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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第三話・ふれあい』

美しい滝にみとれた後、お化け蜘蛛に追い回されたあげく、一方的に殴られた。幸いに何も荷物を落とすことはなかったので、よしとするしかないけど、悔しい。あのあたりはまだわたしが近寄れる場所ではなかったと言うことか。もっと経験を積んで、自由に行けるようになるためにも頑張らねば。なんと言っても、あの滝の美しさときたら、もう。

さて、気を取り直して、地道に手近なところからコツコツがんばりますか。と、言うわけで、海岸へ戻り、少しづつ北上しながらウルフ/エルダーウルフを狩り続けた。幸い、オークやオークグラント、ウェアウルフなどが近くにいたけど、こちらから仕掛けなければおとなしくしてくれていたので、無視してウルフだけを狙った。

そうこうしていると、経験とアデナが少し溜まっってきたので、神殿で新しい能力をもらい、次にお店へ行って装備を買ってみた。これで少しは強くなったかな? 海岸へ戻って、今度はオークにチャレンジしてみよう。

カエルの一件で「近くにいる怪物の仲間が襲って来る」可能性があるってことを学んだので、慎重に敵を物色する。群れから離れて単独行動をしているヤツを狙うことにしよう。しめしめ。海岸付近に手頃なオークを発見。そろ、そろ、とWSの射程まで近付き、詠唱を開始する。

「ゥヨーッ!」

もう慣れたもので、発動と同時に反転、離脱。再使用可能性になったところで、もう一発! 詠唱中に目の前まで迫ったオークの体力のほとんどを削る。最後のトドメは・・・・

「うりゃっ!」

げしっ。殴り。

オークを一撃

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動きを止め、仰向けに倒れるオーク。やたー。

オークが消えた後にはアデナの他に、「包帯」が落ちていた。そういえば、ウルフも時々「皮」や「骨片」などを落とす事があった。ちゃっかり拾って袋に入れてはいるけど・・・・どうやって使うのかさっぱりわからない。この「包帯」もそうだ。お店で買い取ってもくれるみたいだけど・・・とりあえずは持っておこう。

それはともかく、慎重に、慎重に。単独で居るオークを狙って倒してゆく。何匹か倒し、次のオークに狙いを定め、WSを放つと、オークは一撃で倒れた。

何が起きたのか一瞬わからなかった。

「ごめんなさい」

へ?

辺りを見渡すと・・・わたしと同じようなメイジさんが立っていた。

狙いが重なってしまい、ほぼ同時に攻撃してしまったのだ。剣士ならば相手に接近して直接切りつけるので、狙っているかどうか、こちらから分かりやすい。けれど同じメイジ同士、すこし離れた場所から魔法を放つので、狙っているかどうかがわかりずらい時があるのだ。

「いえいえ、こちらこそ」

村の人たちとは別に、他の冒険者と「会話」したのはこれが初めてかもしれない。ここには大勢の人達が住んでいる。他の人達が互いに会話しているのが聞こえて来たりすることもあるけれど、わたしはここまで独りきりで過ごしてきた。ほんの一言、簡単な挨拶だけど。何か、ちょっと今までとは違う感じがした。

これまでは、自分のことで精一杯で、他の人に構う余裕などなかった。今でもまだ覚えなければいけないことや、やらなければいけないことは沢山ある。けれど、ある程度基礎的な事を覚え、無意識に体を動かす事ができるようになったので、それなりに余裕は出て来たと言える。しかし、こちらから声をかけるような理由も勇気もなかった。

他の人と狙いが重ならないように辺りに気を配り、なるべく人の少ないところへ移動して、オーク狩りを続けた。

続けた、と言っても、マナが切れると道端に座って休憩し、消耗したマナを回復する必要がある。それに、狩りをして経験を積んで、また新しい能力をもらうために村に戻ったり、戻ったついでに装備を新調したりと、することはいくつもある。でも多くの時間は狩りと休憩に費やすことになる。

