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『話せる島記・外伝』

『第零章・話せる島』

『第十三話・ペットを手に入れろ!』

グルーディン港の村でクレリックへと転職を果たしたわたしは、その場ですぐにいくつかの新しい魔法を覚えた。

ディスラプト・アンデット。その名の通り、対アンデット用の魔法だ。生命のあるものには全く無力だが、生ける屍であるアンデットを聖なる呪文で清浄することができる。

ウィンドウオーク、キス・オブ・エヴァ。Zwolfさんがかけてくれた補助魔法。身体を軽くして足を速くするウィンドウォーク。水を司る神エヴァの祝福は水中での呼吸を止めている時間を大幅に長くできる。どちらもわたしにとっては涙が出るほどに嬉しい魔法だ。それにアキュメンは魔法の詠唱を速めることができる。

他にもいくつか、既存の魔法を強化して、名目上はちょっと強くなったかな? 強くなった、と言うのは語弊があるかもしれない。ウィンドストライクやヴァンパイアリックタッチなど、これまで攻撃に使っていた魔法は一切、新たに覚えることも強化することもできなかったのだ。攻撃力の点においてはほとんど向上していないと言える。arameさんが覚えた魔法を村の近くで試していたことを思い出して、同じようにやってみたが、その違いは歴然だった。

ある意味、これがクレリックなのだ。

それに、いずれの魔法も「劇的な」効果がある訳ではなく、その差は意識して感じていなければ気が付かない程である。しかし、アキュメンをかけ、補助魔法をかけてゆくとその差を感じることはできた。そして、走り出し、海を渡る時には劇的な変化として現れた。これは楽だわ・・・・・。何度も走った海だから、なおさらにその違いをはっきりと感じることができた。

喜んで話せる島へと戻り、さてこれからどうしよう。

とりあえず、武器を買った。ずっとアデプトのワンドだったけど、念願のシーダーを手に入れたのだ。アデプトのヮンドを売り払っていればもっと早くに買い替えることができていたのだけれど、この武器を売る気にはどうしてもなれなかったからだ。それに予定外の装備・・・マジックパワーを買う羽目になったこともあって、ようやく、である。

後で気付いたのだけど、シーダーは両手で持たないといけないぐらい大きな杖で、アデプトのワンドは片手で振り回せる小型の杖。ワンドの時は空いた片方の手に盾を持っていたのだけど、シーダーにすると盾が持てなくなった。つまり余ったのだ。そうか、これも売ってしまえばもっと楽に買えたのか・・・・・と。

早速、「クモの丘」へと足を運び、新しくなった自分の力を試してみる。

ジャイアントスパイダーで軽く腕試しだ。アデプトのワンドでは、ウィンドストライク三発。実際にはウィンドストライクに続けてアイスボルトを唱え、うまくいけばアイスボルトで凍りつかせて動きを鈍くさせた隙に少し離脱して、ウィンドストライクでとどめを刺す。果たしてシーダーでは・・・・・・・一発目を撃ったところで、ジャイアントスパイダーの体力を半分以上奪うことができた。これならば、反転離脱、続けてウィンドストライクで仕留めることができる。

これはずいぶんと楽になる!

魔法を使う回数が減ればその分、マナの使用も減らせる。これはどちらかと言うと、武器のおかげかな?・・・クレリックとしての効果は別の場面で味わうことができた。

おもしろいように戦えるため、ついつい、無茶をして突っ込んでしまったのだ。三匹、固まっていたジャイアントスパイダーにウィンドストライクをたたき込むと、案の定、三匹が一斉に向かって来た。

以前なら、逃げながらそれぞれにアイスボルトを唱えて、動きを鈍くしてからウィンドストライクで地道に倒すしかない。もちろん、追いつかれて殴られもするので、時々は緊急回復魔法で自分の体力を回復する必要もある。時間がかかるため、クモの丘から戦勝記念の塔近くまで走る羽目になることもあれば、途中でマナが尽きて、体力も尽きてしまうことも結構あった。

少々変わったところもあるが、相変わらずの毎日を過ごしていた。

ジャイアントスパイダー

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そういえば、アミノ式も転職をしたらしい。剣士だった彼はウォーリア・・・戦士と言う職に就いた。それがどんなものなのか今一つよく理解はできていないし、他にどんな職業があるのかもよく知らない。おぃーーっすさんや業務課さんたちもおそらく転職の時期なのだろう。このところ話せる島では見かけることがない。そういえばトロピもarameさんもいない。Lestも最初の頃にご一緒したきり、姿を見ていないな。みんな活動の拠点をアデン本土に移したのだろうか?

