《アルス・ノーヴァ》とは「新しい芸術」の意味である。
従来よりの技術偏重主義や、音楽様式に対する無理解を改め、
音楽本来の持つ美しさや、ピアノを用いた自由な音楽表現を求めて、
馬場節子氏によって創設された。
鋭い感性と確かな知識に基づき、これまでにない「新しい音楽芸術」によって
人々に感動を与えるべく、日々研鑚を積んでいる。
これは、私たちがコンサートを行うときに会場で皆様に配っているプログラムなどに、必ず掲載しているものです。言ってみれば我々の信条であり、ピアノ、或いは音楽全般に対する取り組み方への姿勢であり、信念でもあります。それについて、少し書かせてもらいたいと思います。
とても根本的な問題なのですが、皆さんは「音楽」というものに対してどういった印象を持っているのでしょう。
「芸術の一つの表現方法」……
「聞いていて楽しいもの」……
「クラシックは何だかちょっと難しそう(笑)」……
「歌ったりするのは面白いし、自分も楽器を演奏してみたい」……
まあ色々と人それぞれ感想は違うと思いますが、大体そんなところなのではないでしょうか。
例えば、歌謡曲やポップス、ジャズなどは気楽に聞いても、クラシックとなると尻込みしてしまう人も多いかと思います。
さて、みなさん一般的にいってクラシックを耳にしたことはどの位あるでしょう。
歌謡曲はテレビを点ければ流れてきますし、ラジオなどでも常に聞こえてくるものです。
思うに、それらと接している時間の長さの違いが、親しみやすさの違いというものに表れているのではないでしょうか。
そう考えると、クラシック(それも良質の)を聞く機会というのは思った以上に少ないように思います。人によっては小中学校での音楽鑑賞のとき以来…なんて場合もあったりするのでは。
見ず知らずの人たちの中に飛び込んでいくのにはある程度の勇気が必要だし、気心の知れた友人と話をしているほうが楽しい…、歌謡曲とクラシックの関係ってのは、案外そんなものなのかもしれません(歌には「歌詞」があり、だからその作品の「言いたいこと」が分かりやすい、というのも一つの要素だと思いますが)。
確かにクラシックには「難しい」曲が多いのも事実だと思います。でも、特に知識が無くても、耳にしているだけでも楽しかったりカッコイイ曲もとてもたくさんあります。
いろいろな人たちに、もっと気楽にクラシックを聞いてほしい。ムツカシイ理屈がわかる必要なんてありません。聞けば分かる、本来音楽とはそうしたものだと思います。その楽しみをもっと身近に感じて、今まで知らなかった人達の中に一歩踏み込んでいくきっかけになってくれればいい。
私たちがこのグループを作り、コンサートを始めた大きな理由の一つがそこにあるのです。
ずっと無料で演奏会を続けてきたのもそのためです。少しでも敷居を感じずに、普段着感覚でクラシックを楽しんでほしい。そうした願いを込めて、私たちは演奏会を続けています。
私たちが演奏会で、ピアノの独奏だけでなく、四手連弾や六手連弾(1台のピアノを3人で演奏する形態)などのアンサンブルを取り入れたり、オーケストラ作品からのアレンジ、またジャズやポピュラーなどの作品など、いろいろなジャンルを取り上げているのも、ピアノという楽器の懐の広さを知ってほしいという私たちの想いの表れです。
クラシックだから優れている……ポピュラーなどは通俗的だ……、そういう考えを持つ人もいるようです(特にクラシック寄りの方の中にはそういう人が多いようです)。
でも、それは明らかに間違っている考えだと思います。
世の中にある音楽は、「いい音楽」か「悪い音楽」だけであり、クラシックだからいい音楽だとか、ジャンルそのものによる良し悪しが存在するわけではありません。
良いと思ったものは、どんなジャンルであっても積極的に取り上げて、広く色々な人に楽しんでほしい、それが私たちのスタンスです。
そのため、様々なアレンジを施して、ピアノという楽器でそれを聞いて楽しんでもらえるために、色々な努力をしています。
もちろん、私たちは「ピアノ」という楽器を用いるのであり、それに「向く」「向かない」というのはあります。だからとても素晴らしい内容をもっていても、ピアノに編曲してしまうとその良さが発揮できないというタイプの作品もあります。演奏会のプログラムを組むときには、そういう部分で非常に神経を使います。より広い範囲から良い作品を楽しんでもらえるように……。
ちょっと長くなってしまいましたが、最後に私たちの「演奏」に対する想いを書き記しておきたいと思います。
いい音楽を聞くと、それが器楽であり歌であり、心がそれに感動したり、素晴らしいと感じたりします。それが音楽の最も大切な本質です。音楽だけでなく、芸術一般においても同様なことが言えると思いますが。
