マジックエプロンとは、エプロンを身につけ、そのエプロンから何かが生まれることを期待したものです。楽し、嬉し、不思議、奇跡、夢、勇気、元気、魔法など、何かが生まれたのなら、それはまさしくマジックエプロンです。
お母さんが台所でおいしい料理を作っていて、その時エプロンをしていたのなら、そのつけていたエプロンは、マジックエプロンです。お父さんが日曜大工で本箱を作って、その時エプロンをつけていたのなら、そのエプロンはマジックエプロンです。ドクターが難しい手術をしていて後から患者に喜ばれたのなら、その時つけていたエプロンは、マジックエプロンです。保育士が、エプロンのポケットから人形を取り出して、「おはようございます」と朝のご挨拶をしたのなら、それだけでそのエプロンはマジクエプロンです。
また、お菓子を買いに行って、レジで店員が「ありがとうございました」とお辞儀をしたとき、エプロンをしていたのなら、それはマジックエプロンです。買っていただいた店員は嬉しいし、お礼を言われほうも嬉しいものです。マジックエプロンは、人と人との架け橋となり、そこからすてきな何かが生まれてきます。
そうです。私たちは普段からこのマジックエプロンに大変多く出会っていたのです。だから、こどもたちの前でエプロンをしてお話をしても、何ら違和感がないのです。むしろ当然のごとく受け入れてもらえます。
エプロンをして人形劇をしたのなら、それは人形劇ではなく、マジックエプロンです。エプロンをして絵本の読み聞かせをしたのなら、それはマジックエプロンです。人形劇をしている人から見ると、それは人形劇だというでしょう。絵本の読み聞かせをしている人から見ると、それは絵本の読み聞かせだというでしょう。しかし、マジックエプロンの側から見ると、すべてマジックエプロンなのです。マジックエプロンの世界は、魔法のように不思議で、宇宙のように広がりがあるものなのです。
しかし、ここでいうマジックエプロンとは、エプロンをつけて料理やお掃除をすることではなく、舞台であるエプロンのポケットから人形が飛び出して、主にお話をすることです。演者自身が体全体で演じる舞台芸術です。ちなみにこの文章は、エプロンをつけて書いています。ということは、この文章もマジックエプロンから生まれたものです。呼び名にはこだわりません。エプロン劇場、お話エプロン、エプロンシアター、舞台エプロンなどどれもマジックエプロンです。あなたもマジックエプロンにはまってみませんか？
かく言う一人芝居を多用できるマジックエプロンは、人形でも自分自身でも表現したいしたい人にはもってこいの演芸です。パネルシアターに負けず劣らず観客との掛け合いがふんだんに盛り込めて客席との距離が近くなります。絵人形の薄っぺらさはないので、立体的で質感が人形劇に大変近いです。演者が舞台に姿を現しているところから、演者自身が舞台で跳ねたりダンスしたりもできます。エプロンという舞台からさらに広がりがある舞台を展開できるのがエプロン劇場です。
