっ?」

 朝一番の寝ぼけ美奈子。彼女はこの後時計を見てパニックになります。

 近道をするため塀を飛び越えたはいいが(これが出来るのが、美奈子がうさぎと違って運動神経のいいところ)、着地失敗してアルテミスの上に。前のカットで美奈子の着替えをのぞいていたアルテミスは、ここでは美奈子のスカートの中をまともに見ています。う、うらやましすぎる・・・。

「だっしゅー!」

 みえちゃんを連れて、バス停まで猛スピードの美奈子。さすがに運動神経がいい(笑)。

 お約束通りというか、やっぱり走っていたうさぎと出会います(笑)。このあと美奈子のことわざボケ炸裂。

 うさぎに言い寄っていたところをアンに見つかって、体操をしながらごまかす星十郎ことエイル。さわやかに体操をする星十郎もマヌケですが、うさぎの情けない姿(うさぎが首から下げている札には「私は遅刻の常習者です」と書いてある。春菜先生のお仕置きもどんどんエスカレートしている)にも爆笑。

「オバンですって・・・!!」

 子供達の言葉に怒り心頭の美奈子。恐すぎる。しかしこの後「オバサンが怒ったー」と捨てぜりふ残して逃げていく子供達も実にしたたか。 

「みんなに子供らしい純粋な気持ちを教えてあげるわ。」

 燃える美奈子と「オイオイ」のアルテミス。美奈子の目が輝いているのが笑わせます。

 最初にギガロンに襲われる幼稚園バス。芝幼稚園があるからって、「刈幼稚園」はないと思うが・・。

 「はっ?」

 敵の動きに関して打ち合わせをしていた亜美達の横で、うさぎは一人マンガを読んでいた。レイの部屋はマンガが多いようで、うさぎはここに来ると必ずマンガ読んでます。それにしてもこのお気楽さ。「お呼びじゃない」

「あんたらね、いい加減にしないと、いくらおとなしいお姉さんだって切れるわよ!」

 美奈子の心の叫び。この後の「て、うさぎちゃんみたいに言えない自分が悲しい・・」は美奈子が日頃うさぎをどう見ているかがうかがえる(笑)。

 変装ペンで幼稚園の先生になるうさぎ。久々の変装ペン登場です(多分これが最後では?)。しかしこのシーンはほとんどミンキーモモ。「ピピルマ ピピルマ プリリンパ」と入れたらそのまんまです。

 セーラームーンの危機に、バスの上から颯爽と現れるセーラーヴィーナス。ヒーローは高いところから現れるものというのはアメリア(スレイヤーズ)も言っているセオリーです。しかしそのミニスカートで高いところに立つと、下から丸見えだと思いますが。

 幼稚園児を助けなくては。その使命感が美奈子を新しい力に目覚めさせます。彼女の新必殺技は「クレセントビーム・シャワー」。しかしあれはほとんど拡散波動砲(笑)。

 無事に戦いが終わって、平和な美奈子とみえちゃん。

「私、セーラーヴィーナスのファンになっちゃった・・」

 美奈子はこうして今日も、正義のヒーローの普及活動に務めるのです(ちょっと違う気もする・・)。

 

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