本来、そうした美的なものへの表現欲求というのが芸術表現の根本にはあります。
いい作品だと思うから演奏したくなる。その良さをより強く伝えたいから、より深くその作品を研究して追求したくなるのです。
とても残念なことですが、特に今の時代、音楽の目的がそれ以外に向けられてしまうことがとても多くなっているようです。
自分の楽しみというよりは、他人との競争の道具として音楽(楽器の演奏)が使われてしまうことが余りにも多いように感じられて仕方がありません。
全国各地で繰り広げられるコンクールに群がり、その審査を通過するために先生を転々と変わったり、その結果に一喜一憂する。
音楽へ向けられるべき情熱が、見当違いの方向に発散されて、他人との差別化のために、指を速く動かすことや大きな音を出すことに無為な努力を傾ける。
場違いの自己アピールのために、様式を無視したような表現で音楽を虚飾する……
もちろん全ての人がそうという訳ではなく、とても真剣に自らの美学を求めて勉強している人もたくさんいます。
でもある人達が、競争の道具として音楽を使い、そのために「本質が歪められた演奏」を聞くことがとても多くなってきたように思います。
私たちは、そうした虚飾を一切なくし、音楽が本来持っている美しさを、演奏者の想いに乗せて、その素晴らしさを聞いている人達に伝えたいと思っています。そのために妥協することなくそれぞれの技術を磨き、全身全霊をかけて演奏をしています。
それは聞いて下さる人達に対する当然の誠意であり、また音楽という素晴らしい芸術への誠意でもあります。
音楽に限らず、どんな技術でも、それを極めるというのは難しいものです。
でも、出来る限りの努力をして、聞いて下さる方たちに音楽の「楽しさ」を純粋に味わってほしい……そんな思いで、私たちは日々の練習を積み重ねているつもりです。
ぜひ一度、私たちの演奏を聞きにいらして下さい。
私たちの一番おもな活動は、定期的に行っている千里丘市民センターでの「アルス・ノーヴァ クラシックコンサート」です。
当然ながら、全て入場無料で、色々な人たちが楽しめるクラシックの名曲を毎回選んで、グループのメンバーの演奏でお送りしています。
また、各地の小学校などから依頼されての(学校内での)コンサートなども積極的に行っています。
言うまでもなく無償の演奏会です。
日程などの予定が合えば、出来る限り応じるようにしています。これまでに、茨木市の穂積小学校、西小学校などで演奏を行い、親子で観賞して頂き、とても好評を博しています。詳細は<Action:Ars Nova>のコーナーで紹介しておりますまだあまり充実していませんが、随時追加していく予定です
それぞれのメンバーのリンクをクリックすると、より詳細な実態(笑)がご覧になれます。[まだ工事中です]
馬場 節子
武蔵野音楽大学音楽学部ピアノ科卒業。
1977年、第1回ピティナ・ピアノ・コンペティションにおいて第1号の指導者賞を受賞する。その後、各地において指導にあたり、優秀な演奏家を数多く育てる。
これまでに門弟より、国内外コンクール入賞者等、優秀なピアニストを多数輩出している。
また、イギリス、フランス、ロシアなどの世界的なピアニストおよび教授とも交流を深め、自らの指導法研鑚のために度々渡欧している。
現在、ピティナ・ピアノ・コンペティション、日本クラシック音楽コンクール等の審査員を務める。
なお、指導者のためのセミナーやアドバイスレッスンなども精力的に行っている。
大阪府吹田市千里丘在住。 アルス・ノーヴァ主宰。
7歳より本格的にピアノの勉強を始め、15歳で初リサイタルを行い、16歳でオーケストラとラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を共演。以来、リサイタル・演奏会・協奏曲などに多数出演。京都市立芸術大学音楽学部ピアノ科を主席で卒業。パリ・エコール・ノルマル音楽院の演奏家ディプロムを、満場一致・賞賛賞を併せて受賞し取得。
第8回飯塚新人音楽コンクールにて最年少でグランプリを獲得、文部大臣賞・朝日新聞社賞を受賞。以後、国内コンクール受賞多数。NHKの洋楽オーディションに合格。1990年ショパン国際コンクールへの派遣オーディションに入賞しワルシャワでのショパンコンクールに参加する。1992年イタリア・パルマで行われた第5回「マリオ・ザンフィ」リスト国際ピアノコンクールで第2位入賞。1993年イタリア・ミラノで行われた第18回ポッツォーリ国際ピアノコンクールで第3位入賞。1997年フランス・ブリブで行われた第1回プーランクコンクール、ファイナリスト。
全国各地にて演奏会・及び公開レッスン等幅広く行っている。そのかたわら、イギリス・フランスで研鑚を積む。