みづほさんは相変わらず島にいた。彼女とはもともと年の差もあったし、雑談をしたり、ウェアウルフやゴーレムをいじめて遊んだりと、どちらかと言うと遊び仲間、話し相手のような関係だった。彼女を通じて別の友達も数人。皆、狩りもせず、村で羽目を外して遊ぶ仲間だ。

他にも数人、新しく知り合った人もいた。

ひとりは剣士の少女。強引な彼女に引っ張り回される感じでエルフの遺跡やクモの丘で一緒に走り回ったりしていた。

もう一人は、そんなエルフの遺跡のパーティで知り合った剣士のESTIMABLEさんとクレリックのjimerさんだ。二人とも当初はそんなに親しいと言う訳ではなかったんだけど・・・・特にjimerさんとは、後日、不思議な再会を果たす事になる。

そんなある日、ハックスと会う用ができたので、グルーディン港の村で落ち合うことになった。用は大したことではなかったんだけど、たまたまペットの話題になった。

「そういえば、みんな結構、ペットを飼ってるらしいね」

転職試験の時、すれちがったおいーーすさんもペットをもらう、と言う話をしていた。

「自分も飼ってるぞ」

「え!いつの間に・・・」

「ふふふ。ちょっと手に入れるのはちょっと大変だけど、便利便利。あんまり可愛くはないが」

「ふむふむ・・・で、どうやって入手すればいいのよ?」

「ペット管理人に頼んで試験を受けさせてもらえばOK」

「試験・・・か。で、その管理人とやらはいずこに?」

「そこ」

ハックスの指さしたのは、わたし・・・・の後ろの建物だった。広場の片隅にあるその建物がペット管理人の家らしい。

「ちょっと行って聞いてみてくる〜〜」

建物の中にはおよそ建物と似つかわしくない人物が待っていた。いや、これは失礼。顔に出る前にちょっと振り向いて筋肉をほぐす。そしておもむろに前を向いて切り出す。

「あの〜、ペットがほしいんですけど」

こうしてわたしはペットを手に入れる為の旅に出ることになった。

いや、旅に出る、というか、いきなり帰省。試験の課題は「話せる島のクモを退治してこい」だったからだ。クモはペットの天敵だそうで、ペットの主となるためにはそのペットを護ってあげなくてはならない。そのために天敵であるクモを退治し、その証拠としてクモのキバを抜いて集めろと。しかも50匹分。

島に戻るのも島でのクモ退治も、もはや慣れたものだ。武器を新調したこともあって、さくさく、さっくり。しかし50匹はきつい。途中、何度かマナを回復するためにお座り休憩も必要。それでも必要な数を揃えることができた。そのまま丘から海へと飛び込んでグルーディン港の村へ向かう。

うみの底

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ペット管理人に指示された通りのクモのキバを差し出し、「ペットください」と言うと「ばかもん」と怒られた。まだペットを飼うには知らなくてはならないことが沢山あるのだと言う。

「アデン各地にいるペット愛好家に会い、彼らからペットについて直接学んできなさい」

そう指示されて、わたしはまた本当の意味での旅に出ることとなった。教えられた「ペット愛好家」の住む場所が、グルーディオ城の村だけではなく、ディオン城の村、そしてギラン城の村だったのだ。グルーディオはともかく、ディオンやギランへは行った事などない。地図で確認すると、グルーディオからさらにずっと東。途中には「処刑場」「パルチザンのアジト」なんて恐ろしげな場所まである。

はじめて見知らぬダークエルフの国を訪れた時のことを思い出す。

とりあえずはグルーディオ城の村。

ここまでは特に問題ない。ペット管理人から紹介された愛好家を探す。その人はゲートキーパーだった。状況を説明して、ペットについて色々と話をしてもらう。なるほど。なんとなくわかった・・・・ような気がする。

お礼を言って、次の場所へ向かう。

さて・・・ここからは未知の道だ。いや、洒落ではない。地図を確認しつつ南門から出て街道沿いに東へ。これまでの例に習い、道なりに進む。道から外れた草むらには恐ろしい怪物が潜んでいるだろうし、安全第一。

