中国鉄路の旅


 第7日目:8月10日(木) 哈爾浜

 昨日の無念を晴らすべく海拉爾(ハイラル)行きの切符を手に入れるため、今日は朝から切符売場へと向かった。相談の結果、12日までに北京に移動できる保証ができてから海拉爾へ行こうという話になったので、海拉爾駅に電話で連絡を取る。しかし、既に売り切れ。中国では切符の発売日は3日前に開始されるのだが、この時期は行楽シーズンのため、中国人の国内旅行スポットでもある海拉爾への切符はすべて売り切れたという。定価に法外な手数料をふっかけて切符を売るダフ屋もいたが、彼らの力をもってしても無理らしい。
 それにしても切符のダフ屋はどういう流通経路を持っているのか。中国の駅では最近になってコンピュータによって発券されるようになったのだが、まだオンライン化されていない。つまり駅同士がネットワークでつながっていないため、ひとつの座席(寝台)はひとつの駅が販売することになっている。それでは途中駅では切符が買えなくなってしまうため、駅ごとに販売できる座席があるというわけだ。ここからは推測だが、おそらくダフ屋はそういった切符を何らかの手段で事前に確保しておき、大きな駅で売っているものと思われる。(そうなるとつじつまが合う)

 鉄道で海拉爾へ行くことができなくなってしまったので、航空便を確認する。哈爾浜から北京へは1412km。航空機でおよそ1時間半。ちなみに列車だと17時間かかる。航空運賃は高く、一人700元(約9100円)ほどする。鉄道運賃(普快・硬座;84元)のおよそ8倍である。
 ここで問題が起きた。全員の身分証明書が必要なのである。日本人の5人は全員パスポートを持っていたが、長青さんが証明書になるものを持っていなかったのである。そこで、哈爾浜に住んでいるという彼女の友人に保証人になってもらい、明日の午前中に公安局で仮の証明書を発行してもらうことになった。この時点で午後2時。中国で「切符を買う」という行為がどれほど大変かを身をもって知らされた1日だった。

 

 残された今日1日を有効に使うため「中央大街」へ。ロシア建築が数多く残る哈爾浜の名所のひとつである。石畳に並木道、歩道に沿ってさまざまな建築物が立ち並び、美しい。この日の夜は通りの中心部に位置する創業75年のロシア料理店で舌鼓を打った。今夜は久しぶりに「洋食」メニューとなった。


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