そんな感じで、何度か狩りと休憩を繰り返していた時のこと。道端でぼーっと景色を眺めていたら、目の前を一人の剣士さんが通り過ぎた。そのうしろに大量のオークやウェアウルフを引き連れて・・・・

「助けて〜〜〜」

剣士さんが叫ぶ。わたしは咄嗟に立ち上がると、後を追った。彼に狙いを定めて回復魔法「ヒール」を詠唱しようとした。しかし詠唱できない。彼が走り続けているため、魔法の届く距離に近付く事ができないのだ。どうしようか?と考えながらも必死で後を付いて行く。彼を追いかけているのはオークファイターが二体とウェアウルフハンターが二体。オーク副隊長も1体、それにわたし。

ウェアウルフぞろぞろ

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しばらく追いかけたけれど、結局追いつけない。そのまま追走していると、道端から一人の男性が現れ、弓を放った。矢はオークに命中し、オークは剣士さんを追うのをやめ、弓使いさんに襲いかかろうと向きを変えた。同時に他のオークも弓使いさんの方へと向かう。背後の異変に気付いた剣士さんは一度立ち止まり、こちらを振り返った。

弓使いさんは二発目の矢で最初のオークを倒すと、素早く剣に持ち替え、襲って来るオーク副隊長へと切りかかった。追われていた剣士さんも形勢が有利になったと判断したのか、追いついたウェアウルフハンターへ剣を振り下ろした。二人とも二体を相手に互角に戦っている。

わたしは、最初の剣士さんにようやく追い付き、彼にヒールを唱えた。

「・・・・・シャパーン」

金色の光が彼を包む。どのぐらい体力が減っていて、どれぐらい回復したのか、わたしにはわからないけれど、連続してヒールを唱えようとする。再詠唱可能になるまでの待機時間がもどかしい。その間に彼は一体のウェアウルフハンターを倒した。次のヒールを唱えながらちらりと後ろを見ると、今は剣を振っている弓使いさん。彼は三体目のオークファイターを倒したところだった。剣士の彼もどうにかウェアウルフハンターを倒すことができたようだ。

「ありがとうございます、助かりました」

わたしに言ってる・・・のかな? でも実際に彼を助けたのはわたしではなく、弓使いさん。

「わたしは何もしてませんよ。お礼なら彼に・・・」

と、振り返えると、弓使いさんは忽然と姿を消していた。素早く立ち去ったらしい。

「いえ、ヒールしてもらってありがとう。お陰で助かりました」

剣士さんはそう言ってわたしに「お礼」を言う。なんだか照れ臭い・・・でも、わたしの回復魔法が他人の役に立ったのかと思うと少し嬉しくなった。

「困った時はお互い様ですよ」

とりあえず、喜びをかみ殺して当たり障りのない返事をしてみた。

「そうですね。僕も誰かを助けられるように頑張ります! それじゃ!」

と言って彼は走り去った。

独り残されたわたしは、しばらくその場でぼーっとしていた。突然の出来事ということもあったし、あんなに沢山の怪物たちが襲って来ることもあるのか、と思うと少し怖くもあった。以前にカエルや海賊に追われた時もそうだったけど、注意しないといけない。それに、ヒールを他人にかけたのもこれが初めてだったので、その事についても考えたりしてみた。

怪物たちの体力は「見える」のだけど、他の冒険者たちの体力を見ることはできないらしい。だから、どの程度体力が減っているのか、ヒールによってどの程度回復したのかわからない。自分で自分を回復させるセルフヒールは、微々たる量の体力しか回復できないのだけれど・・・・・。自分にヒールを使うことができないので、その程度がわからないのだ。

さて、これからどうしよう。

ふ、と気づくと、剣士さんを追いかけて随分と走ってきたようだ。目の前には塔が立っている。

戦勝記念の塔

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滝の上から見えた、あの塔かしらん? 興味を持ったわたしはその塔に近づいて見た。塔はそこそこ大きなもので、村の真ん中に立っていたものよりはるかに大きい。ぐるりとその塔の周りを廻ってみると、ちょうど反対側に人が立っていた。

