2000年 茨木市中学校合同演奏会 第11回合唱の部


演奏会概要


 市内の6つの中学校が参加をし、そのうち5つの学校の合唱部がそれぞれの練習の成果を披露しました。また、合同演奏もあり、豊かな響きのコーラスが会場を満たしました。
 プログラムを見ると、全体合唱に参加したのは6中学校46人。これが多いか少ないかは意見の分かれるところかもしれませんが、それでも参加した学生たちはみんな一生懸命に一つのコンサートを作り上げ、そして立派に成果を出したのではないかと感じました。
 それぞれのグループが個性的な選曲で、面白い演奏を披露しました。中でも、私は自分が男ということもあり、男性3人のアンサンブルはとても興味深いものでした。今はどうか分かりませんが、私が学生のころは、男が音楽をやっていると、時々冷やかされたりしたものでしたから。でも、自分たちの音楽に対する気持ちにこだわってやり通した彼らはとても素晴らしいと思いました。

 先生方の熱意も特筆に価するものだったと思います。50人近い合唱を指導し纏め上げるというのは大変な努力だったのではないかと思います。また、自作の曲を指導し演奏した先生もいらっしゃり、そうした先生方の音楽に対する「想い」がひしひしと感じられました。


 音楽は、見方によっては贅沢な趣味とも言えるもので、特に受験が視界に入ってくる中学生たちにとっては「それどころではない」という危機感を持っている人も多いのだろうと思います。特に、時間を割いて部活動に身を入れたり、こういう演奏会のために時間を割いたりするのは、時間の無駄といった観念の人もいるのではないでしょうか。

 顧問の先生方とも多少お話をする機会がありましたが、少子化とも相俟って、年々こうした演奏会に自発的に参加しようという学生の数が減ってきてしまっていることがとても残念だということでした。また、中学校という教育現場では、音楽の授業数が減ってしまったりして、こうした情操教育の現状の厳しさや難しさは並大抵ではないようです。
 でも、そういう芸術に興味を持って自分から参加するということは、人間形成上重要であることは言うまでもなく、またそうした自己表現の場を持つということは、勉強においても必ずプラスの面が出てくるのではないかと、私は自分の過去を振り返って思います。

 人は誰でも自分を表現したいという欲求を必ず持っているものです。それは人間の根源的な欲求の一つであり、言ってみれば最も「人間らしい」欲求の一つでもあります。勉強に専念することは、どちらかといえば自己表現を押さえるものです。それはそれで知識の獲得というとても大切な一面を持っていますが、人間が人間として立派に成長する過程でそうした情操的な要素を無視することは絶対に出来ないことです。
 少なくともこの世界がお互いの助け合いのものに成立している限り、他人を思いやる心や他人の痛みを推し量ることの出来る心というのは社会生活において第一に必要になることであり、音楽を共に作り上げようとすることはその協調を育む上で大変役立つものだと思います。
 そういった意味で、この演奏会に参加した学生たちは、なかなか他では学ぶことが出来ないとても大事なものを得たと思います。それは演奏の成果とか出来栄えとかいったものに比べて格段に大事で意味のあることだったと思います。やり遂げたんだという満足感、それを味わうことが出来るのは、大変幸せなことだと思います。大変意義深い演奏会だったのではないでしょうか。また、そうした機会に参加することが出来た私たちも、演奏を通じて多少なりと貢献出来たことがあったのではないかと考えています。


当日の演奏会プログラムの詳細

アルス・ノーヴァの演奏の詳細


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音楽研究グループ アルス・ノーヴァ
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