少し進むと橋があった。川が流れているらしい。その橋のたもとに見知った顔を見かけた。知らん顔もできないので声をかけた。

「こんにちは」

「やあ、こんにちは」

クレリックのjimerさんだった。

「何してるんですか?」

「んー、まぁ、いろいろ」

見ると一人ではなく数人の人と一緒だった。これから狩りにでも出掛けるところか、戻る途中なのだろう。

「そっちは?」

「わたしは・・・ペットをもらおうかと」

「そかそか。大変だねー。がんばって」

「はい」

などと、軽くご挨拶。改めて橋をわたり、道なりに南へ。街道の右手には川、左は高い崖。怪物に襲われたら逃げ場もないが、幸いなことにここらへんには脅威となるものはないようだ。曲がりくねった道を進むと、川からそれて東へ。左右に切り立った崖があり、道は谷間を縫って続いている。そして、ディオン城の村。

小高い丘の上に立つ神殿が目にとまった。坂を登ると全容が見えて来た。それほど大きいと言う訳ではない。話せる島の神殿と同程度だろうか。村はそこからさらに坂を下った場所にあった。

村全体も、話せる島の村にどことなく似ている。グルーディンやグルーディオに比べると、ふた回りほど小さい感じだ。しかし、目的のペット愛好家を探すのは少々、骨が折れた。警備兵だとは聞いていたが、四方にある門を警備しているうちのどこかだから、結局、四つ目に発見。運が悪い時はこんなものか・・・・。先が思いやられる。

ディオン城の村

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早速、その警備兵さんにペットの話をしてみる。勤務中だから、と、煙たがられはしたものの、要点を聞き出すことはできた。忙しいところ・・・・と言っても、門の脇に立っているだけだが・・・ありがとうございました、と、お礼を言っておいた。

次はギラン城の村だ。ここからはハードな行程になりそうな予感がする。未知の領域である上に、どんどんと大陸の奥地へと進んで行くことになるからだ。例の処刑場、なんて場所も待ち構えている。

地図とにらめっこをしてその道筋を検討する。ギラン城の村へとつながる道は3本。ディオン城の村から見ると、北側、東側、南側と3箇所の門から続く道だ。その道を地図上でなぞって行くと、東側の道はもろに処刑場に入ってしまう。ここは却下だな。北側か南側か。北側も処刑場とパルチザンのアジトをかすめる形で通っている。南側は処刑場とは全く関係なく、「フローラン」と言う名の村を通り、一度海岸近くへ出てから海岸沿いに再度北上する形になっている。距離的にはずいぶんと遠回りになるのだけど、処刑場を通らなくて済むのは大きい。それに、現在地は南門。目の前の道を行けばいいのだ。

わたしは迷いなく、歩きだした。

基本は道なり。見知らぬ土地を歩く時のわたしなりのお約束。冒険心が無い訳でもないが、ここは先へ進むことが目的だ。なだらかな丘陵地帯。左手の丘にはお城が見える。あれが「ディオン城」なのだろう。

この世界にはいくつかの城があるようだ。グルーディオ城、ディオン城、そしてギラン城。地図でもその三つのお城が描かれている。それぞれに城下の村があり、お店がなどが立ち並ぶ。そこにわたしのような・・・・いや、わたしなどよりも年上の人達が沢山集まり、そこかしこへと出掛けたり、戻ったり。しかし、今、走っているこの道はディオン城の村を出たばかりだと言うのに人通りが少ない。丘陵地帯を抜けると、森が見えて来た。そしてその森に住む住人たちも。

住人と言うには少々語弊がある。ウルフ・・・みかけは話せる島のウルフにそっくりだが、名前に「ダイアー」と付いている。名前は赤い。話せる島にも「エルダー」ウルフがいたが、ウルフよりも少し強かった。「ダイアー」はもっともっと強いのだろう。

そうそう、今、手に入れようとしているペットとはウルフのことらしい。管理人さんや愛好家たちからは、そんなウルフのことを色々と教えてもらった。細かいことは忘れちゃってるけど。

で、そのダイアーウルフのまわりをブンブンと飛び回っているのは、とても大きなハチ。ウィアード・ビー。すでにでっかいクモやらお化けキノコとか見てるので、そんなには驚かなくなったけど・・・・