コリンウィンダウッド卿・・・どうやらエライ人らしい。恐る恐る話しかけてみると意外と気さくな人だったらしく、塔についていろいろと教えてくれた。

「戦勝記念の塔」

それがこの塔の名前だそうだ。どのような戦いで、誰が勝った記念なのか? コリン卿はその昔話を語ってくれた。それはそれは長い神話の世界のお話なので、ここでは簡単に概略だけ話しておこう。

その昔、わたしたちヒューマンの種族はまだ何の力も持たず、魔法も使うことができなかった。大陸の「エルフ」という力を持った種族がこの島を訪れ、当時まだ未開だったわたしたち種族にさまざまな知恵を授けてくれたそうな。そうして、力をつけたヒューマンと共に、オークと戦い、勝利した、と。この塔はその記念だとか。

その後、恩師であるはずのエルフに反旗を翻した。ヒューマン・・・。こともあろうに教え子が恩師を打ち負かしてしまったのだと言う。

コリン卿

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わたしは、狩りに戻ることにした。

浜辺近くの街道まで戻り、近くのオークグラント、それにウェアウルフなどに戦いを挑んでみた。このあたりのは街道を挟んだ向い側に「ゴーレム」と言う巨大な動く石像もいるみたいだ。怖くはあるけれど、近寄らなければ大丈夫だろう。反対側の海の近くで狩りをすることにした。

またしばらくすると、ひとりの剣士さんが近くで同じように狩りをしているのに気付いた。わたしも狩りをしながら彼の様子を見ていたのだけれども・・・・・あれだけ叩かれて、大丈夫なのかしら? わたしの場合、怪物から殴られるとしても一発ぐらい。最初にWSやアイスボルトで大きくダメージを与えて最後のひと殴りの時に反撃を受けるかどうか、と言った程度で、体力が減ることはほとんどない。しかし剣士の彼は最初から近づいて剣で戦うため、攻撃しつつも相手からの攻撃を受け続けているのだ。おそらく、相当な体力を消耗しているに違いない。

わたしは、彼にもヒールをかけることにした。戦っている最中の彼に近寄り、ヒールをかける。すると、彼と戦っていたオークグラントがわたしの方にやってきたではないか。

えええ?

咄嗟のことで、パニックになったわたしは、オークグラントに「殴り」かかった。後ろからは彼も攻撃を続けている。我に返ったわたしはWSを詠唱し始めたけれども、詠唱している間に彼がトドメを刺してくれていた。わたしのWSは、むなしくオークグラントの死体に向けて放たれた・・・・

「ふぅ・・・」

その場にしゃがみ込む二人。

「ありがとう」と、彼。

「いえ、ごめんなさい。邪魔しちゃったみたいで」

「いやいや、助かった」

「そうなの?」

「ああ」

何がどう助かったのか、ちょっと微妙なところもあるのだけれども・・・・・ふたりとも、しばらくそのまま座っていた。何か話した方がいいのかな? でも、なんて? なんとなく、気まずい雰囲気で、いたたまれない。んーー、どうしよう、と、空を見上げた。

「月がきれい・・・」

わたしはぽつり、とそう言った。そっか、また夜だったんだ。図上にはまんまるお月様が輝いていた。わたしの言葉にうながされたのか、彼もそれを見上げた。

「月、あったんや〜」

月あったんや

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「うん、きれいでしょ」

「空なんか見てる余裕なかったよ」

「そうかな?」

わたしは、戦うことだけではなく、この世界のいろいろなものを見たりしたいと思っていた。浜辺でぼおっとしたり、滝を見に行ったのだって、そう。ぼんやりと景色を眺めてるだけでも結構、いいもの。