ソロやアンサンブルのリサイタルはもとより、近年は室内楽にも積極的に取り組み、プラハやキエフの演奏家たちと共演し、彼等からも非常に高い評価を得ている。2001年6月にはキエフにてキエフ国立交響楽団との共演(協奏曲)、併せてピアノトリオのリサイタルを行った。外人講師を招いての公開講座での演奏も多く、特にフランスの作曲家ジャン・ミシェル・ダマーズには、その演奏や解釈を高く評価されている。
また、演奏のみならず、ピアノソロ及び連弾などアンサンブルのための編曲なども手掛け、またクラシック普及のための演奏会をボランティアで行うなど、積極的に活動している。
2000年秋には初のCDアルバム、「愛の喜び」をリリース、音楽誌などで大変な好評を得ている。
これまでに、馬場節子、F.クリダ、S.アロノフスキ、G.ムニエ、V.サハロフ、J.M.ルイサダの各氏に師事。現在、大阪音楽大学助教授。
小笠原 順子
1978年、ピティナピアノコンペティションにて金賞・日本テレビ賞を受賞。1988年、全日本学生音楽コンクール高校の部入選。他、国内コンクールにおいて入選多数。1996年には吹田音楽コンクールにて審査員奨励賞を受賞した。
1998年、フランスでのサン・ノム国際ピアノコンクールセミファイナリスト。
1992年、関西音楽大学協会主宰の「アンサンブルの夕べ」にピアノデュオで出演。
1995年、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を大坂シンフォニカーと共演。他にコンサート出演等多数。
ソロ・アンサンブル・伴奏など意欲的に演奏活動を続けている。
1994年、京都市立芸術大学卒業。1998年、パリ・エコール・ノルマル音楽院の演奏家ディプロムを最優秀・満場一致で取得。
これまでに馬場節子氏に師事。
1999年、10月には大阪いずみホールにて、松本昌敏とジョイントリサイタルを開催。ソロに加え、2台ピアノ作品を演奏する。
2000年、ミレニアム「ニュー・クラシック・オーディション」ピアノ部門Cコース、最終選考3名の中に選出され、10月中旬には東京でヤナーチェクフィルハーモニー管弦楽団とラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を共演。
2001年、3月にフランス・アラスで行われた「ユーロレジョン国際ピアノコンクール」の最高グレードにて第3位・ラヴェル賞・ディプロムを受賞。
2002年、10月にはリサイタルを予定している。
千里丘在住。
山口 智子
4歳よりピアノを始める。大阪音楽大学短期大学部器楽科ピアノ専攻卒業。
馬場節子氏に師事。
上田 多嘉子
大阪音楽大学器楽学科および専攻科を卒業。
1999年、パリ・エコール・ノルマル音楽院の演奏家ディプロムを取得。
在学中より、各地でコンサート活動を行う。
2000年4月、関西フィルハーモニー管弦楽団と、チャイコフスキーの協奏曲第1番で共演。
2001年、3月にフランス・アラスで行われた「ユーロレジョン国際ピアノコンクール」の最高グレードで入選。
2001年、11月に大阪フェニックスホールにて初リサイタル開催。
馬場節子氏に師事。
森田 こより
3歳よりピアノを始める。
1992年、兵庫県高等学校独唱独奏コンクールピアノ部門で金賞受賞。1993年、カウベルピアノコンクール高校生の部第3位・優秀賞受賞。
大阪音楽大学音楽学部ピアノ専攻卒業。
現在雲雀丘学園非常勤講師。
2002年、かぶとやま交響楽団とグリーグのピアノ協奏曲を共演。絶賛を博す。2005年2月にはリーガロイヤルホテル・クリスタルチャペルにてリサイタルを開催した。
馬場節子氏に師事。
村上 祥子
大阪音楽大学器楽学科ピアノ専攻卒業。パリ・エコール・ノルマル音楽院演奏家ディプロム取得。
2003年第4回大阪国際コンクールファイナリスト。
2005年3月ブルガリアに於いてブルガリア国立ソフィアフィルハーモニー管弦楽団と共演。同4月スロヴァキアにおいてコシチェ・フィルハーモニー管弦楽団と共演。
これまでに毎日新聞社より最優秀指導者賞を受賞。2003・2004年ピティナ指導者賞を受賞。
馬場節子氏に師事。
ここまで読んで下さり、我々の活動に興味を持たれた方、またアルス・ノーヴァでレッスンをピアノの受けてみたい・レッスンを見学してみたいと思われる方……
私たちアルス・ノーヴァは幅広くピアノの受講生を募集しています。随時受け付けています。
次のページでは、私たちのレッスンに対する考え方などを紹介しています。このページでも説明したような、より良い音楽を求めて指導を行っています。ぜひご覧下さい。