「あれに刺されたら痛いだろうなぁ・・・」

現実問題、痛いで済めばいいのだけど。もちろん、命にかかわる危険性も無くはない。むしろ、危険度、大、かと。名前もうすら赤い。

前後左右、あたりを見渡して見る。安全そうなのは今走って来た後方とそれから右側。森の外周に沿って道が伸びてはいるが、地図でみるとまるっきりギラン城の村とは違う方角へ行ってしまう。ギラン城の村に向かうのならば森を抜け、フローラン村を通り、その先に続く道へと出なくてはならない。

「処刑場よりはマシよね」

多分。

自問自答しつつ、なんとか通り抜けられそうな「すき間」を探す。すると、ぷ〜〜〜ん、とウィアード・ビーの一団が同じ方向に移動してくれた。ダイアーウルフとの距離もかなり開いている。今だ!

わたしは地面の上に走り抜ける「道」を思い描きながら、それに沿って走った。いつまたウィアードビーやダイアーウルフがこちらに向かってくるかわからない。ヒヤヒヤながらも森を通り抜ける事に成功した。

森を抜けると少し開けた場所に出た。その向こうに村らしき建物のある一角が見える。開けたとは言え、わたしの胸ぐらいまでの柵があちらこちらに立てられている。その柵の内側には藁山、牧草だろうか?ベージュ色の枯れた草束がいくつも積み上がっている。幸い、柵は完全に閉じられてはおらず、通行に支障はなさそうだ。支障があるとしたらそれは、そこいらにいるダイアーウルフとウィアード・ビーだろう。元々は放牧などが行われていたのだろうが、飼われていたはずの家畜などの気配はなかった。怪物たちに家畜もその主たちもすっかり追い出されてしまっているようだ。

フローラン

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「うう、いっぱいいるなぁ・・・」

ダイアーウルフが時折りウーっとうなり声を上げる。ブーーンと不気味な羽音を鳴らし続けるウィアード・ビー。わたしも「うーー」と、うなってしまう。どうしようか?と思案していたら、村の方から誰かがこちらに向かってくるのが見えた。

もちろん、わたしとその人・・・・エルフさんだった・・・との間には怪物たちがいる。案の定、ダイアーウルフがそのエルフさんに気付いて飛びかかった。あーあ・・・。エルフさんは気付いているのかいないのか、ダイアーウルフを無視してこっちに突っ込んでくる。そして、エルフさんとダイアーウルフはわたしの脇を通り過ぎて行った。

一瞬の出来事にわたしは何も反応できなかったが、見れば、エルフさんの通った後には安全な「道」ができていた。今のを見る限りはウィアード・ビーは近付いても平気なようだ。それを加味すれば十分に通り抜けられる道幅が確保できたことになる。

これ幸い。エルフさんの走り抜けた道を逆に走る。

フローランの村は、村と呼ぶにはあまりにも小さい。話せる島の村を始め、グルーディン、グルーディオ、そしてディオンと4つの村はすべてしっかりとした塀があり、警備兵によって守られていた。ダークエルフの村に至っては岩山の地下に造られていたのと比較して、ここは建物が散在しているだけで、集落と言うほどの大きさも無いかもしれない。それに、周囲と同様、人の気配も少ない。

それでも村の門・・・この粗末な支柱を門と呼べるならば、だが・・・から入ったすぐ脇には商人がいた。お店を構えている訳ではなく、道端で露店を広げているところを見ると、この村の住人ではなく、行商人だろう。覗いて見ると、それなりのものしか販売はしていないようだ。村の外周には牧場の名残だろうか? 台車や鍬などが無造作に放置されていた。それらを扱っていたであろう人々もすでにここには住んではおらず、さっきの商人はここを通るわたしのような冒険者をアテにしているのだろう。

見るべきところもなさそうだし、先を急ぎたいこともあって、村の真ん中を通り抜け、反対側の門にたどり着いた。こちらには門の脇に警備兵らしい人が立っていた。しかし、今までの各村の警備兵とは異なり、装備も少しみすぼらしく、自衛団と言ったところか。軽く会釈をして通り過ぎたが、特に何も言われることはなく、向こうも軽い会釈を返してくれた。

村から出ると、一本道が続いていた。川が右手に迫ってきて、左手はしばらく牧場が続いたが、すぐに小高い丘に変わった。周囲にはウィアード・ビーの他にリザードマンや目玉のお化けもいたが、道にはみ出してきているものはいなかったので、とりあえず警戒しながらも通り過ぎることができた。