「君、いくつ?」

いくつ? 何が? 彼の言葉に一瞬疑問。でもすぐわかった。

「9歳よ。あなたは?」

そう、経験の段階の事だ。この世界では「年齢」として表現されることもあるらしい。実際の年月ではなく、その人の経験の度合い。

「同じか」

「じゃ、9歳なんだ」

「うん。丁度いいからパーティしてみいひん?」

「パーティ? パーティって、何?」

「一緒に、狩りするんや。協力し合えば、効率よく狩りができるらしいで」

ふむふむ。なるるん。こうしてわたしは、彼・・・・そう、アミノ式さんと初めてのパーティを組むことになったのだ。

「ええか?」

アミノ式さんからパーティの「お誘い」が来た。

「はい」と答える。

すると、驚いたことに、今まで見えなかった彼の体力が見えるようになったではないか。

「へえ、こんなふうになるんだ」

「みたいやな・・・これなら、ピンチになってもわかりやすいな。よろしく頼むで」

彼の言う通りである。今までは体力が見えなかったので、適当にヒールしてたけど、これなら効率よくヒールすることができそうだ。

「うん、こちらこそ、よろしく」

「さて、んじゃ、行ってみるか」

「ちょっと、アミノ式・・・さん、待って」

「『さん』は、いらん」

待つ訳でもなく、そう言って走ってゆく。走って行って適当にオークを叩きはじめる。わたしは後ろからついて行って、オークにWSを打ち込もうとしたのだけれど、アミノ式・・・が重なっていてオークに狙いを付けることができない。仕方がないので、少し回り込んでアミノ式とオークの脇に移動したら・・・・オークはアミノ式によって倒されてしまった。

「次!」

アミノ式は、すぐに次の獲物に走り寄る。わたしは最初のオークの落としたアデナを拾ってまた後を追う。わたしがたどり着くとアミノ式がオークを倒す。アデナを拾って・・・

「ちょっと待って〜〜」

「ん?」

「少し、横にずれてくれないかな?」

「なんで?」

「真後ろからだと、あなたと重なって敵に狙いが付けられないの」

「ふむ・・・・わかった。やってみる」

走り出すと、今度は彼が少し脇にそれて敵を叩きはじめる。これならわたしからも敵の姿が確認できるので、WSを使う事ができる。よーし。詠唱開始だ。

「ゥヨー!」

わたしのWSは虚しくオークの死体に届いた。詠唱してる間に彼が倒してしまったのだ。こうなったら仕方が無い・・・攻撃はあきらめて、彼の体力を回復させることに専念しよう。でも、彼の体力はほとんど減っていない。あんなに殴られてるのに、なんて頑丈なんだろう。

彼は次から次へと敵を倒して行く。時折、近くに居る別の仲間が来て二体を相手にすることになるんだけど、その時はわたしがもう一体の方にWSを放つ。硬い彼もさすがに体力が消耗するので、ヒールで回復。敵を求めて少しずつ移動して行くと・・・

「ちょっと待って〜〜〜!!」

わたしは、叫んだ。彼が切りかかろうとしているのは「オークアーチャー」・・・・

それでも彼は、止まらなかった。勢いでオークアーチャー、弓使いに手を出したのだ。殴りかかられたオークアーチャーはもちろん反撃する。弓を使って。矢をつがえ、弓を引く。その動作は少し緩慢で、そうしている間にアミノ式が剣で切りつける。わたしも敵を補足して詠唱を始める。

そして矢が放たれた。弓の弦と矢が空を切り裂く音がして、アミノ式に命中した。

「うぉっ!」

一気に半分近くの体力が奪われる。これはまずい!わたしはWSを放つと同時にアミノ式にヒールを唱える。唱えている間にもアーチャーは次の矢を引いている。彼も攻撃の手は休めない。

矢が早いか。ヒールが先か。それともアミノ式の剣か。詠唱がもどかしい。果てしなく長い時間に感じられてしまう。

二本目の矢は放たれた。そしてわたしのヒールも、アミノ式がアーチャーを倒すのも、その三つがほぼ同時に行われた。一瞬、アミノ式の体力は矢によって無くなったように見えた。でも次の瞬間にはわたしのヒールで少しだけ回復。どうにか無事に倒すことができたようだ。

「ふうう」

「あぶなかった〜」

「だから待ってって言ったのに」

「いや、いけるかな〜って思って」

「まあ、結果オーライだったけど、危なかったわよ」

「うん。でも、楽しい」

「・・・うん、そうだね」

一人の時には全く考えられなかった激しい動き。息つく暇もない。それは、とても大変だけど刺激的で面白い。

わたしたちは体力とマナを回復するために座って休憩をした。その間にお互いのことを少し話した。どうやら、経験だけでなく、はじめた時期や、活動している時間帯が似ているらしい。

実際、一人でもくもくと戦っているより、誰かと一緒に戦った方がはるかに効率がいいみたいだ。それになにより、楽しい。戦闘の合間に、あるいは戦闘中にでも少しならおしゃべりもできる。また、休憩中にこうやっていろんな事を話しをできるのはうれしい。

「そうそう、向こうの方に、いきなり襲ってくる連中もいるから、一人の時は気を付けたほうがいいわよ」

「へー、そんなんおるんや〜。気ぃつけんといかんな〜」

「経験者は泣き語る・・・」

「やられたんか」

笑わないでよ。まあ、そんな感じで情報交換とかも、貴重なのかもしれない。なるほど、他人と係わる、と言うのはこういうことなのね。最初に出会ったのが彼、アミノ式でよかった。みんな彼みたいなひとだといいな・・・。

この頃になると、キャンスロットさんに教えてもらっていないようなことは自分で見て、考えて、行動する必要もかなり出てきた。今のアミノ式とのパーティもそうだ。パーティ専用の行動などもあるみたいだし。

基本的に敵を倒すのはアミノ式がやってくれるので、わたしはアデナ拾いとヒール。たまに2匹来たりしたらWS使ったりして攻撃する。だから、少し余裕があったので、パーティでの行動について考えてみた。

「アシスト」

ふ、と頭に浮かんだことを試してみる。アミノ式を補足して、アシストをすると、アミノ式が補足している敵をわたしも補足できるみたいだ。最初、アミノ式に頼んで敵との位置をずらしてもらっていたけど、これを使えば、関係なくなるかな?

早速試してみた。

「よっし、いけるみたい」

「ん?何が?」

「いいから。真っすぐ敵に向かって行っていいよ」

「いいの?」

「うん」

あーしろ、こーしろ、とうるさく言われてもアミノ式はその通りに素直に実行してくれる。しかも動きがすばやい。

突っ込んで行くアミノ式を後ろから補足。そしてアシスト。即、WSを詠唱してみる。アミノ式が殴り掛かったすぐ後にWSが命中する。がさっと減った相手の体力の最後をアミノ式が削る。わたしが近寄るころには倒しているので、落としたアデナを拾っているとアミノ式が次の獲物へと向かって行く。

このやりかただと・・・

「まってー、休憩〜〜〜」

マナを使い過ぎたらしい。

「へいへい」

・・・・・

「今日はこれぐらいにしとくか?」

疲れているように見えたのか、アミノ式がわたしを気遣ってそう言ってくれた。ちょうどいい頃合いでもあったので、賛成することにした。

「あしたも、このぐらいの時間?」

「んー、だいたいこれぐらいかな?」

「それじゃ・・・」

「また一緒にやるかー。ずいぶん効率いいもんな。適当にその辺でやってるから、声かけてくれよ」

「うん!」

どちらからともなく、立ち上がり、オヤスミの挨拶。手を振りあって、その場を立ち去る。そう、この世界で活動を一時的に中断する時、その場から「消え去る」みたいなのだ。アミノ式はわたしの目の前からすぅっと消えて行った。

わたしも、今の出会いを、心に焼き付けて、その場を後にした。

はじめてのパーティ

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アミノ式と出会い、他人(ひと)とのコミュニケーションを覚えたわたしは、一気に世界が広がったような気がした。しばらくの間、一人の時はオークやオークグラントと戦っていたけど、アミノ式が来ると一緒になってオークファイターや副隊長、ウェアウルフなど、一人では少し手ごわい相手と戦う。