その丘と川にはさまれた狭い街道を南東に向かって進む。地図では川に沿って一度海岸まで出て、そこから海岸沿いに今度は北東へと進むことになる。川沿いに歩きながら対岸を見ると、そちらにはリザードマンや、これは初めて見る銀色の豹などがいた。川が間にあるので襲われることはないだろう。

海岸まではさほどかからなかった。そこは海岸と言うよりは「桟橋」、つまり港のようだった。しかし、現在は使われていないようで、人の気配も全く無い。しかし、以前は使われていたのか、それともこれから港を建造しようとしているのか、一部は柵で囲まれ、建材も積み上がっている。

しかし、今はそれに気を取られていても仕方が無い。方向を変え、北東へと続く道へと進んだ。

右手の海岸はすぐに運河へと変わった。北の方から続く半島が対岸でその向こうが海だ。半島はギラン城の方から伸びており、この運河は城への交通手段なのかもしれない。

左手は高い崖があったが、すぐに開けた場所に出た。運河へと注ぎ込む細い川があるようだ。もしかしたら運河の一部かも知れない。そこにを渡る小さな橋がある。しかし、わたしはその橋の手前で足止めを余儀無くされた。見たこともない怪物が待ち構えていたからだ。

待ち構えていた、と言っても路肩にいるだけだ。道の真ん中で通せんぼをしている訳ではない。橋の脇にはシレノスと言う白い・・・馬だろうか?ヤギだろうか? 動物の顔と身体ではあるが、二本の足で立っている。見ればリザードマンも近くにいた。橋の向こう側、川を挟んで対岸には花のお化けがうごめいていた。どれも名前は真っ赤。

さてどうするか。

怪物たちのいるところを無難に避けようとすると運河の縁ぎりぎりを通らなくてはならない。いっそのこと運河に飛び込んでしまおうか? とも考えたが、その先上陸できないと困るのでここはギリギリ端っこを通ることにしよう。

そろりそろり。足を滑らせたらどぼーん。ここは慎重に歩を進めよう。横を見るとシレノスがこっちを見てる気がする。でも襲いかかってくることはなさそうだ。どうにかやりすごし、橋まで到達。幸い、橋のすぐそばには怪物はいなかったので、そそくさと渡ってしまう。花のお化けも奥まった場所に固まっているため道を歩く分には支障なさそうだ。そこから先は特に問題もなく、すぐにギラン城の村が見えてきた。

「ってゆーか、あれが村?!」

ギラン城の村

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でかっ。

今まで訪れたどの村よりもはるかに規模が大きい。門から左右に続く塀は高く、どこまでも続いているように見える。門の前に立ち、中をのぞき込んでも全容は見えそうになかった。とりあえず、わたしが今目指すのはアクセサリーのお店。そこの店員さんが動物愛好家の一人だとのこと。まずはそのお店を探すことになるんだけど、この大きな村から探し出せるだろうか? 門から通路が真っすぐに伸びている。左右は壁や建物で仕切られているが、通り沿いにお店はなさそうだ。数カ所、曲がることのできる道があったのでのぞき込んでみると、お店らしき建物があった。通路のを左に折れ、そのお店に向かった。

二軒、お店があったので、片方を覗いてみると、ビンゴ! なんと、一軒目で発見。ついてるついてる。こういう日もなくちゃ、やってらんないわよね。うきうき。店員さんもすぐにみつかった。早速、ペットについて教えてもらおう。

帰りがけ、アクセサリーを勧められたが、あいにくそんな余裕もない。それに今はまだそんなに必要じゃないし。なので、逃げるように店を後にした。さあ、あとはグルーディン港の村まで・・・・戻るだけでも大変か。地図をながめて、改めてその移動距離を感じる。ここまでは目的があって、各村に立ち寄りながらだったので、そうでもなかったけど、ここからグルーディン港の村まではあまりにも遠い。

しかしまあ、仕方がない。来た道をとぼとぼと返引き返す。ギラン城の村を見学して行くと言う手もあったが、この広い村は見て回るだけでも大変そうだ。さすがに気力ももたない。とにかく帰ろう。

来た時と同じように運河沿いにシレノスを避けて通り、海岸に出てまた川沿いにフローラン村へ。ウィアードビーとダイアーウルフをやり過ごし、ディオン城の村。そこでまた見知った顔・・・と言うか、行きがけに出会ったjimerさんとばったりと出会った。

「あら、こんにちは」

「やぁ」

「狩り、終わりですか?」

「んーー、まぁ、そんなとこ。帰り?」

「はい。また港まで戻りです」

「そか、そか、がんばってね」

「はい」

など。偶然とは言え、二度も会うとは。

jimerさんに別れを告げて、ディオン城の村を後にする。そこから谷を抜け、川沿いに進んで橋を渡る。道なりに少し行くとすぐにグルーディオ城の村だ。ここまで来ると「帰って来た」感じが出て来る。悲嘆の廃墟の前、霧の道を抜けて捨てられた露営地。ここら辺りまで来るとヒトも沢山いる。ギランからディオンまではほとんどヒトを見かけなかったものね。グルーディオ城の村が一番人口が多く、文化の中心地、と言った感じ。

露営地を越えて曲がりくねった谷を下って行けば、もう目の前にはグルーディン港の村だ。はああ、やっと帰って来た。さっさとペットをもらって、一休みしよう。広場へ向かい、隅にあるペット管理人の家を訪ねる。

「愛好家の方々に会ってきました〜。ペット下さい」

そう報告すると、管理人は思いもよらぬことを言い出した。

「よし、ペットについてどれだけ理解したか、これから出す問題に答えるんだ」

「へ?」

わたしは目が点になった。

「問題は全部で十。全問正解で合格だ。一問でも不正解なら即失格だぞ」

聞いてないよ〜〜〜〜。

「それでは行くぞ、第一問!」

ちょちょちょ、ちょっとまったぁ〜〜〜。

「うるさい、第一問。ウルフの尻尾は普段、どこを向いている?」

えーー。知らないよ、そんなこと。えーっと、えーっと・・・

「ふりふりしてるっ!?」

「ばかもん。まったく、何を学んで来たんだ、え?」

「いやぁ、そのぉ・・」

話を「聞く」だけでいいと思ってました、はい。記憶とかお勉強とかはとっても苦手です、はい。

「もう一度チャンスをやる。愛好家を再度訪ね、よーーーく話を聞いてくるんだ。」

はい。

とほほほほ。

なんともお間抜けな話である。しかし自業自得というものだろう。今度はちゃんとメモを取って要点をまとめるなりしておかなくては。しかし、すぐにまたあそこまで往復するには気力、体力ももない。わたしはへろへろ、と広場の片隅にしゃがみこんでしまった。

ぼーっとしていると、声をかけられた。

「Narurunさん、こんにちは」

ん? 顔だけ上げてみると見慣れない人だった。いや、よく見たらarameさんだった。

「arameさん!?」

見慣れなかったのは服の方だった。薄い緑と白のローブ。武器の方もわたしの持っているシーダーより高級そうな杖だ。見違える、とはこのことだろう。名前を感知できなかったとしたら、「どちら様で?」と聞き返すところだった。

「元気してた?何してんの?」

なんかやけにテンションが高いarameさん。と言うか、わたしのテンションが猛烈に低いだけか。

「あー、えーっと。ペットを手に入れようかと。それより、新しい服、買ったんだ?」

「ん? あー、これ? うんうん。がんばって買った」

「何て服?」

「ウィザードローブ」

「へー。じゃあ、arameさんにピッタリだね」

「なんで?」

「arameさん、ウィザードでしょ?」

「あ、そっか。うんうん。」

気付いてなかったのか・・・まあいい。それより。

「かわいいね。似合ってるよ」

「ありがと。で、ペットは手に入ったの?」

いやー、それが・・・・と、説明したら、arameさんは必死で笑いをかみ殺していた。肩がぷるぷる震えていた。まぁ、いいんですけど。

「そっか。そりゃ大変だ。ウチはちょっと島行ってくる」

「はぁい。お疲れさま」

「またのー」

はふ。

一息してるとまた声をかけられた。

「Narurunさん?」

「んみょ?」

jimerさんだった。

「あやや。こんにちは、と言うか、よく会いますね」

「ですね」

お互い苦笑。別に申し合わせている訳ではないのに。単に行動パターンが似ているだけかもしれないけれど。彼と雑談して少しリフレッシュしたわたしは、改めてペットをもらう為の旅に再出発することにした。

「それじゃ、行ってきます」

「うん、気をつけて。いってらっしゃい」

さぁて、がんばって走るぞっ!

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