時々、アミノ式は怪物達が群ているところに突入して、ギリギリの戦いになることもあるのだけれど。彼は「それが楽しい」んだと言う。わたしにはハラハラドキドキで、パニックになっちゃうんだけど。

また、彼は、むやみやたらに相手に切りつけているだけではなく、わたしのことをいつも気にかけていてくれているみたいだ。わたしのところに向かって来る敵を優先的に倒しに来てくれる。ワイルドだけど、すごく優しい人。でもたまに・・・

「ごめん、間に合わなかった・・・」

「だから、弓はやめてって言ったのに・・・」

「・・・すまん」

「最寄りの村へ」

「いってらっしゃい。その辺で待ってる」

てな具合で大事に至ることもしばしば。二人ともやられちゃうこととかもあるけど、それも含めて、彼といるととても楽しくて幸せな気持ちになれる。

彼に出会えてよかったと思う。今もそうだけど、これからも、ずっと一緒に居られたらいいな・・・

しかし、常に一緒に、という訳にはもちろんいかない。お互いに活動する時間が似ているとは言え、全く同じということもないからだ。したがって、一人で居る時間もまた、以前と同様にある。

そんな、ある日の出来事。

一人で浜辺を歩いていると、波打ち際に立って居る人がいた。アミノ式と同じ、剣士さんらしい。その人はただじっと、海の向こうを見つめて立っていた。

何をしているんだろう?

わたしもよく、浜辺に座ってぼーっと海を見つめたりすることがあるので、彼もまたそんなロマンティックな人なのだろうと思って、そっとその場を離れた。

村で用事を済ませ、また同じ海岸を歩いて狩場に戻ろうとしたら・・・・さっきの人が、同じ波打ち際で寝そべっていた。いや違う、これは行動不能な状態。一体、何があったのか? 行動不能になったのならば、すぐに「最寄りの村へ」戻るのが普通なのに。

近くには彼を倒したとおぼしき怪物の姿はない。わたしはその人に声をかけてみることにした。

「あのー、そんなところで寝てると風邪ひきますよー」

・・・・

反応がない。

「もしもーし」

つんつん。つついてみても、ぴくりともしない。これはどうやら、もぬけの殻らしい。どうやら「中身」が抜けた状態のようだ。これでは話を聞くこともできない。謎は闇に葬られるのだろうか・・・

じっと見ていてもしょうがないので、わたしはその場を離れて狩りに向かうことにした。少し離れた場所で狩りはじめ、しばらくその人のことは忘れていたのだけれど。マナがなくなったので、休憩しようとして、その事を思い出した。さきほどの浜辺まで戻ってみることにした。

「あれ?」

彼はいなくなっていた。気付いて最寄りの村へ戻ったか、立ち去ったのだろうか。謎は結局、謎のままだった・・・。そう考えていると、浜辺を颯爽と走って来る彼の姿があった。

「ちょっと、あなた」

わたしの前を通り過ぎようとするのを呼び止める。

「ん?オレ?」

「そうそう、あなた」

「なに?」

「あなた、さっきここで・・・」

わたしは、わたしが目撃した状況を説明した。すると彼は合い承知、とばかりに笑って答えた。

「あはは、いやー、恥ずかしいところを見られたなぁ。実は・・・」

どうやら彼はときおり、意識を飛ばして別のことをしながら狩りを行っていたらしい。意識が離れている間は比較的安全な波打ち際に佇んでいたと言う。最初にわたしが目撃したのはその場面だったのだろう。そうして、何度目かにあわてて波打ち際に駆け寄った時、勢い余ってそのまま水中へ没し、そのことに気付かず、溺れてしまった、と。

「あははは。気をつけてね〜」

笑ってはいけないと思いつつも笑いが込み上げて来てしまう。ごめんなさい。でもおもしろいひとだ。

彼・・・・Lestという名前のファイターさんも、アミノ式と同様に、似たような時間帯に活動しているらしく、その後もしばしば出会うことがあった。村や狩場で会えば「こんにちわ」と声をかけあう。なんとなく、一人きりでやっていた頃と比べるとちょっとだけ自分の世界が広がった気がする。

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